疲れやすい体になる原因

    疲れやすい体になる原因

    多くの人が何もしないことを休むことだと思っています。もちろん体の疲労の状態によっては一時的に仕事する状態から離れることで心身の疲労を取れることもあります。しかし本当の体の疲れや心の疲れを取り除くことができておらず、疲れが溜まって休んでも疲れが取れていない状態になります。

    そもそも人間の頭が考えることと、本当に体が必要としていることがズレてしまっていることがよくあります。例えばストレスが溜まってくると甘いものやジャンクフートを食べたくなりますが、そのような消化の悪いものを食べると胃腸にとっては過度なストレスになります。満たされない欲求をお腹いっぱい食べることで一時的に満たしたとしても結局、返って体も心も疲れて疲労は溜まっていく一方です。このように脳の間違った指示で、正しい疲れの取り方を知らないまま頑張り過ぎている方が多く、現代人のおよそ8割は慢性疲労という報告もあるくらいです。

    疲労の原因は酸化ストレス!?

    以前は、筋肉に乳酸が溜まると疲労につがるって言われていましたが、最近の研究では、乳酸は疲労の結果として溜まるものであり、疲労の原因は酸化ストレスではないかと考えられるようになりました。山口大学大学院医学系研究科の研究論文「疲労病態における酸化ストレス、抗酸化力の評価」でも酸化ストレスと疲労の関係について詳しく検証されています。

    酸化ストレスは、体内で活性酸素が増えすぎて、それを除去する体の抗酸化機能が追いつかなくなる状態のことです。活性酸素は、生活習慣や病気、ストレスや老化などをきっかけに体内で通常の酸素が活性酸素に変化します。適度な量の活性酸素は、細胞伝達物質になったり免疫の役目を果たしますが、過剰になると細胞を傷つけたり、癌や血管の病気とか生活習慣病の原因になります。

    その活性酸素が疲労の原因である酸化ストレスを体に引き起こしています。つまり疲労を回復させるためには活性酸素を減らすことが大事になり、具体的には適度な休息と睡眠、ストレスの解消、抗酸化成分を多く含んだ食事など、普段から心がけていれば活性酸素の過剰 な増加を抑えることにも繋がります。活性酸素が増えないように生活することは、疲労の一員である酸化ストレスを引き起こさないことにもなり、生活習慣病の予防になるため、是非実践して欲しいことです。

    疲労とは何か

    疲労には大きく分けて「末梢性疲労」と「中枢性疲労」の2種類あります。1つ目の末梢性疲労は、一般的に体の疲れのことです。運動をすると筋肉に蓄積されていたエネルギーが消費され、足りなくなると筋肉の神経伝達が遅れてしまい、これが疲労として感じられます。また激しい運動をすると筋肉で炎症が起こり、その回復のために必要な休息をしろという信号が脳から出て疲労という形で表れます。

    2つ目の中枢性疲労は、体の 疲労ではなくて頭脳や精神的な疲労のことです。勉強するとか、作業するとか長い時間に集中した時や過剰なストレスを受け続けた時に脳細胞が疲労を感じる疲労です。その2つの疲労ともに活性酸素が関係しています。

    活性酸素が発生するのは体や精神、つまり脳に負荷がかかった時です。つまり徹夜や激しい運動やストレスで活性酸素が発生すると、その活性酸素が細胞を傷つけて老廃物が発生します。そして次に問題になるのは、疲労因子(Fatigue Factor)というタンパク質です。近年の研究で明らかになり、活性酸素が傷つけた細胞から老廃物が出ると、この老廃物が疲労因子(FF)の発生を促していることが分かってきました。そしてFFが血液中で増えて人の脳に疲労シグナルを送り、脳が疲れを感じることになります。

    一方、疲労回復因子(Fatigue Recovery Factor)いうタンパク質も見つかっています。疲労回復因子FRは、活性酸素で傷つけられた細胞を修復してくれ、疲労因子FFが増えると付き合うように疲労回復因FRも増えます。疲労の初期ではFFが増えて疲労状態になりますが、FFの増加をきっかけにFRも増え始めて、FFよりもFRの方が多くなり、疲労が回復していきます。このFRは適度な運動をしたり、十分な急速を取ればより効率的に増えることが分かっています。

    疲労と疲労感の違い

    疲労は体が物理的に疲れること、疲労感は疲れたなと感じることです。つまり疲労感は感じるだけで実際には疲れてない場合もあり、多くの場合不快感と活動意欲の低下を伴うため気持ちの問題も大きいです。例えばと やりがいがあること、楽しいことをしていると疲労感は感じにくく、逆にやりたくないことや強制されていることは少しの疲労でも強く感じます。

    また体の疲れと脳の疲れは異なり、体の疲れは末梢性疲労と言い筋肉が疲れるものです。一方、脳の疲れは中枢性疲労で、脳内の情報伝達物質が関係しています。まず幸せホルモンと呼ばれるセロトニンが不足すると脳が疲れやすくなります。そのセロトニンを増やすには、ノンレム睡眠という深い睡眠が必要となり、これが足りなければセロトニン不足になり脳の疲労が回復しません。つまりしっかり深く眠ることが必要で、激しい運動をしなくても不規則な生活していると疲労感が現れることになります。

    そして最新研究で疲労感の原因になると注目されているのは炎症性サイトカインという物質です。人間の体は、ストレスを感じるとリン酸化eIF2αという疲労因子が発生して、その結果、炎症性サイトカインという低分子のタンパクを作ります。炎症性サイトカインは体の免疫システムがウイルスやがん細胞などに対して体を守ろうとして作り出されるものです。その炎症性サイトカインが脳に作用すると脳で疲労感が発生します。また生活環境も影響し、高温多湿な場所、空気が悪い場所は疲れやすくなります。もちろん人間関係のストレスも関係し、精神的なストレスは中枢性疲労に直結するため、人間関係が悪いとすごく疲れます。

    体を休めるための3つの基本事項

    体を休めるための3つの基本事項は、①自分は休みが必要な状態だと自覚できること、②休むことができる環境を確保すること、そして③適切な休養活動を選択することです。

    自分は休みが必要な状態だと自覚できる

    疲れや疲労にはいくつかの種類があり、その中でも厄介なのが疲労感のない疲労です。例えばストレスを受けた時の体の反応は3段階に分かれており、最初はストレスを受けてショックでダメージを受けますが、そのダメージから回復しようとして体は急激に抵抗力を強くします。この時、ストレスを感じているはずなのに一時的にパフォーマンスが向上します。しかしその状態が長く続いてしまうと3ヶ月程度で心身が疲れ果てて、うつ病を始めとするメンタルの病気に繋がりやすくなってしまいます。

    このようなストレスは自分では自覚しにくく、ジワジワと体に影響を及ぼすため、うつ病などを発症してしまう人の7割程度は最初に行く病院はメンタルの病院ではなく内科などになります。胃腸の具合が悪い、頭が痛いなど体の具合が悪くて良くならないことに悩んで治療を受け、その原因はメンタルにあったと気づくことが多くあります。ストレスで体に出てくる症状の代表的なものには、頭痛、胃痛、不眠、腰痛、お腹の不調、高血圧、発熱、脱毛、喘息、蕁麻疹、しびれ、難聴、月経前症候群の悪化などが挙げられます。

    休むことができる環境を確保する

    多くの人が過剰適用して疲労をどんどん貯めています。過剰適応は自分の体調を守ることよりも環境や他の人に過剰に合わせてしまうことです。具合が悪くて体調が悪く休みたいと思っても自分が休むことで迷惑かけちゃいけないなど、過剰適応になってしまっていることがあります。そこは勇気を持って自分の健康を守ることを優先しましょう。

    正しく休むこと

    休む方法には様々なやり方があり、それは自分の体の状況に合わせて選ぶ必要があります。例えばあることに気持ちが集中しすぎて疲れている時には、少し他のことに気分を分散させた方が良く、例えば気晴らしにゲームをするのが有効な休み方になるかも知れません。しかしストレスが溜まってイライラして夜遅くまで起きてゲームをするような休み方だと体が必要な睡眠という休養を取れず、返って疲労が溜まってしまうでしょう。そのため大切なのが自分の体が今必要としていることを知って、正しく対応できるようにすることです。

    疲れが残ってしまう原因

    運動不足

    疲れている時は体を休める自体は大事なことですが、ずっと動かないでいたりすると返ってストレスの原因になってしまいます。2017年に運動とメンタルの関係性を追跡調査した研究があり、この結果で週に1時間程度の軽くでもいいから運動している人は、メンタルが悪化するリスクが12%も下がった報告があります。研究では、まとめて1時間の運動をしなくても、1日10分程度の運動を毎日続けるだけで、1時間まとめた運動をした時と同じくらいのストレス解消効果が発揮されることが分かっています。

    適度な運動をすると脳内ではセロトニンと呼ばれるホルモンが分泌され、セロトニンは幸せホルモンとも呼ばれ、メンタルが改善する効果が期待できます。運動を続けている人は、運動後にすっきりして気持ちいいっていう人が多いですが、これはセロトニンの効果で心が落ち着いたり、前向きな気持ちになれるからです。

    また、あまりに筋肉を動かさないと血流も悪くなり、体中に酸素がしっかり生き渡らないため、疲れも取れなくなってしまいます。急に激しい運動をするのではなく、まずはウォーキングとか軽い運動から始めてみるのがおすすめです。

    悩み事を溜め込んでいる

    悩み事を吐き出さずに自分の中に溜め込んでしまう、と体が休まっていてもメンタルが休まらず、どんどん疲れが溜まります。そのため溜め込んでしまっている思いや悩み事は、ぜひ紙に書き出してみましょう。紙に書き出すと気分がすっきりしてポジティブな気持ちを取り戻すことができます。

    これはカリフォルニア大学が行った複数の研究で証明されており、自分が感じている気持ちを言葉にして紙に書き出すだけで幸福感は上がって、ネガティブな感情は下がることが確認されています。また気持ちを書き出すことを続けて いると数週間から数ヶ月で、うつや不安の症状が改善することも分かっています。

    紙に書くだけで効果が発揮されるのは、悩み事をいつも抱え込んでいる人は、悩み事のために脳の機能を使ってしまっているからです。つまりあれこれ悩んだり、考え事したりしてるだけで疲れてしまう原因になります。紙に書き出すことで自分が悩んでいることが整理され、脳が無駄なエネルギーを使わなくて済むようになります。

    これを心理学では、エクスプレッシブライティングと呼びます。書き方のポイントとしては、事実とその時の気持ちをセットで書くことが挙げられます。例えば今日仕事で得意先からすごく叱られて腹が立ったなど、胸の中に貯めていた思いを全部書き出したらゴミに捨てると良いでしょう(ネガティブダスト)。

    疲労が溜まる原因や行動

    疲労が溜まる原因は、活性酸素がたくさん発生することであり、つまり活性酸素を多く発生させる行動をすれば疲労が溜まってしまうことになります。例えば、睡眠不足は活性酸素を多量に発生させるし、長時間の集中力を伴う緊張も活性酸素の発生につながります。その活性酸素が細胞を傷つけて老廃物を出し、その老廃物が疲労因子FFを増やしてしまいます。

    またデスクワークで同じ姿勢を続けたり、無理な動作を繰り返すことで起こる筋肉の凝りも同じで、逆に運動不足でも活性酸素の発生につながります。運動不足になると新陳代謝などが低くなり、体内では血液や水分の循環が悪くなります。それは筋肉の凝りに近い状態です。つまり激しい運動は疲労に繋がりますが、動かなすぎても活性酸素が発生するため、適度で軽い運動は疲労の予防になります。

    身体と疲労の繋がり

    体の歪み

    疲労の原因は体の歪みから来ていると考えられています。猫背の人や左右の型の高さが違う人だけが原因ではなく、足を組んで座る、バッグをいつも片方の型にかけるといった体のバランスを崩すような生活習慣の積み重ねが体の歪みの大きな原因になっています。疲れにくい体になるためにも体を歪ませる生活習慣は見直しましょう。

    体が歪むと体の動きをコントロールする中枢神経からの指令が手や足などにうまく伝達されなくなります。それによって体を思うように動かせない状態になり、体がだるい、重いといった疲れを感じる原因になります。脳と脊髄からなる中枢神経は体の中心を通っているため、体が歪むことで中枢神経も一緒に歪み、中枢神経の働きが悪くなることになります。しかも体の歪みは疲れだけではなく、自律神経失調症にも繋がります。

    自立神経失調症は交感神経と副交換神経からなる自律神経のバランスが崩れることで起こります。つまり中枢神経と同じように体の中心を通る脳と脊髄がスタート地点になっている自律神経も体の歪みによって一緒に歪んでしまい、伝達がスムーズに行われなくなり、自律神経が乱れ余計に疲労を感じやすくなってしまいます。

    また、大阪市や大阪市立大学、食品、医薬品メーカーなどが進めている疲労に関する共同研究の疲労プロジェクトによると、疲労の原因は交換神経が活発に働くことで神経細胞内に活性酸素が大量に発生し、細胞にダメージを与えることが原因と考えられています。体が歪むことで筋肉が緊張し、それがストレスとなって交感神経が働くことも分かっています。これを考えると体が歪めば歪むほど神経細胞内で活性酸素が溜まっていき、それが引き金となって神経伝達もスムーズにいかなくなり、体がどんどん疲れやすい状態になってしまいます。

    活性酸素

    疲れを感じる主な原因の1つは活性酸素と言われています。活性酸素は、体内に入った酸素が通常よりも活性化された状態のことを示します。厚生労働省の提供しているEヘルスネットでは、活性酸素は細胞伝達物質や免疫機能として働く一方で、過剰な酸性は細胞を障害し、心血管疾患並びに生活習慣病など様様な疾患をもたらす要因とされています。しかしながら強い酸化力を生かして細菌やウイルスを撃退したり、細胞間の伝達を担っています。

    まず欠かさず取って欲しいものはビタミンです。活性酸素の働きを抑えるビタミンを抗酸化ビタミンと呼ばれており、特に有名なのがビタミンCです。ビタミンCを含む食材にレモンが有名ですが、ピーマンやブロッコリー、パセリといった緑色の野菜にもビタミンCは多く含まれています。また野菜にはビタミンAやビタミンE、それ以外にもポリフェノールといった色素成分など抗酸化力のある栄養が他にも含まれています。

    不規則な睡眠

    不規則な睡眠だと疲れが取れないのは、不規則な睡眠によって体内時計が乱れることで疲れが取れにくくなってしまうからです。体は一定のリズムに合わせて機能されており、体内時計は体の中にある昼と夜を認識している時計のようなものです。その時計によって体の中では様々な生理的なプロセスを調整しており、例えば体温やホルモンの分泌睡眠と覚醒のサイクルを調整しています。体内時計が正常に機能していれば、これらのリズムが安定し、健康な状態を保つことに役立ちます。

    体内時計と睡眠は深く関係しており、体内時計が昼夜を正確に認識できると夜 に睡眠を取るように調整されます。不規則な生活習慣や夜更かしは体内時計の乱れを引き起こし、それが疲れやストレスの原因になります同じ時間に寝て、同じ時間に起きれるように努力することが大切です。

    過度なストレス

    ストレスによって疲れが取れにくくなるのは、そもそもストレスというのは体に様々な影響を与え、例えばストレスホルモンの分泌が増えることで心拍数と血圧が上昇し、体が緊張状態になるため疲れが取れにくくなります。ストレスホルモンは、コルチゾールやアドレナリンが該当しますが、体が環境に適応するために分泌されるものであって、これが長期的に分泌されると体内で悪影響を及ぼします。またストレスが原因で夜に眠れず、体が回復できずに疲労を蓄積してしまうケースもあります。

    ストレス解消には、趣味を楽しむこと、スポーツや旅行など息抜きすることが大切です。そして様々なリラックス法を試してみて自分が合うと思ったリラックス法を続けてみましょう。他にもビタミンCやマグネシウムもストレス軽減に役立つため、積極的に摂取しましょう。

    水分不足

    水分は体を作る上でとても大事、水分不足は疲労に繋がります。まず成人で体の中の水分量は約60%と言われており、当たり前ですが体の中を流れる血液もリンパなどにも水が必要です。水分が不足すると血液はドロドロになってしまい、また汗もかけないため体温調節も上手くできません。そうなると疲労感だけでなく頭痛、めまい、集中力の低下便秘など様々なところで不調が発生します。体の調節機能がうまく働かなくなるため、至るところで不調が起きてしまいます。

    慢性疲労の原因「副腎」

    いくら寝ても疲れが取れない、こんな慢性疲労に悩まされていて毎日が辛いですという方、そして病院に行ったとしても病名がつかない、原因が分からないと悩んでいる方は多いでしょう。原因がよくわからず、病気ではないため頑張らなきゃと毎日疲れた体に鞭を打っている人も多いかもしれません。

    ですが寝ても取れない、しつこい疲れの原因は年のせいでもなく、ましてや気のせいでもありません。その原因は副腎にあります。疲れの原因の9割は、副腎であることが最新の知見によって分かってきています。

    この副腎疲労は多くの人に見られる症状で、慢性的に疲れている人によく見られる状態です。副腎疲労とは副腎という臓器が酷使されて疲れきってしまう症状のことです。副腎疲労は、子供から高齢者まで幅広く見られる症状ですが、最も多いのが30代から40代の働き盛りの世代であると言われています。

    副腎は腎臓の上に位置する約2から3cmの小さな三角形の形をした臓器で、左右に1つずつあります。1つは約4から5g程度の非常に小さな臓器ですが、人が生きるために必要なホルモンを分泌するとても大切な臓器です。副腎は元気の元になるホルモンであるコルチゾールを分泌し、パワーを出す役割があります。そしてこのコルチゾールは早朝をピークに最も多く分泌されます。やがてコルチゾールの分泌量は昼にかけてなだらかに減少し、そして夕方から夜になればコルチゾールはほとんど分泌されなくなり、その分泌量が下がれば夜にぐっすり眠ることができます。

    このコルチゾールが分泌されなくなるとやる気がなくなり、疲れが慢性化して常にバテた状態になります。つまり副腎が疲弊すると元気の元であるコルチゾールが激減し、気力がなくなり、ずっと疲れを感じるようになります。そしてコルチゾールには元気を出すという役割以外にも体内の炎症を抑えるという大切な役割があります。

    認知症を始めとする老化症状は、体内の炎症が大きな原因の1つのため体内の炎症を的確に抑えることができれば、認知症だけでなく生活習慣病なども改善 することができます。逆に言うと炎症を放置すると老化し、認知症を始めとした加齢性の病気にかかりやすくなることになります。

    現代では私たちは様々なストレスに晒されており、このストレスが様々な形で体に炎症を引き起こしています。しかし私たちの体には起ってしまった炎症を 抑えてくれる機能が元来備わっており、そのホルモンがコルチゾールです。

    この副腎の疲れという概念は、アメリカやヨーロッパの抗加齢医学会でも副腎疲労が注目されており、実際に臨床の現場にも副腎のケアが取り入れられています。

    疲れが取れる食品

    実は炎症を修復するためには亜鉛という栄養素が欠かせません。亜鉛を摂取することで炎症を正しく修復すれば、副腎の負担が減り、副腎が徐々に回復して いきます。また亜鉛は男性ホルモンであるテストステロンにも大いに関係しています。

    テストステロンは若々しさを保つホルモンであり、モチベーションややる気、意欲などにも大きく関係しています。加齢とともにテストステロンは自然に減少していきますが、テストステロンの減少が早いと老化スピードが加速してしまうことが分かっています。またテストステロンが減少していくとメンタルの健康が崩れてしまったり、疲労感、イライラといった症状が現れるようになります。

    またテストステロンは男性ホルモンという名前がついていますが、女性の体内でも分泌されており、女性にとっても非常に重要なホルモンです。そのテストステロンの不足を解消する方法の1つが亜鉛を摂取することです。亜鉛はそもそも人間の体にとって必要不可欠な必須ミネラルの1つであり、そして体の中で実に様々な大切な役割を持っています。

    亜鉛が豊富に含まれている食べ物の代表が貝類です。そして貝類の中でも特に牡です牡蠣には亜鉛がダントツで多く含まれており、効率的に亜鉛を補うことができます。その他の食材では、魚介類やレバーなどに亜鉛は多く含まれています。

    疲れが取れる蕎麦

    そばには、小麦の2から3 倍のビタミンB群が含まれていると言われています。これらのビタミンB群には、私たちの体に蓄積した疲労を取り除いてくれる効果を期待できます。

    ビタミンB群のうち、特に疲労回復に関係するのがビタミンB1とB6です。ビタミンB1は、ウナギを始めとする滋養強壮に効果がある食材に豊富に含まれていて、古くから疲労回復に効果がある栄養素として知られていました。私たちの全ての活動には、ATPという物質が必要です。ATPは、エネルギーの通貨とも呼ばれ、お金がなければ何も買うのができないのと同じく、ATP がなければ私たちは一切の活動がストップしてしまいます。

    体の疲労には様々なメカニズムがありますが、その1つエネルギーの通貨であるATPの枯渇が挙げられます。そばにたっぷり含まれるビタミンB1には、エネルギー代謝をアップして、ATPの生産効率を上昇させてくれる効果があるため、疲労予防や疲労回復に役立つと考えられています。

    さらにそばには、タンパク質由来のアミノ酸が胃腸の働きを整えることで体の内側から元気になれる効果も期待できます。また香りによってリラックス効果を促し、疲労回復を早めてくれるというメリットもあります。

    一方で、疲労回復効果の鍵としてビタミンB1と並んで重要なビタミンB6 には、主に私たちの神経系を保護してくれる働きが知られています。ビタミンB6には 神経伝達物質の合成を促してくれる作用があり、特に交感神経の興奮を抑えてくれるGABAの生成に必要とされているため、体をリラックスさせ、疲労回復を促すためには必須の栄養素であると言えます。

    ちなみに、蕎麦屋さんでそばを注文すると必ず薬味にネギとわさびがついてきます。これらの薬味は、そばの健康効果を何十倍にもしてくれるため、食べるべき薬味です。これらの薬味の内、ネギには硫化アリルという物質が含まれています。硫化アリルは、ネギ特有の刺激成分ですが、この硫化アリルにはビタミンB1の吸収を助ける効果があると言われています。

    ビタミンB1には、私たちの体に蓄積した疲労を回復してくれる効果がありますが、ネギを一緒に食べることでその効果が倍増すると考えられます。一方でわさびには、ネギと同じく硫化アリルが含まれ、ビタミンB1の合成能を高めてくれる効果の他、ビタミンCを安定化してくれる作用もあると言われています。

    そば自体にはビタミンCは含まれていませんが、薬味のネギの特に緑色の部分にはビタミンCが含まれています。ビタミンCには高い抗酸化作用によって細胞の錆を取ってくれる作用があるので、美容のためにはネギとわさびを一緒に摂りましょう。

    疲れやすい体になる習慣

    朝に冷たい食べ物や飲み物を摂る

    消化機能である脾の働きの1つに食べ物の中の水分を加熱し、水蒸気に変えてその水蒸気で体全体を潤す作用があります。その循環がうまくいっていない人の場合、乾燥肌や唇を始めとする体のあちこちに乾燥による痒みが出てしまい、肌トラブルを抱えやすくなると言われています。

    また、ちゃんと水分を摂っている時でも体が乾燥する場合は、それは水分を摂取していても体に吸収できていないからです。例えば体にとって必要なタンパ質を沢山摂取しても消化吸収しきれなければ体外に排出され、吸収しても体にとって必要以上に摂取した時は脂肪になってしまいます。それと同じで、たくさん水分を摂っているつもりでも体にちゃんと吸収されていなければ、そのまま尿として排出され、水分を摂取しているはずなのになぜか体が乾燥するっていう状況になることがあります。また体にしっかり水分を巡らせる働きをする脾の働きが弱っていることでも体が乾燥してしまいます。

    脾は特に冷たい飲み物や食べ物に弱く、朝起きてすぐに冷蔵庫から出したばっかりの冷たい飲み物を飲むと内臓が冷えて、脾の消化活動のプロセスを邪魔します。摂取したものを胃腸が加熱しようとしている時に冷たいものを摂取すれば、熱がどんどん奪われることになります。そのため加熱するためにどんどんエネルギーが使われるため、冷たい水を飲むことでカロリー消費を上げること ができるという考え方もありますが、脾が弱ってしまい食べ物に含まれる水分が水蒸気にならずに水の状態で体内に溜まりやすくなったり、胃腸が弱ってしまうことで消化不良になりやすくなり、返って栄養不足の疲れやすい体になってしまうことがあります。そして体に溜まった液体は、むくみや冷えの原因と なって体を冷やすようになります。

    特に東洋医学では朝の7時から11時の時間帯は、脾と胃にエネルギーが集中する時間だと考えられており、もし朝ご飯を食べなければ、活発になっている胃が空回りし、返って消化機能の低下を招くこともあります。そのため東洋医学の観点からも朝ご飯は食べる必要があり、その時は冷たい食べ物ではなく温かい食べ物を食べることが大切です。

    朝から水蒸気のあるおうなホカホカの朝ご飯を食べることで皮膚の乾きや喉の乾き、目の乾燥といった乾きなどの乾燥の症状を和らげることができると言われています。理想の朝ご飯は、お粥や炊きたてのお米、温かい味噌汁といった水分をたっぷり含んだ食事になります。

    タンパク質が多すぎる食事

    現代の日本人の食事はタンパク質が不足しがちだと言われており、ダイエットのためにご飯を少なめにしてタンパク質系のおかずをたっぷり食べる人も多いと思います。しかしタンパク質は、消化に負担がかかるためタンパク質ばっかりの食事は胃腸に負担がかかる食事でもあります。

    そもそも日本人は、昔は食事の7から8割が穀物として摂取していたと言われており、主食以外は豆類や魚介類でタンパク質を補給し、食物繊維は海藻類や野菜から摂っていました。しかし海外から肉や卵、乳製品などが入ってくるにつれて伝統的な日本の食事のスタイルがどんどん変わり、今は魚中心の食事を送っている人の方が少ないでしょう。

    もちろん、タンパク質は体にとって必要な栄養素のため沢山摂取することは大切ですが、タンパク質は摂取してもそのままの状態では消化されず、胃や十二指腸で分泌される消化液が欠かせません。そのためしっかりタンパク質を摂取しているはずが、なぜかタンパク質不足みたいなことになっている人は多くいます。このような場合、なぜか体調が良くならない人の場合は、逆に自分の体には消化吸収しきれないほどのタンパク質を摂りすぎている可能性があります。

    体は食べたものがそのまま栄養になるのではなく、消化吸収できることで始めて栄養になります。どんなに体に良い栄養素でも食べすぎには注意しましょう。

    リン酸塩を含む加工食品

    リン酸塩は何にでも使える万能の食品添加物と言われており、ソーセージ、チーズ、ベーコン、炭酸飲料、インスタント食品、加工食品などなど普段私たちがよく食べているものに多く使われている添加物です。例えば防腐剤として使われたり、乳製品の乳化剤に用られたり、冷凍食品の変性を防止するために使われたりと、加工食品を作る上で便利な食品添加物と言われています。

    近年の研究ではリン酸塩の過剰摂取によって健康に悪影響が与えられる可能性が指摘さ れており、特に疲労感を増幅させる要因となる可能性が示されています。リン酸塩の過剰摂取によって骨密度の低下、腎臓疾患、治癒力・免疫力低下、精神異常など健康への悪影響も懸念されています。

    国立健康栄養研究所のデータベースでは加工食品の摂りすぎは、リンの過剰摂取につながり、カルシウムの吸収を阻害するなどの健康影響があるので注意が必要とされています。またリン酸塩を摂取することによってダメージを受けるのは、私たちの大切な腎臓です。リン酸塩を摂取することで腎臓に多大な負担がかかり、腎臓が疲れ、その結果腎臓の機能が衰え、全身の老化スピードが大きく加速してしまうことも近年の研究で明らかになってきています。

    またリン酸塩が私たちを疲れさせる正体ではないかということも新しい研究で指摘されて います。この研究ではアメリカで消費されている加工食品に頻繁に添加されている無機リン酸塩が、身体的に活動し続ける意欲をどのように低下させる可能性があるかを調べることを目的として行われています。

    12週間に渡り実験用のマウスにはリン酸塩を多く含む餌を与えられました。その結果リン酸塩が増加すればマウスの活動レベルが低下したということが分かっています。研究者らは運動中の齧歯動物の酸素摂取量を測定し、運動能力が低くなっただけでなく、筋肉を養うのに必要な十分な量の脂肪酸を生成できていないことも発見しています。

    研究者は人間の場合も調べ、ダラス心臓研究に登録された健康な成人のデータを分析しています。その結果マウスと同様よりリン酸塩が豊富な食事をしている人は、リン酸塩レベルが増加するにつれ、運動と活動が低下することを研究者は発見しています。この結果を受け研究者は次のように述べています。「人間を対象に行われたこの研究は、血中のリン酸塩が高い人は、運動に費やす時間が少なく、座りがちな活動に多くの時間を費やす傾向があることを示しました」。

    この研究を見る限りリン酸塩が含まれる加工食品など普段から食べている人は疲れやすくなって、実際に活動レベルが低下してしまうということが分かります。この結果を受けて研究者は、加工食品ではなく新鮮で加工されていない食べ物を積極的に食べるようにアドバイスしています。

    空腹で寝る

    お腹が空いた状態で眠る方が胃腸に負担がかかりにくいという説もありますが、体の器官は眠っている間も「気」を言動力として動いていると東洋医学では考えます。東洋医学でいう気は大内を巡る様々なエネルギーであり、例えば血液を循環、呼吸などに使われています。この他にも体を動かすやる気や元気といったエネルギーも気に含まれています。

    東洋医学では疲れやすい状態のことを気虚と言い、まさに体の気が不足している状態で現代人にはよくあると言われています。このような状態の人が空腹状態で眠ると眠っている間にエネルギー不足がどんどん進んでしまい、代謝や自律神経の働きに乱れを生じさせてしまうと考えられています。

    ただし、お腹いっぱいまで食べると今度は胃腸に負担がかかるため、睡眠が浅くなってしまいます。そんな時は寝る前に消化しやすくて適度な甘みを摂れる食べ物を摂取してから眠りに着くのがおすすめです。おすすめなのは蜂蜜などの消化に負担がかからない甘みを含む食べ物です。

    一方で、野菜中心の食生活も実は体を疲れさせる原因の1つです。確かに野菜に含まれる食物繊維やビタミン、ミネラルは大事なものですが、糖質やタンパク質、脂質が不足すると体のエネルギーが不足するため疲れやすい体になってしまいます。また東洋医学では、エネルギー不足になっている時は、野菜は加熱調理して少しでも消化に良くなるような状態で食べることをお勧めしています。

    そしてタンパク質を増やして糖質を減らす食生活は良くないのですが、糖質を抜いた食事は体を疲れさせる原因になります。例えば糖質制限は、ダイエットの定番ですが、そもそもダイエットするためには体が元気な状態でなければいけません。ダイエットを始める前に、まず疲れやすい体を元気な体に整えておくことが欠かせません。ダイエット中はもちろん、体が疲れている時は糖質を抜くと糖質が不足して、体が疲れやすくなると代謝が落ちて太りやすくなります。

    現代人の疲労

    現代人の疲労は体の疲労というのは少なくなっており、大半は脳の疲労です。つまり筋肉疲労の抹消性疲労ではなく、中枢性疲労が圧倒的に多くなっています。体が疲れているのではなく、脳が疲労して体も疲労していると思い込んでいる方が多くいます。激しい運動をしたわけでもないのに全身疲れていると感じた場合は、脳が疲れているだけの可能性があります。そのため脳の疲労をリセットできれば全身の疲労も軽くなります。

    その脳の疲労を取る方法は、目を閉じて疲れ目を緩和することです。実は脳の疲れの原因の多くは眼精疲労の場合が多いです。人は情報の80%を視覚から集めており、しばらく目を閉じるだけでも脳を休ませることになります。また眼精疲労解消のツボ押しも脳の疲れの解消に良いです。

    眼精疲労のツボ

    デスクワークが多く、スマホを手放せない人も多いため、以前にもまして目を酷使している人ばかりです。パソコンやスマホを見続けた後、目が疲れたと思った時休息や睡眠を取って治る場合は疲れ目が原因です。しかし十分に休んでも目に疲れが残ったり、痛み続けたり、肩こりや首こり、頭痛吐き気やめまいも起こったりすれば、それは眼精疲労です。眼精疲労の時には、とにかく目を休めるのが1番で、そしてツボ押しもお勧めです。

    • 太陽(たいよう):眉毛の1番外側と目尻のちょうど間の高さで、目の外側こめかみのくぼみ
    • 魚腰(ぎょよう):眉毛のちょうど真ん中にあるくぼみ
    • 瞳子髎(どうしりょう):目尻から指1本分外側を触ってくぼみがあるところ
    • 四白(しはく):目のちょうど真ん中から下の方、胸骨にあるくぼみ
    • 晴明 (せいめい):目の一番内側と 鼻の付け根の間にくぼみ

    パワーナップ(昼寝)

    昼寝は、パワーナップと言って短時間の昼寝のことで、具体的には12時から15時の昼間に寝る15 分から30分ほどの昼寝のことです。30分以上寝てしまうとより深く寝てしまうから目覚めが辛くなります。ちなみにレム睡眠は、浅い眠りでノンレム睡眠が深い眠りで、夜の睡眠では、この2つを何回か交互にくり返します。そしてパワーナップはノンレム睡眠のみで目を覚ます昼寝になります。

    ノンレム睡眠は4つのステージに分けられ、睡眠状態になって20分ほどの段階でノンレム睡眠のステージ2になります。カリフォルニア大学バークレー校の神経科学者マシュー・ウォーカー先生の研究で明らかになったのは、このステージで脳内がクリアに掃除されることです。

    実は脳はコンピュータに近く、コンピュータのキャッシュメモリは大量の情報が処理される中で情報データを一時的に保持して、情報処理装置CPUの命令で情報の出し入れする記録媒体です。脳では主に海馬がこのキャッシュメモリの役割を果たしており、ここで短期記憶 出し入れを行っています。この機能をワーキングメモリとも言い、ワーキングメモリは疲労すると短期記憶のゴミが溜まってしまうことが分かっています。さらに逆に溜まることで疲労と感じてもしまいます。コンピュータでは、同時に多くのアプリを動かし過ぎるとコンピュータの動きが遅くなり、これはメモリに多くのデータが呼び出されていて、作業に使える領域が少なくなってしまうからです。脳もこれに近く、ワーキングメモリに短期記憶のゴミが溜まると脳全体の活動が悪くなります。

    疲れを残さない方法

    腹8分目の食事

    食事では、いろんな栄養素を摂ることを意識して沢山食べてしまうと消化に時間がかかって疲れてしまいます。例えば午前中は元気だったのにランチ食べた 後は眠くなってぐったりするなど、食べ過ぎていることが多いと思います。満腹ではなく、腹8分目にすることで消化に時間をかけず、消化によるエネルギーロスを防ぐためにも、糖尿病などの生活習慣病の予防というためにも必要なので、まずは腹8分目に食事をすることを心がけましょう。

    甘いものを単食食いしない

    疲れたから甘いもの食べて補給すると、疲れが改善するようなイメージあると思いますが、瞬間的には元気になった後に疲れを感じる方が多いと思います。スイーツを食べて急激に血糖値が上がると、それを抑えようとインスリンが分泌されて血糖値を下げる働きがあります。その血糖値の乱高下が体にすごく負担になり、それによって疲れやすい体になってしまいます。もちろん脳のエネルギー源は糖質であるため、糖質を食べることが全部NGではありませんが、単食食いを避けるために、例えばグラノーラや干し芋のような糖分も入っていつつ、食物繊維も多いものを選んで食べましょう。

    タンパク質とビタミンを意識して摂る

    外食が多くなるとどうしても炭水化物よりの食事が多くなります。これは血糖値の乱高下につながり、疲れやすい体になってしまいます。体にはタンパク質とビタミが大事で、特にタンパク質は筋肉の元となり、代謝を上げて、疲れにくい体に必要です。つまり体を作る材料が少なくなると筋肉疲労の改善が遅くなったりします。

    お肉やお魚も大切ですが、植物性のタンパク質の大豆など、いろんなタンパク質を摂ることが大事になります。もちろんプロテインを意識して摂ることも良いですが、なるべく食事でタンパク質を摂り、補助としてプロテインを活用しましょう。同じ観点からビタミンも代謝を回していく時に大事になってくるので、できれば食事で摂ることを心がけましょう。

    下半身の筋肉をマッサージする

    特に下半身は冷えやすく、むくみやすい場所です。大きな筋肉は下半身に集中しており、例えば太ももの筋肉、お尻の筋肉、ふくろはぎの筋肉がしなやかになると体全体の代謝は上がっていきます。

    実は、疲れにくくするためには激しい運動や筋トレよりも下半身をしっかり使うような軽いウォーキングが適切です。なかなか時間が取れない方は、下半身の筋肉をしっかりと揉みほぐすマッサージやストレッチもおすすめです。

    体を冷やさない

    特に冬は外気が寒くなると体が縮こまって筋肉が硬くなってしまいます。そうなると血流が悪くなり、それによってだるさ、頭痛、体調不良に繋がりやすくなります。

    体をなるべく温かい状態にすることで疲れにくくなっていきます。体温をしっかり上げていくことが大事なので、必ずシャワーだけではなく半身浴など体を温め、体を常に温かい状態にして血流を良くすることこそが疲労回復につがってくると思います。

    疲労を回復する方法

    体を動かす動的回復法

    大量に汗をかくほどのきつい運動は、さらに疲労を貯めることになるため20から30分程度の動的回復法をするのがベストです。しかも軽めの運動は、疲れを解消するだけではなく、体の変な癖や歪みも直してくれます。

    スウェーデンのカロリンス研究所で研究者として活躍したアンダースハンセン氏は人間の脳を始めとする中枢神経は原始時代から体を動かすための構造になっており、動き続けることが人間本来の姿だと言っています。

    どうして軽めの有酸素運動をすると疲労の解消につがる理由は5つあります。①睡眠が深まる、②成長ホルモンが分泌される、③疲労物質が押し流される、④セロトニンが分泌され精神的疲労が回復する、⑤コルチゾールが低下し、ストレスが軽減される、です。

    成長ホルモンは代謝を促す効果があるため疲労回復には、すごく大切なホルモンです。また寝ている間に分泌されることもあって睡眠も疲労の解消には欠かせない要素になっています。そして運動をすると血流が促進され、脳と筋肉にたくさんの酸素を送ることができるため、疲労物質が体の中に溜まるのを防ぐ ことができます。一方、幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンの分泌が促され、ストレスホルモンとも呼ばれるコルチゾールの分泌が抑制されることによって心のバランスを整えてくれることになります。

    動的回復法は、疲労の解消が目的であるため、少し汗をかくぐらいの強度がベストで、ストレッチやウォーキング、入浴がおすすめです。動的回復法の入浴は、冷水シャワーとお湯に浸るのを交互に繰り返す交互浴と呼ばれるものです。具体的な方法は、1分間の冷水シャワー後にバスタブに30秒、冷水シャワー30秒の1 分間1セットの交互浴を約10回繰り返して、最後にまた冷水シャワーを1分間ほど浴びるというものです。これによって交感神経と副交感神経が交互に刺激され、自律神経が整います。

    この入浴をする時には3つ注意して欲しいことがあり、まず1つ目は交互浴の前後にコップ1杯程度の水を飲むことで脱水症状を防ぐことです。2つ目は、長時間やりすぎないようにすること、3つ目はお湯を熱くしすぎないようにすることです。これは暑いお風呂に長時間入ると交感神経が優位になって、夜に寝られなくなるからです。大体40度くらいを目安にすると良いでしょう。

    やっぱり睡眠も大事

    スタンフォード大学では運動部の全選手にアイトラッキングテストっていう小さな黒点を目で追わせることで脳の動きを計測するテストをさせています。寝不足状態の脳は思っている以上に活動レベルが低下することが分かっており、疲れの原因になります。

    まずは時間の確保が大事で、最低7時間は寝るようにした方が良いでしょう。またこれ以外にも次の4つのポイントを抑えておきましょう。①就寝時間、起床時間、睡眠時間は極力変えずに体のリズムをできるだけ一定にする、②休日に寝だめして体内時計を狂わせない、③就寝直前の交互浴は避け、寝る90分前までには入浴を済ませる、④IAP呼吸法を行う、です。

    大学病院に勤務する交代勤務を行う看護師390人を対象に行ったアンケート調査を分析したところ、連休中に外出したり、散歩やドライブに行ったりする外出思考タイプに分類された交代勤務看護師では、2度寝をしたり朝ゆっくり起きたりする睡眠思考タイプや家でボーっとしたり、テレビ鑑賞をしたりする在宅思考タイプの人たちよりも有意に早い疲労回復、低い疲労度が示されています。

    それに対して睡眠思考の交代勤務看護では優位に遅い回復を示しています。また2交代に比べ、3交代に従事する睡眠思考タイプの人で高疲労度を示していました。中でも外出思考タイプの人たちの疲労回復が早いことは、じっとしているより体を動かした方が疲労回復の効果があることを示しています。それに睡眠思考の交代勤務看護士で有意に遅い回復を示していたことから、休日の寝すぎが疲労の回復につながらないことの証明にもなっています。

    この研究の疲労の回復についての判断は、疲労の回復状況については蓄積疲労度チェックリストを使って、簡単な質問で判断されています。つまり何か検査をした数値の結果ではなく、看護師の主観で疲労の度合が決められています。

    IAP呼吸法

    体の歪みを直して疲労を回復する方法は、最低でも 1日1回IAP呼吸法をすることです。IAPとは、イントラアブドミナルプレッシャーの略で、復活という意味があります。つまりIAP呼吸法とは、復活呼吸法のことで復活を高く保ったままで呼吸をする方法です。

    複式呼吸は、息を吐く時にお腹もへこませて呼吸をしますが、この時膜が上がり腹圧も一緒に落ちてしまいます。腹圧呼吸では息を吐く時にお腹をへこまさず、そのまま腹圧を保って呼吸します。こうすることで腹部を取り囲んでいる横隔膜、内臓を支えている骨盤底筋群を支えているインナーマッスルが強化され、これらの筋肉がコルセットのように機能して内臓のずれや骨の歪みを改善してくれます。そして体の中心が定まれば無駄な動きがなくなり、同時に中枢神経の伝達、自律神経の乱れが改善し、疲労の予防や回復に繋がっていきます。

    IAP呼吸法のやり方は、まず耳と肩のラインが真っすぐになるようにリラックスした状態で椅子に座ります。次に肩を上げずに5秒かけて鼻から目いっぱい息を吸いながらお腹を膨らませます。そして次が大事で、お腹に力を入れてお腹を膨らませたまま5から7秒かけて口から息を吐き切ります。この一連の流れを繰り返すのがIAP呼吸法です。特に寝る前に2分程度IAP呼吸法をすることで自律神経とホルモンのバランスが整い、睡眠時の疲労の回復率が上がるとされています。

    【最新研究】副交感神経優位でもストレス状態

    所謂ストレス状態は、自律神経のうち交感神経が優位の状態のことで、逆に睡眠の時には体を緩ませる副交感神経が優位になります。ただし最近の研究では交感神経が優位になっている時だけではなく、副交感神経が優位になっている時でもストレス状態になってしまうことがあることが分かってきています。

    実は副交感神経には2つの種類があり、腹側迷走神経と背側迷走神経があります。この2つのうち背側迷走神経が優位な状態が続くと極端な省エネモードになって自分自身を守ろうとするため、無気力になってしまったり、体がだるくて感情を感じにくくなってしまったり、強い寒気を感じたりします。このように最新の研究によれば副交感神経も極端になると体にとってはストレス状態になってしまうことが分かっています。

    同じ副交感神経でも正しいリラックスモードである腹側迷走神経が優位になるように整えていく必要があります。ただし自律神経は、自分で思い通りにコントロールできるものではないため、ストレスを受けた時に自律神経のどのモードが優位になるタイプかは、その状況やその人それぞれで違います。

    例えば、ストレスを受けると体が動かなくなる、頭も働かなくなる、そして無気力になるタイプの人は、疲れているからと言ってゴロゴロすると、どんどん背側迷走神経が優位な状況になり、返って体が重だるくなってしまいます。そんな時は疲れすぎない程度に体を動かしてみると意外に気分がすっきりして元気になったりします。

    逆に交感神経が優位になっており、血圧が上昇したり、早く浅い呼吸になっていたり、気持ちが切迫状態になってしまうようなストレス状態になっている人の場合は、神経を興奮させるようなことはしないでひたすら休息が必要です。深呼吸して、お風呂でゆっくり温めて、そのまま眠ってしまうのが一番必要な疲労回復法になります。まずは自分の状態をしっかり観察すること、そして自分の状態に合わせた神経の整え方で疲労を取り除いてやることが大切です。

    入浴で心も体もリラックス

    最近の研究では入浴が血圧を下げる効果があると言われています。温かいお湯に浸ることで血管が広がり、血液の流れがスムーズになります。例えば40℃のお湯20分浸かると収縮期血圧が平均で10mmHgくらい下がることがあります。具体的にはお湯の温かさが血管を拡張させ、血管が広がると血液が流れやすくなり、心臓が血液を送り出すのに必要な圧力が下がる血圧低下メカニズムが挙げられます。また最適な温度は38から40℃くらいが良いと言われています。

    また、研究によると定期的に入浴することで心臓発作のリスクが減ることが分かっています。まず入浴によって血圧が下がり、血圧が安定すると心臓への負担が減ります。さらにお湯に浸ることでリラックス効果が得られ、ストレスが軽減されます。つまりストレスが減ると心臓発作のリスクも下がります。つまり入浴によって血液の循環が良くなるため心臓の健康が保たれます。

    実際に週4回以上入浴する人は、心臓発作のリスクが約30%減少するデータもあります。ただし長時間、熱いお湯に浸るのは逆効果で適度な時間と温度を守ることが大事です。具体的には、大体15から20分くらい、38から40℃のぬるま湯が理想です。

    さらに入浴には、ストレスを軽減する効果があります。お湯に浸ることで体がリラックスして緊張がほぐれます。まずお湯の温かさが副交感神経を刺激して、リラックス状態を促します。そして副交感神経が優位になると心拍数や呼吸が落ち着いてリラックスした気分になります。例えば40℃のお湯に20分間浸かると心拍数が下がり、呼吸が深くなります。これがリラックス状態を作り出してストレスを軽減してくれます。

    このようなことから定期的な入浴がうつ病の症状を緩和する効果があることが分かっています。入浴によってリラックスするとストレスホルモンのコルチゾールが減少します。このコルチゾールが減ることで気分が安定します。また入浴によって体温が上がると血流が良くなって脳に酸素がたくさん供給され、それが脳の機能を活性化させて気分の改善に繋がります。

    一方で入浴には免疫力を強化する効果があります。お湯に浸ることで体温が上がり、免疫細胞が活性化します。なぜなら体温が上がると白血球やリンパ球といった免疫細胞が活性化します。これらの細胞が元気になることで体内のウイルスや細菌と戦う力が強くなります。具体的には、体温上昇が効果的になる温度は、大体1から2℃くらいです。例えば38から40℃の湯に10から20分間浸かると体温がそのくらい上がります。

    他にも免疫力を強化するポイントは、入浴時にリラックスすることも大切です。ストレスがあると免疫力が低下するため、入浴中にリラックスすることでストレスが減り、免疫力が高まります。

    入浴の保湿効果

    入浴には皮膚を保湿する効果があり、お湯に浸ることで肌の角質層が柔らかくなり、水分を吸収しやすくなります。なぜならお湯に浸ると皮膚の表面が温まり毛穴が開きます。これより皮膚の角質層が水分を吸収しやすくなります。さらに温かいお湯が血行を促進して、肌の新陳代謝も活発になります。

    具体的な温度のお湯は、38から40℃くらいのぬるめのお湯が最適です。この温度で10から15分間浸ると肌がしっかりと保湿されます。また入浴後に保湿クリームを使うのも効果的です。入浴後は肌が柔らかくなり水分を含んでいるため、クリームが水分を閉じ込めてくれるため乾燥を防ぐことができます。

    また入浴は、アトピー症状にも効果的で、入浴がアトピー症状を改善するのにはいくつかの理由があります。まずお湯に浸かることで皮膚が保湿されて乾燥による痒みが柔わらぎます。さらにお湯に浸ることで角質層が潤い、バリア機能が強化されます。またお湯に浸ることで血行が良くなり、細胞に酸素や栄養素が行き渡りやすくなります。これが細胞の再生を促進して肌の若々しさを保つのに役立ちます。さらに老廃物の排出もスムーズになるため肌のくすみも改善されます。

    東洋医学で診る「疲労感」

    東洋医学では女性は7の倍数、男性は8の倍数で体が変化すると考えます。例えば女性の場合なら28歳をピークに、徐々にエネルギーが減っていくと考えられています。そのため大前提として加齢と共に疲れやすくなっていくのは体の仕組みとして当然であり、さらに頑張ろうとするのではなくて、小さなエネルギーでも疲れない工夫をしたり、疲れを小まめにケアできるように心がけることが大切です。まず簡単にできて高い効果が期待できるのが、体を疲れさせる食習慣をやめること大事です。

    鍼灸治療の疲労回復効果

    鍼灸治療は、幅広い症状に対して効果が確認されており、WHO(世界保健機関)もその効果を認めています。特に疲労を引き起こす様々な原因に対して、根本的な改善が期待できるため、疲れが中々取れないなどに悩まされている方にもおすすめの治療法です。疲労回復効果を期待できる理由は、以下の3つが挙げられます。

    免疫力アップ

    疲労が溜まっている場合は、免疫力が下がっており、そのため外部からの刺激(細菌、塵埃、大気汚染等)に適応できず、体調不良を引き起こす原因となります。通常であれば体内に細菌などの異物が侵入すると、免疫機能が働き、その異物を排除しようとします。鍼灸治療では、このメカニズムを利用して、ツボを刺激することで免疫機能の働きを促進させることができます。

    血行促進

    身体に疲労が溜まると、筋肉がコリ、筋肉の役割である血液を送り出すポンプ機能が有効に働きません。そのため筋肉がコリ固まると血行が悪化し、その結果、全身の細胞に十分な栄養素が届けられなくなるだけでなく、老廃物を回収及び排出することもできなくなって、されに疲れが溜まっていきます。鍼灸でコリを解消し、血流をよくさせることで、血行不良によって引き起こされる様々な体調不良の原因を解消することができます。

    自律神経を整える

    過度なストレス、睡眠不足が続くと交感神経が過剰に働き、副交感神経が上手く機能しません。副交感神経が働かなければ、身体が休養できない状態になります。その結果、疲れているのに眠れない、イライラしてしまう、頭痛や耳鳴りなどの体調不良の原因になります。鍼灸には過剰に働いた交感神経を抑制し、副交感神経を活発にする効果があり、自律神経のバランスを整えることができます。

    コラムの監修】

    恵比寿院長

    HARRNY 院長/鍼灸師 菊地明子

    ・経歴
    大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

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