努力すれば成功する、成功すれば幸せになれる、あと5キロ痩せることができればもっと幸せになれると考えて日々努力をする。だからこそ毎日必死に努力して、その結果成果を出したり、自分なりの成功を達成したりして幸せになれると考えます。つまり成功すれば幸せになれる、幸せの前に成功がなければならないと考えます。しかし端的に言うとこの考え方は間違っていることが明らかになっています。
ポジティブ心理学の第一任者ショーンエイカー氏は、成功したいと思うなら先に幸せにならないと本当の成功は手に入らないと言っています。私たちはどうしても成功すれば幸せになれるや、苦しくても努力すれば幸せになれると思ってしまいますが、実はそれは逆だということがいくつもの研究で分かっています。ショーンエイカー氏は、ハーバード大学で学生をカウンセリングしながら、これらを研究している1人で、これまで27万人を対象に幸せが先か成功が先かを検証してきました。
また成功しなければ、お金も入ってこないし、地位も上げられないから幸せになれないと思うかも知れませんが、2018年に164カ国170万人を対象に行った大規模調査では、日本を含む東アジアにおいて、楽しみや笑顔といったポジティブな感情と相関する所得は660万円をピークに頭打ちになるという結果が出ています。つまり成功すればするほど幸せになれるよりも幸せのピークは前にあり、それ以上になると逆に幸福度が下がってしまう傾向があります。
幸せだから成功する
何かに成功すれば幸せになるのではなく、幸せだから成功できると言うとどうでしょうか。もちろん自分なりの目標を達成した人たちは幸せになっているはずです。しかし実際には幸せそうでしょうか。私たちは給料が上がっても、生活水準が上がっても、簡単に慣れてしまいます。こういった意味でも幸福感は長続きしません。つまり成功すれば幸福になれると単純に考えるのは間違いです。
ポジティブ心理学と脳科学の10年以上に渡る研究によって成功と幸せの関係は、全く逆であるということが明確に証明されています。つまり幸せは成功に先行するのであり、単なる成功の結果ではないのです。成功したから幸せなんじゃなくて、幸せだから成功するのです。
それは何故か、そこには幸福感というものが私たちの様々な能力を高めてくれて、幸福感そのものが競争力の源となるからです。脳をポジティブで前向きな状態にすれば、モチベーションが高まり効率的に働けるようになります。また挫折から立ち直る力も強くなります。
当たり前ですが、人は幸せでポジティブな気分のときに最大限のパフォーマンスを発揮し最も成功するのです。このように脳は普通の気分の時やネガティブな気分の時でもなく、ポジティブな気分の時に最も働くようにできているというのが、ポジティブ心理学と脳科学によって明らかになっています。
利己的な性格になると老ける
利己的な自己中心的な性格は、自分の利益ばかりを追求するわけため、人生において短期的には得をすることも多いのかもしれませんが、長期的に見て幸福になる人、寿命が長い人、そして老化が進まない人というのは利他的な人であるという研究データが出ています。
これはシンプルに考えてみれば分かるお話ですが、利己的な人は、とにかく他人を出し抜いて自分が有利に、自分が得をするように行きたいわけですから、どうしたって他人と競争しながら生きてしまうことになります。利己的でいるためには他者との競争を避けることができません。ということは人と自分を常に比べながら生きているわけで、常に交感神経が優位に働き、体に常にストレスがかかった状態で生活することを余儀なくされています。これが老化を促進してしまうことが明らかになっています。
また利己的な人とは社会的に孤立もしやすく、周囲に敵だらけになるため、そういった意味でも常にストレスを抱えることになります。また人間というのは自分の思考を他人に投影しやすいということも明らかになっており、自己中心的な考えの人は、他人を見た時に他人も自己中心的な考えを持っていると考えてしまいます。
すると自分を出し抜かとしているんじゃないかとか、自分から何かを奪おうとしているんじゃないかと考えてしまうわけです。そんな状態で周りが敵だらけの場所で過ごしていたら、ストレスは半端ないため老化が進行し寿命が縮んでしまうのも当然のことです。
逆に理的な人の場合はこれと全く逆のことが起こります。利他的な人は他人と競争することではなく、他者と協力して成功するというのがモチベーションになっています。そのため他人と競い合うこともなければ、他人と自分を比べることもありません。お互いの良い点を出し合って、より大きな幸福、より大きな成功を手に入れることができれば十分なわけです。また当然ながら社会的な繋がりも強くなりやすく、孤独感を感じることなく生活することができます。これも寿命を伸ばすのに大きく貢献しています。
もちろん利他的に生きる人、他人に貢献しようと思って生きる人は、騙されて しまったり、周囲に利用されやすいんじゃないのという意見もあるでしょう。確かにそれは事実で、短期的に得をするのは利己的な人、自己中心的な人である場合が多いですですが、長期的な目線で考えると幸福になるのは利他的な人であるという研究データが多数存在しています。
実際、あなたが持っているお金に関しても自分のために使うのと他人のために使うのとでは、幸福度が大きく異なることが分かっており、他人のためにお金を使った方が、圧倒的に幸福度が高まり、さらにその幸福感も長く持続するということが明らかになっています。
この他人のために行動することで幸福度が高まるというのは、人間の本能に根差している行為であり、人間は社会を発展させることによって反映してきた生き物であるため、社会を発展させるために他人に尽くすという行為自体が、自分の自己肯定感を高め幸福感を高めてくれると考えられています。
ハピネスアドバンテージ法則
ハピネスアドバンテージとは一言でいうと「幸福感は人間の脳と組織に競争優位をもたらす」ことです。つまり幸せな人間とか、幸せな組織が競争に有利であるということです。私たち人間は幸福を感じている時、つまり心のあり方や気分がポジティブである時こそ、頭がしっかりと働き、モチベーションも高く なり結果的に物事が上手くいくようにできています。
しかし、世界中では、ただ苦しんで目の前のことを頑張れば、やがて成功し幸せになれるという考えが相変わらず主流です。むしろ成功する過程では苦しむことが必要であり、幸福感を感じることなどはサボっている証拠だとまで思う人もいます。しかし間違った考え方に縛られているとメンタルの健康が損なわれるだけではなく、成功や達成のチャンスまで失われます。
幸せやポジティブな感情がもたらすメリットは、単に目標達成や成功、仕事や生活だけに止まりません。約200の研究、約27万5千人が対象とした幸せ研究の大規模なメタ分析によると、私たちの生活のほぼ全ての面において幸福感が成功を導くということが実証されています。
具体的にいうと単純に仕事で成功するだけでなく、結婚生活も健康も友人関係も地域社会との関係性も、私たちの生活のほぼ全ての面で幸福感が成功を導くということが分かっています。そして仕事でうまくいくかどうか、そしてどれだけの収入が得られるかどうかも、その幸福度によって予測できることが分かっています。
幸福な人は健康的であり、長生きする可能性があることはよく考えてみると当然といえば当然かもしれません。幸せな人は毎日イキイキと生きているから、いつまでも若々しいでしょうし、幸福な人は不幸な人に比べてストレスも貯めにくいでしょうから、ストレスによる悪影響も受けにくいでしょう。特にストレスは体内の炎症に関連しているため、当然ストレスが少なければ体内の炎症も低くなります。
またポジティブな感情を持つと、脳が効率良く働くようになることが分かっています。なぜならポジティブな感情によって、脳にはドーパミンやセロトニンといった物質が放出されるからです。これらの物質は単に私たちの気分をよくしてくれるだけではなく、脳の学習機能を司る部分の活性を高めてくれます。その結果、新しい情報が整理されやすくなり、記憶力が良くなります。また神経細胞の連絡が密になって、素早くクリエイティブに事を考えられるようになります。そしてより創造的になり、新しい考えに対しても柔軟になります。
幸福優位性を発揮する
脳をポジティブな状態に訓練する
幸せに成功するための幸福優位性を発揮するために大切なことは3つあります。まずは脳をポジティブな状態に訓練することです。アメリカ国立科学財団の調べによると、私たちの1日の6万回の思考のうち、約80%はネガティブな思考ということが分かっています。つまり何も意識しなければ4.5万回は脳が勝手にネガティブなことを考え、少しでも状況が悪化すればネガティブな感情に支配されてしまいます。そしてネガティブな感情を持っていると成功の確率もどんどん下がってしまいます。
もちろん、世の中にはネガティブな感情から成功している人も結構いますが、ネガティブな感情を持っていても成功できる人とそうじゃない人の差は、マインドセットによるものです。ネガティブでも成功できる場合、失敗しても自分の努力や才能、経験によって成功できる、成長できると思っているからで、これはグロースドマインドセットと呼ばれています。
一方でネガティブなままの人で自分にはできないと考える思考をフィックスマインドセットと言い、このマインドセットの場合1度の失敗で挑戦を諦めたり、課題から逃げてしまう傾向にあります。つまりネガティブな感情が起こっても、それを前向きに捉えることができれば、結果的に成功に結びつけることができることになります。
実際に、学生を対象とした2年間の研究では、グロースドマインドセットのグループは成績が上がり、フィックスマインドセットのグループは成績が下がってしまったのに加えて、両グループの脳の活動を計測したところ、グロースドマインドセットの学生らは、間違いや失敗をした時と次に同じ問題に遭遇した時に、脳の活動が活発になり、注意力が上がりました。
これと比べてフィックスマインドセットを持つ学生は失敗した時は脳が活動的になったものの、再度同じ問題に遭遇した時は脳が反応しませんでした。つまりネガティブな感情があったとしても、それを解決しようと頑張れるマインドセットがあれば、そこから成功に結びつけることもできるのです。
幸福優位性を発揮する練習
日常では、ポジティブなことに目を向けることが大切で、それには常日頃からポジティブなことに注目し、幸福感を上げることが大切になります。そのやり方は簡単で、毎日3つ良いことを書くことです。実際に、これを毎日1週間続けるだけで幸福感は上がり、1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後の追跡調査でもそれをしなかった人たちよりも幸福度が継続的に高くなることが分かっています。
この効果は様々な研究で明らかになっており、2003年の論文でも、感謝したいことを毎日5件ずつ書き残す作業を10週間続けたところ、25%も幸福度上昇し、2005年の論文では1日23件の感謝日記を週に3回つけるだけで幸福感が上がることが分かっています。さらに2006年の論文でも友人や親に感謝の手紙を送る、過去にあった良いことを思い出して記録するといった作業を6ヶ月続けたところ、より幸福度が増し、うつ状態にもならなくなったという結果になっています。
ポジティブ心理学の第一任者ショーンエイカー氏は、このことを筋トレと同じようなイメージと言っており、幸福感やポジティブな感情も日々鍛えることによって強くすることができると考えられています。
心のレバレッジ化
2つ目の幸福優位性を発揮する方法は、心のレバレッジ化です。これはフィックスマインドセット、グロースドマインドセットと同じように私たちが起きたことの事実をどう受け止めるかで、私たちの未来も大きく変化します。視点がネガティブに動けば、心のレバレッジがマイナスに傾き、ポジティブに働けば心のレバレッジもプラスに働いて、私たちの未来に影響します。
この力は強力で、1週間で未来の状態が変わってしまう実験があります。ハーバード大学の心理学教授エレンランガー氏が、75歳男性に対して行った面白い研究があります。集められた75歳の男性は、1959年以降の写真や新聞、雑誌などは全て持ち込み禁止にし、これから1959年であると思ってくださいと1週間合宿所で過ごしてもらいました。この実験を行ったのが1979年なので、20年前50代の頃の状況を合宿所で再現して、75歳のマインドセットを50代の頃のマインドセットにして体や心にどんな変化があるかを観察しました。
この研究は、この他にも当時の服が用意され、参加者全員に50代の頃の写真が入った身分証が配られ、振舞いや話し方もその頃の自分に戻ったつもりで行うように指示されました。その結果、体の柔軟性が上がり、体力、視力、認知能力、短期記憶も良くなり、半数以上の参加者においては知的レベルまで上昇する結果になりました。
さらに、実験後にランダムに選んだ人たちに写真を見せたところ、平均して3歳年齢が若く見られています。この研究では他にも、漆でない無害な樹液を漆の汁を塗ると言って塗るとかぶれの症状が出て、一方で漆のアレルギーの持つ学生に、無害な樹液と言って塗ると13人中2人しか発症しませんでした。
またホテルの清掃員の掃除をするという研究で、その作業でカロリーが燃焼し、心肺機能を高めることができるという嘘を信じた清掃員は、実際に体重が減り、コレステロール値も下がりました。さらにアジア人女性に、女性は数学が苦手だと説明して受けさせた数学のテストの点数から、アジア人は数学が得意だと説明して受けたテストの点数は飛躍的に向上しました。
このように心のレバレッジをどちらに傾けるかということだけで、私たちの未来はこうも簡単に影響を受け、実際に起きる事実にまで影響してしまいます。そして起きた物事を自分でどう捉えるかは、自分でいくらでも変えることができます。苦しい時、辛い時、放っておけば、ほとんどがネガティブな思考で埋まってしまいますが、それを楽しさや成長できるというマインドセットに結びつけることで、私たちの未来はよりに近づくことができます。
ゾロサークルを意識する
ゾロサークルは、小さな成功から大きな成功を意識することです。つまりスモールゴールを設定して、自分が思い描いているゴールに少しずつでも近づいていくことが大切になります。達成可能な小さなゴールに集中することで、幸福感を感じる上で重要な自己のコントロール感が増し、自分は自分の運命の大半を支配していることを再認識できるようになります。これによって内的統制感が高まり、自分の能力にも自信を持つことができます。
この内的統制感は、成功や失敗は自分自身の努力や才能にあるという意識の所在が自分の内側にあると思えることです。内的統制感が強い人は、人と比べることなく自分と人との境界線もしっかりと持っており、他人を認めることができます。これと逆なのが外的統制感で、失敗や成功が自分の内側ではなく外側にあると考えてしまうことです。これが強いといつまでたっても自信を持てず人と比べ、幸福感を得ることができなくなってしまいます。
そしてゾロサークルが大切なのは、失敗した時に落ち込んだ時の回復力、レジリエンスにも大きく関わっており、レジリエンスが高い人は幸福感が強いことも分かっています。例えば失敗やミスを犯した時には、ストレスに負け、理性を失い感情的になってしまうことがありますが、これは感情が理性を乗っ取ってしまうことで起こることです。
これが続くと失敗をいつまでも引きずってしまい、 さらに感情的な判断ばかりするようになってしまいます。この時、理性を効果的に取り戻し、レジリエンスを発揮するには、例えば掃除をするなどで小さなコントロール感を取り戻すことが挙げられます。今すぐできる小さなことを始めることで、コントロール感や理性を取り戻し、それによって失敗からの回復を早めることができます。
実際に、掃除に関して面白い調査があり、掃除をしている人は仕事でもプライベートでも90%の割合で着信やメールへのレスポンスが早く、レスポンスの早い人は8.5人に1人役員になって、遅い人は56人に1人が役員となっていました。またダイエットで成功する人も、する人で74.1%、しない人で44.9%になっていました。実際の幸福度に関しても、必ずする人は71.2%の人が幸福と答え、全くしない人では51%と20%も減少しました。
ゾロサークルを意識することで、自分でできる小さなことを見極め、コントロールできる幅を波紋が広がるように広げていくことができ、行動も早くなっていきます。そして益々コントロール感も多くなるという良いスパイラルに入っていくことができます。
自分の気持ちに従う
人生がもっとうまくいくようになるために、やるべきことはとてもシンプルです。それは本当の自分の気持ちに従って生きることです。誰かに言われたことではなく、誰かの真似ではなく、あなたの本当の気持ちに正直に生きることができると心が成長し続けて、より良い人生とつながります。
恐らく多くの人はどちらかというと「欲」張ってはいけないとか、「欲」深いことは良くないなどといった少しネガティブなイメージを持っているのではないでしょうか。しかしキレイになりたいと思えば、魅力的な女性になるように努力するし、仕事や家事、育児にも精が出ます。それが結果的に経済を回したり、誰かの役に立ったりして世の中を良くすることにつながっているのです。
本人ももっと良くなりたいという気持ちを満たそうと動く中で、多くの学びを得て自己成長し、心を成長させていくことができます。人々はもっと良くなりたいという気持ちを満たすために新しいことに挑戦したり、頑張って働いたり、自分を磨いたりと努力し、その一つひとつの行動が周りの人たちや世間の人たちを喜ばせることに繋がって、皆が良い方向へと進んでいくのです。
もちろん、欲を抑えなければいけないこともあります。でも人間は制御すべき欲はちゃんと制御できるようになること、それを学ぶのも心の成長です。
好きなことだから上手くいく
好きなことをやろうとすると周りからは好きなことばかりやっていたら大変だよとか、苦労するようなどと言われるかもしれません。そう言われても頷いてはいけません。親に何を言われようと、周りの友達に笑われようと我慢する必要なんてありません。我慢しながら嫌なことをやって成功が生まれるわけがないのです。好きなことだからこそ自然と続き、最後には上手くいくのです。
好きなことをすると幸せが周りの人々も伝わり、幸せになります。幸せを感じているあなたが、幸せな人々に囲まれながら、その好きなことを改良しながらやっていけば、もっと成功するでしょう。
本当は好きなことをすれば、必ず成功するようになっているので、もしも上手くいかないとしたら、それには上手くいかない理由が必ずあります。例えば何をやっても成功すると思えない人がいたりします。それは、そう思うと行動をしなくてはいけなくなるからです。
つまり何もやらない方に自分を追いつめたい、何もやれないことを正当化したい、本当は行動することを恐れてそこに立ちすくんでいたいのです。だから好きなことで成功できる確率なんて低い、好きなことで成功できている人は自分と違って優秀だからだなど、自分でやらない理由を探して成功への道を塞いでしまうのです。
行動しない人にはしない理由があり、行動する人にはする理由があります。もし本当は行動したいと思っているのにできない、成功できない理由を探してしまう、このままではいけないのではないか、そんな風に思っている人は、そのままでもその人の心は成長するようになっています。行動したくない時は無理をしないこと、前に進みたくなるのを待って心からできると思ったタイミングで行動すれば良いでしょう。
自分のために生きる
結局、私たち人間というのは自己中な動物です。口ではどれほど綺麗事を言っても、結局は自分のためにしか生きられません。私たちが唯一自分以外の人のために生きられるとしたら、家族のためだけです。それ故、他人のために生きている人は絶対に意志が弱くなります。つまり他人のために100%の力を発揮することなんてできません。
有名な話に、看護師のナイチンゲールは、ボランティア活動に対して否定的な態度をとっていました。なぜなら彼女は対価の支払いがなければ、私たち人間は責任を持って最後まで過酷な任務をやり遂げることなどできないと理解していたからです。だからこそ自分のためだけに生きている人に甘えは存在しません。自分のために生きることに逃げ道はないからです。他人のために人生の大切な時間を犠牲にしてはいませんか。
固有の強みを発揮する
誰にも何かしら得意なことがあり、それを定期的に行うことです。例えば学生時代に陸上部に入っており、走るのが得意だという人は、定期的にランニングをしてみるとか、中学校の頃ピアノを頑張っていたという人は、少し昔を思い出してピアノを弾いてみるなど、こういった感じで自分の強みを日常生活の中で発揮すると幸福感が高まることが分かっています。
自分の魅力に気がつく
多くの人は自分の魅力や価値に気がついていません。なぜならその魅力や価値は自分自身にとって普通だからです。例えば他人からあなたは優しいねと言われてもピンとこない人が多いでしょう。なぜなら無理して頑張って優しくしているわけではなく、優しくすることがその人にとってごく自然な対応だからです。自分では普通のことだと思っているので、他人から見ればとても魅力的で価値があることに自分では気がつかないものです。
実は自分の魅力や価値に簡単に気がつく方法があります。それは自分の周りにいる人のいいところを探すことです。家族や友人会社の同僚学生時代の同級生など、近しい人の魅力や価値であれば自分の魅力や価値とは違って簡単に見つかることでしょう。ですが、あなたが見つけた周りの人の魅力や価値は、実はあなたの魅力や価値そのものです。
これは心理学における投影という心の仕組みを利用した魅力や価値の発見方法です。人間は自分にない要素を他人に見いだすことができません。優しさがない人は他人の優しさを理解できません。逆に言えば優しさがある人は他人の優しさを理解できます。他人の良いところを見つけられるのは、あなたがその要素を持っているからです。日々の生活において周りの人の魅力や価値がどのようなものか考えてみてください。どこで気がついた魅力や価値はあなた自身が持っている魅力や価値であると自覚できれば、自己肯定感が自然と高まることでしょう。
自分の短所を受け入れる
自分の価値や魅力に気がついたら、反対に自分の短所も肯定していきましょう。 大事なのは短所の矯正ではなく、短所の肯定です。ありのままの自分を受け入れてあげましょう。短所は直しなさいと教えられてきた人も多いかと思いますが、そもそも自分の短所は無理して直さなければならないのか考えてみてください。
例えば方向音痴という短所がありますが、方向音痴を受け入れている人は別にスマホのアプリがあるし、困ったら人に聞けばいいしと開き直ることができます。一方、方向音痴という短所を悪いものだとして受け入れられない人はなんて自分は頭が悪いんだ、また他人に迷惑をかけてしまったと自分を否定して自己嫌悪に陥ってしまいます。
短所自体があなたを苦しめているわけではなく、短所がダメなものだと認識する自分自身の心があなたを苦しめているのです。短所を繰り返すと長所になるという言葉がある通り、短所と長所は表裏一体です。方向音痴という短所は裏を返せば、散歩を楽しめるとか、自分の知らない新しい場所を発見できるとか、新鮮な気持ちで街を歩けるとか色々と長所を見い出すことができます。
物事は考えようで、短所が長所につながると考えることができれば自己嫌悪が減り、自己肯定感が高まることでしょう。
幸せの定義は自分が決めていい
幸福の条件は何だと思いますか。健康でしょうか、お金でしょうか。もしそのような条件を自分自身で決めたものであるなら問題ありません。もし幸せの定義が自分で決めたものではなく、世の中や世間によって決められたものであるなら、それはいったん手放す必要があります。
例えば、世の中が孤独は悪だと言っていても、自分自身が孤独が幸せの定義だと思えば人生にとって孤独は幸せなものとなります。世の中がお金がないことは悪だと言っても自分自身が満足していればそれで十分です。
陰陽の法則
東洋医学では、世の中はプラスとマイナスで成り立っていると考えます。マイナスの気が頂点に達したとき、それはプラスの気へと反転します。仮に深い絶望を経験し、マイナスの限界地点まで達するとあなたが本来持っているエネルギーが引き出されプラスの気へと変えることができます。ピンチでもうダメだと思うような状況でこそ人は奇跡を起こすことがあります。
ただし、いつも全力でなくて良いです。完璧主義の人や真面目すぎる人、自分に自信がなくて自分の頑張りをとにかく人に認められたいという願望が強い人など、常に全力で取り組もうとする人々がいらっしゃいます。実際のところ、それは不可能です。肉体的、物理的にはもちろん西洋医学的な視点から言っても、人が支えるエネルギーの総量は決まっています。全力を出し続けると言っても限界があります。
大事なところでエネルギーが尽きてしまっては、せっかく巡ってきたチャンスを逃してしまうことになります。そんなに頑張らなくても問題ないなと思う場面ではエネルギーを温存するために、あえて手を抜いてしまう、そのように要領よく生きていくためには必要です。今こそ100%の力で勝負する時だという瞬間に備えて、時にはうまく手を抜く柔軟さも身につけていきましょう。
また、力の抜いた状態をつくることは運を呼び込むためにも大切です。例えば仕事のことで頭がいっぱいで何か良い案を出さなきゃと焦っているときよりも、お風呂に入っているとき、くつろいでいる時、眠りに落ちるときなど、そんな時にふと良いアイディアが浮かんだりするものです。常に気が休まることなく力みっぱなしでは、あなたの脳も疲れてしまいます。
もちろん、目の前のやるべき事に全力で取り組んだり、周りの人たちのことを配慮する心を持つことはもちろん大切です。しかし自らの体調を無視してまでそれらを優先してはいけません。なぜなら体調と運気は密接につながっているからです。
急に体調を崩したり、風邪をひいたりした経験は誰にでもあると思います。体調を崩すことは体からのメッセージです。体の状態を通してあなたに様々なことを伝えてくれているということを覚えておきましょう。
未来の仕事が喜ばし大きな仕事でも嫌な仕事でも重圧を感じることには変わりありません。ただ体のコンディションが良ければ嫌な仕事がやってきたとしても、そのマイナスの気を強く跳ね返すことができます。
また体調の良し悪しはあなたの運気を示すバロメーターで。健康状態が良ければ運は動き出し、逆に体調を崩していたら物事は思い通りに行かないものです。幸せの運気がいつでも入ってこられるように自分を大切にして日頃から健康状態を整えておきましょう。
【本コラムの監修】
・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。