整腸剤の選び方

    整腸剤の選び方

    健康的な食事、適度な運動、良質な睡眠が健康的な体づくりの基本ですが、健康の本当の意味は、質の良い血液が体全身に流れていることです。その血液の質を左右するのが腸です。ここ数年、腸に関する研究が世界的に進み、腸内環境の悪化があらゆる病気の元になり、特に血液に対する影響が大きいことが世界中で証明されています。

    腸内環境が悪ければ、毒素や有害物質が血液中に放出され、さらに腸が炎症を起こすことでむくんだ状態になり、腸の血流も悪くなります。その結果、質の悪い血液が全身を巡り、さらに流れも悪くなってしまいます。

    お腹に違和感がある、いつもお腹の調子が悪いなどは、腸のむくみかも知れません。腸のむくみとは、腸の炎症のことです。むくんだ腸をほっておけば、大腸がんに繋がることも指摘されています。日本人の癌の第一位である大腸がんが増加した原因として、食生活の欧米化、体を動かす機会の減少が挙げられています。大腸の病気の多くは、腸管の壁の粘膜に慢性的な炎症が起きて、腸がむくんだ状態から始まります。この原因の多くが、暴飲暴食などの不摂生により生じます。

    私たちの腸内には1000種類以上も腸内細菌が存在しており、毎日の食事によってその構成は変化します。この食事で大事なことが、善玉菌が含まれている食材と食物繊維が多く含まれている食事を摂ることです。

    前者はヨーグルトなどの発酵食品があり、因みに郷土食の強い発酵食品が多い滋賀県は大腸がんの発症率が低い傾向にあります。ここで注意したいのが、毎日同じような発酵食品を食べるのではなく、いろいろな種類を食べることを心がけてください。また腸は寝ている時によく働くため、夕食時に発酵食品を食べるようにしましょう。ただし腸に善玉菌が多くいるだけでは十分な働きをしてくれません。そこに食物繊維があってこそ機能するのです。

    悪玉菌の大好物「食物繊維」!?

    食物繊維が腸内細菌の餌になる理由は、ほとんどの栄養素は胃で消化され、小腸で吸収されますが、腸内細菌が住む大腸までなかなか消化されず届くからです。また食物繊維には不溶性と水溶性があり、腸内細菌の餌になるのは海藻や野菜などの水溶性のものが多いです。

    実は食物繊維は摂りすぎると腸内環境を悪化させることが分かっています。その理由は、善玉菌の餌ではなく、悪玉菌の餌にもなってしまうからです。さらに悪玉菌の方が食物繊維の餌になりやすいことも分かっています。つまり悪玉菌が多い腸内環境に食物繊維を摂ると、さらに悪玉菌を増やす結果になります。

    また、遺伝よりもその人の腸内細菌の構成の方が、血糖値や肥満といった多くの健康状態を左右すると言われています。腸内細菌は食べ物の消化吸収だけでなく、お肌のキメ、ホルモンバランスなどの体のあらゆる健康と寿命に影響を与えています。腸内細菌の悪玉菌を抑えることが重要ですが、この悪玉菌の大好物が人工甘味料(糖類)、りんご、牛乳です。これらを避けるだけで、悪玉菌の増殖を抑えることができます。

    悪玉菌が増える理由

    人間の体に大きな害をもたらす代表的な菌にウェルシュ菌、ボツリヌス菌があり、どちらも食あたり、下痢、嘔吐など激しい症状を引き出します。一方で肌荒れなどの健康的な体のバランスを崩す悪玉菌は硫化水素やインドールなどの悪臭を放つ腐敗ガスを発生させる悪玉菌です。この腐敗ガスがおならや体臭などを臭くさせる原因になります。さらにガスが腸から体内に入り血液に運ばれて、肌荒れを引き起こします。匂いが気になるのであれば腸内が悪玉菌優勢である可能性が高いです。最新の研究ではこのガスが、高血圧、糖尿病、動脈硬化を引き起こすことが分かってきています。

    この悪玉菌が増える理由として、食べているタンパク質に原因があると考えられています。食べると基本は小腸で吸収されていますが、タンパク質が分解されにくい形に加工、調理されている食事や、質が変性したタンパク質になっていることで、本来であれば分解、吸収されるはずのものが、されずに大腸まで到達して悪玉菌のエサになってしまいます。

    この臭いガスのもとになるのが主に肉のタンパク質です。魚などのタンパク質は、動物性のものとつくりが違うためあまり臭いガスになりません。しかし、植物性のタンパク質に比べて動物性のタンパク質は簡単にアミノ酸を吸収して使いやすいというメリットがあります。そのため肉も野菜もバランスよく摂るというのが健康的な食習慣になります。

    腸内環境をチェックする

    腸内環境で善玉菌が優勢か、悪玉菌が優勢かは便の状態を見ることで判断できます。理想的な便は、肛門からスルリと抜け出てくる10センチくらいのバナナ状で、色は明るい褐色です。

    善玉菌は短鎖脂肪酸をつくり、腸内環境を酸性にします。それによって便が黄色味を帯び、軽く水に浮き、匂いも強くありません。それに対して悪玉菌や日和見菌が多いと、腸内環境はアルカリ性に傾くため、色が黒くなり、匂いもきつくなります。さらに悪玉菌は悪臭のあるガスを産生するためお腹が張り、臭いおならが出るようになります。そのためまずは整腸剤等で腸内環境を整えてから食物繊維を摂るようにしましょう。

    また、適切な量の野菜や海藻などをよく噛んで食べ、食物繊維を摂取すると同時に「オリゴ糖」を摂ることも大切です。オリゴ糖は胃や小腸で吸収されずに大腸まで届き、善玉菌の餌になりやすい特徴があります。ただし食物からオリゴ糖を摂るのは難しく、オリゴの意味は少ないという意味でもあります。オリゴ糖には色んな種類があり、どのオリゴ糖が自分に合っているかは実際に食べて見つける必要があります。その判断ポイントは便とおならです。

    一方で、私たちが食べた物は、食道から胃に入り吸収しやすいように消化されて、小腸で栄養分が吸収され、その残骸が大腸に送られます。その大腸で少しずつ水分が吸収されて便の形になります。便秘は、大腸の中に便が留まり、水分が無くなることで硬くなり排便しにくくなることです。つまり便を柔らかくするための水分を十分に摂らなければなりません。

    発酵性食物繊維

    発酵性食物繊維は、腸内で発酵する食物繊維のことで、大豆やヨーグルトなどの発酵食品とは少し意味が違います。発酵性食物繊維が腸内で短鎖脂肪酸という全身の健康を増進する物質を生成します。短鎖脂肪酸は大腸で生成され、代表的なものが酪酸、酢酸、プロピオン酸で、これら3種は全身の免疫力を高め、老化を防ぎ、肥満を防止する効果が期待できます。特に酪酸の産出が進み、腸内環境が改善していきます。

    発酵性食物繊維が豊富な食べ物は、ごぼうなどの根菜類、そば、海苔やワカメ、昆布などの海藻類が挙げられます。

    短鎖脂肪酸は全身の細胞膜にある「酸」を感知するセンサーである短鎖脂肪酸受容体に働きかけ、脳に伝わると食欲をコントロールするため、例えば食べ過ぎた場合でも、交感神経を刺激してエネルギー消費量が増えることで肥満を押さえることができます。また膵臓に十分な短鎖脂肪酸が届くことで、インスリンの分泌を抑えることができます。さらに腸の活動が活発になれば、腸の粘膜のバリア機能が高まり細菌などの異物が侵入することを防止するなどで免疫力がアップします。

    現代人を悩ませるアレルギーは、花粉などの特定の物質に過剰に身体が反応して、自分自身の細胞を攻撃してしまうことですが、腸内の短鎖脂肪酸は、免疫細胞の制御性T細胞(Treg細胞)を増やし、血流に乗って全身に行き渡り、免疫細胞にブレーキをかけて、アレルギー状態を改善する効果もあります。

    短鎖脂肪酸の主な働き

    食欲抑制作用によるダイエット効果
    発がん性物質の生成を抑え、大腸がんや肝臓がんなどの予防効果
    栄養を効果的に摂取し、細胞のエネルギー源になる
    腸内を弱酸性に保ち、有害菌増殖を防ぐ
    免疫細胞を活性化、免疫力を向上する
    腸の蠕動運動を促進し、便秘を改善する
    体内で生成されるコレステロールを減らす

    食物繊維と同時に摂るべき食物

    〈乳酸菌〉ヨーグルトなど

    乳酸菌選びで大切なのは、一つの乳酸菌にこだわらず、いろいろな乳酸菌を摂ることです。いろいろな乳酸菌を摂る方が腸内環境がよりよくなることが分かっており、同じ乳酸菌を摂り続けると腸内が慣れて有用菌が増えないという研究もあります。また乳酸菌は腸内に長く留まることができず便と一緒に排出されてしまうため毎日摂ることが大切です。

    〈発酵食品〉納豆、みそ、漬物、キムチなど

    発酵食品とは、微生物が糖質やタンパク質を分解してつくられる食品のことです。特におすすめなのが納豆で、納豆菌は増殖力が強く、生きて腸まで届き腸内で有害菌を抑制する働きがあります。また納豆菌には乳酸菌を増やす働きがあり、さらに納豆の原料である大豆は食物繊維が豊富なため、腸内環境を整える効果があります。

    〈低脂質タンパク質〉豆乳、高野豆腐、大豆食品など

    女性ホルモンの不足を腸内細菌によって補ってもらうために大切なのが大豆に含まれるイソフラボンです。イソフラボンは腸内細菌の働きによって「エクオール」に変化し、女性ホルモンのエストロゲンに似た働きをします。エクオールは、細胞にダメージを与える活性酸素の働きを抑え、肌の老化防止、更年期障害の緩和、骨粗鬆症の予防効果が期待されています。

    このエクオールを体内でつくることができる日本人女性は約半数しかいないと言われています。ただしエクオールをつくることができる腸内細菌を保有しているのにできていない方も多くいらっしゃいますので、そのためにも食物繊維を意識して摂取しましょう。

    そして最近注目されているのがレジスタントプロテインというタンパク質でありながら、食物繊維のような働きをする食品成分です。代表的なものに、そば、大豆、酒粕、高野豆腐などに多く含まれている成分です。この成分は、消化されにくいタンパク質で、分解されずに腸にまで届き、腸内細菌を活発にする際に必要な窒素源になります。ただし多糖類が十分な時には有用菌の窒素源として働きますが、それ以外はアンモニアなどの有害物質に変わるため食物繊維となるべく一緒に摂りましょう。

    〈抗酸化食品〉ビタミン、ミネラル類

    これらは食物繊維と一緒に摂ることで吸収率が上がります。以前は食物繊維がカルシウムや鉄などのミネラルの吸収を悪くすると言われていました。しかしミネラルが多い食品と食物繊維を一緒に摂ると吸収率がアップすることが分かっています。大腸で食物繊維が発酵し、短鎖脂肪酸が生成されるとミネラルが溶けてカルシウムや鉄の吸収率がよくなります。

    〈シリカ(ケイ素)〉穀物、海藻類

    シリカは穀物や海藻類に含まれている食物繊維から摂取され、肌や髪、骨や血管などを健康に保つことが明らかになっています。体のあらゆる臓器や組織に存在し、健康維持に役立つシリカは体内でつくることができません。また40代後半から減少するとも言われています。

    整腸剤の選び方

    腸活のためには、適度な運動、睡眠、食物繊維やオリゴ糖などの善玉菌の餌になるようなものをしっかり摂ることが大切です。腸活の基本は、善玉菌を増やして悪玉菌を抑えることが基本で、便秘などの改善だけでなく、免疫力がアップして感染症への抵抗力アップ、アレルギー疾患の改善、アンチエイジング効果、美肌効果、セロトニン生成を促して幸せを感じやすくなるなど様々なメリットがあります。

    整腸剤には、様々な種類があり、どの整腸剤が自分自身に合うのかは人それぞれ腸内フローラが違うため、どの菌を体に入れて体に合うのか試す必要があります。

    また、多くの菌は胃酸などで死んでしまいますが、その死骸は善玉菌の餌になることや、免疫系に作用して体には良いとも言われていますので、必ずしも生きたまま届く方が良いとは限りません。

    新ビオフェルミンSビフィズス菌は乳酸と酢酸をつくり、主に大腸で働き、悪玉菌の増殖を抑えることができます。 フェーカリス菌は小腸で働き、善玉菌をサポートする働きがあり、アシドフィルス菌も小腸で働き、悪玉菌を抑えます。
    ビオスリーHi糖化菌と酪酸菌は乳酸菌の力を増強し、胃酸に強いため比較的生きたまま腸に届くと考えられています。特に最近の腸の研究では、短鎖脂肪酸の一種である酪酸が腸にとって有益であり、アレルギーを抑える、免疫をコントロールする、大腸ガンの予防、骨密度を上げる、食欲抑制効果、代謝向上などの効果が示唆されています。
    エビオス錠ビール酵母の死骸ですが、善玉菌の餌になるだけでなく、様々な栄養素が含まれています。ビタミン、ミネラル、アミノ酸、食物繊維など。整腸剤としてだけでなく、栄養剤としても有益な効果があります。
    エビオス整腸錠ビール酵母に、ビフィズス菌、フェーカリス菌アシドフィルス菌を加えたもので、エビオス錠+新ビオフェルミンSのようなものです。
    強ミヤリサン 錠酪酸菌の整腸剤。
    強力わかもとビール酵母に、乳酸菌と消化酵素を加えたもの。

    おすすめは、ビオスリーHiで3つの異なる菌を摂り入れ、善玉菌の餌になるビール酵母を摂り入れることによって相互作用が働く組み合わせです。この組み合わせを推奨するお医者さんや薬剤師が多くいます。他にも色々整腸剤はありますが、菌が被らないようにして、相互作用を意識して体に合ったものを選んでください。

    【本コラムの監修】

    恵比寿院長

    HARRNY 院長/鍼灸師 菊地明子

    ・経歴
    大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

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