
腸内のカビであるカンジタ菌は、腸の中だけでなく口や皮膚などに生息し、普段から人間 たちと共存してる菌でもあり、通常の状態であれば悪さはしません。しかし体調が悪くなったり免疫力が落ちたりすると一気に増殖して体に悪影響を与えます。特に腸内の細菌バランスが崩れるとカンジタ菌が腸内で暴れ出して腸粘膜を傷つけます。それが進行するとリーキーガット症候群という状態になり、腸の壁が本来通さないはずの有害物質を体内に通してしまいます。
腸の壁が穴だらけになって有害な物質がどんどん血液に流れ込むと、眩暈、ふらつき、頭痛、吐き気、記憶障害、感情のコントロールが難しくなります。また腸の状態が悪くなると免疫力も落ち、アトピーなどの皮膚炎、便秘や下痢、アレルギー、不妊、成長障害なども現れます。これらの症状の原因がカビかどうかは尿検査(有機酸検査)で分かります。
腸のフィルター
腸は大腸小腸に分けられており、小腸は食べ物を消化吸収する働き、大腸は消化吸収された後の不要物を便として排泄する働きがあります。また腸には口から侵入してきた病原細菌から身を守る働きもあり、その仕組みを腸管免疫と言います。腸の粘膜には全身の約60%のリンパ球が集まっており、小腸では全身の免疫抗体の約60%が作られています。
さらに腸管免疫では、食品などの体の維持に必要な成分に過敏な免疫反応を起こさないようにする経口免疫寛容という働きもあります。腸の壁には絨毛と言う、できるだけ多くの栄養素が吸収できるように表面積を広くするための細かい突起のようなものがあり、この絨毛に敷き詰められた粘膜細胞は、お互いにしっかり結合し合って一定以上の大きさのものは通さないような構造になっています。これをタイトジャンクションと言います。
これによってある程度以上の大きさのものは通さないというフィルターの役目をしていますが、カビによって腸壁の粘膜が破壊されると、このタイトジャンクションが緩んで十分に働かなくなります。その結果、未消化物や異物が血中に入ってアレルギー反応などを起こしやすくなり、これをリーキーガット症候群と呼びます。これによって肌荒れ、アレルギー、花粉症、便秘、肥満、生活習慣病、精神病、自己免疫疾患などが引き起こされたりします。
発酵食品で腸がカビる
実は私たちの腸は、少しの生活週間の乱れによってカビてしまうと言われています。そもそも腸にはたくさんの腸内細菌が生息しおり、善玉菌や悪玉菌だけでなく真菌というカビの仲間も紛れ込んでいます。その代表がカンジタ菌です。カンジタ菌は私たちの体に住みついている常在菌の1つで、普段は私たち自身の体の免疫力によって繁殖が抑えられています。しかし食生活や生活習慣の乱れなどによって免疫力が低下してしまうと、このカンジタ菌が繁殖して大暴れします。そしてカンジタが起こすものが腸を始めとした様々な臓器のカビになります。このようなカンジタ菌によるカビを悪化させてしまう食べ物が発酵食品です。
発酵食品は、善玉菌を増やして腸内環境を改善してくれるイメージがありますが、確かに発酵食品は腸が健康な人が食べることで善玉菌を増やして腸内環境を整えてくれる効果があります。一方で腸が不健康な人や既に腸がカビ始めている人が摂取すると、むしろカビを助長しかねない効果があると言われています。これは発酵食品が腸内に生息する菌を手当たり次第増やしてしまうためと考えられています。このように発酵食品は、使い方次第で腸の健康を良くも悪くもする諸派の剣であると言えます。
腸内でカンジタ菌が増えて腸にカビが生えてしまうとカビが物理的に腸を攻撃し、腸のバリアを破壊します。さらにはカビ菌が作り出す毒素が体中にばらまかれてしまい、そして免疫システムが異常をきたし、自分自身を攻撃してしまうといった数多くの問題が発生します。
例えば、腸は小腸と大腸を合わせておよそ8mにも及ぶ長い臓器ですが、腸が破れ中身が外に漏れ出してしまったら、下水管が破裂するのと同じでお腹の中が大変なことになります。実際、腸に穴が開くことで起きる細菌性腹膜炎は、強烈な炎症によって死亡することもある恐ろしい疾患です。このような危険な事態に陥らないために腸には強力なバリア機能がありますが、腸にカビが入るとカビ菌が腸の壁に胞子を伸ばすことで腸のバリアを物理的に破壊してしまいます。
腸のバリアが破壊される有名の食べ物が、小麦に含まれるグルテンによるリーキーガット症候群です。小麦を食べるとそこに含まれているグルテンが腸の壁にへばり付き、炎症を起こし、穴を開けてしまうことが知られています。実は腸にカビが入るとこれと全く同じ現象が起きてしまいます。このような炎症が皮膚に届けば肌荒れの原因になってしまいます。
また、カビ自体の物理的な攻撃だけでなく、カビが作り出す毒素によるダメージも甚大です。腸のカビはアルコールを始め、様々な有害物質を放出しますが、中でも注意しなければいけないのがグリオトキシンです。グリオトキシンは有毒な物質で、私たちの免疫細胞が持つDNAを切り刻んでしまうことが知られて います。このことからグリオトキシンは全身の免疫力を下げ、腸の健康をどんどん損なってしまいます。
さらにカビによって免疫システムに異常をきたすのも大きな問題になります。腸内のカンジタ菌が増えてカビが発生すると、私たちの体ではカンジタ菌を駆除するための抗体が作られます。困ったことにこの抗体はカンジタ菌だけでなく私たち自身の脳や腎臓といった臓器まで攻撃してしまうことが分かっています。
このような状況で発酵食品を食べたところで発酵食品は、すでに腸に住みついているカビ菌を増やすばかりで健康のためには逆効果になってしまいます。そのためまずは発酵食品だけではなく腸内のカビ菌をやっつける食品を食べることで、1度腸をフラットな状態にリセットしてあげる必要があります。今はお腹の調子が悪い時は、むしろ発酵食品は控えるようにした方が良いというのが大切なポイントです。発酵食品は腸内のカビ菌が一掃され腸がフラットになった状態で食べることで初めて健康効果を発揮してくれます。
食物繊維で腸がカビる
発酵食品とともに腸内環境に良い影響を与えると言われているのが食物繊維です。食物繊維は物理的に便通を良くしてくれるだけでなく、腸内の善玉菌の餌となることで腸内環境を改善すると考えられています。しかし発酵食品と同じで、すでに腸がカビだらけの人が食べることでむしろ逆効果になってしまう恐れがあります。もちろん食物繊維はカビが生えていない正常な腸、乱されていない腸にとっては毎日摂るべき重要な栄養素の1つです。
特にタンパク質と食物繊維は、私たち日本人に不足しがちであると言われており、野菜だけではなく海藻類やキノコ類などからも積極的に私たちは食物繊維を摂らなくてはいけません。しかし腸内にカビが生えてしまった人は、発酵食品と同じく食物繊維の摂取を控えて腸内環境をリセットしてあげる必要があります。なぜなら本来健康的であるはずの食物繊維は、善玉菌だけでなく腸内のカビ菌の餌にもなってしまうからです。
また、カビ菌の大好物は糖類です。甘いスイーツなどに使われる砂糖は代表的な糖類の1つですが、実は食物繊維もまた広い意味での炭水化物の一種で糖類に含まれます。食物繊維は炭水化物ありながら、私たち人間の体では消化ができず、デンプンのような消化可能な炭水化物は糖類として吸収されていきますが、食物繊維は未消化のまま全てが便と一緒に排泄されてしまいます。そして食物繊維を消化できるカビ菌にとっては、食物繊維は糖類に他ならず、砂糖と同じ甘くて美味しい大好物になります。そのためカビ菌が繁殖している状態で食物繊維を食べることは、砂糖たっぷりのスイーツを食べてしまうのと同じ結果になります。
例えば、野菜不足を解消するためにサラダをたくさん食べてお腹が張っておならがたくさん出てしまったという経験はないでしょうか。それは他でもなくサラダに含まれる食物繊維が悪玉金の餌となって腸内で増えた悪玉菌が大量のガスを発生させるために他なりません。健康な腸であれば悪玉菌以上に善玉菌が増えるため、多少ガスが出ても問題はありません。研究によると悪玉菌がゼロの腸はむしろ調子が悪くなることが分かっており、大切なのは善玉菌と悪玉菌のバランスの取れた比率です。
お腹の調子が悪い時は、野菜を控えて代わりにビタミンやミネラルが豊富な豚肉などを食べるのが良いでしょう。野菜を控えると食物繊維だけでなくビタミンなど他の栄養素も不足がちになってしまうので、それを別の食材から補ってあげるのが良いです。そしてお腹の調子が良くなってきたら、野菜や海藻を食べて食物繊維を補給してあげれば良いでしょう。このように食事は、自分自身の体調と相談しながら日々調整していくということが大切です。
小麦で腸がカビる
腸にカビが生ることで腸のバリアが物理的に破壊され、リーキーガッド症候群を来たしますが、このような状態で小麦を食べれば、よりリーキーガッド症候群が進んでしまいます。さらに小麦は、それ自体がリーキーガットの原因になるだけでなくカンジタ菌の餌になることで腸のカビをより悪化させてしまいます。
さらに小麦には高い依存性があります。小麦由来のグルテンは、一説にはニコチン並みの依存性があるとも考えられています。実際、長期的にパンなどの小麦食品を食べていた人が急にグルテンフリーの食事に切り替えると禁煙などと同じような禁断症状が出ることが分かっています。この症状には吐き気や頭痛、足の痙攣などが知られています。
昨今、日本人の間では米食の人が減って代わりにパン食の方が増えてきていると言われています。2011年の総務省の調査では日本の一般家庭におけるパンの消費料が、米の消費量を上回ったことが報道されました。また日本人の食生活を調査した別の研究では、パンは特に朝食で食べられていて、高齢になるほど朝にパンを食べる人が多くなる傾向があることが分かっています。
腸にカビが生えたらすぐにでも小麦の摂取をやめる必要がありますが、小麦が止められずカビ菌が増えてお腹の調子が悪化し、そのストレスで、さらに小麦食品を食べてしまうという悪循環に陥ってしまいます。
甘いもので腸がカビる
砂糖はカビ菌の大好物であり、その悪影響の度合いは発酵食品や食物繊維の比ではありません。少しでもお腹の調子が悪い時に、砂糖たっぷりのお菓子を食べると、それだけで腸内のカビが爆発的に増えてしまうと言われています。
さらに砂糖の摂取によって、腸のカビ菌が変異してしまうことが知られています。私たちの体に住みついているカンジタ菌は本来であれば大人しい菌で、少しぐらい増えたとしてもそこまで悪さをするわけではありません。ですがカンジタ菌に砂糖を与えすぎるとカンジタ菌が先の尖った変異型に変化し、強い病原性を発揮してしまうと考えられています。このような変異型のカンジタ菌は腸を腐敗させ、異常なほどの危険な毒素をばらまいてしまいます。
一方で、人工甘味料であれば糖分ゼロと考えるかも知れませんが、人工甘味料もまた砂糖と同じく腸内の悪玉菌の大好物です。人工甘味料の中には発がん性が確認されているものや肥満を助長するものなど様々なリスクが指摘されています。
甘いもので食道がカビる
このカンジタは真菌と呼ばれるグループに属するもので、一言で言えばカビの原因となる菌のことです。このカンジタは健康な人でも体内や皮膚の表面にたくさん存在しており、健康な人の場合であれば皮膚や粘膜のバリアがきちんと機能しているため、このようなカンジタが悪さをすることはありません。しかし何かしらの原因によって皮膚や粘膜のバリア機能が失われることでカンジタが悪さをし始めると全身にカビが発生する恐れがあります。
このようにカンジタが悪さをする原因の1つに、甘いものを食べ続けてしまうことが挙げられます。カンジタは糖分を栄養にして繁殖することが知られており、特にブドウ糖や果糖などの単糖類が大好物なため、甘いお菓子や飲み物を食べることで私たちの体でカンジタが異常に増殖し、悪さを働いてしまいます。
このように普段私たちの皮膚の表面や体内に存在する常在菌が、何かしらの原因で悪さをし始めることを日和見感染と言います。カンジタによる日和見感染は体中のあちこちで起こることが知られています。最もメジャーな日和見感染が食道カンジタです。食道カンジタは、その名の通り食道の粘膜に存在するカンジタが異常増殖して、食道がカビだらけになってしまうことです。食道は私たちの食べ物の通り道で、甘いものを食べることは食道に存在しているカンジタに大量の餌をあげていることと同じことになってしまいます。
さらに食道カンジタになると、食道に住みついてしまったカビがどんどん上がり、ついには口の中の粘膜までもがカビだらけになってしまいます。この状態を口の中が鷲のようになることから鵞口瘡(がこうそう)と呼びます。そうなれば当然食べ物は飲み込みにくくなりますし、食べるたびに口や食道にくっついたカビまでも一緒に飲み込むことになってしまいます。
また食道カンジタに続いて、多くのの人が嫌がるのが性器カンジタです。性器カンジタはその名の通り、性器にできてしまうカビのことです。性器カンジタの主な症状としては、性器周辺の痒みや発疹、女性の場合では白っぽい異常なおりものなどが挙げられます。
また糖質を摂取することで起こるカンジタ症は、他にも様々な場所の皮膚に生じる可能性があります。特に足の付け根やお腹のたるんでいる部分など、皮膚がこすれる場所にできやすく、そのような場所にカビが付着することで痒みが出てしまいます。
カンジタ菌が増えるサイン
膨満感
腸内で悪玉金やカンジタ菌が増えると腸内バランスが崩れてガスが溜まりやすくなります。そのためお腹がぽっこりしたり、ガスが臭くなることが多いです。
便秘や下痢
カンジタ菌が腸内環境を悪化させると腸の働きが乱れるため、便として出るべきものが出 なかったり、逆に出すぎたりします。便秘になるか下痢になるか腸内の状況次第です。
疲労感
ただの疲れではなく、体がだるくて動けなくなるのはカンジタ菌が体内で毒素を放出しているのが原因です。カンジタ菌の毒素は、体中にばらまくだけでなく脳にも影響を与え、集中力が低下したり、やる気がなくなったりします。また理科学研究所の論文「カビによる肝障害悪化メカニズムを解明-カンジタ菌は活性酸素を産生し、タンパク質架橋酵素の核移行を招く-」によれば体にとって毒である活性酸素まで作り出すことを論じています。
口腔異常
口の中に白い舌やコケがつく、粘膜が荒れているなど、その場合は腸内で暴走したカンジタ菌が口の中まで影響を及ぼしている可能性があります。特に舌が白くなるとカビが口の中まで進出している可能性が高いです。
皮膚の湿疹や痒み
腸内環境が悪くなると皮膚にも影響が現れ、湿疹が出たり痒くなったりします。この場合もカンジタ菌が腸内から全身に影響を及ぼしている可能性があります。
腸のお掃除食材
お腹の調子が悪く腸にカビが生えている可能性がある時に、飲むべきものがリンゴ酢です。なぜならリンゴ酢には腸で繁殖してしまったカビ菌だけを集中して攻撃する効果があるからです。当然、強力な抗菌作用のある食べ物によってカビ菌が一層できたとしても、それと一緒に善玉菌も死滅してしまえば、またすぐに悪玉菌が優位になってしまいます。しかしリンゴ酢は善玉菌を攻撃せず、繁殖したカビ菌だけを駆除する効果があります。ただし注意していただきたいのが、カビ菌に効果的なリンゴ酢はあくまでも純リンゴ酢です。
また、アメリカのタフト大学の研究では、ココナッツオイルにカンジタ菌の増殖を抑える効果があることが分かっています。またMCTオイルも腸内に過剰に増殖したカンジタ菌を抑制する力を持っていると言われています。これはMCTオイルを構成する中鎖脂肪酸のカプリル酸にカンジタ菌を抑える抗真菌作用があるからです。
そして腸のお掃除食材として優秀なのが大根おろしです。2023年に発表された研究によれば、大根おろしにはカンジタ菌や黄色ブドウ球菌といった腸内で悪さをする細菌や真菌を選択的にやっつけてくれる抗菌作用があることが確認されています。このような効果は大根おろしが持つ独自の辛み成分アリルイソチオシアネートに秘密があると言われています。
お腹の調子が悪い時に食物繊維を摂ってはいけないのは食物繊維がカンジタ菌の餌になってしまうからですが、カンジタ菌がアリルイソチオシアネートによって破壊されるため、食物繊維を横取りする悪者はいなくなって食物繊維は善玉菌だけのものになります。
このような理由から大根おろしはカンジタ菌だけをやっつけて逆に善玉菌だけを増やしてくれる効果があります。このアリルイソチオシアネートは、大根をすり下ろして組織が壊れた時に初めて発生する物質になります。あくまでも擦り下ろした大根おろしが効果的であるというポイントを抑えておきましょう。
サイリウムハスク
サイリウムハスクを聞いたことがあるでしょうか。サイリウムハスクとはオオバコという植物の種子から取った食物繊維のことで、腸内環境の改善に絶大な効果を持つことで大注目されています。またサイリウムハスクはあくまでも天然の食材のため科学的に合成されたサプリとは異なります。
サイリウムハスクの最大の特徴としては豊富な水溶性食物繊維と、その独特のゲル状の性質です。水と混ぜると膨張してゲル状になることで腸内を穏やかに移動し、消化管全体を 整えてくれる効果があります。このような効果のため、サイリウムハスクは便秘改善や血糖値の安定、満腹感の向上といった様々な健康効果をもたらします。
特に腸は第2の脳とも呼ばれ、全身の健康に密接に関係している臓器です。腸が健康であれば栄養の吸収はスムーズに進み、老廃物も効率よく排出されます。サイリウムハスクを摂取すると腸内の善玉菌の栄養源となり、腸内フローラを整える助けになってくれます。これによって便秘や下痢といった不調も改善され、腸内のバリア機能が向上して病気の予防にもつながります。
実際、サイリウムハスクを約100人の被験者に飲ませた実験では、2週間で腸内のバリア 機能は大きく改善し、過敏性超症候群の症状まで減ったことが分かっています。過敏性腸症候群は主に大腸に影響を及ぼす慢性的な消化器系の疾患で、腹痛や腹部の不快感、下痢、便秘、ガスの過剰といった症状に特徴があります。
この症候群は腸の働きに異常があるものの気質的な異常、例えば腫瘍や炎症などは見られないため外見的には健康な腸でありながらも辛い症状が出てしまうという特徴があります。またサイリウムハスクを摂取することによって体内の炎症が大きく減少するという効果も研究によって確かめられています。
そして、サイリウムハスクのもう1つ重要な効果が満腹感を高めてくれることです。水分を吸収すると膨張して大きくなる性質があるため、少量のサイリウムハスクであっても満腹感を持続させることができ、特にダイエット中の方にとってはカロリー摂取を抑えながらも満足感を得られるという点で強い見方になってくれます。食事の前にサイリウムハスクを摂取することで食欲を抑え、自然と食事量が減るため体重管理が楽になると多くの人が実感しています。
マイクロバイオーム(腸内細菌層)
マイクロバイオーム研究が世界中で進み、腸内細菌が病気を起こす因子を持っていることが分かっています。また2013年には、偽膜性腸炎というある種の菌が慢性炎症を起こすことも分かり、さらに健康な人の糞便をその患者に移植すると高い治癒力で回復した事例も現れました。
これらから糞便の中には病気を起こす原因と病気を治す因子があることが分かり、そこから健康や病気に関係する腸内細菌のデータ調べ、病気の人と健康の人の腸内細菌は何が違うのかという研究が注目されています。
例えば、健康な人の腸内細菌の多様性(バランス)は、ある一定の菌組成比で構成されていますが、病気の人の場合はその組成比(β多様性)が大きく変わっていることがあります。また細菌層の中の菌種数(α多様性)についても、健康な人に比べて病気の人は大きく低下していることも分かっています。ただしその中でも個人差あり、健康な人でも疾患の細菌層に似た人もおり、そこがマイクロバイオーム研究の難しい部分になっています。
シンバイオティクスの働き
腸活の基本は、食事や運動などで腸内環境を整えることです。腸内には多数の菌、いわゆる腸内フローラが生息しており、腸内細菌には善玉菌、悪玉菌、日和見菌に分けられます。そのバランスが整っていれば腸の運動が活発になり、お腹の不調が改善されます。腸内環境を整えるには善玉菌を積極的に摂ること以外に、善玉菌の餌も一緒に摂ることが大事です。
その餌となるのがプレバイオクスで食物繊維やオリゴ糖が代表的です。この餌となるプレバイオクスは果物、野菜、キノコ、豆類、海藻類などが食材として挙げられます。特に食物繊維は効果が高いと期待されており、胃で消化されずに大腸まで達することができるからです。
ちなみに同じような言葉でプロバイオティクスがありますが、そのものが善玉菌を持っている生きた微生物、または食品のことで、ヨーグルト、乳酸菌飲料(乳酸菌やビフィズス菌)、納豆、ぬか漬け、味噌、キムチなどが挙げられます。また中でも善玉菌の一つであるビフィズス菌は乳酸菌よりも大きな効果をもたらすと言われています。
この2つを組み合わせたものをシンバイオティクスと言い、腸内環境を整え、健康に良い影響を与えると言われています。シンバイオティクスの働きとして考えられる作用が感染症を引き起こす可能性のある菌が腸内で異常増殖するのを抑えてくれる作用、腸のバリア機能を改善して腸内細菌の侵入を防ぐ作用、そして炎症抑制作用です。シンバイオティクスで日本人にとって親しみのある組み合わせが味噌汁です。そして日本人特有の性質として酪酸菌が多い傾向があります。
酪酸菌の若返り効果
酪酸菌を摂取すると、その酪酸菌は酪酸を作り出し、酪酸を生成することでしか得られない効果があります。それが酪酸は腸内を弱酸性にする効果があることです。それ以外に腸内の酸素も減らしてくれ、酪酸と酸素を使う大腸の上皮細胞がエネルギーを生成し、結果的に酸素が減ります。実は善玉菌は酸素に弱く、悪玉菌は酸素が多い環境が好まれています。酸素が減り腸内が弱酸性の環境になると善玉菌が活発化され、マグネシウム、カルシウムなどのミネラルも相場効果で吸収されやすくなります。
そして酪酸菌が酪酸をたくさん生成することで若返り効果があることが分かっています。シンガポールの大学と国際機関によるマウスを使った実験の結果があり、若いマウスの腸内細菌を年置いたマウスに移植する実験を行うと、新しい神経細胞が分化する現象と活発化が見られました。さらに脳でも新しい神経細胞の生成が活発化していることが確認されています。
この神経を新しく生み出し、活発化させたのが酪酸の働きであることを突き止められています。ここから導き出せることは、酪酸には長寿のためのホルモン生成を活発化させる働きがあること、脳に影響を与えていることから認知機能の低下を抑制する効果があると考えられています。
肥満抑制効果
酪酸菌の主な餌は食物繊維やオリゴ糖で、これらを分解し発酵することで酪酸が生成されます。これは短鎖脂肪酸という、いわゆる痩せホルモンに分類されます。短鎖脂肪酸は交感神経と主に結合され、神経や脳を活性化させることによるエネルギー消費効果が期待できます。簡単に言えば代謝が上がって脂肪が溜まりにくくなる効果があります。
京都大学の研究では短鎖脂肪酸そのものにも食欲抑性効果があると分かっています。この食欲抑制効果は、腸にある神経を活発化させることにより脳へも伝達させ、脳に神経情報を伝えることで脳が満腹感を感じやすくなります。これにより食欲抑制が期待できるとされています。
酪酸菌の抗アレルギー効果
シカゴ大学では無菌マウスで重度の牛乳アレルギーに対する反応を研究しており、無菌マウスに健康な入児の腸内細菌を移植して、牛乳を与えて反応を確認しました。すると健康な乳児のマウスは牛乳への免疫があったためかアレルギー反応が出ず、逆にアレルギーを持つ乳児の腸内細菌を移植すると重度のアレルギー反応が確認されています。この結果、乳児の腸内細菌の違いに酪酸菌が関わっていることが分かっており、酪酸菌がアレルギー反応から守る効果、もしくは抑性効果があることが分かっています。
乳酸菌について
代表的な善玉金は乳酸菌、ビフィズス菌、そして酪酸菌で、それぞれ性能は異なる特徴があります。乳酸菌の働きは、腸内を酸性にして悪玉菌が住みにくい環境を整えること、大腸を刺激して腸の蠕動運動を促すこと、便の水分量を増加させること、免疫細胞を活性化させることが挙げられます。
ビフィズス菌は、酪酸と同じ短鎖脂肪酸の酢酸を作り出します。酢酸は大腸から吸収されて、全身の臓器や筋肉で代謝に使われ、生体調節機能を果たすと言われています。酪酸菌も同じく腸内を酸性にすることで悪玉菌が増殖しないようにします。また酸素があるとビフィズス菌の活動が抑制されてしまうことがあり、この酸素を排除し、ビフィズス菌を活発化させる作用が酪酸菌にはあります。
他にも大腸の上皮細胞のエネルギーになる以外にも、腸の粘膜の分泌を促します。腸の粘液の分泌が促されることで病原菌の侵入を防ぐことができます。これにより胃酸に強く、生きて腸まで届くと言われています。ちなみに酪酸を作り出せるのは酪酸菌だけで、乳酸菌やビフィズス菌の効果を高める効果が期待できます。また腸内環境は健康や美容と密な関係であることも分かっており、体内の免疫細胞のおよそ7 割が腸に存在していると言われています。
コーヒーの腸内細菌に与える影響
最近の研究では、コーヒーそのものが腸内細菌にダイレクトに影響を与える可能性があると報告されています。例えばコーヒーを飲む人では、バクテロイデス(Bacteroides)、ポルフィロモナス(Porphyromonas)、プレボテラ(Prevotella)などの属レベルの細菌層の変化が起こることが分かっています。例えば2021年に報告された研究では、コーヒーを摂取することによって腸内細菌の中の特定のもの、具体的にはローソニバクターアサカロリティス(Lawsonibactoer asaccharolyticus)という特定の種類の腸内細菌が、コーヒーの摂取と強い関連があることが分かっています。
ローソニバクターアサカロリティスは、最近発見された新しい腸内細菌で腸内に生息する嫌気性細菌の一種で、腸内フローラの構成要素として注目されています。嫌気というのは酸素を嫌い、酸素がない環境でも増殖できる細菌のことで、私たちの腸内には多種多様な細菌が生息しており、その数は約1000種、約100兆個にもなります。細菌は特に小腸から大腸にかけて生息しており、これらの様々な細菌がバランスを取りながら腸内環境を良い状態にしてくれています。
ローソニバクターアサカロリティスという名前が示す通り、糖を分解しない特性を持ち、asaccharolyticとは糖非分解性のことで、主にタンパク質や脂肪の代謝産物を利用すると推測されていいます。腸内フローラのバランスを維持してくれているローソニバクターアサカロリティスは、まだ新しい分類群で研究段階にあり、微生物の多様性や機能についての理解を深める良い手がかりになると期待されています。
そして、コーヒーの摂取量は腸内にあるローソニバクターアサカロリティスの数に最も影響を与えていることが分かっています。ローソニバクターアサカロリティスは、コーヒーをたくさん飲んでいる人たちは飲んでいない人たちの約4.5から8倍の量があり、そして中程度飲んでいる人たちは飲んでいない人たちに比べて3.4から6.4 倍のレベルのローソニバクターアサカロリティスが確認されています。つまりコーヒーに依存して特定の細菌が増えているということが確認されました。
また、コーヒーをたくさん飲んでいる人たちが 4.5から8 倍の量、中程度飲んでいる人たちが 3.4から6.4 倍の量ということは、実際ローソニバクターアサカロリティスの腸内細菌の比較をしてみると大きなばらつきはないということになり、つまり大量にコーヒーを飲まなくてもある程度腸内細菌の変化が起きていることになります。そのため大体1日3 杯飲めばそれ以上はほぼ変わらないことが分かります。
一方で、腸内フローラは健康に関わる3つの役割を担っており、1つ目は消化できない食べ物を体に良い物質へ作り替える、2つ目は腸内の免疫細胞を活性化し、ウイルスや菌などの病原微生物から体を守る、3つ目は腸内フローラがバランスを保つことで健康を維持することができることです。
ローソニバクターアサカロリティスの増加が健康全般にどのような影響を与えるかはまだ十分に解明されていませんが、しかし腸内細菌と健康との関連性が明らかになる中で、この細菌が持つ潜在的な役割に期待が寄せられています。
鍼灸で腸内フローラを改善する
実は鍼灸が善玉菌を増やす効果は、遡ること1968年に「腸内細菌叢および糞便成分に及ぼす鍼灸の影響に関する研究」として報告されています。この研究では、鍼灸治療により、糞便中の大腸菌の減少、腸内球菌及び腸内菌の減少、乳酸菌の増加が確認されており、腸内フローラの改善効果が示されています。
鍼灸によってツボを刺激することで胃腸系の調子を整え、腸内細菌の善玉菌を増殖し、余分な内臓脂肪を分解して腸内をキレイにします。その結果、下痢や便秘、これに伴う不快な症状の改善が期待できるのです。ちなみに、上記の研究で使用された6つのツボは以下になります。
- 命門(めいもん):ちょうどおへその反対側に位置
- 志室(ししつ):ウエストラインの高さの背骨から指4本分外側に位置
- 腰腸関(こしようかん):背骨と背骨のあいだのへこみ
- 大腸兪(だいちょうゆ):背骨から左右に指2本分離れた位置
- 胃兪(いゆ):ウエストラインの高さの背骨から、上に指3~4本分、左右に指2本分離れた位置
- 腎兪(じんゆ):背骨中心から指2本分外側

【本コラムの監修】

・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。