加齢現象の1つとしてお肌のシワや物忘れ以外に代表的なものが薄毛です。年と共に髪の毛が薄くなってしまう原因には様々なものがありますが、1つには加齢と共に私たちの頭皮に存在している「毛包」が小さくなってしまうという原因が上げられます。「毛包」とはその名の通り髪の毛を包んでいる穴のことで、その穴から私たちの髪の毛が生えてきます。小さい植木には、小さい植物しか育たないのと全く同じように小さい毛包からは細い髪の毛しか生えてきません。
また、年を取ると筋肉が少なくなり、衰えやすくなるため、食から取ったタンパク質が優先的に筋肉の方に供給されるようになります。髪の毛は筋肉と同じでタンパク質からできているため、骨格筋や内臓といった生きるために必須の筋肉に優先的にタンパク質や栄養が供給されます。その結果、髪の毛は栄養不足に陥ってしまうことになります。こうして髪の毛の合成量が少なくなってしまうことも薄毛の一員として挙げられます。
さらには、年を取ることで血液がドロドロになったり、血管が硬くなったりして頭皮への血流が滞ってしまうのも薄毛の大きな原因です。頭皮の血流は、髪の毛を作る毛母細胞に栄養や酸素を送ってくれる重要な血流です。このような重要な血流が滞ってしまえば、髪の毛の健康が保てなくなってしまうのは当然でしょう。
これらの複数の原因から、年を取ると薄毛になりがちですが、若くして薄毛になってしまったり、50歳頃にはすでに禿げてしまっている人は薄毛の進行が必要以上に早すぎると言えます。そんな方たちは自分自身の手で薄毛の進行を早めてしまっている可能性があります。
薄毛になるメカニズム
私たちの髪の毛には、実は2種類あります。毛根に含まれる 5αリダクターゼという酵素の種類によってⅠ型とⅡ型があります。そしてⅡ型が男性型脱毛症、通称AGAに関わる髪の毛です。髪の毛が薄くなりやすのは前頭部から頭頂部で、側頭部から後頭部部は薄くなりにくく、髪の毛が残っている人が多くいます。それは前頭部や頭頂部はAGAに関係しているⅡ型の髪の毛の生える領域で、逆に側頭部や後頭部にはAGAに関係ないⅠ型の髪の毛が生えている領域だからです。
また、女性の場合は男性と同じメカニズムで薄毛になってしまう場合もありますが、その原因の多くは女性ホルモンの異常、各種内分泌ホルモンの異常、過度なヘアケア、ダイエットなど好ましくない生活習慣にある場合が多いと言われています。
そしてⅡ型の髪の毛が薄くなりやすいのは、5αリダクターゼという酵素を持つ髪の毛は、テストステロンからDHTと呼ばれるものを作り出す働きがあるからです。このDHTが毛髪の生成に関係するアンドロゲンというホルモンの受要体にくっつくことで毛根が弱くなってしまったり、薄毛にてしまうと考えられています。またDHTは毛髪の元となる毛母細胞の働きを低下させ、髪を細くさせる作用があります。これが薄毛になるメカニズムです。
髪の毛に悪影響を与える習慣
冷たい飲み物を飲む
甘い飲み物やお酒が頭皮に悪影響を与えてしまうのは事実ですが、多くの人が盲点となっている飲み物が冷たい飲み物です。なぜ冷たい飲み物を飲むと薄毛に繋がってしまうのか、それは冷たい飲み物が喉を通過するとそのまま胃腸といった内臓に入ります。その冷たい飲み物が直接内臓に触れることによって私たちの体の奥深の体温である深部体温が下がります。このような内臓の深部体温は、お肌の表面温度と違い、生きるために必須の体温になります。そのため冷たいものを飲んで体温が下がると逆に、それを上げようとして体が頑張り始めます。そして深部体温を上げるために体が起こす反応は、血液を内臓に集める反応です。
血液というのは酸素や栄養素を運ぶ以外にも、私たちの体の中で熱を運ぶという重要な働きをしています。そのため冷たいものを飲んで深部体温が下がってしまうと体は血液を内臓に集めて深部体温を上げようとし、そして血液が内臓に集まってしまうと当然内臓以外の組織の血液が不足してしまいます。
その結果、血液が不足してしまった抹消の組織ではおのずと体温が下がってしまい、体の抹消にある毛細血管は引き締まって細くなってしまいます。これは体の表面に張り巡らされた毛細血管から熱が逃げなくなるようにするためです。
血管は主に筋肉からできていて、状況に応じて自律神経を通して細くなったり太くなったりすることができます。血管が太いままでは血管自体の表面積が大きくなり、熱の放出は表面積の広さに比例するため、血管が太ければ太いほどに体温が失われていくことになります。このような余計な熱の放出を避けるために体温が下がれば自律神経を通し、血管が自動的に細くなり熱を逃がさないというのが私たちの体の仕組みです。
この抹消の血管、それも頭皮の血管でもあるため、収縮して細くなれば、頭皮の血行が悪くなり、その先にある組織への酸素や栄養素の供給が滞ってしまいます。そして頭皮の細胞には血液が届きづらくなり、髪の毛が栄養不足になって薄毛となってしまいます。さらに頭皮の血行が滞ることで酸素や栄養素が髪の毛に届きにくくなるのみならず、頭皮の細胞で生じた不純物や老廃物が回収 できなくなってしまいます。
血液は酸素や栄養素を組織に届けるだけではなく、組織から出たゴミとか二酸化炭素といった不用物を回収する働きもあります。血行が滞ってしまうとこのようなゴミ回収の機能まで落ちてしまうことになります。頭皮の細胞のゴミ回収機能が落ちてしまうと頭皮にはたくさんのゴミが溜まってしまうことになり、溜まったゴミが発毛を阻害して薄毛や白髪の原因になってしまいます。
さらに冷たいものを飲むことによって起きるデメリットとして太ってしまうことが挙げられます。冷たいものを飲むと私たちの深部体温が下がり、深部体温は私たちの基礎代謝を決めるために重要な温度になっています。体温が1度上がるごとに基礎代謝が13%上がると言われています。細胞に存在するミトコンドリアは、脂肪を燃焼することでエネルギーを生み出しています。つまりミトコンドリアはエネルギーを産生する工場であると言えます。もしそのエネルギーを作り出す工場が冷えまくっていたらどうでしょうか。その中で働いている人たちは凍え、生産性が落ちてしまいます。
冷たいものを飲みすぎて体温が下がってしまうとエネルギーを作り出す効率が落ちて基礎代謝が下がってしまいます。体温が1度上がるごとに基礎代謝が13%上がるということは、逆に言えば体温が1度下がるごとに基礎代謝が13%下がるということを意味しています。つまり冷たいものを飲むと基礎代謝が下がって脂肪燃焼が阻害され、皮下脂肪や内臓脂肪が付いて太りやすくなってしまいます。
さらに深部体温が下がると抹消組織の血行が悪くなり、抹消の血行が悪くなると重力の関係で私たちの足の方に水分が溜まります。こうして足がむくむことで下半身は、さらに太って見えてしまいます。とはいえ、水分摂取を控えてしまうのはもっての他です。水分摂取を控えるとそもそもの血液の材料である水がなくなってしまって、脱水になってしまうのでそれはそれで血流が滞ってしまうことになります。
ストレスが原因で薄毛になる
2021年科学雑誌ネイチャーに掲載された論文によると、ストレスを受けること発毛サイクルが停止することが分かっています。私たちの髪の毛は皮膚と同じくターンオーバーを繰り返しており、皮膚では内側から新しい細胞が絶えず生まれ出てくることで外側の古い角質層が垢として剥がれ落ちていくのと同じように、頭皮では古い髪の毛が抜け落ちて新しい髪が生えてくるという発毛サイクルが起きています。この正常な発毛サイクルにおいては、髪は1日に50から100本程度抜けると言われています。
そしてストレスによって発毛サイクルが停止してしまうことが実験によっても 実証されており、薄毛を気にしているとそれが大きな心理的なストレスとなり、ストレスホルモンの1つであるコルチコステロンが分泌されます。このコルチコステロンが毛包の活性化を阻害することによって発毛サイクルを乱してしまうことが分かっています。発毛サイクルが乱れてしまえば古くて傷ついた 髪の毛が毛根に残り続けることになります。このような古い髪の毛はどんどん痩せ細り、髪があるのに薄毛という状態になってしまいます。
むしろ発毛サイクルが乱れると髪が細くなるばかりではなく、髪の毛が新陳代謝しないため抜け毛が少なくなります。抜け毛が少ないのは垢の溜まった皮膚と同じで老化がどんどん蓄積すること他なりません。そのため薄毛が気になる人こそ、あえて抜け毛を気にしないメンタルが大切です。
無防備な状態でサウナに入る
実は、サウナによって薄毛が進行してしまうということは紛れもない事実です。サウナ部屋というのは90度以上の非常に高温の環境になっており、特ドライサウナの場合は、サウナ室は乾燥状態にあり、髪の毛が非常に多くのダメージを受けやすい環境になってしまっています。
私たちの髪の毛はタンパク質からできており、タンパク質というのは熱によって硬くなる性質があります。髪の毛は熱によって硬くなり傷んでしまうと毛先がパサパサになって枝毛になったり、髪の毛がプツンと切れてしまう原因になります。さらにサウナに入って頭皮が高温と乾燥に晒されると頭皮に炎症が起きてしまいます。そのためサウナハットを使うことで髪の毛を保護するのみならず、頭が温まりすぎないようにしてのぼせを防ぐことで長時間じっくりとサウナに入れるというメリットがあります。
間違ったドライヤーの使い方
温風に設定したドライヤーでは、頭皮が100度に近い高温に晒されることもあります。そのためドライヤーを必要以上に当て続けてしまうと頭皮が火傷を起こしてしまうことになります。ドライヤーを当てすぎることで火傷を負った頭皮の細胞は炎症を起こして髪の毛を作るどころではなくなり、炎症を起こした細胞からは各種サイトカインが放出されることで細胞同士の接着が弱まるため、毛根が緩くなり抜け毛の原因となってしまいます。
一方で、ドライヤーを使わずに髪を濡れたまま放置することは、大きなデメリットがあります。濡れたままされた髪の毛は、温度や湿度がちょうどよく保たれていて雑菌が繁殖するにはうってつけの環境になります。髪の毛の中で雑菌が繁殖してしまうと当然頭皮が感染症を起こします。頭皮が感染症を起こせば頭皮の熱傷と同じ、あるいはそれ以上の炎症が起きてしまうことになります。
歯周病
口の中の健康と薄毛には関連があります。歯周病は歯肉や歯槽骨、セメント質、歯根膜歯などの歯を支える組織の炎症や感染によって引き起こされる病気です。初期段階で現れる歯肉炎では、歯肉が赤く腫れたり、歯を磨いたり、食事をする際に出血することが特徴で、これをそのままにしておくと、炎症はさらに進行して歯周炎に進みます。歯周炎になると歯肉が後退して歯槽骨が破壊され、最悪の場合、歯がグラグラしてしまうこともあります。この段階になると治療が難しくなり、歯を失うリスクが高まります。
その歯周病の主な原因はプラークの蓄積です。プラークは、食べ物の残りカスや細菌、唾液などで構成されていて、酸を出して歯や歯肉を傷めます。これを毎日の歯磨きで除去しないと、歯が溶けて虫歯や歯周病になります。
歯周病になると、お口の中で細菌が増え、この細菌たちが歯周病の部分から簡単に血液に入り込み、体内で長期間生存することが可能になります。細菌は毒素を生成し、毛根や血流に影響を及ぼすと、毛の成長が不規則になったり、毛穴が塞がれて薄毛が進行することがあります。
そして体全体の炎症レベルが上がって、全身に広がった炎症は、様々な組織や臓器に影響を与える可能性があり、特に髪の成長に必要な栄養素や、酸素を運ぶ毛包周辺の微細な欠陥に影響を及ぼすことが考えられます。炎症が血流を妨げると髪の成長が悪くなることもあり、炎症が続くと髪の毛の成長サイクルである毛周期が乱れる可能性があります。
通常、毛周期は成長期、退行期、休止期から成り立っていますが、炎症によってこのサイクルが短くなったり、休止期が長くなったりして結果的に髪の成長が遅れたり、薄毛が目立つようになることがあると言われています。慢性的な炎症は栄養素の消費を増やし、ホルモンバランスにも影響を及ぼすことがあるので、これらも髪の成長にマイナスを与えます。
アタテュルク大学の研究によると、25歳から65歳の男性385人を対象に、男性型脱毛症、歯周病の重症度、年齢との関連を調査した結果、25歳から44歳の年齢層において、歯周とが男性型脱毛症の関連性が確認され、この関連は成人初期に始まる可能性があることが示唆されています。逆に45歳から54歳、55歳から65歳の年齢層では男性型脱毛症と歯周病に有意な相関は見られませんでした。
また、薄毛とは少し異なりますが、自己免疫反応によっても毛包が攻撃される円形脱毛症の場合も、歯周病との関連性が指摘されています。スペインのグラナダ大学歯学部の論文では歯の病気と脱毛症実は密接な関係があるとしており、研究者たちは円形脱毛症の患者に対して歯科医の診察を受けることを勧めています。
人工甘味料と食品添加物
人工甘味料を摂ると腎臓や肝臓に負担が増え、血の巡りが悪くなり、結果的に薄毛や白髪を招きやすい状態になります。そして肝臓の機能は、髪の毛に必要なタンパク質である結晶タンパクを作り、血中に送り出すことが挙げられます。つまり肝臓が弱ると結晶タンパクが作られず、毛根に供給されなければ髪が弱くなり抜けやすい状態になってしまいます。
一方で腎臓は、一番髪に影響している臓器と言われており、東洋医学では「髪は腎の花」という言葉があるぐらいです。腎臓が健康な状態でなければ白髪が増えたり、抜け毛が多くなると言われています。これは腎臓が作り出すホルモンと尿毒素の栄養が大きく、特に透析患者の中にはホルモンバランスが乱れ、尿毒素が増えることで抜け毛につがってしまうケースがあります。このように考えると髪の毛は内がからきちんとケアしなければ、外から育毛成分を入れたところで効果は出にくいのが分かります。
また、食品添加物の中には添加物を摂取することで、それを分解するためにビタミンやミネラルが失われてしまったり、吸収を阻害してしまうものがあります。さらに加工食品は栄養の流出が多いため、食べているつもりでも髪に栄養が届いていないことになってしまいます。
そのため微量ミネラルをしっかり摂ることが大事です。髪に大切な栄養は、タンパク質、亜鉛、ビタミンB群、ビタミンC、鉄分などが挙げられます。その他、具体的な効果としては、亜鉛はコラーゲンの合成に必須のミネラル、ヨウ素は抜け毛や頭皮の乾燥予防、セレンは頭皮の過酸化脂質の障害の緩和やフケ予防があり、抗酸化酵素の合成に必須、クロムは動脈効果高血圧を予防し、頭皮の毛細血管を守り、ケイ素はコラーゲンの結びつきを強くし、頭皮を柔らかくし、コシのある髪の毛を作ります。これの微量ミネラルは海藻などに多く含まれており、もちろんタンパク質や亜鉛、ビタミンも大切ですが、微量ミネラルをサプリではなく食事から摂取することは育毛にとって大切なことです。
薄毛の対策
効果が証明されている育毛剤
育剤は薄毛の進行を遅らせてくれる効果があり、抜け毛を減らすことで現状維持を図ることができます。そして医学的に効果が確認されているのはミノキシジルとフィナステリドの2つの成分です。
ミノキシジルは、毛根を活性化させ毛髪の成長期間を長くする効果があり、フィナステリドは毛母細胞のリセプターに作用し、テストステロンが5αリダクターゼよってDHTに変化するのを防ぐことで薄毛になりにくくしてくれます。そして近年は薄毛に悩む女性も増えており、フィナステリドは男性にしか使ってはいけないという言説が出回っているものの、実は女性にも有効であると言われています。フィナステリドの女性への効果については、専門家の間では意見が分かれておりますが、ホルモンが原因で起こっている脱毛症であれば女性にも効くと推測されています。
また育毛剤には、プロペシアなどの内服薬もあり、これはAGAが原因の薄毛の場合、テストステロンをDHTに変えてしまうⅡ型のリダクターゼを抑えて薄毛を遅らせるものです。ただし、こうした育毛剤にも使い続けなければ元に戻ってしまうというデメリットが存在します。
髪の毛を植毛する
自分の髪を移植するという自毛植毛という方法もあります。自毛植毛とは、今ある自分の側頭部から後頭部の頭髪を採取して、薄くなった部分に移植するという医療技術のことで、世界的に安全かつ効果の高い方法として認められています。この植毛手術には、FUTとFUEという2つの方法があります。
FUTという手術では、頭髪の状態を確認し、植毛配分などを相談しながら最終的な治療プランを決めます。そしてグラフトという移植用の毛髪を採取するため後頭部の毛髪の一部を2から3mm程度の長さまで切り、頭皮を幅1cmの横長の帯状に浅く摂取します。次に採取した頭皮を顕微鏡の元で毛根単位で3つのサイズのグラフトに短時間で切り分け、その間にグラフト採取部の頭皮を縫い合わせていきます。そして専門医が毛の流れや生え際、密度を考えながら植毛予定範囲に1から2mm程度の小さなスリットを開け、株分けされたグラフトを移植していき手術終了となります。
幹細胞から毛母細胞を移植する
AGAの治療は、どんどん進歩しており、体性幹細胞を使って毛母細胞を作り移植するという治療法が実用化される見通しが立っています。つまり自分分自身の健康な毛髪を抜き取り、その毛根部分から幹細胞を採取し、培養したものを患部に移植するという方法で、すでに実用化レベルにまで技術は進んでいます。
ゼラチンを摂る
ゼラチンのタンパク質は、構成要素であるアミノ酸やペプチドに分解され、実際にゼラチンに含まれるペプチドとして発毛を促進することが示された「ヒドロキシプロリン」があります。またゼラチンには髪、肌、爪になるタンパク質としてだけではなく血流と血液量も増加させる効果もあります。
髪の毛80%はケラチンと呼ばれるタンパク質で構成されており、複数の研究で 髪の成長が50%増加したことが報告されており、また髪の直径が大幅に増加して太くなって生えている髪数が増加した報告もあります。
コラーゲンは髪の毛の根元にある真皮にあり、真皮のタンパク質の70%は網目状のコラーゲンで作られています。コラーゲンには毛乳頭や毛母細胞を活性化せる働きがあり、太くて丈夫な髪を作る手助けを行っています。一方でコラーゲンには浸水性があり、潤いを肌に閉じ込める保湿効果もあります。つまりコラーゲンによって肌の弾力とハリを保つことがで、頭皮環境を改善します。頭皮環境が改善されると血流が良くなり、髪の毛まで栄養分が行き届いて育毛効果が期待できます。
他にも紫外外線やヘアケアなどでダメージを受けた頭皮は、頭皮環境が悪くなって固くなりがちですが、その硬くなった頭皮もコラーゲンの作用で回復するが可能です。コラーゲンは生体内に最も多く含まれるタンパク質で、生体の全タンパク質の約30%を占めています。体の細胞と細胞の隙間を埋める形で1000以上のタンパク質として存在しており、特に皮膚、骨、軟骨、腱なんかの結合組織の主要な構成成分になっています。さらにコラーゲンは体や臓器の形を支える構造材として働いて細胞同士をくっつける接着剤の役割も果たしています。
これらの物理的な機能の他に細胞の増殖や器官の形成、傷口の治癒促進などの生態活動にもコラーゲンが大きな影響を与えていることが分かってきています。
人の体内では常にコラーゲンの分解と合成が繰り返されていますが、加齢でこのバランスが崩れて分解の方が多くなり、これが老化現象の1つです。その老化に対抗するためにはコラーゲンを補給して、新陳代謝を促す必要があるため、ゼラチンを摂取することに注目が集まっています。
頭皮が喜ぶ習慣
頭皮を保湿ケア
私たちは加齢と共に、お肌の乾燥のみならず頭皮の乾燥も問題になってきます。お風呂上がりに美容液や乳液を塗っているにも関わらず、頭皮の方の保湿は全くおろかにしているという人が多いです。頭皮の保湿の方法としては入浴後に頭皮をケアするローションを塗る方法や保湿成分が配合されているシャンプーを使用するなどといった方法があります。特にお勧めなのが保湿成分配合のシャンプーを使うことです。
頭皮のマッサージ
加齢によって起こる薄毛の原因の1つに頭皮の血行不良が挙げれますが、頭皮を定期的にマッサージしてあげることで、このような血行不良が改善されて、髪の毛に栄養や酸素が供給されるようになります。頭皮マッサージの方法は簡単で、指の腹で頭を優しく揉んであげるだけ、1日1回3分程度やるだけで頭皮の血行が改善されていきます。また頭皮の血行を促進し、効果的な習慣が毎日、湯舟に浸ることです。
ホホバオイルで頭皮ケア
無印良品のホホバオイルは、ホホバの種子から絞った天然オイルを化粧用に生成したもので、無香料無着色で安心してお使いいただけるオイルです。特におすすめなのが、ホホバオイルでシャワー前に頭皮マッサージをすることです。ホホバオイルは皮脂と混ざることで油分を溶かすクレンジング効果に優れており、毛穴に溜まった頭皮の汚れを綺麗に落とすことができます。このオイルは、刺激成分の入っていない天然オイルのため、必要な皮脂まで落としきってしまうことはなく、頭皮を傷つけずに優しいヘアケアを行うことができます。
鍼灸で発毛促進
頭皮のマッサージは、血流が良くなることで髪への栄養が行き届きやすくなります。ある研究では毎日4分間の頭皮マッサージの効果を調べると、24週間後、参加者の髪の毛が頭皮マッサージ前よりも太くなっていたことが分かっています。頭皮マッサージが皮膚の下の血管を拡張するのに役立ち、その結果より太くて強い髪の毛につながったのではないかと考えられています。
東洋医学では「髪は血の余り」と考えるため、頭の鍼で血流を促して、老廃物を流し、頭皮の状態を正常なサイクルに改善し、新陳代謝を活発にさせることで発毛を促進させます。具体的には、鍼で頭部にあるツボや反応点を刺激し、頭皮の血流を促して新陳代謝のサイクルを改善する治療を行います。
また、肩こり、首こり、頭痛などの症状を改善することで、頭皮への血行不良を改善して、血液が末端まで届くようになれば、髪への栄養補給を十分に行えるようになります。
どのくらい通院すれば良い
抜け毛や薄毛は身体の状態の影響するため、年齢・持病・生活習慣・ストレスなどにより治療効果は大きく変わってきます。個人差はありますが、一か月を過ぎた頃から髪が少し生えてくる方が多いです。
また、最初に実感して頂けるのは、髪のボリュームアップです。血流が改善し、髪に栄養が行き渡るようになると、髪にコシとハリが蘇り、髪全体にボリュームがでます。
治療を継続して頂ければ、髪がよりしっかりと太く健康になるため、艶のあるきれいな髪質へと変化していくこともあります。通院の目安としては、週1回を継続的に半年から1年間通院するとより効果を実感して頂けます。
ぜひ知識を持って自分の大切な身体を癒やしてください。
【本コラムの監修】
・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。