東洋医学で診る「アンチエイジングのための食事」

    東洋医学で診る「アンチエイジングのための食事」

    私たちの体というのは他でもなく、私たちが毎日食べている食べ物からできています。私たちの体の中ではあらゆる臓器において常に細胞分裂が行われています。細胞分裂が行われることで古い細胞が死滅して、新しい細胞に置き換わっていきます。このような細胞分裂はだいたい3ヶ月程度の周期で起こるとされており、私たちの体は知らないうちに新しい細胞に入れ替わっています。そしてそのような新しい細胞を作る材料こそが、普段食べている食べ物です。

    根本療法の薬膳

    薬膳は東洋医学における基本的な考え方で、気功と同じく根本療法に属するものです。そして対症療法として漢方や鍼灸があるという位置付けです。

    現代では、人々は何が一番良い食事療法なのかを探すようになっていますが、当たり前ですが、人それぞれ食べた方が良いものは違うと言う結論になります。具体的に言えば、その人がなった病気があるとすると、それをもたらした食事の状態に原因がありますから、それに応じて食事療法は変えていく必要があります。

    例えば和食は身体に良い、逆に肉食が良い、糖質制限が食事は体に良いなどありますが、ある人がやると体が悪くなり、ある人がやると体が良くなることもあります。さらに同じ人でも、その時点の体の状態によっても変わります。そうなると全部オーダーメイドになってしまうのですが、それをパターン化するために陰陽五行という考え方が東洋医学にはあります。簡単に言えば体は陽に傾いているのか、陰に傾いているのかを判断していきます。

    まず、五行には「木火土金水(もっかどこんすい)」という5つのエレメントがあり、それぞれに特徴を持ち、それらを食材などにも当てはめることができるというのが薬膳の基本的な考えです。例えば動物系食品と植物系食品というのがありますが、これらを敢えて当てはめると、動物系食品は陽転させるような食材が多いというふうに思います。植物系食品は陰側に寄せる食材が多いと思います。ただし陽の方が良く、陰の方が悪いのではなく、それぞれ組み合ってないといけないし、その人はどの状態にあるかを当然考えて、その状態が崩れているものを立て直すイメージが必要です。

    五臓と五味

    一方で、薬膳には味に意味があると考えるのが東洋医学の特徴です。味には、酸(さん)・苦(く)・甘(かん)・辛(しん)・鹹(かん)があり、酸っぱい、苦い、甘い、辛い、塩っ辛いことです。この5つの味を体の状態に合わせて使い分けていきます。例えば肝臓は酸っぱい、心臓は苦い、脾臓は甘い、肺は辛い、腎臓は塩っ辛いものが助けてくれるという考え方になります。しかし酸っぱいものが一定以上、多すぎるようになってしまうと今度は肝臓がダメージを受けると言う風に考えることが薬膳の基本的な考え方です。

    さらに、これらと精神性が結びつくと考えるのが東洋医学の特徴で、ここが現代の栄養学との大きな違いです。例えば脾臓(甘い)は同情心や共感心、依存心などに関わると考え、そのため甘いものは依存的な味と捉えます。つまり脾臓と依存心、甘い味は繋がっていると考え、甘いものばかり摂っていると依存して摂り続けることになってしまいます。

    他にも辛いものを食べると汗が出る、例えば唐辛子のイメージですが、辛いものは発表剤、つまり発散する、外に出していくという味になり、発散する精神性を持っていることになります。このように味にそれぞれに精神性があると捉え、これを意識しながら薬膳表(補充食)を作っていくことになります。

    また、薬膳に意識しないといけないのが季節です。五行で考えると、春は肝、心は夏、季節の変わり目は脾、肺は秋、腎は冬になります。これらの季節で採れたものは、その肝心脾肺腎(かんしんひはいじん)を補うと考えます。簡単に言えば季節のものを食べましょうと言うマクロビオティック的な話になると思います。

    五味は五臓を養う

    五味は五臓を養う
    漢方の恵信堂

    この表にあるものを意識して食べると経絡に繋がっていくことになります。つまり肝臓にあるものを食べると肝臓が強くなると言う捉え方になります。他の脾臓を見ると炭水化物が多く、それとは別に肉が多くなっています。胃は胃酸を出すところで、炭水化物ばかり食べていると胃が萎縮して分泌が低下します。例えば病気になった時は、最初は食べれない状態になりますが、次に回復期が来て食べようとなっても大抵の人は肉とかは食べれません。

    その場合にお粥を食べると思いますが、それが炭水化物であり、胃が弱った時とかに対しては効果を発揮してくれる、胃酸も出さなくても食べることができると言う意味で、胃を優しく補ってくれる意味もあります。一方で肉が入っているのは、胃酸をしっかり分泌させるために肉を食べましょうと言う意味もあります。

    このように五行のどこが弱っているか、そして五行の裏側ある臓器もあるため、どこの臓器が弱っているかを踏まえて、陰と陽、つまり動物系をたくさん食べたほうが良いのか、植物系をたくさん食べた方が良いのかを考えていきます。例えばビーガンやマクロビオテックを行なっていた人が病気になったら、肉をしっかり食べた方が良いことになりますし、逆にステーキばかり食べて病気になったのであれば、植物系の食事療法ちゃんとした方が良いということになります。

    このように西洋医学のように画一性が無く、ほとんど信頼できないと考える人も多くいますが、大事なのは五行から考えることです。多くの場合、解釈するところで様々な解釈があるため、五行を考えて、五臓を考え、五味で味を考えて、そして関係する感情を考えて、季節を考えて薬膳表を作ることが大切です。最終的には、自分なりの薬膳表が作れれば、健康な体づくりに結びつくと思います。

    健康長寿の沖縄の食事

    沖縄といえば長寿というイメージはあり、沖縄には琉球王国時代から「食は命の薬」という考え方があります。先人の知恵で薬草を取り入れて、薬代わりに体調に合わせた料理が食べられてきました。

    驚くほど元気な老後生活を送っている高齢者が沢山おり、特に注目されるのは100歳まで長生きする人の数は、沖縄では、人口10万人につき100歳以上の住民が68人もいます。そして沖縄の人が100歳を迎える確率は、日本国内でも抜群に高く、他の地域を40%も上回ります。

    その背景にあるのが食文化で、伝統的な食事は炭水化物が多く、タンパク質が少なく、抗酸化物質や食物繊維が豊富な大豆や野菜なども豊富なことが特徴的です。そして研究者が注目している要因がタンパク質が少なく、炭水化物の多い食生活であることです。

    沖縄の食事は炭水化物の割合が目立って大きく、サツマイモが豊富で、カロリー源のほとんどを占めていました。一方で高タンパク食が、実際に長期的な健康効果をもたらすことを示す証拠は実はごく少ないです。逆に炭水化物とタンパク質を10対1の割合で摂る沖縄比率が長生と健康の秘訣と考えられています。

    1975年から沖縄の150以上の島で高齢者の健康状態を調べてきた沖縄百寿者研究OCSがあり、OCSでは2016年まで100歳以上の計1000人が調査対象として、沖縄に住む100歳以上の高齢者は、晩年に長患いもなく老化現象の進行が遅いように見受けられました。3分の2に近い人が97歳になるまで自立生活を送っていました。

    この健康寿命は老化に関連する多くの病気にはっきりと現れており、心不全の原因になる心血管疾患の典型的な兆候が沖縄の100歳の方々に見られませんでした。また糖尿病や認知症の発生率も他の地域に比べてはるかに低く、OCSによると沖縄は他の地域より喫煙率が低く、農業と漁業に従事する人が多く、よく体を動かし、地域社会の結びつきが強く、住民は年を取ってからも活発な社会生活を維持することができています。

    社会的な繋がりは辛い出来事に対する体のストレス反応を抑え、健康状態や寿命にも良い影響をもたらしています。反対に孤独は1日15本の喫煙と同じ害を及ぼすという報告もあります。

    また、量より質の食べ物の内容が動物の老化にどう影響するかについて研究を重ねている研究では、炭水化物を多く与えてタンパク質を少なくすると様々な動物の寿命が伸びるという結論が出されています。最新の研究では脳内に現れる老化の兆候が一部抑えられることも分かっています。また世界に目を向けても同じ結論を物語っている例として、パプアニューギニアのキタバ島民や南米の先住民チマネ族の食事もタンパク質が少ないものになっています。

    そして沖縄は、アジアの他の地域と違って主食は17世紀始め、オランダとの貿易で持ち込またサツマイモや、伝統的な食事は植物ベースで緑黄色野菜やゴーヤ、色々な大豆製品もよく食べ、豚肉などの肉や魚は菜食中心の食事のほんの一部にすぎません。また沖縄の食生活は抗酸化物質など体に欠かせないビタミンとミネラルが豊富で、カロリーは低いのも特徴的です。ちなみにファーストフードが進出するまで沖縄住民の平均摂取カロリーは、成人の摂基準を約11%も下回っていたことが分かっています。

    さらに、沖縄の食事では肥満防止に役立つ考え方があり、食事は腹八分目という満腹ではなく八分目までで止めておく習慣がありました。実は沖縄は数年前まで食塩摂取量が少ない県として一位をキープしており、この理由の1つが出汁にあります。昔から沖縄には鰹節や昆布、豚肉の食材から出汁をしっかり取ることが習慣としてあり、これをアジクーターと呼び、深く豊かで旨味のある味のことを指す言葉もあります。

    特によく使っているのがカツオ節で、年間購入量は沖縄が1位の1392g、2位の高知427gのなんと約4倍で全国の中で群を抜いた使用量です。ちなみにかちゅー湯という沖縄伝統料理は、お椀に鰹節を入れてお湯を注ぐだけというもので、鰹節の旨味が汁に溶け出すだけでなく具材としても食べるものがあります。このように沖縄料理は、出汁食材を上手に取り入れているから風味豊かな仕上がりが多く、結果として調味料が少なくても満足できるため、塩分が自然と控えめの食事が多く摂られています。

    また、沖縄伝統料理では昆布もよく使われており、沖縄は原産地ではありませんが中国への輸出の玄関口として沖縄に大量に集まりました。その貿易先の中国から油で炒めて旨味を引き出すという方法が伝わり、食卓に広がり、例えば昆布は豚肉と合わせると旨味がぐっと増します。この組み合わせに他の食材を加えて油と一緒に炒めるクーブイリチーという代表的なメニューもあります。家庭料理に浸透した昆布は、1985年まで消費量が全国一位であり続けたほどたっぷり使われていました。

    昆布にはたくさんの水溶性食物繊維が含まれており、整腸作用やコレステロールの低下、食後の血糖値上昇・抑圧や血圧の上昇抑圧という作用があります。また抗酸化作用を持っているため動脈効果の予防効果や老化や癌の発生に対する効果も期待されています。

    1950年頃の全国的な食事と沖縄の食事を比べてみると、全国的な総摂取カロリーにおける野菜や芋類、海藻類の割合は1割も満たしておらず、一方沖縄では約6割を締め、その約半分が主食として食べられていたのがサツマイモでした。

    サツマイモといえば食物繊維が豊富で、食物繊維と共にデンプンの一種のレジスタントスターチが含まれ、血糖値の急上昇の抑制などが期待されています。芋類は米類よりもかなり多くのレジスタントスターチを含み、白米の代わりにサツマイモを食べていた沖縄の人々は、主食から沢山摂っていたと考えられます。

    さらに沖縄は1年中温かい亜熱帯気候で、独自の環境にあり、強い紫外線にも負けずに育つ野菜や果物には、ビタミンやミネラルが豊富に含まれており、特にカリウムはミネラルの一種で野菜や果物に多く含まれる栄養素で、余分な塩分を大概に排出し、血圧を正常に保ったり、体内の水分調節をしてくれます。

    四毒抜き(小麦、乳製品、砂糖、植物油)

    小麦

    生活の中で最も身近な毒だとされているのが小麦です。パスタやパンなど日本 人でも日常的に摂取していますが、そのような過剰摂取は体に様々な悪影響を もたらしてしまいます。まず問題になるのが慢性的な炎症です。小麦に含まれているグルテンというタンパク質は、腸の粘膜に炎症を起こすことが報告されています。

    特に、グルテンが分解されてできるグリアジンは、腸の透過性を高めて未消化の食物や毒素が血液中に漏れやすくなります。この現象はリーキーガット症候群と呼ばれ、自己免疫疾患や慢性疲労、肌荒れなどの原因になることが知られています。

    小麦によってお腹が痛くなってしまうセリアック病がありますが、アメリカの研究では非セリアック患者でも、グルテンの摂取によって腸のバリア機能の低下が確認されています。このようなことからセリアック病に関わらず、小麦は私たちの腸に大きな悪影響を与えることがわかります。

    さらに小麦は、そもそもが生成された白い小麦であって高GI食品です。そのため血糖値が急激に上昇します。このような血糖値の急上昇によって、糖尿病のリスクが高まってしまいます。さらに急上昇した血糖値がインスリンによって急激に低下することによって、強い眠気やだるさを感じやすくなってしまいます。

    このような血糖値の乱高下によって糖尿病だけでなく、血管が傷ついて心筋梗塞や脳梗塞のリスクも高まってしまいます。また小麦が分解される過程では、エクソルフィンという物質が生成されます。これは依存性のある脳内麻薬のような物質で、モルヒネ同様の副作用を持つと言われています。

    この影響によって依存症が生じ、パンや麺類が無性に食べたくなる、小麦依存症につながってしまいます。これは小麦食品を少し控えただけでイライラや集中力の低下、発汗などの症状が現れ、これはまさしくエクソルフィンの離脱症状に他なりません。さらに最近では、グルテンの摂取とうつ病や不安障害の関連を示すような報告も出ており、小麦は精神面にも悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。

    乳製品

    小麦と並んで避けるべき食品が乳製品です。特に問題となるのが牛乳です。牛乳に含まれる乳糖は、多くの日本人にとって消化が難しい成分です。乳糖を分解する酵素であるラクターゼは、離乳すると体の中から急速に減少します。そのため大人になってから牛乳を飲むと様々な症状が出やすくなってしまいます。

    牛乳を飲んだ後に下痢や腹痛、逆にお腹が張る、便秘になってしまった、このような便秘と下痢を繰り返す過敏性腸症候群が悪化してしまう人もいます。

    実際、日本人の成人の80%以上が乳糖不耐症であることが報告されています。つまり牛乳でお腹がゴロゴロしてしまうのは、多くの日本人とって自然な反応です。このように牛乳によって腸に負担がかかれば、腸内環境が乱れて免疫力の低下や肌荒れなどにもつながります。

    さらに牛乳は、私たちのホルモンバランスを乱出してしまうデメリットもあります。牛乳は本来の子牛の急成長をサポートするためのものです。そしてそこにはインスリン用成長因子IGF-1やエストロゲンなどのホルモンが大量に含まれています。これらを長期間摂取すると様々な悪影響が懸念されています。

    IGF-1は、細胞増殖を活発にすることによって成長を促すホルモンです。このようなホルモンを、私たち大人が摂取することで細胞の増殖が活発になりすぎてそれが腫瘍化、つまり癌になるリスクになります。特に牛乳を飲むことで前立腺癌や乳がんなど、ホルモンの影響を受けやすい癌との関連を示す研究も複数存在しています。

    また乳タンパク質が、自己免疫系を刺激することによって1型糖尿病や甲状腺疾患といった自己免疫疾患のリスクになる可能性も指摘されています。このようなことから牛乳は癌を始め、私たちの様々な病気の原因になってしまいます。

    砂糖

    砂糖が体に悪いのは、もはや常識中の常識です。その砂糖の恐ろしさは、ただ血糖値が乱高下するだけではありません。慢性的な炎症やホルモン異常、さらには老化の促進など、砂糖はあらゆる悪影響に関わっています。

    砂糖は、GI値が非常に高く、摂取と同時に血糖値が急上昇します。これによって糖尿病のリスクが高まったり、集中力がそがれてしまうのは多くの人が知っていることでしょう。実際ハーバード大学の研究では、砂糖入りの飲料を毎日飲む人は、糖尿病のリスクが約26%も上昇してしまうことが報告されています。

    一方で砂糖の恐ろしさは、それだけではありません。砂糖の過剰摂取は体内で糖化という現象を引き起こします。糖化は、食べ物が体内で焦げるような現象です。タンパク質と糖が結びついて焦げつき、機能が低下してしまうことを指します。この糖化によってシワやたるみ、くすみなどの肌の老化が促進されます。

    さらに血管が傷ついて動脈硬化が進行したり、白内症や腎機能の低下など様々な臓器の老化の原因にもなってしまいます。このように砂糖は、見た目や臓器の老化を加速させます。特に肌荒れしやすい女性にとって、美肌や若々しさを保つには砂糖の制限が必須であると言えるでしょう。

    さらに、砂糖が私たちの脳やメンタルに与える悪影響があります。砂糖は、ドーパミンによって一時的に強い快感をもたらしますが、その後血糖値が急降下するとドーパミンも一気に下がってしまいます。これによって不安やイライラ、集中力の低下といった不調が現れます。つまり砂糖による快楽は一瞬であり、その後には依存症と不調だけが残ってしまいます。

    実際、研究では砂糖の依存性は、アルコールやニコチンと同等レベルである報告もあります。また砂糖の摂取量が多い人ほど、うつ症状が出やすいという報告もあります。また砂糖を避けるだけでなく砂糖の代替品、人工甘味料にも気をつける必要があります。

    人工甘味料は、腸内環境を悪化させたり、癌の原因になることが数々の研究で明らかにされています。そして砂糖を完全に断ち切ると最初の1週間は頭痛がしたり、異常にお腹が空いたりと辛い症状に悩まされるかもしれませんが、2 週間ほど経つと依存が溶けてきて、むしろ砂糖を摂ると甘すぎて気持ち悪く感じるようになります。そうなると野菜や果物が持つ自然な甘みだけで満足できるようになります。その時が私たちの味覚が、本来の状態に回復した証です。

    植物油

    サラダ油やキャノーラ油といった油は、私たちの日常生活に溶け込んでいるにも関わらず、実は深刻な健康への悪影響を及ぼすことが分かっています。植物由来だから体に良いだろうというイメージは完全な誤解です。

    まず1番危険なのがサラダ油です。大豆油やひまわり油といったサラダ油は、植物由来だから体に良いというイメージがあるかもしれませんが、こういった油には、オメガ6脂肪酸であるリノール酸が非常に多く含まれています。オメガ6は、適量であれば体に良い必須脂肪酸ですが、多すぎると体内でアラキドン酸という物質に変換されます。

    このアラキドン酸が、炎症物質の原料になってしまうことが分かってきています。このようなことからサラダ油を摂取すると慢性的な関節痛や肌荒れ、花粉症などのアレルギー症状が悪化してしまいます。さらには動脈硬化や心筋梗塞などの血管トラブルの原因にもなります。さらに過剰なリノール酸が脳神経に炎症を起こしてうつや集中力の低下、さらには認知症の原因になることも指摘されています。

    以前は、オメガ3やオメガ6などの不飽和脂肪酸と呼ばれる脂質は、全て体に良いと言われていた時期もありましたが、私たち現代人の生活ではリノール酸のようなオメガ6の摂取量が、健康的なオメガ3の約20倍にもなっていることもあり、不飽和脂肪酸のバランスが完全に崩壊しています。

    さらにポテトチップスやパン、カップラーメンといった加工食品に、ほぼ必ず使われているのがパーム油です。このような加工食品中のパーム油は、製造されてから長い時間が経つことで過酸化脂質へと変化していきます。そしてこの過酸化脂質が、体内で様々なダメージを引き起こします。

    血液中に吸収された過酸化脂質は、血管の内側を直接傷つけてしまいます。これによって高血圧や心筋梗塞のリスクが高まります。また過酸化脂質は、肝臓にとって毒となり、肝臓で下毒される際に代謝機能が乱されます。その結果、脂肪肝や肝機能の低下を引き起こしてしまいます。

    さらに過酸化脂質は、私たちの細胞にまで酸化ダメージを与えます。過酸化脂質が飛び火することによって細胞が錆びてしまって、それによって老化やシミやシワの進行が加速してしまいます。しかもパーム油は、保存性が高いため加工食品や外食の揚げ油には、ほぼ必ずと言っていいほど使われているのが大問題です。こういった油を摂取すればするほど、体は確実に錆びていってしまいます。

    そして植物油で忘れてはいけないのがトランス脂肪酸です。トランス脂肪酸は、マーガリンやショートニングなどに含まれているというイメージがあるかもしれませんが、実はキッチンでサラダ油を使って調理をすることによっても加熱処理の過程で、少量ながらトランス脂肪が生成されてしまうことが分かっています。

    WHOは、トランス脂肪酸は心疾患のリスクを高めるため、可能な限り摂取0を推奨しています。そのためアメリカなどでは、すでに使用が大幅に規制されていますが、日本ではまだ大きな議論になっていないのが現状です。トランス脂肪酸は、善玉であるHDLコレステロールを減らすだけでなく、ホルモンバランスを乱出して、不妊や生理不順の原因となります。

    東洋医学で診る「アンチエイジングのための食事」

    東洋医学で診た場合の、人生を補うための食事の五箇条は次の通りです。

    1. 命の源を宿す食材を取り入れる
    2. 腎を補う食材を知る
    3. 身体を冷やさない
    4. 食べ過ぎない
    5. 色々な食材を食べる

    命の源を宿す食材を取り入れる

    東洋医学には、以蔵保蔵(いぞうほぞう)、似類補類(にるいほるい)という思想があります。意味は弱ったり、足りなくなったりしたら同じ分野の似たものを食べようという意味です。例えば骨を強くしたいなら小魚を骨ごと食べるといったイメージです。加齢が進んで寿命が短くなってきた状態は、命の源が減っている状態と言えます。そこで命の源が減っているのであれば、命の源を宿す食材の力を借りようというのが東洋医学の考え方となります。

    命の源を宿す食材の代表は、土の中で芽吹く力を持つ豆やナッツなどの種実類や豆類となります。種実類であれば、ごま、くるみ、カシューナッツ、栗、松の実などがおすすめと言われています。豆類であれば、黒豆、なた豆がおすすめで、皮ごと食べられるドライフルーツのレーズンやカシス、ブルーベリー、桑の実、プルーンなども命の源を宿す食材と考えられています。

    これらの食材の中でも特におすすめなのは黒豆、黒ごま、くるみの三大種実です。黒豆の皮は中国の薬学書である「本草網目(ほんぞうこうもく)」にも記載されている生薬の一つで、血を補い、水の流れを整えてくれる効果を期待できます。例えば黒豆には疲労回復効果があるとされており、疲れが抜けない、元気が出ないといった症状で悩んでいる方は血が足りていない状態と考えられるため、血を補ってくれる黒豆がおすすめです。ただし黒豆は消化しにくいという欠点もあるため、大量に食べるのは逆効果となってしまいます。消化不良で悩んでいる時は黒豆茶で代用するようにしましょう。

    また黒ごまは、中国では古くから長寿効果がある薬用品として扱われてきたという歴史があります。黒ごまにも血を補ってくれる効果がある他、体に潤いを生んでくれる効果も期待できます。体の乾燥が気になる方は、ご飯やおひたし、味噌汁などに黒ごまをふりかけて毎日摂取するようにしてみてください。また黒ごまの血を補う効果は脳にも働きかけると言われています。物忘れが多かったり、精神的な不安がある方も脳を活性化してくれる黒ごまを摂取してみましょう。

    くるみも薬学書の本草網目に記載がある命の源の食べ物となります。病気ではないものの何となく、もやっとした不調や頭の働きの鈍さの改善に効果的であり、老化防止のために 積極的に摂取して欲しい食材の一つです。東洋医学において。くるみは陽、黒ごまは陰を補う食べ物に分類されています。くるみと黒ごまを合わせて食べることで陰陽が揃い、より健康効果を発揮するでしょう。ただしくるみも消化を考えると食べ過ぎは注意です。

    腎を補う食材を知る

    漢方薬を構成する原料は生薬と呼ばれています。生薬には体を温める、冷やすなどの性質を表す性や、体のどこに働きかけるのかを表す帰経などの細かい効能分類があります。このような効能分類を東洋医学では性味帰経(せいみきけい)と呼びます。

    例えば、生姜は体を温める効果があり、胃腸の不調に働きかけてくれるといった感じで、漢方の原料ごとに効能や効果がある場所が定められています。現在私たちの身の回りにある様々な食材は、かつては漢方の生薬として使われていたものも多いです。つまりそれぞれの食材には性味帰経が存在し、効能の種類や体の効く場所が決まっていると考えられます。特に腎を補う食材を積極的に摂取することで体に精が満たされ、健康的で若々しく生きることができると言えます。

    身体を冷やさない

    腎精には身体を温めるエネルギーもあります。加齢が進んで腎精が減っていくことは、体を温めるエネルギーも減っていくことに他なりません。ここで重要なのは、冷えは人間の身体にとっては天敵であるということです。なぜなら人間の免疫機能は体温が高くなければ十分に働かないからです。私たちが風邪や感染症にかかって体温が高くなるのは免疫がしっかりと機能するためには体温を上げる必要があるからです。つまり加齢によってだんだんと体を温める力が減ってくると免疫がうまく働かなくなって体が弱ってしまうことにつながってしまいます。温かい食べ物や体を温める力を持つ食べ物を食べるのは、心と体の健康に重要な役割を果たしています。

    体を温める力が衰えてくるのに合わせて、食べて欲しいのはシナモン、クローブ、ジンジャーなどのスパイスです。温かいミルクティーにシナモンやクローブ、カルダモンなどを入れることで身体を温める機能をアップさせていきましょう。

    食べ過ぎない

    体内のうち気血水の循環が滞ってしまうと体の不調が訪れて、老化も促進してしまいます。特に気をつけなければならないのは暴飲暴食です。食べ過ぎることでいとも簡単に体の巡りが悪くなり、肥満、不眠、疲労につながり、生活習慣病のリスクも跳ね上がってしまいます。また食べ過ぎだけでなく味付けのしすぎにも注意しなければなりません。特に砂糖や脂肪の多い食品は、血の巡りを悪くするため控えめの摂取を心がけていきたいものです。「腹八分目に医者いらず」と言う言葉がありますが、食べ過ぎないことはそれだけで一つの健康的な食事法です。

    色々な食材を食べる

    この食材は健康的だからと、特定の食材を食べ続けることで栄養バランスが崩れて体調不良になってしまうこともあります。東洋医学においては、漢方の原料である生薬には、辛、甘、苦、酸、塩の5つの味があり、辛は体内の巡りの促進、甘は滋養効果、苦は胃腸の促進作用など味によって働きも変わってきます。食材によって健康効果も効く体の部位も変わってきますので様々な食材をバランスよく食べてこそ、私たちの体は健康な状態を保つことができます。どんな食べ物も食べ過ぎは害になるので、様々な食材を適量食べることを意識しましょう。

    アンチエイジングにおすすめの食材

    山芋

    山芋は精のつく強壮効果のある食材としておすすめです。蒸して干した山芋は山薬(さんやく)と呼ばれ、古くから中国では漢方として使われてきました。山芋は疲労回復効果が高いほか、頻尿や寝汗などの水分が体外に排泄されすぎて乾燥してしまうことを予防してくれ、体に潤いを与えてくれます。汗をかいて暑さバテしてしまう夏には特におすすめとなりますので夏バテ予防として積極的に食べるのがおすすめです。

    ブロッコリー、カリフラワー

    ブロッコリー、カリフラワーはたくさんの小さなつぼみが集まった野菜であり、それぞれのつぼみが花を開くための精気がぎゅっと蓄えられた食材であると東洋医学では考えられています。特にブロッコリーは天から賜る薬とみなされていまして、貧乏人の医者とも呼ばれるくらいに強壮効果の高い野菜です。内臓や筋肉、骨の強化にも効果的であり、老化を予防する食材として非常におすすめできます。消化を助ける作用もありますが、体を温めてくれる効果はありませんので、ブロッコリーは温野菜にして食べるとより健康効果を発揮するでしょう。

    ニラ

    ニラは強壮作用を持つほか、体を温める効果も発揮するため古くから薬草として使われてきたという歴史があります。特に春先のニラは柔らかくて甘く、中国の薬学書には正月はネギ、2月はニラが良いと記されていまして、冬の寒さを振り払ってくれるほどの体を温める力がある野菜として現在でも親しまれています。ニラは血の巡り、滞りを解消してくれるため体の末端まで温める効果が期待できます。強壮効果と合わせ、元気が出ない時ややる気を出したい時に積極的に食べるようにしましょう。

    しめじ、エリンギ、なめこ

    キノコ類は何もないところから自然と生えてくるため、昔は不思議な生命力がある食材と 考えられていました。エリンギは生命の潤いの補給、しめじは血を補う効果、なめこは整腸作用、便通作用といった効果があり、消化を助けてくれ、体内の水分の巡りを良くしてくれる働きが期待できます。冷え性の方は温かいキノコ料理を食べて体を温めつつ、体に潤いを与えていきましょう。

    いわし、アジ、カツオ

    東洋医学では青魚は血を補給し、体の巡りを良くし、元気の源になるとして積極的に食べられていきました。加齢が進んで、疲れやすさや記憶力の衰えなどが気になり始めている方には 疲労回復効果もある青魚は特におすすめです。

    いわし、アジ、カツオはそれぞれの効能は似ていますが、お腹の冷えにはアジを、疲れて気力が足りない場合はいわしを、だるさが抜けない時はカツオを食べるのがおすすめとされています。

    あさり

    アサリには、心を冷ます性質があるとされていまして、不安定な情緒を穏やかにする効果が期待できます。ちょっとしたことで怒ってしまったり、イライラしてしまうことが多いという方は、アサリを積極的に食べて、心に潤いを与えるのが効果的です。またアサリには、排泄効果があるため足のむくみ解消にも役立ってくれます。冷え性で下半身がむくみがちな方は蒸す、茹でるといった料理で体を温める作用を追加し、唐辛子、胡椒、山椒などの薬味なども加えて温める力を増幅させる食べ方を意識してみてください。

    エビ

    エビは腰が曲がっていて長いヒゲを持ち、元気に跳ねる姿から長寿の象徴として親しまれてきました。東洋医学においてエビは、人間の体を根本から温めてくれる食材とされていまして、特に下半身の冷えや、冷えによる体の巡りの滞りを解消してくれる効果が期待できます。またエビには食欲増進作用もありますが、体の巡りが改善され効果が高いため、ほてりや気分の高まりが強い人は食べ過ぎには注意が必要です。また海老の殻には安定作用があると言われていますので、可能であれば殻も食べられるような料理をしてみると良いでしょう。

    豚肉

    東洋医学には、物事を陰と陽に分ける陰陽論が存在します。その基準のひとつが体を温め、体を動かすパワーを陽として、陽に動かされる肉体を陰とする対比があります。これは例えば陽がエンジンで陰が車体というような比喩で理解するとわかりやすいかもしれません。 豚肉にはこの陰の力、体そのものの力を高める作用があるとされています。簡単に言えば豚肉は肉体を強くしてくれる源になるということです。

    レバー

    東洋医学には、以蔵保蔵(いぞうほぞう)、似類補類(にるいほるい)という弱ったり、足りなくなったら同じ分野の似たものを食べようという思想があります。そこで血が足りない時に食べるべきおすすめの食材がレバーとなります。血は生命活動において重要な働きをしていて貧血状態に陥れば、あらゆる不調が起きてしまいます。疲れが抜けない、フラフラするといった貧血状態が続いている人は、血の補充のためにレバーを食べるようにしてみましょう。またレバーには老眼による目の乾燥や目のかすみといった症状の改善効果も期待できます。

    羊肉

    体を温める力が最も強いお肉は羊と言われています。羊肉には体を芯から温める効果があり、お腹を温めることで消化機能を助けてくれるほか、疲労回復効果、膝や足腰、体の末端の冷えの解消にも効果的です。東洋医学は冷えを解消することで体の疲れも心の疲れも回復すると考えています。現代の医学においても体を温めることは免疫力や代謝を高めて健康的な身体を維持できると考えられているので、羊肉も日々の食事に取り入れてみてください。

    すりごま

    味噌汁やスープに1杯加えるだけのすりごまが、炎症の抑性に極めて有効であることが近年の研究で次々と明らかになってきています。ごまに含まれている代表的な抗炎症成分が、セサミンやセサモールといったリグナン類です。これらは非常に強い抗酸化作用を持っており、細胞内で発生する炎症性サイトカインの生成を抑えてくれることが分かっています。特に筑波大学や京都大学などの研究では、セサミンの摂取が肝臓の炎症を抑制し、脂肪肝の進行を防ぐ可能性があることが報告されています。

    またごまには、ビタミンEや不飽和脂肪酸も豊富に含まれており、これらもまた炎症を抑える働きがあることが知られています。ごま油が健康に良いとされる理由の1つも、この脂質の質の高さにあるからです。さらにごまは、腸内環境を整える食物繊維も多く含み、腸の炎症を抑えることで全身の慢性炎症を軽減するという間接的な効果も期待されています。

    一方で同じごまでも、粒のままではなかなか消化吸収されにくく、せっかくの有効成分が体に届かないまま排出されてしまうので、おすすめなのは摂取する 際はすりごまが効果的です。

    またごまは、血糖値の急上昇を抑えるという作用もあるため、食後の炎症反応を和らげるという点でも優れた食材です。食事すれば当然血糖値が上がり、それに伴い体内では軽度の炎症反応が起きますが、ごまの食物繊維や脂質はその上昇を緩やかにし、結果として体への炎症ストレスを減らしてくれます。

    【本コラムの監修】

    恵比寿院長

    HARRNY 院長/鍼灸師 菊地明子

    ・経歴
    大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

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