老化を早める食べ過ぎ

    老化を早める食べ過ぎ

    いつまでも若く健康的な体を保つためには老化に抗う抗酸化力が必要です。老化を進める代謝の低下は、全身の細胞がエネルギーを作るなどの機能を損なうことで起こります。その原因の一つが活性酸素による酸化、つまり細胞の錆びです。細胞が錆びるとエネルギーを作る能力が低下し、基礎代謝、新陳代謝が悪化し、栄養素や酸素の取り込みや老廃物の排出の障害などが生じます。

    活性酸素は細胞膜など体内の脂質を酸化させて、万病の元となる過酸化脂質を作り出します。また紫外線を浴びると皮膚が老化するのは、紫外線が皮膚の下の酸素に当たり活性酸素が発生するからです。この活性酸素によって皮膚の脂質が過酸化脂質に変わり、皮膚の下に蓄積されます。そこに色素が沈着し、シミが発生するメカニズムがあります。このように酸化は、肌の老化を進め、活性酸素は美容の大敵です。

    食べ過ぎと活性酸素

    この活性酸素は、紫外線をはじめ不適切な生活習慣から大量に発生します。例えば食べ過ぎ、飲み過ぎ、タバコを吸う、激しすぎる運動、ストレスなどから活性酸素が発生すると分かっています。この中でも食べ過ぎは、最も老化を早める悪習慣です。

    食べ過ぎは消化吸収に大量のエネルギーを浪費します。その際に活性酸素が沢山発生し、さらに40代は消化酵素の分泌量が減少し、消化力が落ちるため、消化にエネルギーがかかるようになります。そして活性酸素はエネルギー量に比例し発生するため、活性酸素の量も増えます。つまり満腹になる度に、どんどん老けているということになります。また食べ過ぎは、炎症を引き起こすサイトカインやアディポカインの産生を促進します。これによって慢性的な炎症につながり、病気のリスクを高めたり、老化スピードを早めてしまいます。

    さらに、食べ過ぎによってインスリン抵抗性を引き起こすということが知られています。インスリン抵抗性は2型糖尿病や心血管疾患などのリスクを高め、加齢に関連する病気の発症を促進します。そして食べ過ぎは余分なエネルギーが体内に蓄積され、体脂肪が増加します。特に内臓脂肪の増加は、メタボリックシンドロームや心血管疾患のリスクを高め、健康寿命を縮めるということが報告されています。

    一方で空腹は美肌を作ります。なぜなら空腹を感じると食欲を高めるグレリンというホルモンが分泌されます。このグレリンは成長ホルモンの分泌を促し、成長ホルモンはダメージを受けた肌を修復し、シミやシワ、たるみを防ぎ、ハリツヤを保ちます。つまりグレリンは新陳代謝を活性化します。

    マインドフルイーティング

    食べ過ぎない方法に、口の中に食べ物が入っている時は一旦箸を置くがあります。人は手にお箸を持っている間は、次々と食べたいという衝動性が働き続けます。ですが食べ物を口に入れて一旦お箸を置くことで食材本来の味に意識が向き、食べることへの執着心や衝動性が薄れます。この食べ方は「マインドフルイーティング」と呼ばれており、既に研究によって効果が実証されている食べ方です。

    このマインドフルイーティングを身につけるための方法としてレーズントレーニングがあります。この方法では一粒のレーズンをじっくりと眺めて、その見た目を観察したり、香りを嗅いだりしてから口に入れ、舌でその質感を感じてから噛んで飲み込むという方法です。ついついテレビを見たり、スマートフォンを見たりしながら食事すると、目の前にある食事への意識が薄れ、満腹感を覚えにくく食べ過ぎにつながってしまいます。

    特に40代は注意しよう

    今の体の状態は、これまで何をどう食べてきたのかを映し出す鏡です。過去の食生活や栄養摂取の結果を如実に反映しています。肌や髪の調子をキープできるのかは、半年あるいは1年後の調子は、今何をどう食べているかで決まります。30代ぐらいまでなら、生活習慣の乱れは、女性ホルモンの恵みである程度カバーすることができていたかもしれませんが、40歳を過ぎるとその効果は薄れます。食事の質と量は健康や体調に極めて直接的な影響を与えるため、バランスの良い食事や若返りに効く食べ物を積極的に取ることで適切な栄養素が体に供給され、健康な体と美しさを維持することができます。

    野菜や果物が足りない

    30代では、女性ホルモンの急激な分泌低下を起こす人が増えますが、40歳前後で既に更年期障害と同じような症状を起こしている人が珍しくありません。その大きな原因に野菜果物の摂取量が不足しているということが挙げられます。例えば1日に必要な量の野菜が6割から7割、果物は3割程度しか食べることができていないということが分かっています。いくら高価な美容液だったり、高価な美容治療であっても、まず不足している野菜や果物を補うことが先決です。いくら外側から美しくなろうとしても、内側が乱れていれば私たちは絶対に若返ったり、美しくなることはできません。

    朝生ジュースを飲む

    まず効果的な食事が、毎日朝食の前に野菜と果物を、それぞれ1種類にレモン半分を加えた搾りたての生ジュースをグラス一杯200から300ml飲むことです。新鮮な野菜や果物を使った生ジュースには、ビタミン、ミネラル、食物繊維、食物酵素、ヒトケミカルなどの栄養素が濃縮されています。

    その若返り効果は、速い人だと2日、大概は5 日もすれば胃腸の活性化で体調が整えられ、肌の不調が消えるでしょう。さらに1ヶ月を過ぎる頃には、肌は新しい細胞と入れ替わり始め、ハリやツヤが戻ってきます。

    この生ジュースのベースはレモンがオススメです。レモンには、クエン酸の含有量が果物の中で抜き出ています。そのためレモンは抗酸化物質の宝庫であると言えます。そしてレモンの他にリンゴ、野菜はトマト、キャベツ、人参、ブロッコリー、小松菜を中心に使います。

    ただし、生ジュースで注意したいのは、生ジュースの酸化です。抗酸化成分が豊富であっても作り置きなどは酸化を進めてしまいます。低速回転式のジューサーで摩擦熱の発生を抑えて、熱に弱いビタミン食物などの栄養素をできるだけ壊さずに取ることが大切です。その栄養素は小腸で早く吸収され、吸収率もなんと生サラダの4倍にもなります。栄養素の大量摂取と効率的な消化吸収は生ジュースの最大の利点です。

    アンチエイジングの三大野菜

    野菜の中でも特におすすめなのが三大野菜であるトマト、ニンジン、ブロッコリーです。この3つは強力な抗酸化力を持っており、体内の活性酸素を無毒化して、除去してくれる効果があります。特に40代は抗酸化作用が著しく低下するため、抗酸化成分を食事によって補給することが必要です。

    トマト

    トマトには、リコピンという抗酸化物質が豊富に含まれています。リコピンは 抗酸化作用が強く、老化や慢性疾患のリスクを減らすことが研究によって示されています。

    さらにトマトに含まれているリコピンには、紫外線による皮膚のダメージを軽減してくれる効果があります。これによってシワなどの老化現象を遅らせることができます。またトマトを摂取することによって、心血管疾患のリスクが低下するということも疫学的な研究で示されています。またリコピンは動脈硬化や心筋梗塞のリスクを減らす作用があると言われています。

    ニンジン

    ニンジンにはβカロテンという抗酸化物質が豊富に含まれています。βカロテンは体内のフリーラジカルを中和することによって酸化ストレスを減らし、細胞がダメージを受けるのを防いでくれます。これによって老化現象を遅らせることが期待できます。

    人参は、冷凍することで栄養素がアップします。人参の栄養素βカロテンは、体内でビタミンAに変換されます。ビタミンAは皮膚の粘膜を丈夫にする他、免疫力をアップしてがん予防にも効果があるのではないかという研究もあります。

    女性であれば3人に1人、男性では2人に1人が一生のうちに1回以上がんになると言われています。また日本人の死亡原因で最も多いのもがんであり、およそ4人に1人ががんで亡くなっています。皮膚の粘膜に関係するビタミンAを摂取すると、特に皮膚がんになるリスクが優位に低下することが分かっています。ただしこのビタミンAに関しては、サプリメントで摂るとがんには逆効果とも言われています。

    ブロッコリー

    ブロッコリーは、野菜の王様とも言われ、栄養価が極めて高い野菜です。ブロッコリーには若返り効果が報告されていて、それは抗酸化物質や抗炎症成分などが豊富に含まれているからです。ブロッコリーにはビタミンC、ビタミンE 、カロテノイドなどの抗酸化物質が豊富に含まれていて、酸化ストレスを減らし、細胞がダメージを防ぐことで老化を遅らせてくれます。

    また、ブロッコリーには抗炎症成分であるカリウム、マグネシウム、カルシウムなどのミネラルも含まれています。これらは体の炎症反応を抑制し、病気のリスクを下げ、老化スピードを遅らせてくれます。またブロッコリーにはスルフォラファンという栄養素も含まれていて、これは抗酸化作用、抗炎症作用などを発揮してくれます。

    キノコ

    キノコを含めた菌類は細胞が細胞壁という硬い殻に守られています。中でもキノコの細胞壁は「ムチン」という物質によって形作られています。このキノコの細胞壁を構成するムチンを分解するための消化酵素を私たちの体は持っていません。しかしキノコの持つ栄養は細胞の中にたっぷり含まれています。そこでキノコを冷凍するだけで、ムチンを分解して細胞壁を破壊し、栄養素を引き出すことができます。

    他にもキノコの細胞が持つ栄養素が「グアニル酸」があります。この栄養素は、「イノシン酸」や「グルタミン酸」と並んで三大旨味成分と呼ばれるアミノ酸の一つです。従来グアニル酸は、干し椎茸にしか含まれていないと考えられていました。干し椎茸は長時間日光の紫外線に当たることで細胞壁が壊れて細胞中にあるグアニル酸が漏れ出します。冷凍したキノコは、干し椎茸と同じように細胞壁が壊れるため、独特の旨味や絶妙な香りを得ることができます。

    さらに、キノコの中でも特にエノキは冷凍することで「キノコキトサン」が10倍以上になると言われています。このキノコキトサンは、脂肪分解を促して痩せさせてくれる栄養素として注目されています。つまりキノコキトさんが10倍になることは、脂肪燃焼効果が10倍になるということに他なりません。

    シジミ

    シジミは冷やすことで「オルニチン」栄養素が8倍にもなると言われています。このオルニチンは、肝臓を守ってくれる働きがある栄養素です。主に肝臓は、毒素を解毒する役割を担っており、肝臓が分解する毒素の一つにアンモニアがあります。肝臓がアンモニアを尿素に変えて無毒化する経路を尿素回路と言い、この回路は英語で「オルニチンサイクル」とも呼ばれています。オルニチンは、この代謝回路を回すためのエネルギー源となっています。つまりオルニチンを積極的に摂取することでアンモニアを分解するサイクルが活性化し、肝臓がより少ない負担で毒素を分解できるようになります。

    またシジミにはオルニチンの他にも美容と健康に不可欠なビタミンB群や若々しさを保つために必須のタウリンといった老化を食い止めてくれる栄養素も含まれています。

    じゃこ

    じゃこは、いわし類の稚魚のことです。じゃこには生活習慣病の予防に役立つ 良質な脂質であるDHA やEPAが含まれています。これらの良質な脂質は心血管疾患を予防するのに役立ち、炎症を抑える効果があります。またじゃこにはアミノ酸バランスの良い高品質のタンパク質も含まれています。タンパク質は筋肉や臓器の構築、修復、維持に必要で、免疫機能やホルモンの生成にも重要です。

    この他にもビタミンDを多く含んでいて、ビタミンDというのは女性の半数に足りていないビタミンです。ビタミンDは、カルシウムの吸収を良くし、骨を丈夫にする作用があることが知られています。さらに近年では新陳代謝を活発にし、免疫力を高める栄養素として注目されています。また筋肉量の増強にも関わり、筋肉量が多くなると代謝が上がるため、ビタミンDは肥満を予防解消するダイエットビタミンと言えます。

    究極のアンチエイジングフードで、アスタキサンチンが豊富に含まれているのが鮭です。鮭の赤い色は、アスタキサンチンという天然色素で、トマトのリコピンやニンジンのβカロテンを超える抗酸化力を持っています。アスタキサンチンは他の抗酸化物質に比べて非常に強力な抗酸化作用があり、酸化ストレスによる細胞の損傷を防ぎ、老化現象を遅らせる効果が期待できます。

    また、アスタキサンチンには炎症を抑える効果もあります。アスタキサンチンは、炎症を引き起こすサイトカインや酵素の産生を抑制することが研究で示めされています。その結果加齢に伴う炎症性疾患のリスクを減らす効果があります。

    一方で、アスタキサンチンは酸化LDLコレステロールの生成を抑制し、動脈硬化の進行を遅らせる効果があると研究で示されています。これによって心血管 疾患のリスクを減らすことが期待できます。

    朝日に向かって毎日微笑む

    私たちには体内時計が備わっており、睡眠と目覚め体温、血圧の調節、ホルモン分泌、臓器の活動など体の働きが規則的にコントロールされています。そして朝の日の光を浴びることによって、この体内時計がリセットされ、昼夜のリズムが正常に維持されます。光は体内時計をコントロールする試行錯誤に働きかけて覚醒や眠気のサイクルを整えてくれます。朝の光を浴びることで1日の活動パターンが整い、夜に良質な睡眠を取ることが可能です。ただし日中の光では、体内時計のリズムに影響を与えることができないため、日の出から朝8時頃、冬ならば9時頃までの光を浴びることが大切です。

    また、朝日は睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑制します。これによって朝の眠気が解消され、1日を活動的に過ごすことができ、夜間にメラトニンの分泌が正常に行われることで質の良い睡眠が得られます。また朝日を浴びることによって、幸福感や安定感をもたらす神経伝達物質セロトニンの分泌が促されます。朝日には、紫外線のB波(UVB)が含まれおり、皮膚でビタミンDの生成も促してくれます。さらに朝日に微笑むと、幸せホルモンであるセロトニンも分泌されます。

    【本コラムの監修】

    HARRNY 院長/鍼灸師 菊地明子

    ・経歴
    大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

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