美容鍼灸とリンパの流れ

    美容鍼灸とリンパの流れ

    お肌トラブルの原因の一つに生活上のストレスがあります。生活の中で知らず知らずのうちに物理的及び精神的ストレスを受けて、徐々に肌トラブルへと発展します。例えば紫外線、空気の乾燥でシワ・たるみ・くすみ(STK)、肌荒れ、シミになりますし、お肌にあわない化粧品や間違ったクレンジングでも肌トラブルへと繋がります。

    一方で、加齢による新陳代謝の低下、不規則な生活リズム、食生活の乱れ、過激なダイエット、喫煙や飲酒なども肌トラブルの原因になります。さらに現代人の多くは、仕事関係、人間関係、家庭問題などの様々なストレスを抱えており、結果としてホルモンバランスが乱れがちです。

    このような身体的ストレスと精神的ストレスは相互に影響していますので、肌トラブルを避けるためには、これらのストレスを同時に取り除く必要があります。

    シミ・シワ・くすみにはリンパを流す

    リンパ液は、生活習慣、ストレス、加齢、疲労などの影響によって流れが滞り、流れが悪くなるとさらに老廃物が体内に溜まり、疲れ、体調不良などを引き起こすだけでなく、シミ・しわ・くすみや肌荒れの原因となります。またむくみや冷えによってセルライトの増加や脂肪太りにも影響します。

    リンパを流すためには十分な睡眠、バランスの良い食事、適度な運動など生活習慣の改善がベースになりますが、リンパ液の流れのためには適度な脂質と水分を摂ることが大切です。

    リンパの流れを良くすることで免疫力が高まり、むくみがとれて体調が良くなりお肌にハリ・ツヤが出ます。リンパの流れが体内で果たす役割が近年の研究で明らかになってきました。またその役割が従来考えられていたことよりも遥かに重要な役割を担うことも分かっています。

    医学用語には「リンパ」がつく言葉が沢山ありますが、一般的にリンパ流れとはリンパ液のことです。リンパ液は全身を流れる体液のことで、その通り道をリンパ管と言い、全身に張り巡らされています。リンパ液には「リンパ球」という免疫細胞が含まれており、リンパ液の流れにのって体内を巡っています。リンパ液は体内に約2リットル含まれており、その流れはゆっくりと半日から1日で全身を一周します。

    このようなリンパの流れをより速く流そうと促すのがリンパドレナージュなどのマッサージです。またリンパの流れは単に仰向けになっているだけで促されるという研究結果もあります。理由はリンパ液の約8割が足と腹部に偏って存在し、特に腹部にある「リンパ液のプール(乳糜槽)」に溜められており、重力の影響を受けて効率的にリンパ液を流すことができません。しかし仰向けになると、それだけで自然と腹部と足に溜まっていたリンパ液が胸管に向かって流れ、静脈に流れ込むことを促すことになります。また仰向けになりながら腹式呼吸でお腹に圧力をかけてあげることで、横隔膜の下の乳糜槽も圧迫され、下半身に溜まったリンパ液を流れるようになります。

    乳糜槽にはリンパ液だけでなく脂肪も集められ、一緒に胸管に流れていきますが、ある程度の脂肪があることで流れがスムーズになります。同じく水もスムーズにする働きがあるため、小まめに水を飲むことを心がけましょう。

    リンパの流れが滞る

    私たちの体に大きく分けて3つの管があり、リンパは、実は血管と同じぐらい重要役割があります。血管は、栄養素や酸素を全身の細胞に運ぶという重要な役割を果たしています。そして血管と並んで重要なもう1つの管が消化管です。口から肛門に至るまで、私たちの体は1本の管によって貫かれています。

    消化管の働きは、食べ物を消化吸収するという作用であり、また腸の研究が進むことで腸が第2の脳と呼ばれたり、人体最大の免疫臓器などと言われるようになっています。そしてリンパ管は、血管の中に血液が、消化感の中に食べ物が流れるのに対し、リンパ管には主に3つの物質が流れています。それが老廃物、脂質、免疫細胞の3つです。

    実は、血液とリンパ間は互いに交通しており、物質の交換を行っています。実際に血管とリンパ間は、左の鎖骨あたりで合流しており、ここでリンパと血液が混ざり合います。そして血管とリンパ管の違いは、簡単に例えると血管が上水道だとすれば、リンパは下水道の役割を果たしています。

    血管とリンパ管の関係は、このような上下水道の関係に似ており、血液に含まれる老廃物は1つ1 つが小さくて量もそこまで多くはありません。また血管内の免疫細胞は、風邪を引いた時などのトラブル時には増えますが、通常時は少数の免疫細胞がパトロールをしているだけで炎症を引き起こすほどではありません。

    一方でリンパ管は、老廃物や脂質でドロドロの状態で、実際にリンパ液には、ドロドロで様々な物質で汚れています。そしてこのような汚いリンパ液を濾過して綺麗にするフィルターの役割を果たして いるのがリンパ節です。リンパ節には大量の免疫細胞が常駐していて、リンパ液内の汚れを日々観察し、異物を排除しています。風邪を引くとリンパ節がぷっくりと腫れるのはこのためで、リンパ液の中のウイルスなど、大量の免疫細胞がやっつけるためにリンパ節が活性化しています。

    このように老廃物や脂質、そして異物など様々な物質を処理するリンパ節は、1つ非常に大きな問題があります。それは流れが滞りやすいことです。心臓から出た血液が体を一周し、また心臓に戻ってくるまでの時間は、僅か30秒です。一方でリンパ管では、末梢のリンパ管からゴールである左鎖骨までリンパ液が巡るのにおよそ丸1日かかります。しかしこれはあくまで健康的な人のリンパ液の流れる時間です。

    実は、現代人の多くがリンパ液の流れが遅く、リンパの流れが滞っています。これには水分不足、脂質や添加物の摂り過ぎ、運動不足といった様々な原因が挙げられます。リンパ液も液体のため、水分のような液体成分が少なければは少ないほど、また脂質や不純物のような固形成分が多ければ多いほどドロドロになり、流れが遅くなります。

    さらに運動不足も大きな問題で、心臓による強力なポンプ機能がある血液と違い、リンパ液は主に筋肉の収縮が流れを生み出しています。またリンパ液の終点は左鎖骨の下にあるため、2足歩行の私たち人類は下半身のリンパ液が血管に戻りづらくなっています。そのため運動不足によって筋肉の収縮が不足し、ほとんどリンパが流れないような状態になってしまっています。

    このようにリンパの流れが滞ることで老廃物や脂質がリンパ管内に留まり、ヘドロ汚れのように詰まってしまい、こうしてヘドロ化したリンパによって、その下水の汚れが上水道にも漏れ出してしまうことになります。つまりリンパ管が詰まることで、血液に大量の老廃物や脂質が溢れ出し、汚染された血液は脳や肌などありとあらゆる細胞を破壊します。中でも最も大きな被害を受けるのが腎臓です。

    なぜなら腎臓は、血液の中の汚れを尿として体の外 に出すための体内の最終ゴミ処理場だからです。リンパ管からの汚れが溢れ出した血液は、腎臓のゴミ処理能力を超えてしまい、腎臓は血液の流れをろ過すべくかんばりますが、いずれ腎臓の機能が低下し、元に戻らなくなります。

    腎臓は、ネフロンという非常に小さな無数のフィルターによって構成されており、このネフロンは1度壊れると2度と再生しません。これは大量の汚れによって腎臓のフィルターの穴の1つ1つが目詰まりしてしまい2度と開通しないようなイメージです。リンパ管から漏れ出したヘドロのような不純物や油汚れが腎臓のフィルターに 詰まって腎臓が破壊されてしまうのです。

    リンパの大切な機能

    リンパ液の流れの源流は、細胞の周囲を満たしている「組織液」です。私たちの体の細胞が生きていくために必要な水や栄養素は、血液によって供給しますが、血液が直接細胞に届けるわけではありません。細胞は毛細血管から染み出た血液成分に浸されることで、そこから栄養を吸収します。この染み出た血液の液体成分が組織液です。

    細胞は組織液から栄養素を受け取ると同時に、老廃物や二酸化炭素を組織液中に放出します。これらの老廃物などは毛細血管に素早く回収されますが、すべての老廃物などが回収されるわけではありません。その回収は10〜20%で、それ以外は毛細血管の周囲にある毛細リンパ管で回収されます。

    このリンパ管の特徴は運ぶものの大きさによってその太さを変えることができます。血管のようなしっかりした組織ではなくゴム風船のような組織のため、白血球などの大きな物質は、血管でなくリンパ管を通ることで体内を移送することができます。

    そして、私たちの体の免疫機能の中心となるのが白血球であり、リンパ液に含まれる免疫細胞にはリンパ球とマクロファージがあります。リンパ球は体内を巡りながら異物を見つけ排除し、マクロファージは異物を飲み込んで排除します。飲み込んだマクロファージは大きすぎて毛細血管を通れないため、リンパ管を通って運ばれます。つまり免疫が高いということは、リンパ球やマクロファージが頻繁にリンパ系を循環しているということに他ならないのです。

    このように重要な役割を担うリンパの流れですが、滞ると表れる代表的な症状がむくみです。さらにむくみが続くと皮下脂肪が集まりやすいということも最近の研究で明らかになっています。これはリンパ球が老廃物だけでなく、脂肪を回収してくれるからです。

    リンパ管の流れが滞ると現れる症状

    リンパの流れと慢性疲労

    リンパ液の流れが滞って腎臓が老廃物を処理しきれなくなると、ついには全身の細胞にまで毒素が漏れ出してくることになります。私たちの細胞1つ1つは代謝によって様々な疲労物質を生み出しています。

    例えば筋肉が収縮する際に出る乳酸などが挙げられます。こういった細胞のゴミも、本来であればリンパに流れてリンパ節のフィルターで処理され分解されますが、リンパの流れが滞ることで疲労物質の除去ができなくなってしまいます。その結果、寝ようが休もうが疲れが取れなくなります。リンパ管が詰まるとそれ以上疲労物質を流し出すことができなくなってしまい、疲労物質が細胞にどんどん蓄積して全然疲れが取れなくなってしまいます。

    リンパの流れと疲れ

    リンパ管の流れが滞り、腎臓が老廃物を処理しきれなくなるとついには全身の細胞にまで毒素が漏れ出してくることになります。私たちの細胞1つ1つは日々代謝によって様々な 疲労物質を生み出しています。このような細胞のゴミも、また本来であればリンパに流れてリンパ節のフィルターで処理され分解されますが、リンパの流れが滞ることでそのような疲労物質の除去ができなくなってしまいます。

    休んでもしつこい疲れが取れないと悩んでいらっしゃる方の多くの場合は、疲れが取れない原因として睡眠の質が低いのではなく、リンパ管の詰まりが原因になっているかもしれません。リンパ管が詰まって渋滞すると、それ以上疲労物質を流し出すことができなくなってしまい、疲労物質が細胞にどんどん蓄積し、全然疲れが取れなくなってしまいます。

    リンパの流れと認知症

    また、疲労物質が溜まるのは筋肉だけではありません。リンパ液の流れが滞ると脳神経や血管内皮細胞などありとあらゆる細胞に不純物が溜まっていきます。脳の神経細胞は日々働き続け、ものすごい数の老廃物を放出しています。こうした老廃物の中には、アルツハイマー型認知症の原因となるアミロイドベータというゴミも含まれています。

    このアミロイドベータは、寝ている時に脳脊髄液という洗浄液によって洗い流されますが、この脳脊髄液は結局、血液に合流します。リンパ液が滞ってしまえば、リンパからヘドロが溢れ出た血液は当然ドロドロになり、流れが遅くなります。そうなれば最終的に血液に合流 する脳脊髄液までもが流れづらくなってしまいます。その結果、脳の中にアミロイドベータを始めとする大量のゴミが留まります。

    リンパの流れと冷え・肩こり

    さらに私たちの血管はただの管ではなくて血管内皮細胞という細胞によって裏打ちされており、リンパの流れが滞るとこのような血管内皮細胞にまで疲労物質が溜まり、血管の健康が損なわれてしまいます。このような血管は正常に働くことができなくなり、血液の流れが 詰まってしまい、こうして肩こりや冷え症といった抹消の血流が原因の症状が現れます。

    肩こりは、肩の血流が滞ることで起こり、冷え症は指などの末端に血液が行き届かないために起きます。もちろんお肌や髪の毛にも影響があり、抹消の血管が詰まってお肌や頭皮の細胞に酸素や栄養が行き届かなくなってしまえば、当然肌荒れや抜け毛の原因になります。

    リンパの流れと股関節への影響

    リンパはあくまで老廃物の除去や免疫に関わるものため、足腰には直接関係がなさそうに思われますが、リンパの流れが滞ることで最も大きな問題となるのが浮腫によって関節が曲がらなくなってしまうという症状です。リンパ浮腫はその名の通り、リンパが詰まってむくんでしまうことです。

    リンパ浮腫は、乳がんの手術などでリンパ節を切除することで起きることがあり、リンパ節を切除することでリンパの流れが止まってしまい、そこに溜まったリンパ液がむくみを起こしてしまいます。むくみは運動不足などによってリンパ液の流れが滞ることで起きることも珍しくはありません。しかしリンパ浮腫とむくみの大きな違いは、必ずしも手足の両側で起きるわけではないこと、そして痛みを伴わず非常にゆっくり進行するということです。

    普通のむくみは、血流が滞って水分が組織に漏れ出すことで起こり、血流は非常に速いので普通のむくみも進行するのも速く、逆に改善するのも早いです。このように急速に進行して手の両方に痛みを伴うことがあるのが普通のむくみの特徴です。一方でリンパ浮腫は、これと全く逆でゆっくり進行し、痛みを伴わず、時に手足の片方だけで起こります。普通のむくみでは急速に組織が引き延ばされるため痛みを伴いますが、リンパ浮腫はゆっくりのため、ほとんど自覚症状がありません。また心臓から出て左右の肺に戻ってくる血液循環は左右 対象ですが、左の鎖骨に合流するリンパ液は左右で構造がバラバラのため、普通のむくみと違って左右差が出やすいというのもリンパ浮腫の特徴です。

    実は、足というのは非常にたくさんのリンパ節が密集している場所で、リンパ節は足首や膝裏、またの付け根などに密集しており、リンパ節が密集するということはそれだけリンパの流れに影響を受けやすい部分だということになります。さらにリンパは下半身から左の鎖骨に向かって流れるため、重力の関係で足に溜まりやすい性質があります。そのためリンパの流れが滞ると片足がリンパ浮腫でむくんでしまうことがあります。

    例えば膝裏のリンパ節でむくみが生じた場合、むくみのせいでしっかり膝が曲げられなくなってしまいます。そうなると当然歩くのが大変になります。また片足だけがむくむことで歩き方が不自然になり、もう片方の足により大きな負担をかけることになります。しかも問題は、リンパ浮腫は体重増加を伴うということです。

    リンパ液は大量の老廃物が流れているドロドロの液体のため重い特徴があり、そのためリンパ浮腫は普通のむくみよりも体重が増えやすくなります。さらにリンパの流れが滞って全身の細胞が汚染されると代謝が落ち、脂肪が燃えづらくなります。そのためリンパが詰まると脂肪とリンパ液の両方が詰まることで加速度的に体重が増加します。

    こうして体重が増えた体で片方の足だけがむくんでうまく歩けないと、増えた体重が全て片方の膝に負担をかけ、股関節に悪影響を与えます。さらに片足の膝の周りの筋肉はリンパの流れが滞ることで疲労物質が溜まりやすくなり、もはや収縮することもままなりません。本来であれば関節への負担は周りの筋肉によって軽減されていますが、そのような筋肉の クッションすらも失われてしまいます。

    リンパの詰まりを改善する飲み物

    白湯

    白湯とは他でもなく軽く温めた水のことで、飲むだけで滞ったリンパ液がどんどん流れて健康になれてしまいます。私たち現代人のリンパが滞ってしまうのは、主に油物や添加物の摂取、水不足、運動不足が原因です。このうち左右を飲むことで水不足が解決するだけでなく、油物や添加物による不純物の問題もある程度緩和できてしまいます。

    私たちのリンパ液は、下水のようなドロドロのため、そこにたっぷりの水を送り込んであげることでリンパ液が薄まって流れが良くなります。またリンパ液は油汚れがいっぱいのため温かいお湯で流すことである程度油汚れが落ちてくれます。さらに白湯の温度にて深部体温が上がり、代謝がアップして脂肪燃焼が促されます。

    生姜湯

    白湯に少量の生姜を加えて生姜湯にすることで白湯が持っている健康効果をさらにブーストすることができます。リンパ液には老廃物を除去するフィルターとしての役割以外に、免疫を司るという重要な役割があります。このリンパ液の免疫機能をアップするという点において生姜は抜群の効果を発揮してくれます。

    実は、生の生姜をお湯に入れると生姜が持つジンゲロールという物質が生姜オールという成分に変化することが知られています。この生姜オールは発寒を促し、体を内側から温めてくれる働きがあります。リンパ内に存在する免疫細胞は、ある程度体温が高い時に最も活性化するようになっています。日頃から生姜を飲むことで体温をやや高めに維持し、熱が出ない程度に免疫細胞を活性化することができます。

    蜂蜜

    生姜湯に蜂蜜を加えた蜂蜜生姜湯もおすすめです。蜂蜜もまた生姜湯と並んでリンパにとって非常に良い効果をもたらしてくれます。腸は人体最大の免疫器官ですが、大腸がんのリンパ節転移という言葉がある通り、腸にはたくさんのリンパ管やリンパ節が張り巡らされています。

    このような腸のリンパを腸関連リンパ組織と言います。この腸関連リンパ組織は、私たちが体の外から摂り入れた不純物にとっての最初の関門になります。食べ物と一緒に腸から吸収されてしまった不純物を捉えて、それを処理するという重要な役割があり、そして最近ではこのような腸関連リンパ組織が腸内に住む善玉菌と密接な関係があることが分かってきました。そのため腸内細菌を元気にすることは、そのまま腸関連リンパ組織を活性化することにつながります。蜂蜜には、善玉菌の餌になるオリゴ糖がたっぷり含まれており、腸管免疫をアップする効果もあります。

    リンパの流れをスムーズにするエクササイズ

    リンパを流す首ほぐしストレッチ

    リンパの流れを良くするためには、体の大きなリンパ節がある箇所を刺激してあげることが大切です。その中でも首はリンパ の通り道で、体全体の流れを整える鍵となります。

    1. 椅子に座るか立った状態で背筋をまっすぐと伸ばします。
    2. 首をゆっくりと右に倒し、左側の首筋を伸ばします。この時右手を頭の上に置いて軽く押せばさらに伸びを感じられます。
    3. 反対側も行いましょう。
    4. 最後に首の付け根をマッサージします。親指と人差し指で耳の後ろから鎖骨に向かって軽く撫で下ろすようにマッサージをします。

    この首ほぐしストレッチによって首や肩回りのリンパ節が刺激でき、頭部の老廃物が流れやすくなります。これによって顔のむくみや疲労感も軽減され、すっきりとした感覚が得られるでしょう。

    足のポンプ動作で全身のリンパを流す

    下半身は重力の影響でリンパが滞りやすい部位で、特に長時間の立ち仕事で足がむくみやすい方にはこのエクササイズが最適です。

    1. 床の上に仰向けになって両足を天井に向けて伸ばしてください。
    2. つま先を遠くに伸ばすように足首を動かし、その後踵を突き上げるように戻します。
    3. この動作を30秒間繰り返します。
    4. そして足を上げた状態で上下に軽く揺らして、リンパ液を促します。
    5. 最後に足を床に下ろしてリラックスしましょう。

    このエクササイズによってふくろはぎの筋肉がポンプのように働き、下半身に溜まったリンパ液を心臓方向へと流すことができます。むくみ解消だけでなく全身の血流も良くなり、体全体がポカポカと温かく感じられることでしょう。

    全身のリンパを刺激するエクササイズ

    体のリンパ液が集まる大きなリンパ節の1つが液化リンパ節です。ここを刺激することで上半身全体のリンパの流れを促進することができます。

    1. 右手を頭の上に持ち上げ、脇を開いてください。
    2. 反対の手、左手の親指を使って右脇の下を円を描くように軽く押します。心地よい痛みを感じる程度が適切な圧力です。
    3. 同様に左脇の下もマッサージします。
    4. 両腕を下ろし、ゆっくりと深呼吸ができたら終了です。

    液化リンパ節を刺激することで老廃物がスムーズに排出されやすくなります。特に肩や腕の疲労感を軽減し、肩こりや腕のむくみに効果的です。

    リンパの流れは、少しの動きであっても改善できると言われています。特にリンパ節を刺激することで体全体の老廃物が流れ、健康な状態が維持できます。

    リンパドレナージュの効果

    リンパドレナージュは、リンパの流れをよくすることで「冷え」「コリ」「むくみ」といった症状の改善、「体調管理」「免疫力の強化」に至るまで幅広く活用されています。

    身体に流れるリンパ液は、老廃物などを運ぶ役割があります。しかし血液と違って心臓のポンプ機能がないため、流れが遅く滞りやすい特徴があります。リンパマッサージはこの滞りを解消して、老廃物を体外に排出するサポートすると言われています。

    リンパの流れが滞ってしまうと、体内の老廃物や疲労物質が残ってしまうので、疲れやすくなったり、お肌のツヤがなくなったりしてしまいます。施術で鎖骨部をほぐのは、体中のほとんどのリンパが左鎖骨の下で静脈に合流し排泄されているのでとても詰まりやすい場所だからです。

    またリンパドレナージュによって、滞っていたリンパを流してあげることで、老廃物などを静脈に押し流すこともできます。特にリンパの詰まりやすい「リンパ節」という部分が脇下、鎖骨、顎下、お腹、脚の付け根などに存在しており、末端から気持ちよい程度の力で押し上げるようにリンパ節に向かってトリートメントすると、心地よさを感じて頂けると思います。

    その結果、血行が改善し、むくみやセルライトの改善だけでなく、シミ・しわ・くすみや肌荒れなどの原因物質も排出されやすくなり、美肌効果も期待できます。また心地よいトリートメントによって、自律神経の乱れを整えることでリラクゼーション効果も期待できます。

    上手なオイルトリートメントはとても気持ちがよく、心身共に深いリラックス効果を得られます。心からリラックスすることで、毎日の精神的ストレスを解消することできます。身体も心も緊張がほぐれストレスから解放されることにより、身体の本来の機能が正常に働き、結果的に免疫力が向上して、身体的ストレスを軽減し、次の病気を予防することにもなります。

    当院が導入する「美容高周波温熱治療機器」は、体の深部から体温を上昇させ代謝を活性化させることができます。ご自身が生み出す熱により、老廃物や余分な脂肪の排泄が促され、リンパの流れや血行が良くなり、体温上昇、基礎代謝もアップします。

    深部体温が上昇した上で、リンパドレナージュによって、さらにリンパ液の流れを活性化して、人の身体にとって不必要な異物や老廃物の排出を促します。オイルトリートメントの心地良さとしっかり押し流すような手技によって、手先・足先まで温かな血流が行き渡る感覚が味わえます。

    疲労回復効果とオキシトシン

    日中に5分間目を閉じて休んでも休まるのは脳や目といった神経系の器官だけで体が休まるわけではありません。体を適切に休ませようと思ったらマッサージやスパで全身をリラックスさせてあげることが大切です。

    私たちは年を取ると体が硬くなっていき、体が硬くなると関節が動く範囲である可動域が狭くなっていきます。すると筋肉が凝り固まって疲れや痛みが溜まりやすくなるだけでなく、血流もダウンして組織が老化してしまいます。このような体の塊りを取るために重要なのがマッサージなどの施術を受けることです。

    実際、マッサージによる疲労回復効果については様々な研究によって効果が実証されており、筋トレや疲労によって損傷した筋肉にマッサージ刺激を加えたハーバード大学の実験によると、マッサージを受けた筋肉はそうでない筋肉に比べより早く回復したことが分かっています。また2週間の実験期間で比べるとマッサージを受けた筋肉はそうでない筋肉に比べ2倍のスピードで回復することが報告されています。

    さらには、マッサージを行うことで筋肉が早く回復するだけでなく、筋肉が強くなるということまで分かっています。同じハーバード大学の研究ではマッサージを受けた筋肉は筋繊維の断面積が大きくなったことが分かっています。このようにマッサージによって筋肉が早く、かつ強く回復するのはマッサージの刺激によって筋肉から炎症物質が押し出されるためと考えられています。

    一方で、年を取って関節の稼働域が狭くなってしまうのは関節そのものが硬くなる理由の他に、リンパの流れが滞って圧力がかかってしまう理由もあります。

    実験では、マッサージによってリンパの流れを良くすることで組織にかかる圧力が低くなることが分かっています。またマッサージは、ストレッチによって関節そのものの硬さも柔らかくしてくれる、二重に関節を柔らかくしてくれる効果があります。

    さらにマッサージは私たちの脳内で幸福ホルモンの1つであるオキシトシンを分泌させてくれる効果もあります。マッサージは、マッサージの施術者の手と私たちの皮膚との触れ合いに他なりません。オキシトシンは、母性ホルモンとも呼ばれ、この肌と肌が触れ合うことで分泌されていることが知られています。

    ある研究では15分間背中のマッサージを受けることで血液中のオキシトシンの量が増加することが確認されています。またマッサージは、血流アップ効果があるため、分泌されたオキシトシンが全身に巡って体中から幸福感に浸ることができます。

    東洋医学とマイクロカレント

    東洋医学では、肌の再生や美容に対するアプローチは体全体のバランスと内側からの健康を重視します。東洋医学の基本的な考え方は気(エネルギー)、血(血液)、津液(体液)の流れが滞りなく行われ、各臓器が適切に機能している状態を保つことで自然と肌の健康も向上するというものです。

    鍼灸では、特定のツボを刺激することで気の流れを改善し、肌の再生を促します。鍼灸は血行を促進し、肌のトラブルを改善する効果が期待できますが、微弱電流(マイクロカレント)を使ったアプローチもあります。

    微弱電流療法は、非常に低い強度の電流を使用する美容と医療の技術です。この治療法は体が自然に生成する電流に近いため、治療中の不快感が少なく、安全性が高いのが特徴です。微弱電流療法の主な利点としては、次 のようなものがあります。

    細胞の再生促進微弱電流は細胞レベルで作用し、細胞の成長や修復を促進します。これにより肌の再生能力が高まり、健康的な肌へと導かれます。
    コラーゲンとエラスチンの生成促進コラーゲンとエラスチンは、肌の弾力性と強度を支える重要な成分です。微弱電流は、これらの成分の生成を刺激し、シワやたるみの改善に役立ちます。
    血流とリンパの流れの改善血流とリンパの流れが良くなることで肌への栄養供給が改善され、老廃物の排出が促進されます。これにより肌の明るさや健康状態が向上します。
    炎症の軽減微弱電流は、炎症を軽減する作用があり、ニキビや赤みのある肌状態の改善に役立ちます。
    筋肉の緊張の改善顔や体の筋肉に微弱電流を適用することで、筋肉の緊張を改善し、リフトアップ効果が期待できます。

    微弱電流療法は、術後すぐに効果が現れる場合もあれば、複数回の施術を重ねることで徐々に改善が見られる場合もあります。一般的には痛みを伴わず、副作用のリスクも低いため、多くの人にとって安全な選択肢とされています。しかし妊娠中の方やペースメーカー等の医療機器を使用している方は、施術を避けるべきです。

    また美容目的だけでなく一部の医療分野でも使用されており、痛みの管理や筋肉のリハビリテーションにも効果があるとされています。さらに微弱電流は、肌の再生に役立つとされており、例えばマイクロカレント療法は非常に低い強度の電流を使用して肌に働きかける美容技術の1つです。

    マイクロカレントが細胞に働きかけ、細胞の再生や修復を促進し、肌の若返りや再生に役立つとされています。例えばコラーゲンとエラスチンは、肌の弾力性と強度を支える重要なタンパク質ですが、マイクロカレントはこれらのタンパク質の生成を促進し、肌の引き締めやシワの減少に効果があると考えられています。また微弱電流が血流やリンパの流れを改善し、肌への栄養供給を促進、肌の老廃物の排出を助け、むくみの軽減やデトックス効果が期待されます。

    美容鍼灸の効果

    美容鍼灸は、身体の気・血・水を調整することで、肌荒れの原因となるホルモンバランス(自律神経)を整えることができます。ホルモンバランスを整えることで、肌荒れ、ニキビ、シワ、しみなど多くの肌トラブルの原因を取り除くことができ、冷えやむくみなども解消することができます。

    また、「皮膚は内臓の鏡」と言われるように内臓や自律神経の働きの乱れがお肌の状態にも影響します。美容鍼灸は胃腸などの消化器の機能不全などの治療だけでなく、生理不順、肩こり・腰痛、頭痛、眼精疲労などの原因の根本を改善し、身体的ストレスを取り除くことができます。

    お顔への刺鍼は、血流を改善し、くすみを解消して透明感を出し、また直接表情筋にアプローチしてリフトアップ効果を生み出し、シワを改善することができます。

    美容鍼灸は主に身体的ストレスを、リンパドレナージュやリラックスした時間と空間は精神的ストレスを軽減します。これらのアプローチでお顔やお身体を同時に治癒していくことで、美容効果が得られます。

    お身体の不調でお悩みの方は是非、当院にお越し下さい。東洋医学の知識を基に、お客様一人ひとりに合わせた方法で、お悩みの改善が出来るよう全力を尽くすことをお約束します。

    【本コラムの監修】

    恵比寿院長

    HARRNY 院長/鍼灸師 菊地明子

    ・経歴
    大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

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