
エイジングケアは加齢によって起きる変化に合わせたケアのことです。美容医療や美容化粧品にも様々な種類があり高い効果を実感している人もいます。しかし肌質や老化スピード、お財布事情も人によるため、まずは基本のエイジングケアを徹底することが大事です。
代表的なエイジングサイン
代表的なエイジングサイン1つ目はシワです。シワは皮膚表面に筋が入ったような状態のことですが、シワには大きく分けて2種類あり、表情シワと乾燥シワに分けられます。まず表情シワは、加齢によりコラーゲンが減少して肌の張りが失われることで刻まれるシワです。日頃の表情の癖も表れやすく、年を重ねると無表情でも表情時は消えなくなります。また乾燥シワは表皮性のちりめんジワと真皮性の小ジワに分けられます。表皮性のシワは、ターンオーバーが正常に繰り返されず、角質層の水分が減少することで生まれます。そして真皮性のシワは保湿成分が減って肌の弾力が低下することで現れます。
2つ目の代表的なエイジングサインは、ほうれい線です。間違えられやすいが、ほうれい線はシワではありません。口と頬の境界線に現れる溝のことで鼻唇溝とも呼ばれます。その原因は加齢による頬のたるみだけでなく、肌の乾燥やメイクの負担、マスクの影響もあります。
3つ目の代表的なエイジングサインはシミです。シミはメラニン色素が肌に残り黒ずんだものです。まずメラニンは紫外線を浴びることで生じます。紫外線の危険から肌を守ろうとして分泌されるメラニンに保護されなければ、肌のDNAが破壊されて発がん性のリスクが高まります。しかし役目を終えたメラニンが体外に排出されないまま残ってしまうのがシミになります。加齢により新陳代謝の働きが鈍るために、古いメラニンも排出されず、肌に残ってしまいます。ちなみに、そばかすの原因は主に遺伝だと言われていますが、老人性色素班などは加齢や紫外線ダメージが要因です。
4つ目の代表的なエイジングサインはくすみです。くすみは肌のトーンが暗くなり、透明感を失った状態です。原因により見え方が変わり、次の4つに大別されます。角質が古くなってたまることにより起こるものは角質肥厚ぐすみ、肌が乾燥することで起こるのが乾燥くすみ、ストレスや喫煙によって起こる黄ぐすみ、また睡眠不足や血流の停滞によって起こる血行不良ぐすみがあります。また食事により体内に糖質が溜まることでもくすみは発生します。
5つ目の代表的なエイジングサインは、たるみです。たるみは肌が下側に下がってしまうことですが、加齢などにより内部の水分や筋肉の量が減少することにより現れるたるみにも色々あります。まず口角付近の肌が下がるとマリオネットラインが現れます。また口角以外にも目の下やおでこ、あごなどもたるみ やすい部位です。たるみはコラーゲンが減少し、筋肉量も低下することで全身に起こる現象であり、体がむくんだり、脂肪が増加したりすることもたるみの原因になります。他にも首やデコルテ、手の甲、白髪や姿勢なども老けて見えやすいポイントです。
エイジングケアの基本
骨痩せケア
同じ年齢の人でも、この人老けているな、この人全然老けてないなって思う人、その大きな違いには頬骨の高さにあります。若い人は頬骨がしっかり上にあり、ハート型のようなになっていると若々しく見えます。逆に頬骨が下に下がり、下が膨れてきて台形っぽくなってくると顔が老けて見えます。そのため老けて見えないためには、頬骨をしっかりと上に上げていくようなことを心掛けることが大事です。
もちろん、解剖学的には遺伝で頬骨が高い人、頬骨が目立つ人がいますが、加齢によって下がってくる要因は骨です。顔の小骨に筋肉や脂肪が載り、その上に皮膚がありますが、それらの土台は骨です。加齢で骨が痩せていくと脂肪や皮膚も変わらなくても、土台が小さくなるので、どうしても下に落ちてくることになります。
40代ぐらいの人の頭蓋骨が約650g、それが70代になると約280gになると言われています。頭蓋骨は目の周りの空洞、鼻のところも空洞になっていたりするため、例えば鼻の空洞が大きくなると、ほうれい線が低くなったり、頬骨も薄くなるので支えられなくなって下がったりします。また顎の部分も小さくなるので、頬骨は下に下がってきて二重顎になったり、ゴルゴラインも下がってくるため顔が四角くなってしまいます。
骨の減少は20代30代から徐々に低下し、特に40代以降で減少が加速すると言われています。40代以降では、女性ホルモンの変化による影響が大きくなります。女性ホルモンの一種のエストロゲンは、骨吸収と言う骨が破壊されるのを抑えて、緩やかにしてくれる作用がありますが、エストロゲンが少しずつ減ってくると骨を破壊することが止めることができなくなります。そのため骨の萎縮や骨が薄くなったり、骨量が減ってしまうことになります。もちろん20代や30代でも生理不順や無理ダイエットで骨量が低下してしまうこともありますが、特に頭蓋骨の骨量は、40代以降は誰でもエストロゲンが低下するため、その時にしっかりとケアをしていくことで頭蓋骨の骨量の減りを抑えることが大事です。
具体的には、女性ホルモンを補うことは難しいので、大豆製品に含まれるイソフラボンなどエストロゲンに似たような成分を摂り入れることが大事になります。この大豆製品などに含まれるイソフラボンは、腸内細菌が分解してくれてエクオールに変化します。このエクオールが女性ホルモンを補助する役割があると言われています。このエクオールを体内で作り出せない人もいるので、それを補うためのサプリが販売されているので活用しましょう。
またしっかり食べ物を咀嚼することも大事です。骨粗鬆症のために歩きましょうと言われるように、骨に刺激を与える事がすごく大事です。つまりしっかり噛むと骨にもしっかり刺激がいくようになります。またビタミンDの摂取も大事です。UVケアをしていると、どうしてもビタミンDの産生が低下してしまうため、体の一部の日光浴やサプリメントを活用しましょう。
洗顔
常に外気にさらされている顔の皮膚には様々な汚れが付着しやすく、その上、肌は日々ターンオーバーを繰り返し、古い角質も溜まります。また角質だけでなく皮脂や汗も内側から分泌されています。これらの汚れを取り除かないと皮脂はやがて酸化し、老化の原因を作ってしまいます。また雑菌が増殖することで肌表面が弱酸性からアルカリ性になり、肌環境が悪化します。ただし角質や皮脂を取りすぎるのも危険です。皮膚の健康を保つためには、皮膚常在菌や顔ダニの生息環境を整える必要があります。腸内環境が善玉菌によって整えられるように皮膚の健康にも菌などの生物の存在が欠かせません。
洗顔のポイントとしては、適度に汚れを落とすことが大切です。また皮脂の量は肌質によって違うため、まずは皮脂が多めの肌なのか、または乾燥しやすい肌なのかをチェックしましょう。それによって洗顔料を選んだり、洗顔の仕方 を工夫することができます。例えば洗顔料を使うのは夜だけにする、刺激が少ないタイプ、より効果的に汚れを取り除きたい人向けのピーリング成分が添加された洗顔料を選ぶなどが挙げられます。ただし摩擦するタイプのピーリング洗顔は肌の老化を促進させてしまうので注意しましょう。一方でピーリング成分が入ったケミカルピーリングができる洗顔料ならば影響は少なくなります。ピーリング成分には、パイナップルなどに含まれるグリコール酸や乳飲料に含まれる乳酸などがあります。グリコール酸や乳酸には、角質を取り除き、肌の保湿力を高める働きがあります。
保湿
肌表皮の角質層にはNMFという天然保湿因子が存在しています。しかしNMFは、加齢に伴い減ってしまう成分です。NMFは、複数の栄養が合わさった成分でアミノ酸 や乳酸塩、尿素、ミネラルなどが含まれます。そこで、これらの成分を補える保湿液を選ぶと良いでしょう。
普段の食事でタンパク質などをバランスよく摂取することもNMFの維持につながります。一方でスクラブ洗顔などによる皮膚の過度な摩擦はNMFを減少させてしまいます。
目元ケア
目元は顔の中でも特に廊下の影響を受けやすい部分です。なぜなら目元の皮膚はとても薄く、小ジワやシミなどの影響が表れやすい部分です。そこでエイジングケアとしては、意識的に目元のケアをすることが重要になります。アイクリームや専用美容液を利用することも良いですが、一番大事なのは丁寧なケアです。例えば保湿クリームを塗るとき、顔の隅々まで行き渡り効果を発揮できるよう丁寧に塗ることが大事であり、クリームの種類よりもまずは目元の塗り忘れを無くすことが大事です。
また目には、眼球を支える眼輪筋という筋肉があり、スマートフォンなどをずっと見続けると、この眼輪筋が動かず血行不良を起こします。また筋肉の動きが停止した状態で眼球を支えるため、目に負担がかかり、シワなどの要因になります。そのため時々画面から目を離して休憩したり、ホットタオルなどを使って血流を回復させることが大事です。
UVケア
UVケアは紫外線に対するケアのことです。紫外線はシミの原因になることが知られていますが、加齢によりターンオーバーが乱れがちな40代50代は、古いメラニン色素をためない工夫が必要です。メラニン色素は紫外線から肌を守ろうと分泌されるため、 UVクリームなどで日焼け対策は必須です。顔だけでなく首筋やデコルテ、手の甲なども塗り忘れないようにしましょう。また紫外線をブロックするだけでなく、肌にとって刺激が少ないものを選ぶのも肝心です。
酸化ケア
酸化は体が錆びることで、活性酸素の悪影響を受けた状態です。体には、活性酸素に打ち勝つための活性酸素分解酵素が元々あります。しかし加齢や喫煙などによって活性酸素分解酵素の量は減ってしまうため、活性酸素を増やさない生活を送り、抗酸化作用のある食べ物を食事で摂取することが大切になります。
活性酸素は紫外線によっても発生するため、UVケアを行うことで皮膚がんのリスクも減らせます。また全ての病気の約9割は、活性酸素が関係していると言われています。そのためビタミンCやポリフェノールなど抗酸化作用のある栄養素を補給できる食事も大切です。
糖化ケア
糖化は体が焦げるとも表現され、老化の元凶と呼ばれる状態です。具体的には 糖とタンパク質が結合し、熱が加わることで糖化します。こげ茶の焼き色がついた食品などを食べることの他にも、体内でも余った糖とタンパク質が結合して糖化します。また糖化と酸化は切っても切れない縁があり、体内で悪循環を発生させます。まず糖と結合するタンパク質は、活性酸素分解酵素でもあり、糖化が進むことにより活性酸素分解酵素の量が減り、酸化も進んでしまいます。そこで酸化ケアと糖化ケアは、同時に行うことで有効なエイジングケアになります。糖化が進むと、肌の弾力を保つ働きをしているコラーゲンなどが硬くなり、シワやたるみの原因となります。またくすみの原因にもなるので、どれくらい肌が糖化しているかを知るには肌色を見ると良いでしょう。こんがりキツネ色になった食べ物は糖化食品ですが、肌の内部も透過すると黄身がかった色になります。肌の黄ばみも老けて見える原因になります。
まずは血糖値の急激な上昇をさせないことが大事です。例えば炭水化物の単食食い、パスタだけを食べる、もちろん甘いものも血糖値の急上昇を引き起こします。血糖値が急上昇するとインスリンが出て血糖を下げますが、血糖値の急激な上がりと下がり、この血糖値のスパイクは、血管にかなり負荷をかけます。血管に負荷をかけた時に、例えば炎症を抑えるように活性酸素が生み出されます。この活性酸素は、血管にもダメージを与えますが、肌の酸化、つまり錆が起こります。この肌の錆自体が黄色味やくすみの原因になってきます。
シワを防ぐスキンケア
スキンケアの正しいやり方を知らないまま長年自己流でスキンケアを行っている人は、間違ったスキンケアが原因で顔にシワができることもあります。洗顔はスキンケアの基本で すが、多くの人は洗顔の方法や順番を誤解している場合が多いです。その間違った方法が原因で慢性的に肌トラブルを起こしていることもあります。
まず気をつけたいことは、洗顔する前には手を綺麗にすることです。実は手についた細菌や汚れが顔に移ることで肌荒れや細菌感染を起こす可能性があります。洗顔をする前には手をしっかりと洗うことを忘れないようにしましょう。
次に、冷水もしくはぬるま湯で顔を濡らすことも大事です。なぜなら水温が高すぎると肌が乾燥する可能性があり、低すぎると洗浄力が低下する場合があります。その日の気温や肌の調子を見ながら臨機応変に水温を調整しましょう。
そして適切な水温で顔をしっかりと濡らしたら、洗顔料を手に取ります。その洗顔料の量は商品によって泡立ちが変わってきますが、一般的には小指の先程の量で十分です。泡を顔に乗せたら優しくマッサージするように洗う力を入れすぎず、顔全体を均等に洗うよう心がけましょう。
特に額、鼻、顎のTゾーンは皮脂が多く分泌される場所なのでしっかりと洗うことが大事です。ただし洗顔を行う際、顔を力強く擦ってしまうと肌に摩擦や刺激を与えてしまうことになり、肌のバリア機能を低下させたり、肌の表面を傷つける可能性があります。
摩擦を減らすためのコツとして洗顔料をしっかりと泡立てることです。十分な泡立ちがあると、泡立てと肌の間にクッションのような役割を果たし、摩擦を減らしてくれます。泡を作った後は、その泡を顔に優しく乗せ、指の腹を使って洗顔料を広げていき、指の腹全体で優しく動かすことがポイントで、円を書くような動きで肌を洗うと摩擦を減らしながら効果的に汚れを落とすことができます。
すすぎも同様に水流が直接肌に当たらないように両手で水をすくって洗い流すようにしましょう。シャワーの水を直接肌に当てると肌への刺激になってしまうからNGです。しっかりとすすいだ後はタオルで優しく抑えるようにして水分を取りましょう。擦らずにタオルを使って軽く押さえるだけで十分です。
また、硬いタオルは肌に余計な摩擦を与え、小さな傷や炎症を引き起こす可能性があり、これが続くと時間とともに肌が荒れたり、既存の肌トラブルが悪化したりすることがあります。特に敏感肌や乾燥肌、年齢肌などのデリケートな肌には柔らかく、吸水性の高いタオルを使用しましょう。
また、洗顔料で洗顔を行う頻度は1日に1回をベースにしましょう。洗顔料を使った洗顔を過度に行うと肌が乾燥し、シワが形成されやすくなります。肌の皮脂は自然なバリアとして肌を保護し、水分を閉じ込める役割を果たしているため、洗顔をし過ぎるとこの重要な皮脂までも除去されてしまい、肌が乾燥してしまいます。肌が乾燥するとバリア機能も低下することになり、その結果として外部からの刺激に対する耐性が落ち、炎症や赤みが出やすくなることがあります。例えば、朝は洗顔料なしのぬるま湯洗いだけの洗顔、夜は洗顔料あり の洗顔などで使い分けましょう。
そして洗顔以上に大事なのがクレンジングです。クレンジングはスキンケアの基本中の基本です。残った化粧品や日焼け止めが毛穴に詰まると、毛穴や黒ずみが目立つようになり、さらに残留物が水分を奪い肌が乾燥しやすい状態になってしまいます。肌が乾燥した状態が続くと細かいシワや肌のくすみを引き起こす可能性があります。
クレンジングのタイプには、主にオイル、ミルク、シェル,フォーム、バーム、ウォーターの6種類あります。この中でシワ対策として一番おすすめなのはミルククレンジングです。ミルククレンジングは、油分と水分が絶妙のバランスで配合されており、油分のおかげで肌を乾燥させることなく化粧品や日焼け止めを落とすことができます。さらにミルククレンジングは、肌に優しい成分で作られていることが多く、無添加や無香料、低刺激性の製品も多くあります。
クレンジングの手順としては洗顔の時と同様、手を綺麗に洗った後、適量のクレンジング剤を手に取り、顔全体に均等に塗布します。特にメイクや汚れが気になる箇所例、えば目元や口元、鼻周りにはしっかりと塗布し、次に指の腹を使って円を書くような優しい動きで顔全体を優しく、力を入れすぎないようにしましょう。クレンジング材がしっかりと作用する時間を確保するために1分程度そのまま放置します。すぐに洗い流すのではなく、油分と水分が混ざり合うことでクレンジング剤が白く濁る現象を乳化と呼び、クレンジング剤を乳化させるには1 分程度時間が掛かります。
乳化によって、クレンジング剤はより深く肌の毛穴に浸透し、しっかりと汚れを落とすことができ、乳化させるとクレンジング剤が水とよく混ざり、洗い流しもスムーズに行えます。そして、ぬるま湯でしっかりとクレンジング剤を洗い流しましょう。この工程が不完全だと残ったクレンジング剤によって毛穴が詰まることになり、その後のスキンケア製品の浸透が妨げられる可能性があります。基本的には、ぬるま湯で10回程度顔を洗い流せば問題ありませんが、この回数はあくまで目安であり、使用するクレンジング剤や肌の状態によって調整が必要です。肌がすっきりとした清潔な状態になったと感じたら、その回数で十分でしょう。
クレンジングと洗顔は異なる工程で、多くの場合はクレンジングをした後に洗顔を行います。クレンジングは化粧品や日焼け止め外部の汚れを取り除く目的で行い、洗顔はその後 肌に残ったクレンジング剤や皮脂古い角質を除去する目的で行います。クレンジングでしっかりとメイクや汚れを落とし、洗顔で肌をさらに清潔にするというイメージです。
そして、顔のシワを改善するためには保湿の重要性についても深く理解する必要があります。表皮の一番外側を形成する角層には天然保湿因子と呼ばれるものが存在します。この天然保湿因子が皮膚を柔らかく保ち、外部からの刺激や乾燥から肌を守る役割があります。天然保湿因子が不足すると皮膚が乾燥しやすくなり、結果としてシワが形成されやすくなります。乾燥した皮膚は弾力を失い、微細なシワが形成される可能性が高くなり、乾燥した状態が長期化すると微細なシワが深くなり、老けた印象の顔になりやすくなってしまいます。
シワ対策として、高濃度ヒアルロン酸、コラーゲンセラミドなどの保湿成分は肌の表層まで浸透し、肌の保湿を長時間キープする能力も高いことが挙げられます。保湿剤を購入するときはこれらの保湿成分が配合されているものを選ぶようにすると良いでしょう。
ちなみにヒアルロン酸は保湿効果が高く、肌の健康のために欠かせない成分ですが、ヒアルロン酸は1gあたり約6リットルの水分を保持する能力があると言われています。ヒアルロン酸は体内にも存在し、肌にも含まれています。肌においては角質層に多く存在し、水分を しっかりとキープする働きをしています。一方でコラーゲンは皮膚、骨、軟骨、筋肉など人体の多くの部位に含まれるタンパク質です。特に皮膚においては弾力やハリを保つために不可欠な成分とされています。年齢とともにコラーゲンは減少し、それが皮膚のシワやたるみの主な原因となります。
また、保湿は外からだけでなく、身体の内側からもアプローチすることが大切です。水分摂取や栄養のバランスを考慮し、肌の水分量をアップさせる努力も必要です。水分は細胞内の化学反応や代謝に必要な基本的な成分であり、十分な水分が体内に確保されていると肌の水分も維持されやすくなります。
成人女性の場合1日に2リットルの水分摂取が推奨されています。この量は食事から摂取する水分も含まれているので、飲み物だけで2リットルも飲む必要はありませんが、気温や湿度、個人の活動レベル、健康状態などによっても水分の必要量は変わるので、自分自身の体調をよく観察しながら適量を摂るようにしましょう。
インナーケア
まずスキンケアが外側からのケアであるのに対し、インナーケアは内側からのケアのことです。そしてインナーケアにおいて一番重要なのが食事です。健康的で若々しい肌は、食事で摂取した栄養素によって作られます。肌に限らず体の細胞を作るには必要な栄養と酸素を血液によって運ぶことが大切です。その運搬路となる血管も、食べ物を消化し、分解する内蔵も食べ物でできています。肌に関しても食事で取り込まれた栄養は真皮層のコラーゲンやエラスチンの産生に役立ちます。
具体的には、温かい汁物を食事にプラスして体を温め、血流アップを目指すと良いでしょう。また新しい血液を作るためには、牡蠣やほうれん草、レバーなどの食材がおすすめです。牡蠣にはビタミンB12のほか、鉄分や銅が含まれ造血作用があります。またほうれん草にも血液凝固に良いビタミンK1や貧血予防になる鉄分も多く含まれます。レバーにも貧血予防効果があり、レバーの中でも鳥レバーはタンパク質も豊富です。タンパク質は体の細胞を作る栄養素であり、肌の元にもなります。
また、タンパク質は体内でアミノ酸に分解される前にペプチドに分解され、このうちコラーゲンペプチドは真皮の繊維芽細胞を増やし、肌のハリを蘇らせる作用があります。またヒアルロン酸も産生し、肌内の水分を増やす働きもあります。
コラーゲンを食事で摂取する場合は、手羽先や軟骨、豚骨スープなどがおすすめです。またビタミン Cを同時に摂取することで、コラーゲンを体内で再び作ることがでます。さらにビタミンCやビタミンE、ビタミンAには、抗酸化作用があり、体の酸化を防いでくれます。また糖化を防ぐためにも、甘いお菓子や揚げ物はなるべく控えるようにしましょう。
闇雲な食事制限はいらない
闇雲な食事制限はいりませんが、その分体に良いものを食べることが基本です。質の良いものを食べれば体はそれに応えてくれ、体と肌が若返る食べ物をいくつか紹介します。
納豆
納豆は日本独特の食品で古代から健康と美容に良いとされています。1 日1パックを食べることを習慣化すれば、細胞が若返るでしょう。納豆には、ポリアミンやビタミンB、納豆キナーゼなどが含まれ、健康効果が高いポリアミンはアンチ エイジングに対する効果が期待される物質です。この物質は人間から微生物に至るまでほぼ全ての生物の体内に広く分布し、その役割は細胞の分裂や増殖を助けたり、新陳代謝を整えることです。さらには体内の炎症を抑制する働きもあり、体内のポリアミン量が少ない人は老化現象が加速してしまう可能性が指摘されています。
ポリアミンは大豆にたっぷりと含まれていますが、発酵する過程でさらに増えます。ポリアミンには腸内環境を整える働きもあり、免疫力を高める効果も期待でき、一部の研究ではビタミンががん細胞の増殖を抑える働きをすることも明らかにされています。
また、納豆には脂肪燃焼効果の高いビタミンB2も豊富に含まれており、ビタミンBは水溶性のビタミンで、糖質、脂質、そしてタンパク質の代謝に関係しています。ビタミンB1が主に糖質の代謝を助けるのに対し、ビタミンB2は脂質の代謝を特にサポートします。ビタミンB2は、発育のビタミンとも称され、皮膚や粘膜、髪の毛、爪などの細胞の再生を助ける大事な栄養素です。不足すると口角炎や肌荒れを起こしやすくなるだけでなく、疲労感を感じやすくもなります。
また、納豆に含まれる納豆キナーゼには、血液をサラサラにする効果があり、心筋梗塞や脳梗塞の予防はもちろん、最新の研究ではアルツハイマー型認知症の予防にも効果があることが分かっています。
キノコ
キノコは食物繊維が豊富なだけでなく、低カロリーで満腹感を感じやすい食べ物です。さらにキノコ類には血行を良くするナイアシン、ビタミンB6、葉酸などが豊富に含まれています。健康や美容を気にする人は最低でも3日に1回はキノコ類を食べましょう。
キノコは種類によって健康効果が変わります。便秘やむくみ解消にはエリンギ、美肌や免疫力アップには椎茸、舞茸が効果的です。ビタミンD、カルシウムの補給にはえのき、ビタミンB2や食物繊維が欲しい時はしめじです。キノコは味噌汁の具として食べると相乗効果で栄養が摂れます。味噌に含まれる麹菌とそれぞれのキノコが持っている菌を一緒に食べることで、効果が上がります。
たまご
たまごは完全タンパク質と言われ、体が自己生成できない9種類の必須アミノ酸を全て含んでいます。動物性タンパク質の中で最も優秀な食べ物で、最低でも1日1個食べることが推奨されています。
タンパク質は私たちの体を構成する基本的な素材で、健康的な筋肉、骨、髪を維持するためには不可欠です。
たまごを食べるタイミングとしては夕食後で、肌に潤いを与える成分は夜に合成されやすいからです。たまごの美容成分が就寝中にしっかり吸収、合成されることで肌の若返効果が高まります。
牛肉赤身のロース
牛肉は高タンパクなだけでなく体にとって重要なビタミンとミネラルを豊富に含んでいなす。ビタミンB12、ビタミンB6、鉄、亜鉛、セレニウムなど他の肉と比べても高栄養用です。牛肉を選ぶときのポイントは赤身のロースを選ぶことです。余分な脂肪を摂らずにしっかり鉄分を補うことができます。牛肉には亜鉛が含まれていますが、特に赤身の部分に多く含まれています。
亜鉛は免疫システムの健康を維持するのに重要な役割があり、亜鉛が不足すると免疫力が低下する可能性があります。また亜鉛は皮膚の修復を助ける役割もあるため、亜鉛不足になると傷やニキビの治りも遅くなってしまいます。
ミニトマト
シミは肌の色素メラニンが異常に集まることによって発生しますが、色素メラニンが異常に集まる原因になっているのが活性酸素です。活性酸素は、酸素が体内で代謝される過程で発生する化学物質ですが、同時に体を劣化させるものでもあります。過剰に蓄積すると細胞や組織にダメージを与え、シミを発生させてしまいます。
この活性酸素を減らすには、抗酸化力が最強のミニトマトを食べると良いでしょう。ミニトマトに含まれるリコピンは、非常に強力な抗酸化物質で酸素を中和する効果があります。一部の研究ではリコピンがコラーゲンの生成を助ける可能性があるとされています。リコピンは新たにシミを作らせないという効果もあるため定期的に食べましょう。
理想としては、毎日ミニトマトを5つ食べることです。ちなみにミニトマトは真っ赤に熟している方がリコピンの量が多くなります。注意点としてはトマト を加工したトマトジュースやケチャップなどはリコピン量が減っています。
ニンジン
肝臓は私たちの体の中で重要な役割を果たしています。主な役割は、体内の毒素を取り除き、血液を浄化することです。これは一種のデトックス作用とも言えます。この肝臓のデトックス作用を助ける食材の一つがニンジンです。人参の効果は主にβカロテンによるものです。
βカロテンは、ビタミンAとなり肝臓の機能を助け、体内の毒素を排出する役割を果たします。これはビタミンAが肝臓の細胞を強化し、その働きを活性化することで実現されます。つまり人参を食べることで肝臓がより効率的に働き、体内の毒素を取り除くことが可能になります。
また人参に含まれる食物繊維は消化器系全体の健康を維持するのに役に立ちます。食物繊維は消化器系を通過する食物の流れをスムーズにし、余分な物質を体外に排出してくれます。これにより肝臓にかかる負担が軽減され、デトックス作用が強化されます。
さらに人参は ビタミンも豊富に含んでおり、ビタミンCは強力な抗酸化物質であり、体内のフリーラジカルを中和します。フリーラジカルを中和することで 肝臓の細胞が保護され、その働きが維持されます。このようにニンジンは、ビタミンA、食物繊維、ビタミンC などの栄養素により、肝臓のデトックス作用を強化します。
インナービューティー
このような質の良い食事をしっかり摂ることで、食事制限はほどほどでも美しさを保つことはきます。このアプローチ方法は、インナービューティーと呼ばれ、若さを維持する上でも非常に大切な考え方です。ビタミンC、セレン、βカロテンなどの抗酸化物質を多く含む食品をたくさん食べること、そして高品質な脂質、オメガ3脂肪酸や抗生物質、タンパク質もしっかり摂ること、加工食品や高糖質の食品を無理に避けること、食事量を適切に制限することなど、これらができていれば体の内側から美しさを引き出すことができます。
また、食事だけでなく運動や睡眠、ストレス管理も大切です。運動はストレスを軽減し、体重を管理するためにも重要です。理想としては 週250分の中程度の強度の運動、もしくは週に75分の高強度の運動を続けることです。睡眠に関しては7から9時間の睡眠が必須であり、中々眠れないという人は睡眠環境を改善したり、趣味や楽しい活動をする時間を増やして いくと良いでしょう。
【本コラムの監修】

・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。