
いつまでも若く健康的な体を保つためには老化に抗う抗酸化力が必要です。老化を進める代謝の低下は、全身の細胞がエネルギーを作るなどの機能を損なうことで起こります。その原因の一つが活性酸素による酸化、つまり細胞の錆びです。細胞が錆びるとエネルギーを作る能力が低下し、基礎代謝、新陳代謝が悪化し、栄養素や酸素の取り込みや老廃物の排出の障害などが生じます。
活性酸素は細胞膜など体内の脂質を酸化させて、万病の元となる過酸化脂質を作り出します。また紫外線を浴びると皮膚が老化するのは、紫外線が皮膚の下の酸素に当たり活性酸素が発生するからです。この活性酸素によって皮膚の脂質が過酸化脂質に変わり、皮膚の下に蓄積されます。そこに色素が沈着し、シミが発生するメカニズムがあります。このように酸化は、肌の老化を進め、活性酸素は美容の大敵です。
食べ過ぎと活性酸素
この活性酸素は、紫外線をはじめ不適切な生活習慣から大量に発生します。例えば食べ過ぎ、飲み過ぎ、タバコを吸う、激しすぎる運動、ストレスなどから活性酸素が発生すると分かっています。この中でも食べ過ぎは、最も老化を早める悪習慣です。
食べ過ぎは消化吸収に大量のエネルギーを浪費します。その際に活性酸素が沢山発生し、さらに40代は消化酵素の分泌量が減少し、消化力が落ちるため、消化にエネルギーがかかるようになります。そして活性酸素はエネルギー量に比例し発生するため、活性酸素の量も増えます。つまり満腹になる度に、どんどん老けているということになります。また食べ過ぎは、炎症を引き起こすサイトカインやアディポカインの産生を促進します。これによって慢性的な炎症につながり、病気のリスクを高めたり、老化スピードを早めてしまいます。
さらに、食べ過ぎによってインスリン抵抗性を引き起こすということが知られています。インスリン抵抗性は2型糖尿病や心血管疾患などのリスクを高め、加齢に関連する病気の発症を促進します。そして食べ過ぎは余分なエネルギーが体内に蓄積され、体脂肪が増加します。特に内臓脂肪の増加は、メタボリックシンドロームや心血管疾患のリスクを高め、健康寿命を縮めるということが報告されています。
一方で、適度にお腹を空かせると若返りにつながります。食事は空腹でない時は無理に摂る必要はありません。空腹は美肌を作ります。空腹を感じると食欲を高めるグレリンというホルモンが分泌されます。このグレリンは成長ホルモンの分泌を促してくれることが分かっています。成長ホルモンはダメージを受けた肌を修復し、シミやシワ、たるみを防ぎ、ハリと艶を保ちます。つまりグレリンは新陳代謝を促進してくれます。
空腹でグーッとお腹が鳴っている時は、胃や腸でお掃除が始まっている合図です。老化や病気を食い止める長寿遺伝子が目覚め、お腹がグーッとなるたびに若返ると言っても過言ではありません。空腹を1時間ほど我慢すると美肌、若返りの効果は最大限に得られます。
酸化防止でアンチエイジング
老化の原因の1つである細胞寿命説は、細胞分裂に終わりがあり、それが老化や寿命と関連しているというものです。例えば肌の細胞は何度も分裂して生まれ変わりますが、この細胞分裂は永遠に続くものではなく、その回数には限界があります(ヘイフリックの限界)。また人の細胞は約50回で限界を迎えると言われています。
この細胞分裂に一定回数以上できない理由の1つが、テメロアの短縮という現象です。テメロア(細胞の末端)は、染色体の構造を安定させる役割がありますが、細胞分裂してDNAが複製されるたびにテメロアの端っこのほうから徐々に短くなることが分かっています。つまり複製されるたびに染色体の構造が不安定になり細胞分裂ができなくなります。実際に赤ちゃんのテメロアは長く、高齢者のテメロアは短くなっているため、命の回数券とも言われます。
以上から、テメロアの短縮を予防することができればヘイフリックの限界も延長できるのではないかと考えられるのです。
テメロアの短縮を予防するためには酸化防止を心がけることです。テロメアは酸化によって短縮は早まると言われており、このことから酸化防止が大切と言われる所以です。また老化の原因として最も影響が大きい活性酸素による細胞の酸化があります。
私たちは呼吸によって酸素を取り込み、肺から毛細血管を通じて細胞の中のミトコンドリアに運ばれてエネルギー代謝が行われてATPが生成されます。このエネルギー代謝で利用される酸素の内、約3%が活性酸素になることが分かっています。この活性酸素による酸化ダメージで細胞が傷つき老化が促進されることになります。
具体的には、酸化は細胞のサビであり、細胞膜が酸化することで、サビである過酸化脂質が生じて硬くなり細胞の機能が落ちてしまいます。このサビによってシワやシミ、生活習慣病のリスクが高まり老化に影響を与えてしまいます。また活性酸素は加齢とともに体内で発生する量が増えることも分かっています。20代から抗酸化力は減少し始め、40代からは老化スピードが加速すると考えられています。これら活性酸素を増大させるのが、ストレス、タバコ、アルコール、睡眠不足などになります。
活性酸素を減らす抗酸化物質
酸化を防止するビタミンとしてビタミンC、E、Aがありますが、ビタミンCの摂り過ぎは、ビタミンCの突出という酸化が起きることが知られています。そのため酸化を防ぐためにビタミンEが必要になり、単純にビタミンCだけ摂るのではなく、バランス良く摂取すること大切です。
また玉ねぎなどに含まれるケルセチンというビタミンP(ビタミン様物質)もビタミンCの働きを助けてくれる効果があります。さらにシャケ、エビ、カニ、卵に含まれているアスタキサンチンは、活性酸素の中でも毒性の強い「一重項酸素」を除去する力や、過酸化脂質を抑制する力に優れていると言われています。
一方で、体内にもともと存在している抗酸化物質が働きやすい環境をつくることも大切です。体内で合成される強力な抗酸化酵素として、カタラーゼ、SOD(スーパーオキサイドディスムターゼ)、グルタチオンペルオキシダーゼの3つがあります。それぞれの原料となる物質が、鉄、亜鉛やマンガン、セレンやNACがあり、これらをしっかりと摂取することが大事です。
加工食品で食欲が狂う
年齢よりも老化が促進し、全身炎症の状態を作り出してしまう食習慣が精製穀物と加工食品の過剰摂取です。多くの人が腹八分目で食事を止めることができず、食べ過ぎちゃったと言って食事を止めるのは、明らかに食習慣が乱れている合図です。なぜなら人間は本自分の体が求めている分の食事を終えたら、自然と食欲が落ちて食事終了となるはずです。食習慣が乱れているから、食欲センサーがうまく働かなくなり食べ過ぎてしまい、その結果太ってしまったり、老化を促進してしまいます。
この食欲センサーがうまく働かなくなる最大の原因は加工食品にあると言われています。天然の食材では、このような食欲センサーの破壊は起こりえません。加工食品のメーカーは、みんながおいしく感じて何度も繰り返しその食品を購入したくなるようなものを開発することです。そのためには人間の味覚を徹底的に研究し、繰り返し食べたくなるような中毒性のある味を開発する必要があります。最も依存しやすい糖質の量、最も依存しやすい資質の量、最も依存しやすい旨味の量、最も依存しやすい塩分の量など、最も私たちの味覚に強烈な刺激を与える依存性のある配分を見つけ出してきました。そういった科学の積み重ねの上にあるのが、スナック菓子やファストフードなどの食品です。
私たちは本来、天然にある食材のみを食してきました。その中で貴重な栄養素である脂質や糖質、塩分などを強烈に欲するように食欲センサーを発達させてきました。しかし本来貴重であったはずの栄養素は現代では既に貴重ではなくなり、ジャンクフードに大量に練り込まれています。結果として加工食品を食べた時、脳は貴重な栄養素がたっぷり詰まった食品だから食欲センサーを緩めて大量に摂取しておこうと考え、その食品に依存していきます。
つまり、ダイエットをしたいと考えている時には、カロリー計算を行ったり、糖質量を計算したりするよりも前に、まず食べる食材についてしっかりと理解するべきです。カロリー計算したとしても、糖質制限したとしても、あなたが食べているものが加工度が高い、食欲センサーを壊すような食べ物であった場合は、そのダイエットは長期間続かずに結局どこかで破綻してしまいます。
天然の食材をしっかりと食べることによって食欲センサーを働かせることができれば、食欲というのは安定し続けることができます。ダイエットを考えるときはもちろん、老化防止とか炎症対策とか健康的な食事を考える上でも、まず最初に取り組むべきは加工食品をやめることを頭に叩き込んでおいてください。
加工食品には、原材料表示に様々な添加物が入っており、それらの原材料を具体的に想像できないのであれば避けた方が無難です。特に原材料表示に、砂糖、砂糖ブドウ糖液糖、デンプン、小麦粉、植物油脂、乳化剤、調味料、アミノ酸などが入っているものは避けるようにしてください。これらは食欲センサーを破壊する力が強い添加物であり、加工度が高い食品に入っている可能性が高いです。
また同時に塩分量もチェックするようにしておきましょう。糖質の含有量、脂質の含有量、塩分量旨味成分の含有量によって依存というのは大きく変わってきます。塩分量が多い食品というのはそれだけ依存性が高いように作られた加工食品である可能性が高いため避けるようにしましょう。またこれらの加工食品よりは優先度は下がるものの、精製糖質というのも依存性が高い食品です。
砂糖の摂り過ぎによる病気
最近は体に悪いものイコール甘いものといった風に、甘いものが意味嫌われてしまう傾向があります。確かに現代社会では、多くの人が砂糖過剰によって様々な病気を発症しています。砂糖の摂り過ぎよる病気といえば糖尿病を思い浮かべる方が多いですが、意外なところでは癌もまた砂糖の摂りすぎが原因の1つであることが分かってきています。
45歳から74歳の日本人9万人を対象とした2023年の研究では、砂糖の摂取量 が多いほど直腸癌のリスクが上昇することが分かっています。直腸癌と言えばハムやソーセージといった加工食品によってリスクが上がることが有名ですが、砂糖もまた癌の原因になってしまうことが分かっています。砂糖ががん化を促進してしまうのは、がん細胞が砂糖を大量に消費するためと言われています。がん細胞は無秩序に増殖し続ける細胞のため、生き延びるために大量の栄養素を必要とします。実際がんの画像検査PET-CTではブドウ糖が集まる部分を特定することでがんの診断を行います。
また、砂糖はがん細胞だけではなく、カビ菌の大好物でもあります。私たちは空気や食べ物から日常的に少なからずカビ菌を取り込んでいますが、正常であればそのようなカビ菌は元から腸内にいる細菌によって駆除されるため腸にカビが発生してしまうことはありません。ですが砂糖を食べすぎると腸内がカビ菌の餌でいっぱいになってしまい、そのため腸でカビが繁殖して腸管カンジタという腸の病気になってしまいます。腸管カンジタは、大腸の粘膜を傷つけることで癌の発生確率を高めるとも言われており、その点でも砂糖の大量摂取は癌のリスクになると言えます。
そして砂糖によるAGEs(エイジス)の発生もあります。AGEsは、いわば体の焦げのことですが、砂糖を大量に摂取すると体内の砂糖とタンパク質が反応してAGEsを作り出します。アメリカサウスカロライナ大学の研究では血液中のAGEsが高いと乳がんを始めとする癌のリスクが上昇することが分かっています。
食欲を整える食材
壊れてしまった食欲センサーを元通りの食欲センサーに戻すには、まず基本的には天然の食材をしっかりと毎食食べていくということが大事です。スナック菓子などを食べたくなったら天然の魚や牛肉など脂肪分や塩分を補給できる食材を食べる、甘いものが食べたくなったら天然の果物を食べるなど、天然の食材に置き換えていきましょう。
ただ近年では、品種改良された果物の中に糖分が多すぎるようなものがあったり、養殖された魚、穀物、飼育された牛の中に脂質が多すぎるものがあったりします。これらも天然で存在していた植物や動物とは、既に異なったレベルの 糖質や脂質を含んでしまっていますので、できれば避けた方が無難です。甘すぎない果物を選んだり、天然魚や牧草、飼育の牛肉を選ぶようにしてください。また同時に様々な種類の野菜を食べることも意識してください。
マインドフルイーティング
食べ過ぎない方法に、口の中に食べ物が入っている時は一旦箸を置くがあります。人は手にお箸を持っている間は、次々と食べたいという衝動性が働き続けます。ですが食べ物を口に入れて一旦お箸を置くことで食材本来の味に意識が向き、食べることへの執着心や衝動性が薄れます。この食べ方は「マインドフルイーティング」と呼ばれており、既に研究によって効果が実証されている食べ方です。
このマインドフルイーティングを身につけるための方法としてレーズントレーニングがあります。この方法では一粒のレーズンをじっくりと眺めて、その見た目を観察したり、香りを嗅いだりしてから口に入れ、舌でその質感を感じてから噛んで飲み込むという方法です。ついついテレビを見たり、スマートフォンを見たりしながら食事すると、目の前にある食事への意識が薄れ、満腹感を覚えにくく食べ過ぎにつながってしまいます。
特に40代は注意しよう
今の体の状態は、これまで何をどう食べてきたのかを映し出す鏡です。過去の食生活や栄養摂取の結果を如実に反映しています。肌や髪の調子をキープできるのかは、半年あるいは1年後の調子は、今何をどう食べているかで決まります。
30代ぐらいまでなら、生活習慣の乱れは、女性ホルモンの恵みである程度カバーすることができていたかもしれませんが、40歳を過ぎるとその効果は薄れます。食事の質と量は健康や体調に極めて直接的な影響を与えるため、バランスの良い食事や若返りに効く食べ物を積極的に取ることで適切な栄養素が体に供給され、健康な体と美しさを維持することができます。
野菜や果物が足りない
30代では、女性ホルモンの急激な分泌低下を起こす人が増えますが、40歳前後で既に更年期障害と同じような症状を起こしている人が珍しくありません。その大きな原因に野菜果物の摂取量が不足しているということが挙げられます。例えば1日に必要な量の野菜が6割から7割、果物は3割程度しか食べることができていないということが分かっています。いくら高価な美容液だったり、高価な美容治療であっても、まず不足している野菜や果物を補うことが先決です。いくら外側から美しくなろうとしても、内側が乱れていれば私たちは絶対に若返ったり、美しくなることはできません。
朝生ジュースを飲む
まず効果的な食事が、毎日朝食の前に野菜と果物を、それぞれ1種類にレモン半分を加えた搾りたての生ジュースをグラス一杯200から300ml飲むことです。新鮮な野菜や果物を使った生ジュースには、ビタミン、ミネラル、食物繊維、食物酵素、ヒトケミカルなどの栄養素が濃縮されています。
その若返り効果は、速い人だと2日、大概は5 日もすれば胃腸の活性化で体調が整えられ、肌の不調が消えるでしょう。さらに1ヶ月を過ぎる頃には、肌は新しい細胞と入れ替わり始め、ハリやツヤが戻ってきます。
この生ジュースのベースはレモンがオススメです。レモンには、クエン酸の含有量が果物の中で抜き出ています。そのためレモンは抗酸化物質の宝庫であると言えます。そしてレモンの他にリンゴ、野菜はトマト、キャベツ、人参、ブロッコリー、小松菜を中心に使います。
ただし、生ジュースで注意したいのは、生ジュースの酸化です。抗酸化成分が豊富であっても作り置きなどは酸化を進めてしまいます。低速回転式のジューサーで摩擦熱の発生を抑えて、熱に弱いビタミン食物などの栄養素をできるだけ壊さずに取ることが大切です。その栄養素は小腸で早く吸収され、吸収率もなんと生サラダの4倍にもなります。栄養素の大量摂取と効率的な消化吸収は生ジュースの最大の利点です。
アンチエイジングの三大野菜
野菜の中でも特におすすめなのが三大野菜であるトマト、ニンジン、ブロッコリーです。この3つは強力な抗酸化力を持っており、体内の活性酸素を無毒化して、除去してくれる効果があります。特に40代は抗酸化作用が著しく低下するため、抗酸化成分を食事によって補給することが必要です。
トマト
トマトには、リコピンという抗酸化物質が豊富に含まれています。リコピンは 抗酸化作用が強く、老化や慢性疾患のリスクを減らすことが研究によって示されています。
さらにトマトに含まれているリコピンには、紫外線による皮膚のダメージを軽減してくれる効果があります。これによってシワなどの老化現象を遅らせることができます。またトマトを摂取することによって、心血管疾患のリスクが低下するということも疫学的な研究で示されています。またリコピンは動脈硬化や心筋梗塞のリスクを減らす作用があると言われています。
ニンジン
ニンジンにはβカロテンという抗酸化物質が豊富に含まれています。βカロテンは体内のフリーラジカルを中和することによって酸化ストレスを減らし、細胞がダメージを受けるのを防いでくれます。これによって老化現象を遅らせることが期待できます。
人参は、冷凍することで栄養素がアップします。人参の栄養素βカロテンは、体内でビタミンAに変換されます。ビタミンAは皮膚の粘膜を丈夫にする他、免疫力をアップしてがん予防にも効果があるのではないかという研究もあります。
女性であれば3人に1人、男性では2人に1人が一生のうちに1回以上がんになると言われています。また日本人の死亡原因で最も多いのもがんであり、およそ4人に1人ががんで亡くなっています。皮膚の粘膜に関係するビタミンAを摂取すると、特に皮膚がんになるリスクが優位に低下することが分かっています。ただしこのビタミンAに関しては、サプリメントで摂るとがんには逆効果とも言われています。
キャロットジュース
野菜の中でもニンジンは、極めて栄養化が高い野菜の代表です。特に腎臓の健康に対する効果が期待でき、例えばキャロットジュースにはβカロテンやビタミンC、ビタミンEといった抗酸化物質が詰め込まれており、腎臓の細胞のダメージを減らし、腎機能を高めることに役立ちます。またキャロットジュースには、ビタミンAが豊富に含まれており、このビタミンAは、免疫機能に重要な栄要素でもあるため、ビタミンAをきちんと摂取することで免疫力を高めることができれば、関節的に腎臓も健康になっていきます。
腎臓は、血液をろ過し老廃物を排出する重要な臓器ですが、感染症や炎症によってその機能が低下してしまいます。免疫力を高め感染症や炎症を防げば、腎臓は健康なまま長く働くことができます。またキャロットジュースには、カリウムが豊富に含まれており、カリウムは電解質バランスを保って血圧をコントロールすることに役立ちます。つまりカリウムを補給してあげることで血圧を正常値に戻し、腎臓の負担を減らしてあげることが重要になります。
またキャロットジュースには利尿作用もあり、この作用によって体内の余分な塩分や毒素を排出し、腎臓の負担を軽減することもできます。キャロットジュースを選ぶ時には、国産で無添加のものを選びましょう。
ニンジンジュースではなくニンジン
ニンジンジュースを取り上げているような健康本は多く、ニンジンジュースにもある一定の健康効果があるというとは間違いありません。ですがニンジンを直接食べることの利点は、ニンジンジュースを飲むことよりも遥かに多いです。
確かに、ニンジンはビタミンAの絶好の供給源であり、体内でビタミンAに変換されるβカロテンを豊富に含んでいます。ビタミンAは視力の維持、免疫システムの強化、そして細胞の正常な成長に不可欠です。ただしニンジンをジュースにしてしまうとその栄養成分の一部が失われてしまいます。
ジュースを作る一般的なプロセスでは、フルーツや野菜を絞るか、ブレンダーにかけることで液体を抽出します。この過程では、皮や種茎などの一部が除去されることが一般的です。これらの部分には食物繊維が豊富に含まれており、ジュースを作る過程で食物繊維が大量に失われる可能性があります。
また、ジュース作成のプロセスにおいて、食物繊維が取り除かれだけでなく、カロリーの密度が上がる傾向にあります。ニンジン1本から作られるジュースの量はニンジン1本を食べることよりも少ないですが、そのジュースに含まれるカロリーはニンジン1本分全てとほぼ同じです。このため同じカロリーを摂取するためには、ジュースではニンジンを多く必要とし、結果としてカロリーの密度が上昇します。
例を挙げると100gの生のニンジンには約21kcalと3.6gの食物繊維が含まれています。一方、同じ重さのニンジンジュースには約40kcalが含まれますが、食物繊維は 0.5g未満しか含まれていません。これはジュース作成過程で食物繊維がほとんど失われ、カロリーはほぼそのまま保たれるためです。従ってニンジンを直接食べることで必要な食物繊維を十分に摂取し、カロリーの摂取量もコントロールできます。逆にニンジンをジュースにしてしまうと食物繊維は摂取できないし、カロリーの過剰摂取にも繋がってしまいます。
食物繊維は消化を助け、満腹感を与え、便通を促進します。また最近では食物繊維は満腹中枢に働きかけて、人間の食欲をコントロールしてくれることも分かってきています。また、ジュースにすることで飲みやすくなり、大量に摂取しやすくなります。その結果、一見健康的な飲み物のように見えるニンジンジュースは、カロリーの密度が高い飲み物を大量に摂取し、過剰なカロリーを摂取してしまう可能性を引き出してしまいます。
一方、ニンジンをそのまま食べることでこれらの問題は回避できます。食物繊維がそのまま保たれ、栄養素が損なわれることなく体に供給されます。さらに人参を噛むことで唾液の分泌が促進され、消化を助けるとともに歯の健康を保つ役割を果たしてくれます。しっかりとニンジンそのものを食べることでより効率的な要素の吸収、体重の管理、そして食べ物をより深く味わうことが可能になります。ジュースではなくスムージーなどにすることによって食物繊維もそのまま 丸ごと摂取することは可能ですですが、生の野菜そのままの野菜というのはそういった栄養素以外の面でも食感や満腹感などといったメリットを私たちにもたらしてくれます。
ブロッコリー
ブロッコリーは、野菜の王様とも言われ、栄養価が極めて高い野菜です。ブロッコリーには若返り効果が報告されていて、それは抗酸化物質や抗炎症成分などが豊富に含まれているからです。ブロッコリーにはビタミンC、ビタミンE 、カロテノイドなどの抗酸化物質が豊富に含まれていて、酸化ストレスを減らし、細胞がダメージを防ぐことで老化を遅らせてくれます。
また、ブロッコリーには抗炎症成分であるカリウム、マグネシウム、カルシウムなどのミネラルも含まれています。これらは体の炎症反応を抑制し、病気のリスクを下げ、老化スピードを遅らせてくれます。またブロッコリーにはスルフォラファンという栄養素も含まれていて、これは抗酸化作用、抗炎症作用などを発揮してくれます。
キノコ
キノコを含めた菌類は細胞が細胞壁という硬い殻に守られています。中でもキノコの細胞壁は「ムチン」という物質によって形作られています。このキノコの細胞壁を構成するムチンを分解するための消化酵素を私たちの体は持っていません。しかしキノコの持つ栄養は細胞の中にたっぷり含まれています。そこでキノコを冷凍するだけで、ムチンを分解して細胞壁を破壊し、栄養素を引き出すことができます。
他にもキノコの細胞が持つ栄養素が「グアニル酸」があります。この栄養素は、「イノシン酸」や「グルタミン酸」と並んで三大旨味成分と呼ばれるアミノ酸の一つです。従来グアニル酸は、干し椎茸にしか含まれていないと考えられていました。干し椎茸は長時間日光の紫外線に当たることで細胞壁が壊れて細胞中にあるグアニル酸が漏れ出します。冷凍したキノコは、干し椎茸と同じように細胞壁が壊れるため、独特の旨味や絶妙な香りを得ることができます。
さらに、キノコの中でも特にエノキは冷凍することで「キノコキトサン」が10倍以上になると言われています。このキノコキトサンは、脂肪分解を促して痩せさせてくれる栄養素として注目されています。つまりキノコキトさんが10倍になることは、脂肪燃焼効果が10倍になるということに他なりません。
シジミ
シジミは冷やすことで「オルニチン」栄養素が8倍にもなると言われています。このオルニチンは、肝臓を守ってくれる働きがある栄養素です。主に肝臓は、毒素を解毒する役割を担っており、肝臓が分解する毒素の一つにアンモニアがあります。肝臓がアンモニアを尿素に変えて無毒化する経路を尿素回路と言い、この回路は英語で「オルニチンサイクル」とも呼ばれています。オルニチンは、この代謝回路を回すためのエネルギー源となっています。つまりオルニチンを積極的に摂取することでアンモニアを分解するサイクルが活性化し、肝臓がより少ない負担で毒素を分解できるようになります。
またシジミにはオルニチンの他にも美容と健康に不可欠なビタミンB群や若々しさを保つために必須のタウリンといった老化を食い止めてくれる栄養素も含まれています。
じゃこ
じゃこは、いわし類の稚魚のことです。じゃこには生活習慣病の予防に役立つ 良質な脂質であるDHA やEPAが含まれています。これらの良質な脂質は心血管疾患を予防するのに役立ち、炎症を抑える効果があります。またじゃこにはアミノ酸バランスの良い高品質のタンパク質も含まれています。タンパク質は筋肉や臓器の構築、修復、維持に必要で、免疫機能やホルモンの生成にも重要です。
この他にもビタミンDを多く含んでいて、ビタミンDというのは女性の半数に足りていないビタミンです。ビタミンDは、カルシウムの吸収を良くし、骨を丈夫にする作用があることが知られています。さらに近年では新陳代謝を活発にし、免疫力を高める栄養素として注目されています。また筋肉量の増強にも関わり、筋肉量が多くなると代謝が上がるため、ビタミンDは肥満を予防解消するダイエットビタミンと言えます。
鮭
究極のアンチエイジングフードで、アスタキサンチンが豊富に含まれているのが鮭です。鮭の赤い色は、アスタキサンチンという天然色素で、トマトのリコピンやニンジンのβカロテンを超える抗酸化力を持っています。アスタキサンチンは他の抗酸化物質に比べて非常に強力な抗酸化作用があり、酸化ストレスによる細胞の損傷を防ぎ、老化現象を遅らせる効果が期待できます。
また、アスタキサンチンには炎症を抑える効果もあります。アスタキサンチンは、炎症を引き起こすサイトカインや酵素の産生を抑制することが研究で示めされています。その結果加齢に伴う炎症性疾患のリスクを減らす効果があります。
一方で、アスタキサンチンは酸化LDLコレステロールの生成を抑制し、動脈硬化の進行を遅らせる効果があると研究で示されています。これによって心血管 疾患のリスクを減らすことが期待できます。
朝日に向かって毎日微笑む
私たちには体内時計が備わっており、睡眠と目覚め体温、血圧の調節、ホルモン分泌、臓器の活動など体の働きが規則的にコントロールされています。そして朝の日の光を浴びることによって、この体内時計がリセットされ、昼夜のリズムが正常に維持されます。光は体内時計をコントロールする試行錯誤に働きかけて覚醒や眠気のサイクルを整えてくれます。朝の光を浴びることで1日の活動パターンが整い、夜に良質な睡眠を取ることが可能です。ただし日中の光では、体内時計のリズムに影響を与えることができないため、日の出から朝8時頃、冬ならば9時頃までの光を浴びることが大切です。
また、朝日は睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑制します。これによって朝の眠気が解消され、1日を活動的に過ごすことができ、夜間にメラトニンの分泌が正常に行われることで質の良い睡眠が得られます。また朝日を浴びることによって、幸福感や安定感をもたらす神経伝達物質セロトニンの分泌が促されます。朝日には、紫外線のB波(UVB)が含まれおり、皮膚でビタミンDの生成も促してくれます。さらに朝日に微笑むと、幸せホルモンであるセロトニンも分泌されます。
【本コラムの監修】

・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。