
便秘の定義は、厳密に決まっているわけではありませんが、一般的に排便間隔が長く、便が固い、便が出にくい、お腹の張りや腹痛があり、自分自身が辛いと感じている状態が便秘です。便秘は体への悪影響が大きく、厄介な症状です。
食べ物の未消化物が腸の中に溜め込まれていると悪玉菌が優勢になりやすく、病気の発症リスクが高まる可能性があります。便秘によって、本来スムーズに排出されるはずの老廃物や有害物が長く体内に溜まることで疲れや倦怠感、ニキビ、肌荒れなどが起こりやすくなります。
また、有害物が排出されず大腸にとどまることで大腸ガンの発生リスクが高まります。さらに便秘が慢性化すると、代謝の衰えにより、むくみやすくなったり、太りやすくなったりします。腸を冷やさないことや食物繊維をしっかり摂ることで、腸内環境を良くして、食後の血糖値を速やかに下げるインクレチンの分泌量が増やすことができるため、糖尿病対策にもなります。
便秘対策として、便秘薬を常用している方もいらっしゃると思いますが、下剤の中でも、センナや大黄アロエあるいはそれらを含む「アントラキノン系下剤」と呼ばれる下剤に頼りすぎると、かえって便秘がひどくなる場合もあるので注意が必要です。これらを常用していると、大腸メラノーシスという色素沈着を起こし、同時に腸の働きが悪くなり、便秘が悪化して悪循環が生じます。
便秘は脳に影響する
「脳腸相関」という言葉からも、脳と腸は非常に密接な関係があり、互いに影響を及ぼしあうことが明らかになってきました。いくつかの実験でも、便秘だと眠気が強くなったり、緊張感がある、疲れやすい、イライラするという状態になることが分かっています。また集中力の乱れからパフォーマンスが落ちることも分かっており、慢性的な便秘に悩む方の脳は、集中力が乱れるばかりでなく、「空回り」しやすい状態にあることも分かっています(杏林大学での実験より)。
この「空回り」の状態では、脳の前頭葉の働きが鈍くなる(ヘモグロビン量から判定)ことが確認されており、快便の方よりも脳を働かせてない状態になっています。このように脳が空回りするのは、便秘による緊張感やイライラといったストレスが関与しているのではないかと考えられています。
一方で、慢性的な便秘や下痢は心の病との関係も指摘されています。例えば過敏性腸症候群は、下痢による体調不良が心の健康に悪影響となることが臨床的に知られています。様々な体の不調が心の病にもたらす影響の研究が進んでおり、特に注目されるのが腸内環境とセロトニン(幸せホルモン)の関係です。
セロトニンは、心身のリラックスを促す神経伝達物質ですが、心の病の状態ではセロトニンを介した情報伝達に問題が生じることが分かっています。脳内でつくられるセロトニン量と比較して腸でつくられるセロトニン量は9割とも言われており、うつ病の患者の腸内細菌を調べると、善玉菌(ビフィズス菌など)が、健康な人より少ないという結果が報告されています。
ストレスと便秘の関係
便秘を引き起こす一番の原因はストレスと言われています。なぜなら、腸には脳と同じ神経が多くあり、自律神経でつながっているため、脳がストレスを感じると自律神経を通して、すぐに腸が反応します。その反応によって便秘などの症状が出るとされています。
腸は第二の脳とも呼ばれ、脳からの指令がなくても活動する独自の神経ネットワークを持つことが分かってきています。脳から腸、腸から脳へ情報伝達が双方向からあり、自律神経系、免疫系、内分泌系の3つの経路を介してお互いに影響を与えています。これを「腸脳相関」と言います。
自律神経には「交感神経」と「副交感神経」の2種類がありますが、副交感神経が活発になると腸が活発に動いて消化が進みます。しかしストレスを感じると交感神経が優位になり、消化機能が低下し、さらにストレスによる過食などで胃もたれになったりします。
一方で、ストレスを感じると下痢気味になるのは、脳と腸が迷走神経を介して繋がっているため、ストレスによって腸内環境(腸内フローラの変性)が乱れることから起こっているのではないかと考えられています。さらに腸の働きが鈍くなると、その情報は脳に伝達されてさらにストレスを感じるようになり悪循環を招きます。
また、自律神経のバランスが乱れると、腸の水分吸収が活発になりすぎて水分の少ない便が溜まり便秘になります。自律神経の乱れは、極度な精神的な緊張、不安かなどの精神的なストレス、睡眠不足、暴飲暴食、生活習慣の乱れなどが原因です。
このように便秘症の多くは、自律神経のバランスの乱れに起因しているので、自律神経のバランスを整えることが大切です。頭部には自律神経を調節するツボが多く存在するため、自律神経のバランスを整えるためには頭の鍼をおすすめします。頭鍼にはリラックス効果もあるので、不眠やイライラに悩まされている方も、ぜひ受けてみてください。
停滞腸には防風通聖散
ダイエットして体重は減ったのに下腹は出たままなのは、それは停滞腸になっている可能性があります。停滞腸は腸の働きが弱っている状態のことで、老廃物が腸に残留してぽっこり下腹や便秘、ガス腹やむくみ、肥満の原因になります。
脳で感じたストレスは、腸に直接影響を与え、緊張することで下痢や便秘になるなど、腸や肺とともにストレスに非常に弱い器官です。ストレスがかかると腸管運動も低下し、運動不足なども腸の動きを鈍らせて、さらに停滞腸に拍車がかかります。
また、停滞腸の人の多くが下剤を長期に渡って服用しており、そのため便意が起こらず、自力では全く排便できない人も多くいます。このような方には大腸メラノーシスという症状が見られることが多く、大腸メラノーシスとは腸の粘膜が黒く変色することで停滞腸をさらに悪化させます。原因は、大黄(だいおう)、センナ、アロエなどを主成分としたアントラキノン系下剤で、まずはこういった下剤を止めることが最優先です。その際に下剤の代わりに服用を進めるのが防風通聖散(ぼうつうつうしょうさん)の漢方薬です。
防風通聖散には8種類の生薬が配合されていて解毒作用を発揮し、便、尿、汗として体に溜まった老廃物や水分を排出し、これによって便秘や肥満、むくみが解消されます。ただし、大腸メラノーシスの原因となる大黄が少し含まれているので、様子を見ながら服用しましょう。
エビオス錠で快便に
エビオス錠に含まれる酵母細胞の断片や細胞壁由来の成分は、腸内でビフィズス菌や乳酸菌のエネルギーとして利用されます。これは市販のヨーグルトのように、菌を直接体内に入れるプロバイオティクスとは異なり、今いる善玉菌を内側から増やすというプレバイオティクスです。そのため腸内フローラそのものが整い、便秘や下痢、ガスなどが溜まりにくい腸の体質に変わっていきます。
またエビオスには、水溶性と不溶性の両方の食物繊維が少量ながらバランスよく含まれています。特に水溶性食物繊維は、腸の中で水分を抱え込んで便を適度な柔らかさに保つクッション剤として働きます。これによって硬すぎる便秘も、緩すぎる下痢も起こりにくくなります。毎日同じリズムで、スムーズに便が出る腸の体質へと変わっていくことができます。
特に、朝1番に朝飯を食べた後の腸の蠕動、腸結腸反射による便の分泌がスムーズになります。また腸内の善玉菌によって酵母由来の成分や食物繊維が発酵されると、酢酸や酪酸、プロピオン酸といった短鎖脂肪酸が産生されます。このような短鎖脂肪酸は、腸の粘膜細胞のエネルギーとなって、腸のバリアを分厚くする働きがあります。その結果、腸から毒素や病原菌、余計な添加物などが侵入しにくくなって炎症やアレルギー、慢性疲労などが改善されていくこと でしょう。
また、何より嬉しいのは、エビオス錠による腸内の改善効果には、下剤のような副作用がないことです。エビオスは、腸内フローラを根本から組み換えるタイプであり、対処療法というよりむしろ根本治療の一種であると言えます。下剤は飲めば出ますが、飲まなくなればまた出なくなります。
ただし、エビオス錠は善玉菌が増えて悪玉金が減り、中間菌が安定するまでに目安として2週間から3週間かかります。このように時間はかかりますが、1度バランスが整えば、止めてもすぐには戻らない、健康的な腸に変わるのが最大の強みであると言えるでしょう。
便秘にならない人の習慣
朝食を食べた後に便が出る人は、食べ物が胃に入ると胃が活発に動く方です。もちろん体調や個人差もあるため、朝に絶対に便をしなければならないということではありません。それが夕方だったとしても問題ありません。口から入ったものが出るまでの時間は72時間以内なので、2、3日に1回でもすっきり感があれば快便と言えます。そして、1日の配便回数は2 回までが正常範囲と言われています。
また頻度についても同様で、毎日するのは良いことですが、定期的にすっきり出るのであれば2、3日に1回だったとしても心配することありません。
朝はゆとりを持つ
実は、毎朝食の後に排便する人の習慣を調査してみると、朝ゆとりを持って行動することが分かっています。朝ごはんを食べることで胃に刺激が加わり、胃結腸反射が起こります。胃結腸反射とは、食べ物が胃に入ると大腸が反射的に収縮して便を腸に送り出そうと動き始める反応のことです。そのタイミングで便意を感じるのですが、せっかく便意を感じてもバタバタしたり、時間がないから後でと我慢してしまうとだんだん便意を感じにくくなり、便を出すタイミングを逃してしまいます。
小まめに水分補給
1日に水分を小まめに摂ることで腸内が適度に潤い、便が柔らかく保たれます。それが腸の動きがスムーズになり、食後に便が出やすくなります。一方で水分が足りないと便が固くなって、便秘になりやすくなります。食事の時も一緒に水分を摂ることで胃腸の動きが活発になります。小まめに水を飲んで腸内の環境を整えておくと朝食後のすっきり習慣が身につきます。
また朝起きて白湯を飲むことは、朝1 番に腸に刺激を与える古典的な方法で一定の効果はあります。ただし冷水は逆に腸が冷えて動きが鈍ることもあります。そのため白湯、お茶、味噌汁など温かいものがおすすめです。
決まった時間に朝食を摂る
毎日同じ時間に朝食を食べることで体内時計がしっかり整って、規則正しい食事時間が定まることで、胃腸の働きも同じ時間に活動できます。つまり内臓にも毎日の習慣があり、食事による胃結腸反射を引き起こしやすくして、腸の蠕動運動が活発になりやすくなります。このような規則正しい習慣がお腹の調子を整えて、朝からお通じが良いと気持ちよく1日をスタートすることができます。
適度な運動
腸の動きと運動が関係しており、適度な運動をすると全身の血が良くなり、腸の動きも元気になります。さらに運動することで自律神経が整えられ、腸の働きもスムーズになります。運動は頑張りすぎなくても日々の積み重ねで腸内環境や便通が活発になるので、朝起きて少し散歩したり、家の中で軽いストレッチをしたり、軽い運動を習慣化するようにしましょう。
十分な睡眠
朝食後にすっきり便が出る人の習慣に睡眠も大切です。睡眠不足や睡眠障害は便秘の原因の1つとして考えられています。便が波打つように動く蠕動運動によって腸内を移動した体外へと押し出されますが、この腸の動きは交感神経と副交感神経という自律神経によってコントロールされており、特に副交感神経が優位になると蠕動運動も活発になると言われています。
この副交感神経が優位になるのは、リラックスしている時や睡眠時にぐっすり と眠っている間に腸がしっかりと動くことで翌朝に便が出やすくなります。当然、寝不足が続くと自律神経が乱れて腸の動きも悪くなってしまいます。その結果、便秘になったりお通じのタイミングが不規則になったります。
毎日10回スクワットで便秘が改善
下半身の筋肉は、意外なことに便秘改善にも役立つことが分かっています。腸は、実は私たちの足腰と同じで筋肉によって動いています。足腰の筋肉が加齢と共に衰えるのと同じように腸の筋力も徐々に衰え、動きもだんだん弱まって いきます。またこれに水分摂取量の減少や活動量の低下が重なって便が硬くなってしまい、毎日の排便がスムーズにいかなくなってしまいます。
こうした慢性的な便秘は、腹部のハリや傲慢感といった不快な症状だけでなく、肌荒れや免疫力の低下、さらには脳やメンタルにも悪影響を及ぼすことが分かっています。人間の腸は長さにして7m以上もあり、重力に従って下に落ちやすくなります。特に中高年では腹筋や骨盤底筋群の衰えによって腸が下がりやすく、便の通過が滞る原因となってしまいます。
しかし、スクワットを定期的に行うことによって太ももだけでなく、骨盤周囲のインナーマッスルや骨盤底筋群が刺激されて、腸を下から支えるハンモックのような役割を果たしてくれます。これによって腸が安定した位置に保たれ、便の通過がスムーズになります。その結果、毎日便がすっきり出ることにつながります。
実際、研究では軽度の便秘傾向のある中高年女性を対象に、スクワットのような下半身筋力運動を週に1回導入したグループでは、4週間後に排便回数が平均で1.5倍に増加したことが報告されています。またスクワットは、単なる上下運動に見えますが、実は腹圧を周期的に変化させる運動です。腰を下ろす時には、ぐっとお腹に力が入って立ち上がる時には圧力が抜けます。このような腹圧のリズムが、腸に蠕動運動に似た刺激を与え、便を前へと送り出すきっかけになってくれます。
便秘の原因の1つは腸の蠕動運動が弱いことですが、早くから薬に頼って無理やり腸を動かすことになって、下剤なしでは腸が動かなくなってしまいます。しかしスクワットという自然な動きによって腸にリズムを与えることができれば、無理なく便通が整います。
さらに、スクワットには自律神経を整えるメリットもあります。腸は、自分の意思で動かすことはできず、自律神経の支配を受けているため、この自律神経を整えることによって腸の蠕動運動を正常化することができます。
これはストレスや緊張によって交感神経が優位になり、自律神経が乱れた結果です。逆にスクワットを行うことによって心拍数や呼吸が適度に変化し、自律神経が整うことで腸の運動を正常化する助けになることが分かっています。
実際、中高年を対象に下半身中心の運動習慣を調査した研究では、太ももの筋肉量が多いグループは、便通改善の割合が優位に高かったと報告されています。
炭酸水で便秘が改善する
炭酸水は飲むと爽快な喉越しがあります。実はこのような刺激は、喉だけではなく私たちの胃腸にも働きかけます。炭酸の細かな泡は、胃壁や腸管に軽い刺激を与えて、それによって消化や吸収を促進してくれることが分かっています。
特におすすめなのが、便秘の方が朝起きてすぐに飲む1杯の炭酸水です。朝起きた直後は体がまだ眠っている状態ですが、そんな時に炭酸水を飲んで胃が刺激されることによって胃結腸反応が起こり、腸が目覚めます。
胃結腸反応は、胃に刺激が伝わると腸も動き出すという反射のことで、主に食べ物を食べた時に反応します。炭酸水でもこの反応が起きることが知られています。さらに炭酸水は、飲むと胃が膨らむため、それによって腸が圧迫されます。胃の真下には腸がありますので、胃が膨らむとその分だけ腸が物理的に押されることになります。このような物理的な刺激によって腸がさらに動き出して便が出やすくなることが分かっています。
さらに炭酸水は、当然二酸化炭素だけでなく水分も豊富に含まれています。この水分が腸の内容物に浸透し、便が硬くなるのを防いでくれます。便秘の方は多くの場合、便が硬めのため、朝の1杯の水分補給によって便を柔らかくしてあげるのは、朝から快便を促すために重要なことです。このようなことから朝、便がなかなか出ないという方は一杯の炭酸を飲んでみてください。
ちなみに起きてすぐに冷えた炭酸水を飲むのはお勧めできません。なぜなら、せっかく炭酸によって開いた血管が冷たさによってまた閉じてしまうからです。また朝一から体温が下がってしまえば代謝も下がって、1日が台無しになってしまいます。このようなことから朝1杯飲む炭酸水は必ず常温のものにしましょう。
一方で炭酸水は、このような便秘がちな人だけでなく健康な方にも良い影響があります。なぜなら炭酸は、私たちの腸内細菌の活動を刺激し、腸内環境を改善してくれるからです。腸内細菌が整うと便通リズムの改善だけでなく、将来の認知症予防を助けたり、お肌が綺麗になるなど様々な効果があると言われています。
東洋医学では便秘は「秘結」(ひけつ)
東洋医学では便秘を「秘結」(ひけつ)と言います。「秘結」は「熱秘」「寒秘」「燥秘」「気秘」の4タイプの原因に分けて診ます。
| 熱秘 | 熱による便秘です。 お酒や油っこい料理、甘い物や辛い物を多く食べると 水分が奪われやすくなって熱がこもりやすく便秘になりやすくなります。 |
| 寒秘 | 冷たいものの食べ過ぎや、冷房などで体が冷えて起こる便秘です。 |
| 燥秘 | 便が体内に長く滞在して乾燥し、 便が出にくい状態です。 |
| 気秘 | イライラやストレスが原因で起きる便秘です。 ストレスが貯まり自律神経が乱れると下痢と便秘を繰り返します。 |
症状別の養生方法
便秘の解消には、腸内環境を整えることが大切です。症状別の腸内環境に良い食べ物を食べましょう。
出す力がない
東洋医学で言うと〝気不足〟。力が足りなくて、腸に便があるのになかなか出てこないのです。このタイプの方は気を補って便を出す力を身につけましょう。
・気を補う食べ物:米、豆類、イモ類、キノコ類
ストレス便秘
平日は便秘、休日などリラックスできると解消するというタイプです。リラックスが1番の薬ですが、食事なら「肝」を癒すものを取るようにしましょう。
・肝を補う食べ物:酸味のあるもの、香りのよいもの、青色(緑色)のもの
例:パクチー、春菊、セロリ、しそ
うるおい不足
コロコロ便のタイプ。うるおいと言っても、水だけがうるおいではありません。東洋医学で言う「血」と「水」の両方です。水分を取るのも良いですが、血=栄養のある水分を摂ることも必要。
・血を補う食べ物:赤色、黒色の食材、タンパク質
例:にんじん、なつめ、黒豆、キクラゲ、肉、マグロ
便秘と肌荒れ
うるおい不足は、腸の内側や皮膚も同時に乾くようになります。血不足(血虚)は、気の不足(気滞)が生じるため、脾臓の機能が低下します。そのため腸の機能も弱くなります。特に硬い便秘の場合は、肌荒れを伴うことが多くなります。
腸の機能が弱くなり、便が大腸内に長時間、滞留していると、便の腐敗が進んで悪玉菌が増えてしまいます。この悪玉菌は腸内のタンパク質などを腐敗させ、アンモニアなどの体に良くない物質をつくります。
これらは、一度体内に吸収され血液を通じて全身を巡ります。そして血液の一部は汗となり、汗に含まれる体に良くない物質が刺激となり、肌あれを起こすと考えられています。
最新研究で便秘対策
便秘の改善に腸内細菌に良い食物繊維を摂ることは大切ですが、腸内環境だけを整えても便秘は改善しにくいです。便秘に効く食物繊維には様々なものがあり、水溶性(溶解度)、ゲル状(粘性度)、代謝能力(発酵性)の3つの組み合わせによって便秘にどのくらい効果があるのかが変わります。
便秘に悩む男女1251人を対象にした研究では、どの食物繊維(ポリデキストロース、イヌリン、ガラクトオリゴ糖、オオバコ(サイリウム)、ペクチンなど)が便秘に効くのかを調べています(メタ分析)。食物繊維量は1日あたり4から40g、試験期間は2から8週間で便秘がどのぐらい改善されたかを調べています。結論は、オオバコ(サイリウム)とペクチン(アップル)の2つの効果が高くなっています。ただし効果を期待するためには1日10g以上となっています。
また、便秘が常態化している人には、食物繊維がたくさん水を含むものが良く、水を吸って重くなると腸が刺激されて便が移動しやすくなり、排便しやすくなります。水分量が足りなければ、便の重量とサイズが増加しないため、腸が刺激されません。
実際の研究(便秘患者117人を対象)でも、食物繊維量を増やしたグループと食物繊維を増やし毎日2リットルの水を飲むグループを比較した場合、水を同時に飲むと下剤の使用量が2.5回/週から0.3回/週となっています。数字にすると88%の改善効果であり、このことからも水分を摂ることの重要性が確認できます。
またお腹の膨満感や便が緩くなる人は、食物繊維の摂取量が少ないことも分かっています。これらのお悩みに対しても、食物繊維と水を同時に摂ることで改善することが示されています。これらからも腸内細菌、食物繊維、水の3つの組み合わせが便秘改善には効果的です。
便秘を解消するオリーブオイル
便秘解消のおすすめは、朝食を取る前や夜寝る前にオリーブオイルや亜麻仁油を小さじ1杯飲むことです。これらのオイルは腸の中の便をコーティングして柔らかくし、スルッと排便しやすくする効果があります。
特にαリノレン酸を含む亜麻仁油は、オメガ3 脂肪酸も豊富で、腸内環境を改善する働きがあり、腸内環境を改善して瞑想神経も刺激され、副交感神経を活性化するために有効と考えられています。
そしてオリーブオイルは、酸化しにくく、ポリフェノールなどの抗酸化物質も豊富で小腸で完全に吸収できないオレイン酸が大腸まで届いて蠕動運動を刺激し、潤滑油となって便秘症状を改善します。オリーブオイルの中でも、エキストラバージンオリーブオイルは未精製のため酸化が少なく、ポリフェノールの含有量が多くて抗酸化力が高いのが特徴です。
サンパウロ連邦大学の便秘患者50人を対象にした1日4mlのオリーブオイルまたは亜麻仁油を4週間摂取してもらった研究では、便秘症状のスコアが13%も改善した報告がされています。
左側下で寝て胃もたれと便秘を解消
消化の悪い食べ物を食べた時に、消化を促す方法が寝る時に左側を下にすることです。私たちの体内にある臓器は左右対称ではなく、例えば胃と食道を繋ぐ噴門は左側にあり、胃が十二指腸へ繋がる幽門は右側に位置しています。また食道から噴門にかけては、自分で動かせない特別な筋肉である「下部食道括約筋」があり、食後はこの筋肉が収縮することで噴門がギュッと閉じて食べ物や胃酸が食道に逆流しないようになっています。そして消化に悪いものを食べるとこの筋肉が疲れてしまい、緩んだ結果として胃酸が逆流し胸焼け、呑酸、げっぷなど不快感が生じます。
この場合、左側を下にして寝ると食道にかかる圧力が緩和され胃酸が逆流しにくくなると言われています。また左側を下にすることで膵臓の負担を減らすことができます。膵臓はリパーゼやトリプシンなどの様々な消化酵素(膵液)を分泌しています。

胃にある幽門は右側に位置していますが、十二指腸は一度右側に進んで180度曲がって左側に向かい、空腸に連続しており、その曲がる部分に膵液が分泌される十二指腸乳頭があります。一方で膵臓は体の真ん中に位置しており、膵液は十二指腸に向かって、体の左から右へと流れていきます。この膵液が流れる管は非常に細く、とても潰れやすいため、右側を下に寝てしまうとこの膵管が膵臓自体に潰されて膵液の通りが悪くなってしまいます。さらにこの膵管には、胆のうで分泌された胆汁酸が流れる胆のう管が合流します。同じくこの部分が圧迫されることで膵液のみならず胆汁酸も流れなくなってしまいます。
このように膵液と胆汁酸をスムーズに分泌させるためには左側を向いて寝るのが良いとされています。さらに左側を下にして寝ると重力の関係で便が肛門にむかって進みやすくなります。なぜなら横行結腸と呼ばれる腸管の水平な部分において、便は体の右側から左側に流れるからです。
便秘には「はり治療」
便秘にはり治療が良いのは、第一に「便秘体質の改善にアプローチする」からです。そして薬に頼らない改善方法であるため、副作用がなく、体への長期的な影響がありません。長年、薬を飲んでいると体に耐性がつき、薬の効きが悪くなり、薬の量が増えるといった悪循環に悩まされる方には、はり治療は最大のメリットです。長期的な下剤の服用には、発疹、かゆみ、腹痛、嘔吐、めまい、ふらつきなどの副作用があります。また下剤は便を柔らかくするため、定期的な排便周期を乱す原因になります。
便秘のはり治療では、ツボへの刺激で自律神経が反応する反射(体性―自律神経反射)を利用して治療していきます。なぜなら便秘の方の多くは、副交感神経の働きが低下しており、腸の蠕動運動が不活発になっているからです。つまり副交感神経の働きを高めることで、蠕動運動も活発になり、腸内環境が整っていき、便秘が解消する方向に向かいます。もう少し具体的に言うとツボや鍼の打ち方などを使い分けて、交感神経と副交感神経のバランスを調整して、自律神経の働きをほど良い状態にします。
このように東洋医学の理論に基づいて、頭体と手足にバランス良く刺鍼し、交感神経と副交感神経の働きを適正なバランスにすることで便秘症状の緩和だけでなく、全身の血流も改善していくため、代謝や内臓機能もよくなっていきます。冒頭で述べた「便秘体質の改善にアプローチする」というのは、陰陽のバランス(交感神経と副交感神経)を整えて、気血の巡りや働きを良くして、体の持つ自然治癒力を高めることがで、様々な症状に根本的にアプローチするのが「はり治療」ということになります。
便秘に効くツボ
百会(ひゃくえ):左右の耳の穴を結んだラインと眉間の中心から頭のてっぺんに向けたラインが頭上で交わるところ、頭頂部の真ん中
「百」のツボの道が「会う」という意味を持つ、様々な症状に効果があるツボ。 緊張を緩和して自律神経を整えてくれるため、便秘以外にも頭痛や眼精疲労、肩こりなど様々な症状への効果が期待できます。

曲池(きょくち):肘(ひじ)の関節部分の上側。ひじを曲げた時にできる横シワの先端
腸の働きを良くし、便秘だけでなく、乾燥肌や肌荒れなども改善します。

過敏性腸症候群
朝の通勤電車の中でお腹が緩くなってしまう人は過敏性腸症候群もしくはSIBO(シーボ)であるかもしれません。過敏性腸症候群は、腸に炎症や潰瘍といった器質的な病変が認められないにも関わらず、便秘や水溶性の下痢を繰り返ししてしまう病気です。この過敏性腸症候群と診断された人の8割がSIBOであったという研究報告もあります。
男性患者の場合は下痢症状を伴うことが多く、女性患者では慢性的な便秘症になることが多いのが過敏性腸症候群です。過敏性腸症候群は、その名の通り腸が過敏になっている状態で、ストレスによる刺激により、腸がその刺激に過敏に反応し、症状が深刻化して悪循環を起こしてしまうと考えられています。腸冷えは、過敏性腸症候群の悪化につながるので、腸冷えを招くような食事や生活を遠ざける必要があります。
SIBO(シーボ)は、小腸内で腸内細菌が異常に増える病気で、様々な腸の病気の温床になることが解明されています。細菌が生み出すガスによって腸内が気泡が溜まり、お腹の張り、便秘、腹痛、下痢などが起こります。そのガスが血中の悪玉コレステロールを増やし、狭心症や心筋梗塞を合併することも知られています。
SIBO(シーボ)の場合、オリゴ糖やヨーグルトなどはお腹の調子を悪くしてしまいます。本来小腸は、食べ物の消化、吸収がメインに行われていますが、腸内細菌が過剰に増えることで、消化物の残りカスが過剰に発酵して水素、メタンガス、短鎖脂肪酸が大量に発生してしまい、お腹の張りや下痢につながります。つまり過剰に増えた細菌にさらにオリゴ糖やヨーグルトは火に油を注ぐことに他ならないのです。
他にも「高FODMAP食」と言われる、小腸で吸収されやすく、腸管に残ることで細菌のエサになりやすい食品があります。
| 高FODMAP食 | 低FODMAP食 | |
| オリゴ糖 | 納豆、絹ごし豆腐 | 味噌、木綿豆腐、豆乳 |
| 穀類 | パン、うどん、ラーメン | 玄米 |
| 野菜 | 玉ねぎ、にんにく、ナッツ類 | トマト、大根、なす、にんじん、ほうれんそう、もやし |
| 二糖類 | 牛乳からつくられる乳製品 | スキムミルク、豆乳、アーモンドミルク |
| 単糖類 | ハチミツ、りんご、梨 | バナナ、ブルーベリー、キウイ、メープルシロップ |
| ポリオール | キノコ類全般、りんご、梨、シュガーフリーガムに含まれる | 砂糖使用のアメやガム |
過敏性腸症候群の鍼灸治療
便秘や下痢が続いたり、おなかに不快感があるのに、検査をしても原因になるような病気は見つからない場合は「過敏性腸症候群」かも知れません。「過敏性腸症候群」は、「慢性下痢型(神経性下痢)」「不安定型(交代制便通異常)」「分泌型」の3つに大きく分けられます。
いずれも内臓神経が過敏になる状態、つまり極度の緊張や不安などのストレスにより、大腸で蠕動運動を促進する副交感神経が過度に緊張し腹痛症状が現れます。
いずれにせよ、内臓神経が過敏となる原因が、ストレス、暴飲暴食、過度の飲酒、不規則な生活などによることが多く、食生活や生活習慣の改善を行った上で、ストレスを緩和していくことが必要となります。
中医学では過敏性腸症候群の解消には頭鍼療法が効果的に作用すると実証されているため、頭の鍼によって、ストレスと腸の両側からアプローチすることができます。
【本コラムの監修】

・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

















