トマトではなくトマトジュース

    トマトではなくトマトジュース

    一般的にトマトというのは非常に健康に良い野菜として有名ですが、実はトマトはジュースの方が健康に良いことが分かっています。基本、野菜はそのまま 食べるのが理想的で、ジュースにしてしまうと野菜に含まれている栄養素の一つである食物繊維が大幅に減少してしまいます。

    またその他の点においても、基本的には野菜ジュースを摂取することによって野菜の栄養素を補おうとする考え方は推奨できません。残念ながら野菜ジュースさえ飲んでおけば野菜の摂取はOKと言うそんな楽な方法はなく、しっかりと本物の野菜を食べる必要があります。しかしトマトは例外で、トマトに含まれるリコピンは生野菜より、ジュースなどの加工食品から摂取する方が吸収しやすいと言われています。

    抗酸化物質リコピン

    トマトが健康に良いとされている理由は、トマトに含まれているリコピンという強力な抗酸化物質にあります。その効果はβカロテンやアスタキサンチンよりも優れています。

    因みにアスタキサンチンの抗酸化作用は、ビタミンCやビタミンEの500倍以上です。商品によってばらつきはありますが、トマトジュース一杯でリコピンを20から40mg摂れ、これはトマト5個から10個分にあたります。健康効果を実感するために必要なリコピン摂取量は1日15mgと言われており、トマトジュース一杯で簡単に摂ることができます。

    また生のトマトのリコピンは細胞壁に守られており、消化吸収されにくいですが、トマトジュースは製造の際に細胞壁が壊されるため、リコピンが吸収されやすい形になっています。そしてリコピンは加熱すると吸収率が上がるということが分かっています。

    一方で、リコピンの血中濃度が高いと脳卒中のリスクが55%、そして脳梗塞のリスクが59%も低下する結果もあります。つまりトマトは動脈硬化や脳梗塞といった生活習慣病のリスクを下げてくれます。

    またトマトジュースを飲むことで花粉症に効くと言われているのを聞いたことないでしょうか。それはリコピンがアレルギー反応を抑制するからと考えられています。

    研究で明らかになったのは、花粉症の症状のある人がトマトジュースやトマトに由来するカロテノイドを継続的に摂取することで花粉症の自覚症状が改善するということが分かっています。ただ注意しなければいけない点は、スギ花粉症の人はトマトを食べると唇や舌、口の中や喉に痒みやしびれなどが現れる口腔アレルギーの症状が出ることがあります。そんな場合はトマトジュースは控えるようにしましょう。

    一般的に花粉症をもう既に発症している人は、生のトマトは食べるべきではないと言われており、含まれるタンパク質の構造とスギ花粉のタンパク質の構造が非常に似ているからと考えられています。そのため花粉症を発症している人は生のトマトを摂取することによって、アレルギー反応が出てしまう可能性が指摘されています。しかしトマトジュースは加熱されているので、花粉症の人であっても安心して摂取することができます。

    また、トマトジュースにはビタミンC、ビタミンA、ビタミンB群、カリウム、マグネシウムなど健康に欠かせない多くのビタミンやミネラルが豊富に含まれており、栄養の宝庫と言えます。

    リコピンの健康効果

    がんの予防

    リコピンにはアポトーシスの促進と血管新生を阻害する効果があります。アポトーシスは、機能が低下した細胞や癌細胞のような体に悪い細胞が蓄積しないように自ら消える作用です。一方の血管新生は、細胞の通り道としての血管を増やすことですが、血管新生は癌の発生や進行を促進させることも分かっています。そのためリコピンが、がん細胞自体の増殖を抑えてくれる働きが確認されています。

    実際イタリアで行われた研究では、トマトをよく食べると胃がん、大腸がん、直腸がんのリスクが低下したことが分かっています。平均で1日に2個ずつトマトを食べる南イタリアでは消化器系のがんが少なく、他にもアメリカの研究ではリコピンが前立腺がんの進行を抑制したという報告もあります。

    動脈硬化の予防

    ニュージーランドの研究では、トマトジュースを1日500ml飲むと酸化LDLのレベルが低下しました。またアイルランドの研究によると、リコピンは善玉コレステロールの働きを高め、酵素を増やすことが分かっています。つまりリコピンは脂質の酸化を防ぎ、善玉コレステロールを増やす働きがあり、動脈硬化を予防すると言えます。実際にトマトをよく食べる地中海の諸国は、他の国より循環器関連の病気にかかる人が少なくなっています。

    骨粗鬆症の予防

    筑波大学で行われた動物実験では、リコピンの摂取で骨量の減少が軽減したことが分かっています。またカゴメ株式会社の研究では、閉経後の女性がリコピンを摂った場合も、骨量の減少が軽減しています。これはリコピンの抗酸化作用が、骨量を減らす細胞の働きを抑える作用があるからです。つまり骨量の低下を抑える働きと骨量の増加を助ける働きがあります。またトマトジュースのクエン酸やビタミンCは、骨の形成に欠かせないカルシウムの吸収を助ける働きがあります。

    糖尿病の予防

    名古屋文理大学の研究では、リコピンを継続的に摂取すると、ヘモグロビンA1cの値が低下したという報告があります。リコピンは食欲の抑制やエネルギー代謝を助けるホルモンであるレプチンの分泌を増やし、また血糖値を下げるホルモンのインスリンの分泌を阻害するTNFαの分泌を抑えます。

    アルツハイマーの予防

    アメリカの研究で、リコピンは炎症性物質の酸性を抑制する働きがあることが分かっています。さらにリコピンの脳の血流を良くする作用もアルツハイマー予防の効果が期待されています。

    アレルギーの予防

    トマトジュースには、花粉症の自覚症状を抑える効果があると言われています。継続的に飲むことで、かゆみや鼻づまりなどの症状が抑えられるという研究結果が出ています。

    京都大学の研究では、リコピンはアレルギー症状を抑えるT細胞を増やすことが分かっています。またアレルギーを引き起こすインターロイキン4などのサイトカインを減らす効果も確認されています。つまりアレルギーを抑える物質を増やして、アレルギーを引き起こす物質を減らす働きがあります。またカゴメの研究では、リコピンが花粉症や喘息、ハウスダストの改善効果があったことが報告されています。

    ただし、杉の花粉症の人は、トマトによる口腔アレルギーが出てしまう場合があるので注意しましょう。なぜなら彬のタンパク質構造とトマトのタンパク質構造が似ており、体が勘違いしてアレルギー症状を出してしまことが分かっています。この症状は生トマトに多く、加熱しているものは問題ないと言われていますが、個人差もあるので注意しましょう。

    トマトに含まれるカリウム

    ビタミンCや食物繊維以外にも、カリウムも含まれています。日本人のカリウムの平均摂取量は厚生労働省の食事摂取基準より低くなっています。またトマトジュースに含まれるカリウムは余分な塩分を排出する働きがあります。

    食塩に含まれるナトリウムが体内に増えるとその濃度を薄めるために多くの水分が必要となり、その分多くの血液が必要となって、結果的に高血圧につながってしまいます。つまり塩分の排出を助けるカリウムを多く含むトマトジュースは飲むことで、高血圧予防にもなります。そしてカリウムは利尿作用があり、体内の過剰な水分を排出してくれます。これによりむくみの解消も期待できます。

    ちなみに、塩分を排出してくれるカリウムも、摂り過ぎは体に良くありません。特に腎機能が低下している人は、高カリウム血症になってしまう危険性が高くなります。高カリウム血症になると下痢や吐き気、胃痙攣などの胃腸症状、脱力、しびれなどの神経症状、心機能の異常に繋がってしまいます。

    また、カリウムには過剰な水分を排出する働き、利尿作用があるため水代わりに飲んでいると逆に水分不足に陥ってしまう可能性もあります。またトマトに多く含まれるリコピンも過剰摂取による副作用があります。リコピンを過剰摂取すると体が冷え腸の機能が低下し、下痢や腹痛といった症状が現れる場合があります。さらに摂り過ぎによって肌が赤や黄色っぽくなってしまう場合もあります。

    トマトジュースの効果的な飲み方は、1日200ミリリットルまでとされています。基本的にはコップ1杯が200ml くらい、普通のジュース感覚で飲み過ぎてしまうと悪影響が出てしまいます。

    13-oxo-ODA

    2012年に京都大学の研究チームによって発見された成分13-oxo-ODAは、脂肪肝や高中性脂肪結晶などの脂質代謝異常の改善に有効な成分と言われています。 京都大学の研究では13-oxo-ODAを含む高脂肪食を食べる肝臓内の中性脂肪量が増えないことが確認されています。さらに直腸の温度上昇により脂肪燃焼が進んでいることが示されています。

    他にも食生活の乱れや運動不足などによって起こる余分なコレステロールを回収したり、善玉コレステロールを増やしてくれる働き、骨粗鬆症の予防、疲労回復効果もあり、緊張やストレスを緩和してくれるGABAも含まれています。さらに認知症の予防にも効果があると言われています。

    GABAは、血管を収縮させる神経伝達物質ノルアドレナリンの分泌を抑える働きがあり、それによって血管の収縮が和らぐことで血の流れが良くなり、血糖値を下げることができます。そしてリコピンには、インスリンの働きを促進する効果があります。つまりトマトジュースを飲めば、血糖値を下げることになり糖尿病だけじゃなく、がん、認知症、心筋梗塞、脳梗塞などの様々な病気の予防になります。

    トマトジュースに含まれるGABA(ギャバ)

    GABAはγ-アミノ酪酸の略称で、アミノ酸の一種です。GABAには、主に3つの健康効果が期待されています。1つ目はストレス軽減効果で、睡眠時やリラックスに欠かせない副交感神経の働きを促進します。また緊張やストレスを軽減するアルファ波の働きを促進する効果もあります。京都女子大学と静岡県立大学の研究では、GABAの摂取で長い吊り橋を渡る時の被験者にかかるストレス指数sIgAが減少するかを見る実験が行われました。その結果、GABAを摂取しなかった被験者と比べて、ストレス指数が低値を示しています。

    2つ目は、血圧を下げる効果です。血圧が高めの被験者約80名を対象に、GABAの12週間摂取による血圧降下作用を見た研究報告があります。その結果ではGABAを摂取すると、収縮期血圧が約10mmHG下がっています。GABAの血管収縮作用があるノルアドレナリンを抑制する作用が、血圧を下げたと考えられています。またGABAには、腎臓の機能を活性化させ、余分なナトリウムを排泄させる作用もあります。

    3つ目は睡眠の質を高める効果です。介護老人保健施設の入所者に夜寝る30分前に、GABAを接種してもらい、睡眠の質を調べた研究があります。GABAを摂取していないグループと比べて、入眠の速さや睡眠の深さの改善が見られています。

    体に起こる変化

    抗酸化物質により体内の炎症を抑制

    トマトジュースには、リコピンをはじめとする強力な抗酸化物質が非常に豊富に含まれていることが分かっています。リコピンはフリーラジカルのダメージから私たちの細胞を守り、体内の炎症を抑えてくれるということが研究によって明らかになっています。

    例えば30人の女性を対象とした2ヶ月間に渡る研究では、リコピン32.5mgを含むトマトジュースを毎日280ml飲んだ人は、アディポカインという炎症性タンパク質の血中濃度が著しく低下することが明らかになっています。

    また106 人の太りすぎの女性を対象とした別の研究では、毎日330mlのトマトジュースを20日間飲むと、対象群と比べてインターロイキン8などの炎症マーカーが優位に減少したということが明らかになっています。

    一方で、リコピンの抗酸化作用によって酸化ストレスが抑えられ、それによって炎症反応が抑制されるというメカニズムも提唱されています。これは心臓病や癌などの慢性的な炎症関連疾患の予防に役立つ可能性があると考えられています。そしてトマトジュースにはリコピンの他にも、ビタミンCとβカロテンという強力な抗炎症作用を持つ2つの抗酸化物質が豊富に含まれています。

    体が内側から若返り、肌が輝き出す

    トマトジュースには、リコピンをはじめとした抗酸化作用を持つ成分が豊富に含まれています。これらの成分によって体の錆の元となる活性酸素の影響を抑えて、体内の細胞を酸化から守り、老化スピードを遅らせることができます。

    さらに天然の日焼け止めとしても機能し、有害な紫外線と戦う抗酸化物質が高レベルで含まれており、紫外線による酸化ストレスから皮膚を保護し、結果として高い美肌効果が期待できます。またリコピンは、メラニンの生成を抑える働きがあるとも言われています。

    そしてリコピンは、若返りビタミンとして有名なビタミンEの約100倍強力であることも分かっています。つまり肌荒れ防止はもちろんのこと、シワやたるみにも効果が期待できると言われています。

    さらにリコピン、βカロテン、ルテイン、ビタミンE、ビタミンCは肌の炎症を沈めてくれることも分かっています。またビタミンCには、コラーゲンの生成を促進し、肌の弾力性を向上させる効果が期待できます。

    一方で、トマトジュースにはアンチエイジング効果が期待できるビタミンB群も含まれていて、シミや小じわを減らす効果が期待できます。またビタミンB 群は細胞の修復に貢献し、色素沈着や日焼けによるダメージを軽減する効果が期待できます。

    便秘の改善

    研究では、加齢とともに女性の約3割、男性でも2割近くが慢性的な便秘症状を訴えていると報告されています。こうした便秘は、ただの不快感だけではなく、大腸癌や痔など様々な病気のリスクにもつながってしまいます。そのための不快感だからと軽視をするのは非常に危険です。

    実は、朝に飲むトマトジュースが自然なお通じのスイッチとして注目されています。なぜならトマトジュース100mlあたり約0.6gの食物繊維が含まれており、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方をバランスよく含まれているからです。トマトジュースには、水溶性食物繊維であるペクチンと不溶性食物繊維であるセルロースが両方含まれています。

    ペクチンは水に溶けてゲル状となり、腸内の善玉菌の餌になります。特に乳酸菌やビフィズス菌の増殖を助け、腸内フローラを整える働きがあります。また加齢とともに善玉菌の比率が減少するため、それを底上げし、ガスや便の臭いを軽減できるメリットがあります。一方で不溶性食物繊維のセルロースは、水分を吸収して膨張し、物理的に腸を内側から刺激します。この刺激が大腸の蠕動運動を促し、便をスムーズに送り出す力を強化してくれます。

    実際、2017年の研究では、トマトジュースを朝食に取り入れたグループは2 週間で便通回数が平均して1.5倍に増加したと報告されています。

    また、トマトジュースには独特の酸味があり、その正体がクエン酸です。このクエン酸を朝に摂取することで、目覚まし時計のように腸を目覚めさせてくれることが分かっています。またクエン酸は胃酸の分泌をサポートし、消化を助けてくれます。それによって食べ物の流れがスムーズとなり、腸の活動がスタートしやすくなります。さらにクエン酸は腸内を弱酸性に傾ける作用があります。これによって悪玉菌よりも善玉菌が増えやすい環境となり、結果として朝からのお通じの改善につながります。

    一方で、便秘の最大の原因の1つが便の硬さです。加齢と共に腸の水分吸収が過剰となって便が硬くなって出にくくなります。実はナトリウムやカリウムなどの電解質があって、初めて水分は細胞に浸透します。そのため脱水状態の時に水をいくら飲んでも尿が増えるだけで意味がありません。しかしトマトジュースであれば天然の電界質が水分に溶け出しており、健康的に脱水症状を防ぐことができます。このように豊富な水分を摂取することで、大腸に水が入ったというシグナルが送られ、便を送り出す蠕動運動が誘発されます。

    ペクチンで腸内フローラが改善

    トマトにはペクチンという食物繊維が含まれています。ペクチンは多くの健康効果を持つとされていて、例えば腸内フローラの改善効果があります。ペクチンは腸内でプレバイオティクスとして機能し、善玉菌の増殖を助けてくれます。これによって消化系の健康を改善し、特に便通を改善し、便秘の予防や治療に役立つとされています。また腸には免疫細胞の大部分が集中しているため、腸内環境が整うことによって免疫力が高まる効果が期待できます。

    さらにペクチンは血糖値をコントロールすることにも役立ってくれます。ペクチンを摂取することで消化が遅れ、その結果血糖値の急激な上昇を抑える効果が期待できます。またペクチンは胃で水分を吸収し、ゲル状になるため、食後の満腹感を増加させ、間食を抑えるのにも役立ってくれます。

    病気リスクが低下

    トマトを生で食べるよりもトマトジュースを飲む方が良いことを裏付ける研究があります。トマトとリコピンの食事摂取と全身及び原因別死亡リスクを調べた2021年の研究によると、生のトマトを摂取すると死亡率が5%しか低下しなかったのに対し、高濃度のリコピンを摂取した場合は死亡率が12%低下したことが分かっています。

    また、リコピンはトマトよりも加工品にしたトマトジュースの方が3.8倍も吸収率が高くなったという研究結果があります。また生のトマトではだいたい1個あたりのリコピン量は5mgから15mg程度ですが、トマトジュースでは40mg 程度リコピンを摂取できるものがあるので、効率的にトマトの栄養を摂取できます。

    一方でトマトジュースはチーズやヨーグルトなどの乳製品と一緒に飲むと良いと言われており、リコピンは乳製品と一緒に取ることで吸収率がアップするからです。そして乳製品に含まれるカルシウムは、体には吸収されにくいのですが、トマトジュースに含まれるクエン酸によって、カルシウムは吸収が断然良くなります。

    その他にも食事からのリコピンを摂取することで前立腺がんのリスクが減ることが示されていたり、またトマトを含む野菜や生のフルーツを食べることによって冠動脈疾患のリスクが下ことも研究によって明らかになっています。

    血管がツルピカになる

    トマトジュースには、リコピンやナイアシンといった悪玉コレステロールを下げてくれる有効成分が含まれており、悪玉LDLコレステロールを減らしてくれることが研究によって指摘されています。

    悪玉LDLコレステロールは動脈の血管の壁に、コレステロールを運び込み動脈硬化の発症や進行に関与し、血管年齢を上げることが分かっています。一方で善玉のHDLコレステロールは、体の各組織から余分なコレステロールを回収して、肝臓へ運び戻すという大切な役割を持っています。

    実際にトマトジュースの悪玉コレステロールを減らしてくれる効果は研究によっても確かめられています。2015年に行われた研究では2ヶ月間毎日トマトジュースを280ml飲むと血中コレステロール値が減少したことが分かっています。

    また日本で行われた研究でも、塩分が添加されていないトマトジュースを1年間飲んだ参加者は、悪玉コレステロールと血圧の数値が優位に低下していたことが明らかになっています。この悪玉コレステロールの数値が低下するのは、トマトに含まれている抗酸化物質であるリコピンにあるのではないかと考えられています。

    さらにトマトジュースにはリコピン以外にもコレステロールを減らしてくれるナイアシンという物質も豊富に含まれています。このナイアシンにも善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールを減らす効果が報告されています。

    美肌や美白効果

    カゴメ株式会社の研究データでは、トマトのビタミンEとリコピンがタッグを組むことでメラニンの生成を抑えたり、紫外線の影響によるコラーゲン減少を防止したり、そしてシワを減らす効果が期待できるって事が分かっています。

    また、トマトジュースに含まれているミネラルの 1つカリウムは、むくみの原因の塩分を排出する手助けをしてくれると言われています。現代人は特にこのカリウム不足が原因でむくみが酷くなっているため、トマトジュースを摂取することでデトックス効果が期待できます。

    冷えの改善

    加齢と共に多くの人が手足の冷えや朝起きた時の関節のこわばりを訴えるようになります。これらの原因の大半は、血流の滞りにあります。血流が悪いと酸素や栄養素が全身に行き渡らず、そうなれば局所的な体温も下がってしまいます。そんな朝の血流不良を整える自然の助けとなるのがトマトジュースです。

    トマトジュースに含まれるリコピンやカリウムが血流をアップしてくれる他 に、トマトジュースにはビタミンEも含まれています。このビタミンEは血液の流動性を高める重要な役割をしていて、血液の塊である血小板の過剰な凝集を抑制し、血栓ができにくい状態にしてくれます。

    実際、ドイツで行われた臨床研究では、ビタミンEの摂取によって末梢血流量が改善し、冷え症の症状が緩和されたことが報告されています。特にビタミンEは、リコピンとの相場効果によって血管をしなやかにしてくれるため、毛細血管レベルで私たちの体を若えらせてくれる効果があると言えるでしょう。

    ちなみにトマトジュースに含まれるリコピンは、温めることでその健康効果が増すことが知られています。ただしビタミンCなどの他の栄養素は、逆に熱に弱い性質を持っていますので、沸騰させるほど熱々にするのはお勧めできません。あくまで少しぬるくする程度に、ちょっと温めるぐらいが冷え予防には最高の方法であると言えるでしょう。

    痩せられる

    年を取ると私たちはどんどん太りやすくなってしまいます。食べる量自体は変わっていないのに体重が落ちないは、多くの人が抱える悩みになっています。その原因のほとんどは、実は基礎代謝の低下にあります。加齢によって筋肉量が減ってホルモン分泌が変化することで、体がカロリーを燃やす力が衰えてしまいます。そのような代謝の低下を抑えてくれるものがトマトジュースです。

    人間の体は、朝に交感神経を優位にすることによって1日の活動モードに入ります。また副交感神経が体のスイッチをオンにする役割であるなら、交感神経は逆にスイッチをオンにする役割です。夜に副交感神経を高めて、しっかりと眠った後は、今度は交感神経によって体をオンにすることで、私たちは日中シャキシャキと動くことができます。

    トマトの酸味成分であるクエン酸は、この交感神経を刺激し、目覚めのスイッチを入れてくれます。さらにトマトジュースに含まれるリコピンは、私たちの 基礎代謝を上げてくれることも分かっています。人を対象とした臨床研究でも リコピンを8週間摂取した中高年女性で、基礎代謝量が平均で7%増加したことが報告されています。

    基礎代謝は、寝ているだけで何も活動しなくても消費されるエネルギー量のことです。つまり朝にトマトジュースを飲むだけで、運動不足の方であっても脂肪がどんどん燃焼されることが分かるでしょう。

    また、トマトジュースに含まれるビタミンCは、副腎で作られるアドレナリンの生成に必須の栄養素になっています。実際研究では、ビタミンCが不足するとアドレナリンの分泌が鈍り、朝の代謝が立ち上がりにくくなることが示されています。逆にイギリスの臨床研究では、ビタミンCを十分に摂取したグループで、脂肪燃焼効率が向上したと報告されています。

    トマトジュースの注意点

    食塩が添加されたトマトジュース

    絶対に勝ってはいけないトマトジュースは、食塩が添加されたトマトジュースです。塩分をたくさん取ると血液の中の塩分濃度が高くなります。すると体はその濃度を調節しようとして水分を溜め込みます。それによって血管内の液体量が増えるため血管がパンパンになり、血管を圧迫し、その結果高血圧になってしまいます。そして高血圧は、常に血管に負担がかかり続けている状態になり、当然動脈硬化のリスクを高め、心臓にも負担がかかり、全身の血管はボロボロになり、血管が老化してしまいます。

    厚生労働省は 男性は7.5g未満女性は6.5g未満を1日の塩分摂取量の目標としておりますが、実際の日本人の食塩摂取量は1日あたり男性が11g、女性が9.3gということが分かっており、目標値よりもかなり多く摂取してしまっています。トマトジュースを飲むのであれば食塩無添加のトマトジュースを選びましょう。

    濃縮還元のトマトジュース

    不自然にリコピンの多いトマトジュースは、濃縮還元という特殊な製法によって作られているものがほとんどです。濃縮還元はその名の通り、リコピンの濃度を上げるためにトマトを不自然に濃縮するものです。このように濃縮をすることによって確かにリコピンの量は増えますが、その一方でビタミン類などの栄養素が加熱の加熱で失われてしまうことが分かっています。

    さらに濃縮還元のトマトジュースでは、風味が損なわれるため、多くの場合塩分が加えられています。この時添加される塩分は、天然の岩塩や海水塩ではなく、人工の安い塩化ナトリウムであるため、血圧を上げ、動脈効果のリスクを高めてしまうことが分かっています。

    さらに、どんなに健康に良いリコピンでも摂り過ぎは良くないことが分かっています。リコピンを過剰摂取することによって、カロテン症という病気になることが知られています。これは皮膚に色素が沈着して黄色くなってしまうという症状で、まるでみかんの皮のような色の肌になってしまうことから柑皮症とも呼ばれています。

    さらにトマトジュースには、カリウムも含まれています。トマトに自然に含まれるカリウムの量であれば血圧を安定させ、 腎臓を健康に保つ効果がありますが、濃縮還元で作られた不自然に濃いトマトジュースでは、カリウムの量が増えすぎてしまう問題があります。

    カリウムを過剰に摂取すると吐き気や下痢といった様々な重篤な症状を引き起こす可能性があります。またカリウムを摂り過ぎると逆に腎臓に負担をかけてしまい、最悪の場合心臓に負担をかけて不整脈を引き起こすことさえあります。このようなことからリコピンが多い濃縮還元のトマトジュースはあまりお勧めできないと言えるでしょう。トマトジュースを飲むのであれば、無添加で自然に作られたストレートのトマトジュースを選ぶのが良いでしょう。

    他の果物が入っているトマトジュース

    100%のトマトジュースは、あまり美味しくはありません。そのためトマトジュースの中には他の果物を加えることによって口当たりを良くし飲みやすくされたものが売られています。

    フルーツは、ジュースにしてしまうと様々なデメリットが発生することが膨大な研究によって分かっています。例えばフルーツジュースを飲むと死亡リスクが高まるとか、糖尿病のリスクが高まるといったことが研究によって報告されています。一方でフルーツの代わりに糖分や添加物が入っているトマトジュースがあるので注意しましょう。

    きな粉をトマトジュースに入れる

    きな粉と聞くと和菓子にかける甘い粉というイメージが強いかもしれません。ですが、きな粉は大豆の栄養素を丸ごと摂れる栄養化の高い優秀な食材です。さらに注目されているのがトマトジュースときな粉の組み合わせです。どちらもスーパーで安く手に入る日常的に摂取しやすい食品であり、これらを一緒に摂ることで健康効果が高まることが報告されています。

    2022 年に発表されたアメリカのアイオワ州立大学を中心としたレビューによると、きな粉に含まれる大豆オリゴ糖がマグネシウムをはじめとするミネラルの吸収効率を高める可能性が指摘されています。オリゴ糖は腸内細菌の餌となり、腸町内環境を整える働きがあります。さらにオリゴ糖は血糖値を上げにくく栄養素です。

    この研究では、特に大豆オリゴ糖の一種であるラフィノースやスタキオースといった物質が腸内でカルシウムやマグネシウムの吸収効率を高めるということが分かっています。これらのミネラルは骨密度の維持や転倒予防に直結するため、中高年期の健康に欠かせない要素になっています。

    さらに、きな粉には大豆タンパク質が豊富に含まれています。大豆タンパク質は筋肉を維持して体のしなやかさを保つことが確認されています。また大豆タンパク質には血液中の悪玉コレステロールを減らしてくれる作用があり、動脈硬化のリスクを下げる働きがあります。

    一方で、トマトジュースには、カリウムが含まれていて余分な塩分を体外へと排出し、血圧をコントロールする効果があります。実際、研究では大豆タンパク質を1日25g摂取したグループでは、悪玉コレステロールが優位に低下したことが分かっています。

    トマトジュース+松の実

    松の実は、古くから薬膳として使用されてきた歴史があり、滋養強壮効果で知られているナッツ類の1つです。松の実は、脳や血管、肌の老化防止に直結する栄養素の宝庫です。松の実は、ピノレン酸をはじめとする珍しい栄養素が含まれています。

    このピノレン酸は、悪玉コレステロールの酸化を抑えることが知られています。一方でトマトジュースのリコピンも悪玉コレステロールの酸化を防いでくれます。このようにトマトジュースと松の実の両方の作用が重なり合うことで血管の健康が若えることが期待できます。

    実際、イタリアの臨床研究では、松の実をはじめとするナッツ類を週5回以上摂取する人は、冠動脈疾患の発症率が40%を低下することが報告されています。

    さらに松の実は、マグネシウムの宝庫です。マグネシウムは、トマトジュースにはあまり含まれていない栄養素のため、互いを補い合うという点で素晴らしい効果があります。マグネシウムは血管の緊張を緩めて、拡張させるという作用があります。これによってトマトジュースの血圧を下げる効果と一緒に作用し、頭痛や脳梗塞などのリスクを下げてくれることが分かっています。 また、松の実には亜鉛も豊富に含まれています。この亜鉛がトマトに含まれるビタミンCと組み合わさることで、お肌の健康を強化してくれます。亜鉛は細胞分裂に欠かせない物質です。一方でビタミンCは、コラーゲン合成を促し、シワを予防してくれます。このようなことから亜鉛とビタミンCを一緒に取る ことで新しい皮膚がどんどん皮膚表面で生まれます。

    トマトジュースのタイミング

    トマトジュースは、朝に飲むのがおすすめとされています。睡眠により長い時間絶食していた体は栄養成分の吸収率が良くなっていると考えられます。実際にトマトジュースを飲んだ時に朝昼晩のどの時間がリコピンの吸収率が良いのかという研究も行われており、その結果朝が一番リコピンの吸収が良いことが明らかになっています。

    朝でもトマトジュースは食事前30分前がベストタイミングです。京都大学の研究で時間を変えて効果を検証する実験があり、食事中や食事の10分前などに比べて最も効果が高かったのが食事の30分前でした。

    コラムの監修】

    恵比寿院長

    HARRNY 院長/鍼灸師 菊地明子

    ・経歴
    大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

    関連記事

    1. ダイエット方法の変化

    2. 寝る前に摂るべき栄養素

    3. 3つのツボで美顔を保つ

    4. プラスチックケトルに注意

    5. オメガ3脂肪酸の健康・美肌効果

    6. 顔がたるむ人とたるまない人の差

    7. アンチエイジングには『ごぼう茶』『オートミール』

    8. 糖質疲労がだるさの原因

    9. 脳科学的に診る「脳の使い方」

    10. 痩せ願望は緩やかな体重制限で

    11. 整腸剤の選び方

    12. マイオカインで老化防止

    13. 食べる日焼け止め

    14. 体脂肪を落とす方法

    15. 失敗するダイエット方法