
パソコンやスマホの使い過ぎによって、情報のインプットが多過ぎることで「脳疲労」の状態に陥り、脳の情報処理機能が低下します。イメージとしては、筋肉痛のように脳を使いすぎることで、脳に炎症(活性酸素)を蓄積させてしまう状態のことです。
筋肉痛になった脳では、自律神経が正常な機能を果たせなくなってしまって、脳にストレスがかかり、脳の機能が減弱します。そのため自律神経失調や免疫力の低下、不眠などの様々な症状に繋がります。
よく、パソコンやスマホでYOUTUBEなどの動画を見るのが息抜きだと考えている方がいらっしゃいますが、息抜きが息抜きになっていなくて、そのパソコンやスマホが「脳過労」を悪化させる最大の原因になっている方が非常に多いです。ドイツや韓国では「デジタル認知障害」と呼ぶ専門家もいます。
「脳疲労」で起こる症状
情報を受ける脳の「前頭前野」では、大きく分けて以下の3つの機能があります。
① 浅く考える機能
② 深く考える機能
③ ぼんやりと考える機能
他にも、情報処理能力が低下することで、以下のような症状を引き起こします。
- うっかりミスが増える(思考力、判断力、集中力の低下)
- 感情コントロール力(イライラ、キレやすくなるなど)の低下
- 自律神経の乱れが身体的な不調(頭痛、不眠、便秘、腹痛など)を引き起こす
これらの状態を放置すれば、かなりの人がうつ病に移行していきます。また、スマホなどを長時間見続けるなど、目の働きは脳によって制御されているため、特に眼精疲労などは、脳疲労を伴っていると考えられます。血流を良くすることで脳疲労を回復する方法として、頭の鍼とパルス(低周波電流)によって、脳疲労を解消することで症状も緩和されてきます。
「疲労感」は脳の疲れ
「疲労」は、脳内にある自律神経中枢(視床下部前帯状回)が疲れることにより、神経細胞に活性酸素が発生することで起こります。すなわち神経細胞が酸化してサビつき、酸化ストレスとなって蓄積され、疲労因子が産生されるからです。
また、疲れたというのは、前頭骨領域にある眼窩前頭野(大脳の前頭葉で眼窩の上)で「疲労感」として認識します。このように疲労が起こるのはおもに、自律神経の中枢(視床下部と前帯状回)、その疲労を自覚する部位は、眼窩前頭野で、それぞれ部位が異なります。そのため、身体的な疲労の程度と、感覚的に感じられる疲労感は一致しないことが多々あります。そして後者の「疲労感」=「脳疲労」になります。
例えば、ストレスで心身に負荷がかかると、身体は多くのエネルギーを必要とします。体では、多くの酸素を消費して、エネルギーをつくる一方で活性酸素も大量に発生します。結果、体内の抗酸化力が追いつかず、細胞自体がサビつき、細胞の機能が低下し、エネルギー不足となって、疲労感として脳が疲れを感じるのです。
脳へのストレス
過度なストレスを継続的に受けているとストレス対抗するホルモンであるコルチゾールを分泌している副腎が疲労します。この副腎疲労が様々な不調を引き起こします。特に副腎疲労が脳に与える悪い影響が挙げられます。
現代人には、環境ストレス(紫外線、空気汚染、睡眠環境など)、肉体ストレス(長時間労働、運動不足、不規則な生活リズム)、精神ストレスの3つのストレスがあり、特に人間関係、介護問題などでの心の負担が精神ストレスです。このストレスは自覚しやすい反面、自分でコントロールすることが難しく、終わりがなかなか見えません。一方で環境や肉体ストレスは、自覚するのが難しい側面があります。
このような複合ストレスからも私たちの身体を守る臓器が副腎です。副腎はストレスを受けるとコルチゾールと呼ばれるホルモンを分泌して目の前のストレスに対処しようとします。私たちの身体には、このコルチゾールによって血圧や血糖値を上昇させ、体内のタンパク質を分解して瞬時にエネルギーを生み出し、身を守るための仕組みが備わっています。
しかし現代は継続的なストレスに晒されており、絶えず副腎はコルチゾールを分泌し続けなければなりません。そして副腎が疲労して様々な不調を引き起こし、脳への疲労が溜まり続けてしまいます。
ブレインフォグ
脳へのストレスによって物忘れや記憶力、思考力、判断力が低下するブレインフォグという状態があります。その結果、自分を責めて精神的にも追い詰められてうつ症状を発症することもあります。このような認知症のような症状は若年層にも多く見られるようになっていますが、一時的な症状のため、ストレスの原因を解消することで症状がなくなります。
またコルチゾールの過剰な分泌は、脳機能の低下だけでなく体内の慢性炎症を引き起こします。この慢性炎症こそが病気や不調の原因であり、老化の引き金になります。私たちの体を構成する細胞と細胞の間にはタイトジャンクションと呼ばれる繋ぎ目があります。
例えば腸粘膜の壁も細胞で出来ており、慢性炎症によってタイトジャンクションが緩み、リーキーガット(腸漏れ)になります。つまりバリアゲートが開き、毒素や雑菌、そして未消化の食物粒子が直接血流に流れ込み、体中を巡ります。
慢性炎症によって、同じリーキーガットが脳内でも起こります。脳の血管には血液脳関門と呼ばれるフィルターがあり、脳機能に不要な有害物質を取り除きます。しかし慢性炎症があるとタイトジャンクションが緩み、有害物質が通る道が出来てしまい、脳に炎症を起こしたり、脳に毒素が溜まったりするリーキーブレイン症候群(脳もれ症候群)の原因になります。
これら腸漏れ、脳漏れは全てストレスが原因になるため、現代人にとってストレス対策が必須になるのです。
スマホの通知と自我消耗
現代人の脳を疲弊させる要因として特に大きいのが、スマートフォンの通知だといいます。脳には常に新しい情報を求める「新規性」を追い求める性質があり、通知音が鳴るたびに「何か重要な知らせかもしれない」という期待が生まれます。この期待している瞬間にこそ、快楽物質として知られるドーパミンの放出が最も高まります。
ドーパミンは快楽そのものを生み出す物質というより、報酬への期待そのものを司る物質だと考えるとわかりやすいでしょう。パチンコ店の開店前に並ぶ方や、旅行の計画を立てている最中の高揚感も、同じ仕組みによって説明できます。
問題は、通知を見た瞬間の満足感が乏しいのに対し、集中力を一度断ち切られると元の集中状態に戻るまでに20分から30分ほどかかるという心理学的なデータがある点です。つまり通知は、脳に大した見返りを与えないまま、確実に負荷だけを積み重ねていきます。何気なく届いたメッセージに返信しているうちに一日が終わってしまうという経験は、多くの方に心当たりがあるのではないでしょうか。自分の時間を自分の意思でコントロールできていないという感覚こそが、脳にとって大きなストレス源になります。
日中にやりたかったことができなかった反動として、夜になってから自分の時間を取り戻そうとする「リベンジ夜更かし」と呼ばれる行動も広まっています。しかしその結果として睡眠時間が削られれば、脳にとってはさらなる負担となります。睡眠不足は認知症のリスクを高めるとも指摘されており、悪循環に陥りやすい構造がそこにはあります。
脳疲労への対処法
では、蓄積してしまった脳疲労にどう向き合えばよいのでしょうか。まず大切なのは、通知そのものを見ることが問題なのではなく、通知によって期待させられ、意識を引き戻されることそのものが負担になっているという理解です。自分の時間を自分でコントロールできていないという感覚が積み重なることが、脳にとって最も大きなストレスとなります。加えて睡眠不足が重なれば、その負荷はさらに増していきます。6時間睡眠を2週間続けた状態は、2日間徹夜したのと同程度の機能低下に相当するという指摘もあるほどです。
そのうえで、睡眠時間の確保が難しい方にもできることとして挙げられるのが、ドーパミンを適度に活性化させる行動です。ドーパミンにはアストロサイトを活性化させる働きもあるとされ、運動はその代表的な手段の一つだといいます。サウナで整うという習慣を好む方も多いですが、これもドーパミンの分泌を促す行動の一つとして理解できます。脳を単なる精神論の対象としてではなく、胃腸や肝臓と同じ一つの臓器として捉え、その特性に沿ったケアを積み重ねていくことこそが、脳疲労と上手に付き合っていくための第一歩になります。
小さなタスクは頭の中に置かず紙に書き出す
私たちの頭の中では、1日に約5万個もの思考が浮かんでいると考えられています。頭を完全に空っぽにすることはできませんが、そのすべての思考に気を取られているわけではなく、多くはそのまま流れて消えていきます。それでもどうしても気になってしまうのが未完了のタスクであり、こうした思考は何度もブーメランのように頭に戻ってきて、夜眠るのを妨げたり、日中の集中力を削いだりします。
例えば仕事中に、帰りにパスタソースを買わなければならないと思い出した瞬間、そのタスクに脳のリソースが奪われてしまいます。仕事に意識を戻そうとしても、頭の片隅にはその用事が残り続け、本人は集中しているつもりでも脳の一部は別のことを考え続けているという状態になってしまうのです。だからといって、思い出すたびにすぐ処理しようとすれば、今度は目の前の重要な作業に深く集中できなくなってしまいます。
そこで有効なのが、タスクを紙に書き出していったん忘れてしまうという方法です。考えを書き留めることは、外付けのハードディスクに情報を保存するようなもので、脳は忘れても大丈夫だと安心し、目の前のことに集中できるようになります。スケジュール帳やメモ帳など何でも構いませんので、今すぐやる必要のない用事が浮かんだら紙に書き出し、いったん頭から手放す習慣をつけてみてください。
過去の気まずい記憶は書き出して手放す
用事や仕事はチェックをつけて完了させることができますが、心配事や怒り、苛立ちといった感情はそう簡単には終わらせられません。過去に交わした気まずい会話や嫌な出来事が何日も何週間も頭に浮かび、すでに終わったことなのに何度も思い返してしまうということは珍しくありません。こうした感情を抱え続けると、私たちはエネルギーを消耗し、当然ながら気も散りやすくなってしまいます。
この問題に対応する方法として紹介されているのが、テキサス大学が開発したエクスプレッシブライティングという手法です。紙とペンを用意して静かな場所へ行き、タイマーを10分から15分にセットしたら、文法などは気にせず頭に浮かんだことをそのまま書き続けます。きれいな文章を書く必要はなく、書き出した文章を保存する必要もありません。誰かに見せるためではなく、自分の心を整理するために書くことが目的であり、4日間連続で行うと最も効果的だとされています。実際にこの手法には、睡眠の改善やストレスの軽減、免疫機能の改善など数多くの効果が確認されています。
また感情と向き合うときに大切なのは、感情を無理に抑え込もうとしないことです。感情を抑え込むのは膨らませたビーチボールを水中に沈めようとするようなもので、押し込むほど手を離した瞬間に勢いよく飛び出してしまいます。怒りや不安に心が支配されそうになったら、今自分がどこにいて何が起きていて、どんな気持ちなのかを言葉にして整理してみましょう。これを数分続けることで、感情をつかさどる脳の領域の働きが落ち着き、冷静さと本来の判断力を取り戻しやすくなります。
日常的な小さな選択も脳を消耗させる
私たちが1日に下せる意思決定の数には限りがあり、これが多くなるほど良い決断ができなくなる現象は決定疲れと呼ばれています。転職や引っ越しのような大きな決定だけでなく、今日は何を着るか、夕飯は何にするかといった毎日の小さな選択も積み重なると大きな負担になります。スーパーのレジ付近に甘いお菓子が置かれているのは、この決定疲れを逆手に取った戦略だといわれています。
だからこそ、お金持ちや成功者の多くは日常的な決定を悩まずに済むよう習慣化し、限られた思考力を本当に重要な判断のために温存しています。スティーブ・ジョブズが毎日同じセーターとジーンズを着ていたことや、バラク・オバマが毎日似たような朝食を取っていたことはよく知られていますが、これにはきちんとした理由があるのです。同じ行動を繰り返すことで脳の前頭前野はほとんど働かず、代わりに習慣的な行動を管理する脳の領域が働くようになり、意識せずに同じことを行えるようになります。
そこでおすすめなのがモーニングルーティンです。目が覚めたら冷たいシャワーを浴び、着替えを済ませて瞑想をし、レモンジュースを飲んでから朝食を取って仕事に向かうというように、毎朝同じ順番で行動すれば余計な判断を減らせます。前の晩のうちに翌日の服装を決めておいたり、朝食を数パターンに絞ってローテーションしたりするだけでも、朝の意思決定を大きく減らすことができます。こうしたルーティンを昼以降の生活にも広げていくことで、脳のリソースをより重要な仕事や勉強、家事に集中させることができ、結果として収入や貯金、投資の判断力の向上にもつながっていきます。
長時間労働は生産性を下げてしまう
働けば働くほど収入も成果も増えると考えがちですが、実際には1日の労働時間が長くなるほど生産性は大きく低下することが分かっています。納期に追われて夜遅くまで残業した翌日は、疲れ果てて集中力も判断力も鈍り、簡単な仕事すら思うように進まなくなってしまいます。無理をした2日間の合計の仕事量が、定時で帰宅した場合の2日間よりも少なくなってしまうことも珍しくありません。
この現象はスタンフォード大学の研究でも裏付けられています。被験者を2つのグループに分け、一方には1週間で合計40時間、もう一方には60時間をタスクに充てる時間として与えたところ、初日こそ60時間のグループのほうが多くのタスクをこなしていました。しかし翌日以降は疲労が蓄積し、集中力が続かずミスも増え、同じ仕事を終えるのにより多くの時間がかかるようになっていきました。最終的に1週間が経過した時点では、60時間働いたグループのほうが、40時間しか働いていないグループよりも生産性が約30パーセントも低いという結果になったのです。
つまり働く時間を減らしたほうが成果は増えるということであり、長時間働くことよりも十分な休憩を取りながら集中して働くほうが、はるかに高い成果につながります。仕事の時間を増やすことばかりを考えるのではなく、限られた時間の中でいかに集中して取り組むかを意識することが、結果的に成果や収入、そして豊かな人生にもつながっていくのです。
ノルアドレナリンの量は自分でコントロールできる
人間の脳は20パーセントしか使われていないという話を耳にしたことがある人も多いと思いますが、これは誤りであり、私たちは常に脳の能力をフルに使っています。だからこそ簡単に気が散ってしまうのです。人間の脳は1分間に約1400語相当の情報を処理できると考えられている一方、平均的な読書速度は毎分およそ250語、会話の速度は毎分125語程度にとどまります。目の前のタスクに使われていない残りの処理能力は、周囲のちょっとした刺激を拾うために使われてしまい、これが気の散りやすさにつながっています。
この気の散りやすさをコントロールするための鍵となるのが、ノルアドレナリンという神経伝達物質です。ノルアドレナリンのレベルが低すぎると私たちは退屈を感じやすくなり、逆に高すぎると強いストレスや緊張を感じてしまいます。真夜中に時速20キロで長距離を運転すれば眠くなってしまいますし、逆に時速300キロで走れば緊張しすぎて安全に運転できません。ちょうど良い速度で走るのと同じように、脳にとっても適度な覚醒状態を保つことが、雑念を減らして高い成果を出すために重要になります。
そしてこのノルアドレナリンの分泌量は、取り組んでいるタスクの複雑さによって決まるため、タスクの難易度を調整することで自分でコントロールすることができます。単調な運転中に音楽をかけると退屈さが和らぐのは、脳に新しい刺激を与えてノルアドレナリンの分泌をちょうど良い水準に保っているからです。逆に難しい課題に集中しているときにスマートフォンが気にならなくなるのも、同じ原則によるものです。
気が散る余地がないほど速く作業する
タスクの難易度を上げて集中力を高めるという方法は、読書にも応用できます。読書では脳の思考能力の2割程度しか使われないため、余った能力が別のことを考え始めてしまうのはある意味自然なことです。雑念が浮かび始めたと感じたら、視線を少し速く動かして読む速度を上げてみましょう。難易度が上がることで、他のことを考える余力が減っていきます。逆に内容の理解が追いつかないと感じたときは、読む速度を落として自分に合ったペースに調整することが大切です。
この考え方は、自分が作業するときだけでなく、他人の理解を促したい場面でも役立ちます。例えば仕事でプレゼンをする際、内容が比較的簡単なときは少し早めに話すことで、聞き手の頭に雑念が浮かぶ余地を減らし、内容を覚えてもらいやすくなります。ただし話す速度を上げすぎると、今度は情報量が多すぎて脳が処理しきれなくなり、逆に理解が妨げられてしまいます。大切なのは聞き手の脳がちょうど良く働く速度を意識することであり、闇雲に速くすればよいというわけではありません。
マルチタスクとタスクスイッチングの違いを知る
ノルアドレナリンの量をコントロールして集中力を高めるために有効なもう一つの方法が、簡単な別のタスクを同時に行うマルチタスクです。電話での会話が退屈なときに手元の紙に落書きをすると、集中力が高まるという研究結果もあります。落書きはそれほど脳の処理能力を必要としないため、相手の話に集中しながらも脳の余っている容量を使い切ることができ、雑念が湧くのを防ぐ効果が得られます。
ただし、世間でよく言われている「マルチタスクは避けるべき」という指摘が本当に問題にしているのは、実はタスクスイッチングと呼ばれる別のものです。単純なタスクを2つ同時に行うのがマルチタスクであるのに対し、複雑なタスクを頻繁に切り替えながら行うのがタスクスイッチングであり、電話をしながら急いで別のメールを書こうとするような行動がこれに当たります。研究によれば、脳は実際には同時に2つの複雑な作業を処理しているわけではなく高速に切り替えているだけであり、タスクスイッチングでは両方のタスクを終えるまでにシングルタスクの4倍から10倍もの時間がかかってしまうことが分かっています。
この二つを見分ける最も分かりやすい基準は、自分が今1度に2つのことをしているという感覚があるかどうかです。その感覚があればタスクスイッチングであり、なければマルチタスクだといえます。運転しながら音楽を聞いているとき、私たちは両方を同時にしているという感覚を持ちません。これがマルチタスクであり、脳の隙間を埋めて集中力を保つための良い方法になります。一方で、立体的な影付きの絵を描こうとするなど落書きに意識的な注意が必要になった瞬間、それはタスクスイッチングに変わってしまい、かえって集中を妨げてしまうことになるため注意が必要です。
ホモシステインとは何か
やることは分かっているのに取りかかるまでが異常に重い。しっかり休んだのに頭のモヤが晴れない。気分が落ち込みやすくなった。こうした不調を「年齢のせい」「気力が落ちたせい」で片付けてしまっていませんか。
実はそれ、体の中で静かに起きているある物質の蓄積が原因である可能性があります。その物質の名前はホモシステインです。。通常の健康診断ではまず見つからないにもかかわらず、40代を境に増えやすくなり、脳と血管に直接ダメージを与え続けます。まず自分の不調がどちらに当たるのかを見極めることが大切です。
ただの疲れは、夜更かしが続いたり忙しい日々が重なったりした後に起こり、週末にしっかり休めば大体回復します。原因と結果が明確で、休息によって元に戻るのが特徴です。一方、ホモシステインが関わる不調はそうはいきません。次のような状態が続く場合は注意が必要です。
- 休んでも頭の重さが抜けない
- やるべきことは分かっているのに、取りかかるまでが異常に重い
- 気分の波が出てきて、なんとなくずっと調子が悪い
- 旅行や休暇で気分転換しても、根本的なすっきり感がない
この違いは「回復するかどうか」にあります。休んでも戻らない不調がだらだらと続く場合、体の内側で別の問題が起きているサインかもしれません。
大規模な研究では、血中ホモシステインが高いグループはそうでないグループと比べて、うつの発症リスクや認知機能の低下リスクが有意に高いことが示されています。「自分の心が弱くなった」と思い込んで自分を責めてしまう方も多いのですが、それは大きな誤解です。原因は気合の問題ではなく、体の仕組みの問題なのです。
「では、ホモシステインが増えないような食べ物を避ければいいのでは?」と思うかもしれませんが、そう単純ではありません。ホモシステインは外から摂取するものではなく、普通に食事をしてタンパク質を摂ると代謝の過程で必ず発生する物質です。つまり、食べている限り完全に避けることはできません。
ただし体には、ビタミンB群を使ってこのホモシステインを無害な物質にリサイクルする仕組みが備わっています。このリサイクルが正常に回っている限り、ホモシステインは蓄積されません。
ホモシステインは脳の中で何をしているのか
脳の血管を傷つけて「慢性的な錆」を作る
ホモシステインが血中に増えすぎると、まず脳の細い血管にダメージを与え、血流を低下させます。脳は体全体の酸素とエネルギーのおよそ2割を消費する場所です。血流が落ちた瞬間から、思考力・気力・集中力すべてに影響が出始めます。
さらに血管が傷つくと脳内で慢性的な炎症が起きやすくなります。これはまるで脳の配線に錆がじわじわとこびりついていくようなイメージです。
セロトニン・ドーパミンの産生を妨げる
ホモシステインの悪影響は血管だけにとどまりません。気分を安定させるセロトニン、やる気を引き出すドーパミンといった神経伝達物質を作る働きまで鈍らせることが研究で示唆されています。
配線が錆びて信号が届きにくくなるだけでなく、その信号そのものも作りにくくなっていく——こうなると、いくら旅行に行っても、週末に何もせず休んでも、根本的なところでは何も変わらないのです。
自覚がないまま何年も進行する
最も厄介なのは、通常の健康診断ではホモシステインの数値が測定されないため、本人が「最近なんとなく調子が悪い」と感じながらも、その間も脳の錆が静かに蓄積され続けるという点です。 ホモシステインが気になる方は、血液検査でホモシステイン値を指定することで確認できます。
炭酸水で脳のモヤモヤが消える
炭酸水を飲むと二酸化炭素の刺激によって脳の血管が軽く拡張します。これは、脳が酸素が足りないかも知れないと判断して血流を増やすためです。脳というのは、私たちの人体の中でも最も多くの酸素を必要とする場所です。そのため酸素供給が増えることで脳の活動レベルが上がり、ぼんやりしていたり、ブレインフォグがかかってしまった状態がクリアになります。
特に朝の眠気やだるさの強い時間帯に炭酸水を飲むと脳がさっと働き始めるため、自然な覚醒スイッチとして利用するのが良いでしょう。また炭酸水のシュワっとした刺激は、私たちの脳管という部分を興奮させることが知られています。シュワっとした刺激は、口から三叉神経という神経を通じて脳に信号が伝わり、覚醒中枢を軽く刺激します。
この覚醒中枢は、カフェインなどでも刺激される部分ですが、カフェインと違って炭酸水は依存性もなく、夜眠れなくなるほどに強烈に覚醒させるわけではなく、自然な形で脳を目覚めさせてくれます。またカフェインのように心拍数を強く上げたりせず、健康的で自然な覚醒が得られるため、集中したい時や眠気を覚ましたい時に炭酸水は最適であると言えるでしょう。
さらに炭酸の刺激は、単なる覚醒刺激ではなく、気持ちの切り替えにも作用します。炭酸のシュワシュワ感は、脳の報酬系に軽い刺激を与えるため気持ちが前向きになってやる気が入りやすくなります。
また、このように脳がシャキッとした感じがするだけではなく、炭酸水を飲むことによって実際に脳の神経細胞が活性化することが分かっています。脳が最も必要としているのは酸素です。炭酸水によって脳の血流が上がれば、それだけ脳細胞が迅速にエネルギーを作り出せるため、集中力や判断力が高まります。カフェインのように後から強い眠気が来るような反動が少ない点も大きなメリットです。
物忘れ・集中力の低下は「脳の血流不足」のサインかも
最近、記憶力が落ちた、反応が鈍くなった、会話についていけなくなったと感じる人は少なくありません。四十代という若さでこうした変化を自覚する人も増えていますが、これを単なる加齢のせいだと片付けてしまうのは早計かもしれません。実はその背景に、血管の老化による脳血流の低下が隠れている可能性があるのです。
脳は体重のごく一部しか占めていないにもかかわらず、全身の血流のおよそ二割を消費すると言われるほど血流に依存した臓器です。血管の機能が落ちて脳への血流が減れば、神経細胞に届く酸素や栄養が不足し、情報処理能力や判断力の低下につながります。実際に、脳血流の低下と認知機能の低下には関連があるという研究報告もあります。
さらに、脳は主にブドウ糖をエネルギー源として働いていますが、血流や代謝が不安定になるとこのエネルギー供給がスムーズに行われなくなり、神経細胞の活動そのものが落ちてしまいます。これが集中力や思考力の低下、いわゆる「頭が回らない」状態を引き起こします。
また、ドーパミンやアセチルコリンといった神経伝達物質の合成にも十分な酸素と栄養が必要であるため、血流が滞るとやる気の低下や気分の落ち込みといったメンタル面への影響も現れてきます。頭の働きの衰えを感じたときは、脳を鍛える前に、まず全身の血管を整えることから始めるのが近道だと言えるでしょう。
慢性的な疲れの理由
日本は疲労大国と言われ、文部科学省の疲労研究班で行われた調査で、日本人の60%が常に疲れを感じていると報告されています。いつも疲れていると感じる原因には、
- セロトニンの不足
- 自律神経へのダメージ
- 血流の不足
- タンパク質の不足
- 概日リズムに逆らう生活
- 寝る前の過ごし方の問題
- 水分の不足
- 部屋を片付けない
- 栄養が届かない(吸収の壁)
- 体質によって使える形に変えられない(変換の壁)
- 入れても使い切られてしまう(消耗の壁)
があります。
一般的には肉体的な疲労より精神的な疲労、つまり脳が疲れていることが現代人の特徴です。日常的に強いストレスを感じ続けると、脳が興奮状態のままになることで、疲労が蓄積すると言われています。
セロトニンの不足
東邦大学名誉教授有田医師は、30年以上に渡りセロトニンを研究し、この脳の疲れを取るには、セロトニンをしっかり分泌させることが必要であると述べています。
セロトニンは、脳内の神経物質の一つで、感情や精神面、睡眠など人間の大切な機能を健全な状態にするために重要な役割を果たします。セロトニンが不足すると、慢性的な疲労を感じるようになり、イライラしたり、不眠症になったり、果てには、うつ病になったりするケースがあります。
医師が教える疲れない人の脳
セロトニンを分泌させるためには、太陽の光を浴びて、リズム運動をきちんと行うこと、それだけで「脳疲労」が消えて、気持ちが安定してくると述べています。
例えば、朝起きてから、日光を浴びながらリズムよく散歩(朝散歩)することが、セロトニンの合成・分泌を最大限活性化させることができます。結果として、生活のリズム、自律神経のバランスや体内時計が整い、心身の調子が安定して睡眠の質が高まるなど、様々な効果が得られます。
自律神経へのダメージ
最近、朝起きたら体がきつく、体を休めたつもりになっているだけで全然休めていない人が増えています。それは特に脳が休めていないことが原因です。だらだら過ごす時間のせいで脳の疲れが取れなくなっている可能性があります。
そもそも疲れは、心身の負担が大きく活動能力が低下している状態のことを言います。肉体的なものだけではなく、だるい、休みたいとか思う精神的なものも疲労になります。このような疲労は痛みや発熱に並ぶ体の危険信号とも言われています。
この疲労の原因は、運動などで筋肉中に増える乳酸と言われていましたが、近年では、この説は否定されており、疲労の原因と考えられているのが自立神経のダメージです。生体機能をコントロールする自立神経がダメージを受けると交感神経と副交感神経のバランスが崩れて活性酸素が過剰に作られます。活性酸素は、体内で免疫機能などの役割を担っていますが、過剰になってしまうと細胞を傷つけて色々な病気を引き起こす原因になります。
通常は、人の体内には活性酸素の働きから細胞を守る機能が備わっていますが、活性酸素の発生が、この処理の能力を上回ってしまうと処理できなかった活性酸素により細胞が傷つけられて疲労を感じてしまいます。このような疲労を感じる信号を脳に伝えるのが免疫細胞で、免疫細胞が細胞や器官が傷ついてることを見つけた時に放出する物質が脳や神経に届くと、だるさが生じて疲れを感じます。
ちなみに疲労には、色々種類があり、体を動かすことで生じる肉体的疲労は末梢性疲労とも言われています。体を動かし続けて筋肉に蓄えられたエネルギーが枯渇している状態を抹消性疲労、それに対して精神的なストレスや緊張状態が続くことで感じる疲労は中枢性疲労と言います。この中枢性疲労は視神経や脳の緊張状態から発生します。例えば人間関係のストレスや長時間のパソコン作業で疲れを感じたりする疲労です。
他にも休息を取っても回復しない病的な疲労は、体が生理的な疲労になっている状態で、がん自体の影響によるもの、他に抗がん剤治療の影響や癌に伴う、うつ病や睡眠障害なんかの精神障害の症状として現れる場合もあります。その他にも疲労感を伴う病気には、うつ病や睡眠障害、内分泌形疾患、肝炎、AIDS、脳血管障害、慢性閉塞性肺疾患などがあります。病的な疲労の場合は十分な休息を取っても疲労感を軽減することは難しいため、病気の治療を優先しないといけません。
血流の不足
慢性疲労の克服の決め手は脳疲労を解消することです。慢性疲労は脳の血流不足により疲労物質が溜まったままになっている状態であり、認知症のリスクを高める原因の一つも脳の血流不足であると考えられています。
タンパク質の不足
次にタンパク質の不足によって、倦怠感の増加、肌のハリやツヤ弾力を維持するコラーゲンの減少により肌トラブルが増加したり、また集中力や思考力の低下、心身の不調につながると言われています。
このように私たちが健康に生きていく上で、とても重要なものなので、不足しないようにしっかりと食事から補うことが重要です。ある研究では、たんぱく質の構成要素である分岐鎖アミノ酸によって倦怠感が軽減される可能性が指摘されています。
概日リズムに逆らう生活
概日リズムとは、体内時計のことで、約24時間周期でリズムを刻んでいます。このリズムに従って生活パターンが決まります。しかし週末に夜更かししてしまうなど、平日との生活時間のズレによって体内時計が狂うと、心身の不調を招くことになります。研究では概日リズムと睡眠パターンがズレることで、慢性疲労が発生することが分かっています。
寝る前の過ごし方の問題
寝る前の過ごし方は、睡眠の質や疲れを取る事に大きな影響を及ぼします。いくら寝ても疲れが取れないのは、寝る前の過ごし方が間違っている可能性があります。
例えば、寝る前に食事(寝る2時間前)をしてしまうと、成長ホルモンの分泌を阻害することが分かっており、睡眠を妨害します。成長ホルモンは疲労回復ホルモンと言われ、分泌されなければ疲労回復効果が著しく減じられてしまいます。ただし、空腹では眠れないこともあるので、睡眠の質を上げる食べ物である、アーモンド、くるみ、バナナ、キウィフルーツなどを少量食べてください。
睡眠をしっかり取る事で、特定の慢性疾患を発生するリスクを減らし、脳が健康に保たれ、免疫システムを正常に保つことができます。
また、寝る前のスマホは、ブルーライトが脳を目覚めさせて、メラトニンの分泌を抑えるだけでなく、分泌を2〜3時間遅らせるので、体内時計が乱れる原因になります。
水分の不足
最後の水分不足は、体に必要な生化学反応に必要な水分不足することで、疲れが出てしまうことが研究によって明らかになっています。例えば、軽めの脱水症状が認知機能と気分にどのような影響を与えるかということを調査した研究によると、認知能力の低下、作業記憶への悪影響、緊張や不安、倦怠感が増加したことが分かっています。そのため水分を補給することを心掛けてください。ただし、水分補給にエナジードリンクなどの飲料水は避けてください。エナジードリンクに依存すると、リバウンドで疲労や眠気が発生するということが実験によって確かめられています。
部屋を片付けない
様々な研究によって私たちの平均の滞在時間率は全体で60%程度であるということが分かっています。つまり私たちは人生の半分以上の時間を家の中で過ごしています。そのため家の中で過ごす時間をどのように使うのかが人生のクオリティを左右すると言っても過言ではないでしょう。
その人生のクオリティが下がってしまうのが、部屋を片付けないことです。部屋が散らかっていると人生のクオリティが下がる理由は、まずは衛生面などが挙げられますが、様々な研究によって部屋が散らかっていると、余計に疲れやすくなるということが分かっています。
これは散らかった部屋が脳にとって無意識に大きなストレスになってしまうためです。別にちょっと部屋が散らかっていたって何も気にしていないと思っているかもしれませんが、脳は確実にストレスを受けています。つまり部屋がいつも汚いと脳は慢性的にストレスを受け続けることになります。
周辺視野という言葉をご存知でしょうか。何かに集中している時にも、実は脳は無意識にそれ以外の周りのものもちゃんと認識しています。これが周辺視野と呼ばれるものです。私たちが本を読んでいようが、テレビを見ていようが、私たちの視野には散らかった部屋の映像が終始飛び込んできています。その散らかった部屋から得られる膨大な量の情報を脳は常に処理し続けています。このことから散らかった部屋はストレスを引き起こしたり、集中力の低下、さらには疲れやすさなどにつながってしまいます。
栄養が届かない
40代に入ると胃酸の分泌量がじわじわと減ってきます。これが一見無関係に見えて、ビタミンB12の吸収に直接響きます。ビタミンB12は食べ物の中でタンパク質とがっちり結びついており、胃酸の力でそれを切り離さなければ腸で吸収できません。つまり、どれだけお肉や魚を食べていても、胃酸が足りなければB12が体に届いていない可能性があるのです。
「最近、少量でもたれるようになった」「食が細くなった」という変化を感じている方は、吸収の段階でつまずいている可能性があります。
体質によって使える形に変えられない
栄養は摂取すれば終わりではなく、体の中で使える形に変換されて初めて機能します。葉酸がまさにその典型で、腸で吸収されたあとに体内で活性型に変換される必要があります。
ところが、この変換がうまくいくかどうかには個人差があります。お酒に強い人と弱い人がいるように、葉酸を使える形に変換するのが得意な人と苦手な人がいるのです。苦手なタイプの方は、野菜をいくら食べてもホモシステイン処理に必要な形まで葉酸が届きにくくなっています。
「健康に気を使っているのになぜか調子が上がらない」という方は、この変換の段階で詰まっている可能性があります。
入れても使い切られてしまう
40代以上は仕事も家庭も責任が重くなる年代です。慢性的なストレスはビタミンB群を大量に消耗させます。そこに毎日の晩酌が加わると消耗はさらに加速します。アルコールを肝臓で分解する際にもB群が使われるからです。
本来なら脳の錆取り(ホモシステインのリサイクル)に回したいB群が、ストレス対応とアルコール分解で先に使い切られてしまう。これが「食事に気をつけているのに疲れが取れない」状態の正体の一つです。
脳の健康を維持する
疲れた時に甘い果物を食べるのが良いのは、ブドウ糖が脳のエネルギー源として使われるからです。脳のエネルギー源がブドウ糖であるというのは正しいですが、ブドウ糖を摂取すれば脳がしっかりと働くのかと言えば、それは間違いと言えます。
まず、脳を構成しているのはタンパク質と脂質です。特に脂質が60%以上を占めおり、脳が正常に機能するためには脳を構成している脂質をしっかりと補給しておく必要があります。
油には、飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸、トランス脂肪酸など様々な油が存在します。例えば工業的に生成されるトランス脂肪酸や酸化した過酸化脂質を摂取してしまうと体に大きなダメージを与え、脳の機能も落ちます。
一方サバやイワシ、アジなどの青魚に含まれている不飽和脂肪酸のオメガ3などの良質な脂質を摂取すれば、良質な脂質で脳が構成され、当然ながら脳の機能が向上します。魚を食べると頭が良くなるのは、それは魚に含まれているDHA(ドコサヘキサ塩酸)が記憶を司る海馬などに含まれているためです。
またタンパク質は、脳の約40%を構成するだけでなく、セロトニンやドーパミン、ノルアドレナリンの生成に欠かせません。これらの脳内ホルモンはやる気や集中力、意欲などに深く関係しており、タンパク質に含まれている必須アミノ酸の摂取が重要となります。
このように脳が活発に働くためには、エネルギー源となるブドウ糖を補給するだけでなく、脳の構成要素となり、脳の活動の土台を作る良質な脂質やタンパク質の摂取が必要不可欠です。具体的な対策をしっかり確認しましょう。
対策① 食事で材料をしっかり摂る
ホモシステインのリサイクルに特に重要なのは葉酸・ビタミンB12・ビタミンB6の3つです。
- 葉酸:ほうれん草・ブロッコリー・枝豆・豆類などの葉物野菜や豆類
- ビタミンB12:魚・卵・肉・海苔などの動物性食品・海藻類
- ビタミンB6:魚・鶏肉・さつまいも・バナナ
特別な健康食品を増やす前に、まずこうした基本の食材が日々の食事にきちんと含まれているかを確認することが第一歩です。
対策② 無駄な消耗を減らす
どれだけ食事で補っても、消耗が激しければリサイクルは追いつきません。
- ストレスをコントロールする:完全になくすことはできませんが、意識的に休息を取る時間を作ることが重要
- 飲酒を見直す:毎日の晩酌習慣はB群を大量消耗させる。週に数回に減らすだけでも変わってくる
「仕事のストレスをお酒で流す」という習慣は、精神的な安らぎを求める一方で栄養まで一緒に流してしまっている状態です。両方からカバーすることが必要です。
対策③ 活性型ビタミンB群サプリを活用する
食事を改善しても調子が戻らない方や、吸収・変換の段階でつまずきやすい体質の方には、サプリメントという選択肢があります。
ここで重要なのが「活性型」のB群サプリを選ぶことです。通常のビタミンB群サプリは、体内で何段階かの変換を経てから使える形になります。一方、活性型はすでに使える状態で届くため、変換が苦手な体質の方でも効率よく活用できます。
サプリを選ぶ際に成分表示で確認すべき2点
- 葉酸の種類:「葉酸」または「フォリック酸」の表記よりも「メチル葉酸」(成分表示では「L-メチルテトラヒドロ葉酸」または「5-MTHF」と書かれることもある)を選ぶ
- B12の種類:「シアノコバラミン」よりも「メチルコバラミン」の表記があるものを選ぶ
簡単に言えば「両方ともメチルがつくものを選ぶ」と覚えておけば大丈夫です。日本では活性型B群サプリの選択肢がまだ多くなく、ネット通販で探す方も多いです。その際は、安さだけで飛びつかず、成分・含有量・メーカーの信頼性を確認し、GMP認証などの製造基準をクリアしているかも確かめると安心です。
対策④ 強炭酸水を飲む?
パソコン作業やゲームで頭が疲れたとき、つい甘いコーヒー飲料やエナジードリンクに手が伸びてしまうという方は多いのではないでしょうか。しかし、糖分やカフェインを摂りすぎると、生活習慣病のリスクが高まってしまう心配もあります。そこで近年注目されているのが、無糖の強炭酸水です。筑波大学の研究グループが、強炭酸水を飲むことで脳の疲労感が軽減し、集中力の低下も抑えられる可能性があるという研究結果を発表しました。
実験では、素早い判断力と細かな注意力が求められるeスポーツが活用されました。平均年齢22.9歳の男女14人が参加し、サッカーゲームを3時間プレーしています。参加者は1時間おきに強炭酸水を飲みながら、疲労度のチェックや血糖値・心拍数の測定を繰り返し受けました。さらに、別の日には強炭酸水を真水に置き換えてプレーしてもらい、両者の効果を比較する形で検証が進められました。
その結果、強炭酸水を飲んだときのほうが、真水を飲んだときに比べて疲労感の増加が抑えられ、「楽しい」と感じる感覚も高まることが確認されました。また、判断のスピードや正確性が低下しにくくなる効果も見られたということです。加えて、強炭酸水を飲んだ際にはプレー中の反則行為が少なくなる傾向もあり、参加者の我慢強さが高まっていたのではないかと考えられています。
一方で、血糖値や唾液中のストレスホルモンの値については、強炭酸水と真水のあいだで大きな差は見られませんでした。つまり、甘い飲料を摂取したときのような体への代謝負担をかけることなく、これらの効果が得られていたことになります。研究者によると、炭酸による刺激がのどに触れて脳幹に伝わり、神経活動を活性化させた可能性があるといいます。糖分やカフェインに頼らなくても、炭酸そのもののシュワシュワとした刺激が、脳に働きかけていると考えられるのです。
脳の老化を加速させる習慣
NG習慣2. 抗酸化サプリで活性酸素を除去しすぎる
活性酸素は体内でエネルギーを生産する過程で常に発生します。過剰に蓄積すると細胞にダメージを与えるため「体に悪いもの」として広く知られており、近年は抗酸化サプリメントを摂る方も増えています。
しかし著者は、活性酸素は必ずしも悪者ではないと指摘しています。例えば運動の調節に深く関わる小脳では、あえて活性酸素を多く発生させる仕組みになっており、神経細胞同士の情報伝達を調整し、運動に関する記憶の形成に活用されています。
2024年に京都大学の研究チームが行ったマウスを用いた実験では、活性酸素の生成を抑えるビタミンを過剰に与えたところ、運動記憶に障害が生じたことが報告されています。活性酸素は「排除すべきもの」ではなく、体とうまく付き合うべき存在なのです。
野菜や果物などの天然食材から抗酸化物質を自然に摂ることは全く問題ありません。問題は、サプリメントで強力な抗酸化物質を過剰に摂取することです。何でも過剰になれば害になります。特定のものを極端に排除・過剰摂取するのではなく、バランスを保つことが長期的な健康につながります。
NG習慣2. 特定の食品・サプリだけに頼
「○○を食べると認知症が予防できる」という情報はメディアに溢れていますが、そのほとんどは動物実験や細胞レベルの研究結果であり、人間の認知症予防に直結するとは限りません。アメリカ国立衛生研究所も、「特定の栄養補助食品やハーブが認知機能低下の予防に効果を持つという直接的なエビデンスはない」と明記しています。
ただしオメガ3脂肪酸については例外です。イワシやアジなどの青魚を多く食べる人ほど認知症リスクが低いというエビデンスは複数の研究で報告されており、信頼性があります。ただしこれはあくまで天然の青魚を食べた場合の話であり、サプリメントとして単独摂取した場合の有効性は現時点では科学的に証明されていません。
科学的根拠がより強く示されているのは特定の食品単体ではなく、食事パターン全体です。野菜・果物・全粒穀物・魚・ナッツを中心にし、オリーブオイルを活用して加工食品を控える地中海食がその代表例です。スペインで7,000人以上の高齢者を約6年間追跡した研究では、地中海食を実践した人は心血管疾患による死亡率が低下しただけでなく、認知機能テストのスコアも良好であったことが示されています。
また、トマトに含まれる抗酸化物質リコピンは脂溶性のため水には溶けにくく、単体では体内に吸収されにくいですが、オリーブオイルと組み合わせることで吸収率が大幅に向上します。このように栄養素は組み合わせることで効果を発揮するものが多く、「1つの食品に頼る」より「多様な食材をバランスよく組み合わせる」ことが重要です。
NG習慣3. 過去を振り返るだけで誰にも見せない日
「文章を書くことは脳に良い」という観点から日記を認知症予防に取り入れている方も多くいます。過去の出来事を思い出して言葉にする作業は、記憶を呼び起こすという意味で一定の脳への刺激になります。
しかし日記は、すでに起きた出来事をなぞる単純作業になりやすく、読者の存在を意識しないため思考が自分の中だけで完結しがちです。近年の研究では、他者との関わりや新しい情報を処理し未来を想像するような思考活動が、脳の多様な領域を活性化させることが分かっています。
脳の活性化に最も効果的なのは、他者に見せることを前提にしたクリエイティブな文章を書くことです。例えば登場人物の感情や世界観を想像しながら書く物語・小説の執筆は、想像力・他者視点への共感・論理的構成力など脳の複数の領域を同時に使います。日記よりも「未来・他者・新しいアイデア」に目を向けた執筆活動が、認知機能の維持により効果的です。
NG習慣4. スマホの脳トレアプリや記憶術トレーニング
脳トレアプリを認知症予防として毎日続けている方も多いと思いますが、近年多くの脳科学者や研究者から、この習慣の効果について疑問の声が上がっています。
イギリスで1万人以上を対象に行われた大規模研究では、6週間の脳トレ課題によって訓練した特定の課題のパフォーマンスは向上したものの、訓練していない課題への改善は見られなかったことが報告されています。つまり、スコアが伸びても「ゲームが上手くなった」だけで、本質的な認知機能の向上にはつながっていない可能性が高いのです。
これは腕の筋肉だけを鍛えて全身のバランスを整えようとするのと似ています。脳の認知機能は記憶力だけでなく、注意力・問題解決能力・論理的思考など多様な要素が絡み合っており、一点特化のトレーニングでは全体は鍛えられません。
さらに、スマホの使用によって記憶を司る海馬が萎縮するという研究も報告されています。多くの脳トレアプリは行動経済学・心理学を駆使して脳の報酬系を過剰に刺激するよう設計されており、クリアのたびに過剰なドーパミンが放出されることが脳を萎縮させる可能性があります。
本当に脳を活性化させるのは、新しいことへの挑戦・多様な刺激・他者との社会的交流です。経験したことのない知識を学ぶ、複雑な問題に取り組む、人と積極的にコミュニケーションを取るといった行動が、脳の多様な領域を同時に使うことになり、認知機能全体の維持につながります。
不安になったら考えずに即行動する
体は疲れていないにも関わらず、なんとなくやる気が出なかったり、だるい時ってありませんか。そんな時は筋肉や内臓などの体の不調ではなく、脳が不安によってブレーキをかけている状態かもしれません。心理学の研究では不安や心配は、それが解決されない限り脳内のエネルギーを奪い続けることが分かっています。
つまりやるかやらないか迷っている状態や先延ばしにしている状態といった中途半端な状態では、脳が保留の状態になっています。そして実際に何かをしている以上に脳も体もどっと疲れてしまいます。不安やストレスを感じると脳内ではノルアドレナリンのようにストレスホルモンが分泌されます。
これは一時的には身を守る反応ですが、長く続くことによって疲労感や免疫力の低下、そして睡眠の質の低下を招いてしまいます。しかし不安を感じたその瞬間に、小さな行動を起こすだけでドーパミンやセロトニン、あるいはGABAといった回復系のホルモンのスイッチが入ります。それによって脳が瞬時にポジティブモードへと切り替わります。
年を重ねると判断力や体力も落ちてきますが、それ以上にまず行動力が弱くなる傾向があります。失敗したら恥ずかしい、もう年だから無理、後で調べてからやろうなど、こういった思考のブレーキこそが体の動きまで鈍らせてしまっています。実際、認知行動療法の研究でも不安を感じた時に即行動したグループは数週間で活動レベルや主観的な幸福度が向上したというデータあります。
コーディネーション運動
運動するならウォーキングよりも脳を刺激するコーディネーション運動が、脳の働きを活性化させます。研究によると、ただ体を動かすだけでなく脳をフル回転させながら体を動かす運動が、認知機能を大きく向上させることが分かっています。
その代表がコーディネーション運動で、これは簡単に言うと複数の動きを同時に行う運動のことです。例えばドリブルをしながらバランスを取る動きや左右の手を入れ替えて操作する動きなどが挙げられます。
実際、ウォーキングやランニング、筋トレといった運動にもそれなりの脳へのメリットがありますが、コーディネーション運動の効果には及ばないようです。なぜならこの種の運動はリズム感、バランス感覚、スピード調整、筋力、柔軟性など複数の要素を同時に必要とするからです。つまり体だけでなく脳もフル回転させるため、認知機能の向上につながります。
クエン酸で脳細胞が活性化
クエン酸を摂取すると体の疲労物質が除去されることで、肉体的な疲労が軽減することは科学的にも明らかになっていますが、肉体的な疲労だけではなく、心や脳の疲れまで取ってくれることが分かっています。なぜクエン酸が脳の疲れを取ってくれるのか、それにはクエン酸が持つ代謝経路と2つのホルモンが関係しています。
クエン酸を摂取すれば、その刺激によってノルアドレナリンとセロトニンという2つの脳内ホルモンが分泌されることが分かっています。このうちセロトニンは幸福ホルモンとしても知られており、実は薬理学の研究によってクエン酸はセロトニン、つまり幸福ホルモンの分泌を促す効果があることが知られています。
これはクエン酸を摂取すると乳酸という疲労物質が分解され、この乳酸の分解によって肉体的な疲労が軽減されますが、この乳酸を分解する過程でセロトニンのレベルが高まることが研究によって判明しています。そのためセロトニンのレベルが高まれば心が元気になり、幸福感が溢れば脳も前向きになって活性化します。
また、クエン酸によって分泌されるもう1つの大切なホルモンがノルアドレナリンです。ノルアドレナリンは脳内の神経伝達物質の1つで、脳の神経細胞同士を繋ぎ、情報を伝達する役割を果たします。このノルアドレナリンが適切に分泌されることで集中力を高めたり、意欲的に物事に取り組めるようになります。さらに海馬を始めとする記憶に関わる脳の部位に作用することで、長期的な記憶の形成にも関わると言われています。
さらに、クエン酸を食べるとその酸っぱさの刺激によって脳内からノルアドレナリンが放出されることが分かっています。みかんやオレンジ、レモンといった柑橘類が心の安定やメンタルの安定に効果的であるのは、ノルアドレナリンの効果であると言われており、酸っぱさの刺激によってノルアドレナリンが放出されれば神経の伝達が上手くいくことで不安が抑えられ、平常心を保ちやすくなり、心が安らかになります。
そして、クエン酸が持つ脳機能アップの効果のもう1つが代謝経路です。クエン酸回路は私たちの体の細胞が持っている代謝経路のことで、クエン酸回路は疲労物質である乳酸を材料にしてエネルギーを生み出す回路のことです。この回路を回すための源動力となるエンジンがクエン酸です。
脳は非常に多くのエネルギーを毎日必要としており、1日約400kcalを消費する一方で、脳はエネルギーを貯蔵することができないという致命的な欠点を持っています。そのため脳が常に働くためには、血液によって常にエネルギーが供給されなければいけません。そのエネルギー源がクエン酸回路です。実は脳のエネルギー不足が原因で集中力が続かなくなることは知られており、そのため集中力を意思するためには、しっかりクエン酸を補給し、クエン酸回路を回し続ける必要があります。
クレアチンで脳機能の改善
普段の生活で、頭が疲れたと感じることはあると思いますが、それは脳のエネルギー切れの状態です。人間の脳は体重の僅か2%くらいの重さしかありませんが、体全体で使うエネルギーの20%も消費している臓器です。しかも筋肉と違って、脳にはエネルギーを貯めておく備蓄タンクがほとんどありません。常に血液から送り込まれる糖分と酸素を使わなければならず、供給が少しでも滞ったり、使いすぎたりするとすぐにガス欠を起こします。
脳の神経細胞は、ATPというエネルギーを使って電気信号を飛ばしており、考え事をしたり集中したりすると、このATPが使い果たされてしまいます。ATP が枯渇すると脳は信号を遅れなくなり、これが集中力の低下やブレインフォグにつながります。
しかし、クレアチンを摂取すると脳の中でクレアチンリン酸という形で待機し、ATP がエネルギーを放出して燃えカスになった瞬間に、自分が持っているエネルギーを分け与えてATPを復活させます。つまり装着するだけで一瞬で回復する高性能バッテリーみたいなものです。
実際、2011年に行われた有名な実験では、普段食事からクレアチンをほとんど摂取していないベジタリアンの女性128 人を集め、片方のグループにはクレアチンを、もう片方にはプラセボを5日間飲ませて記憶力のテストを行っています。クレアチンを飲んだグループは、単語を記憶して思い出すテストの成績が向上しています。
実は現代人の多く、特に40代、50代になって消化機能が落ちてきた人たちは、食事から十分なクレアチンを摂れておらず、クレアチン欠乏状態にあることが多くあります。実際に高齢者を対象にした別の研究でも、クレアチン摂取で記憶力やワーキングメモリが改善した報告が多数あります。
そしてクレアチンは、精神的な疲労にも強い味方になることが分かっています。例えばストレスや睡眠不足の時に頭がぼっとして何も考えられなくなる、これらも脳のエネルギー代謝が落ちている状態です。しかしクレアチンを摂ると、そのパフォーマンス低下を食い止められる研究結果があります。
さらに、メンタルヘルスの関連も指摘されおり、うつ病の患者さんの脳を調べると前頭葉のエネルギー代謝が低下していることが多くあるため、専門的な治療にクレアチンを併用することで薬単体よりも早く症状が改善した報告もあります。当然クレアチンだけで病気が治るわけではありませんが、脳のエネルギー状態を良くすることが心の安定にもつながる可能性が高いことが示されています。
セロトニンの分泌を促す「頭の鍼」
蓄積した疲れを解消するためには、セロトニンをしっかり分泌させることが必要です。頭の鍼は、その刺激により脳内へ働きかけ、セロトニンの分泌を増加させることができると考えられています。
刺鍼後の脳の変化を調べた研究では、ラット脳内の脳報酬系の心地良さを感じる部分で変化が現れ、セロトニンが改善することで心を安定し、それが脳報酬系の神経経路に影響を及ぼすことが示唆されています。つまり頭の鍼が、脳内物質の変化を介してリラックス効果につながっていると考えられます。

さらに研究では、鍼通電刺激(鍼に低周波の電気を流す治療法)はストレスによって変化した神経伝達物質を正常化させることで、ストレス緩和を図っている可能性があることが明らかになっています。
結果として、自律神経のバランスが整い、交感神経と副交感神経の働きがスムーズに行なわれ、体内時計が正常化し、スムーズな入眠につながります。さらに自律神経は、心臓や胃腸の働き、血圧のコントロールもしていますので、自律神経のバランスが整うことによって、内臓機能のバランス回復に役立ちます。
東洋医学で診る「脳疲労」
私たちの日常生活では、仕事、家庭など多くの責任と重圧にさらされます。これらのプレッシャーは、しばしば精神的疲労を引き起こし、私たちの意思決定能力や行動に影響を与えます。研究によると精神的疲労は、脳の特定の部位、特に前頭前野における神経伝達物質の変化に関連し、具体的にはグルタミン酸という興奮性の神経伝達物質が関係しており、これが過剰になると脳の疲労感が増すことが示されています。
グルタミン酸は、多くの加工食品や中華料理に含まれる味の素としても知られており、これらの食品を摂取することで脳の疲労が増す可能性があるため、特に疲れた時にはこれらの食品の摂取を控えましょう。また、日々の生活の中で私たちはしばしば疲れを感じます。このような時に甘いものを食べたり、食事を過剰に摂取したりする誘惑に駆られることがありますが、これらの行動は一時的な満足感を与えるかもしれませんが、長期的には脳の疲労を増すことになります。
東洋医学では、心脾両虚(しんぴりょうきょ)という概念があります。これは血を全身に巡らせる働きを持つ「心」と、食べた物を消化吸収し、気血を生成する「脾(胃腸)」が虚弱になった状態を指します。「心」は、精神、意識、思考、血脈を司り、また気血などのエネルギーが活動の基礎となります。「脾」は胃腸で消化された食べ物を、気血に変えて心肺へ送り、陰陽の調和を保つ役割を果たします。また血液循環を管理する役割もあります。
心脾両虚では、体の気血の流れが弱まり、健康に影響を及ぼす可能性があります。心脾両虚は、気持ちが沈んでやる気が出ない状態や自己制御が難しく不安定な状態といった特徴を持ちます。
一方でストレスや思い悩み、考え過ぎなどで脳に過度な負担がかかると、心と脾に影響するため機能が低下し、心血虚(しんけっきょ)、脾気虚(ひききょ)の症状が同時に現れることが多くなります。
まず心血虚になると、脳に気血などの提供ができなくなり、物忘れ、理解度の低下、焦燥感、不安、不眠という症状を引き起こします。脾気虚の状態では、食べ物の消化不良、全身の疲労感、生理不順といった症状が現れたりします。
そして睡眠は脳の疲労物質をクリアにする重要なプロセスです。睡眠不足は、これらの物質の除去を妨げ、結果として疲労感を増すことになります。従って質の良い睡眠を確保することは精神的疲労を軽減する上で非常に重要になります。
東洋医学で診る「八綱弁証(はっこうべんしょう)」
ガムを食べることが頭の回転に良いと聞いたことがありませんか?顎を使うことが、脳疲労や認知力の向上に良い理由は、脳への血流が良くなり、酸素供給量、栄養供給量が良くなるためです。
血流が不足する原因の一つがストレスです。ストレスなどを抱えていると、コルチゾールやノルアドレナリンと言ったストレスホルモンが分泌され、交感神経系が常に優位に働いてしまい、脳への血流が悪くなります。実際、ストレスが原因のうつ病の患者さんの脳の血流量を測定すると、多くの患者さんの血流量低下が認められています。脳は全酸素供給量の20~25%を消費します。そのため、血流が悪くなると脳が疲れやすくなり、集中力や判断力などの認知機能の低下を招きます。
電子機器による情報過多、これが近年の脳疲労増加の一番の原因ではないかと考えられていますが、その他にも過剰なストレスや、忙しすぎる事による睡眠不足なども「脳疲労」の原因となります。
西洋医学では病気の原因に着目し、その原因を除去することで病気を治すというアプローチ方法をとります。しかし東洋医学では、病気は体全体のバランスが崩れて症状が生まれ、そのバランスを自然治癒力によって戻すことができれば病気は治るという考え方をしています。
例えば、東洋医学では八綱弁証というルールに基づいて病を分類して、その結果に沿って治療方法を決めます。その八つの分類ルールが「表裏寒熱虚実陰陽(ひょうり・かんねつ・きょじつ・いんよう)」です。中医ではひとつの症状を見るのではなく、症状を総合的に分析する。気血、臓腑、病邪などの理論を用いて「証」を決めていきます。他には気血水弁証、臓腑弁証があります。
ハリニーでは、このような東洋医学に基づき、お客様のお悩みや体質は、一人ひとり異なるとして、体の状態を的確に把握して、その上で最適な施術を行います。経絡・経穴(ツボ)を刺激し、身体を良くすることによって心もよくなる。このような心身全体の調和・向上こそが治療の目標になります。
脳疲労に効果的なツボ
脳疲労に効果的な「百会(ひゃくえ)」というツボがあります。自律神経の乱れを整えて、副交感神経の働きをアップさせる効果があります。特に夜リラックス時間を設けて、副交感神経の働きを活発にすることで眠りやすくなります。心地よい強さで押して刺激しましょう。
百会(ひゃくえ):両耳の一番高い所と鼻から後頭部中央を結んだ線の交わる所

【本コラムの監修】

国家資格登録番号
はり師 第173245号
きゅう師 第177978号
・経歴
大学卒業後、美容の世界に入りセラピストとして活動。豊富な美容知識と実務経験を活かし、その後10年間は大手企業内講師として美容部員・エステティシャンの育成やサロン店舗運営のサポートに従事。表面的なケアだけでは限界があると実感したことから鍼灸の道を志し、2016年にはり師・きゅう師の国家資格を取得。現在は美容業界歴20年以上のキャリアと、セラピスト・エステティシャン・美容カウンセラー・鍼灸師としての知見を融合し、肌・こころ・体を整えるトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。


















