
ストレスが自律神経に与える影響
ストレスと自律神経はとても深いつながりがあります。
自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があり、日中は「交感神経」が優位になり、夕方以降のリラックスタイムでは「副交感神経」が優位になります。
日中にストレスを受けると脳への刺激を経由して「交感神経」が活性化するのですが、長い間ストレスを受け続けたり、非常に強いストレスを感じると、活発になりすぎてしまいます(交感神経の過緊張)。
こうなると、リラックスタイムでの「副交感神経」を抑制してしまい、不眠、頭痛、食欲不振など、様々な不調が現れます。交感神経の過緊張が続くことで、休んでも疲れが抜けないなどの症状が現れます。
さらには、自律神経の乱れがひどくなり、自律神経失調症をはじめ、うつ病、過敏性腸症候群や胃潰瘍など、日常生活に支障をきたす様々な疾患に繋がります。
この自律神経は、健康を維持するのにはとても大切で、体の免疫力、内臓、血管、涙腺汗腺などをコントロールする大切な神経です。とくに「交感神経」が血管をコントロールしているので、バランスが崩れると血行が悪くなり様々な症状につながります。
自律神経の乱れが頭痛につながる
ストレスを多く感じる現代社会において、頭痛に悩まされる方が多くいらっしゃいます。
鍼灸治療の対象となるのは、一次性頭痛(慢性頭痛)の「片頭痛」と「緊張性頭痛」です。
「片頭痛」は、男性より女性の方が1.5~2.0倍多いと言われており、こめかみや眼の奥が「ズキズキ」と脈打つように痛むのが特徴です。
ストレスや女性ホルモンもバランスの乱れなどの原因や、血管が拡張する事による痛みが原因となることもあります(血管性頭痛)。
「緊張性頭痛」は、筋収縮性頭痛とも言われ文字通り筋肉の凝りで「血行不良」が主な原因の頭痛です。
パソコンやスマホなど長時間首を前傾気味にすることで、後頚部(後首から肩)の筋肉が引っ張られたままになります。約80%は首のコリなどが頭痛の原因と言われるほどです。またストレスにより、疲労物質の蓄積で痛みが慢性化する事も少なくありません。
「片頭痛」も「緊張性頭痛」も多くは血管・血行の問題で、コントロールしているのが自律神経機能です。
「頭の鍼」によって「緊張性頭痛」では、筋肉の血流をよくして頭痛の原因であるコリを解消し、「偏頭痛」では、自律神経に働きかけることで、血管の活動を安定させることができます。
なぜ「頭の鍼」が自律神経を整えるのか
なぜ、「頭の鍼」が自律神経を整えるのかを、東洋医学の言葉で言えば、「陰陽のバランスを整え、気血の巡りや働きが良くすることで、自然治癒力が高まるから」となります。
具体的には、頭のツボや鍼の打ち方などを使い分けることによって、「交感神経」と「副交感神経」を興奮させたり抑制させたりして、自律神経の働きを“ほど良い”状態にします。また「緊張性頭痛」では、鍼によって余分な筋緊張を緩め、交感神経の過緊張状態を解くといったアプローチを当院では行います。
このように東洋医学の理論に基づき、「交感神経」と「副交感神経」のバランスを適正にすることで、全身の血流も良くなるため、症状が改善し、体が回復しやすい状態になります。
ただし、一度乱れた自律神経のバランスを適正範囲に収まるようにするためには、適正なバランスを身体に慣れさせていく必要があります。
治療を重ねていくと、「交感神経」と「副交感神経」のバランスが適正な範囲におさまる時間も増え、症状が現れにくくなります。
【本コラムの監修】

・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。