糖質疲労がだるさの原因

    糖質疲労がだるさの原因

    糖質疲労こそが疲れやだるさの原因になっている可能性が指摘されています。普段から炭水化物を豊富に含む食事、普段食事にあまり気を使っていない、自炊をする習慣がないなどの食生活の方は糖質疲労に陥っている可能性があります。

    糖質を摂取すれば血糖値が急激に上昇し、すぐにエネルギー源として使えるため、一時的に元気が出たように感じると思いますが、その後体はインスリンを大量に分泌し、血糖値を急激に下げるため、この乱高下がエネルギー不足を招き、疲労感や眠気、集中力の低下を引き起こします。

    さらに糖質の過剰摂取は、酸化ストレスと炎症を促進することが科学的に示されており、これによって細胞レベルでのダメージが蓄積して慢性的な疲労感を引き起こします。特に精製された砂糖や白いパンなどの高GI食品はこのプロセスを加速させます。このような糖質疲労から抜け出すには食事の質を見直し、急激な血糖値の変動を避けることが必要です。

    東洋医学で診る「なぜ甘いものを摂り過ぎるといけないのか」

    菓パンや甘いものを食べ続けていると、うつ傾向になることが分かっています。これは砂糖をたくさん摂っていると短鎖脂肪酸をつくる腸内細菌が減り、この短鎖脂肪酸が小腸で少なくなってくるとうつ傾向になるからです。もちろんうつ傾向にならない人もいます。また東洋医学で言えば実証と虚証があり、虚証の人の方がうつになりやすく、実証の人はうつになりにくい反面、糖尿病に至る人もいます。

    そして、東洋医学で甘いものは「土(脾・腎)」になります。土の概念は、甘える、甘やかす、腐る、ふてくされる、嫉妬するなど概念になります。土の概念は甘みになるので、甘やかすと子供は甘いもの食べたくなる、自分に甘やかして甘いものが食べたくなるなどが挙げられます。

    一方で、東洋医学の「木火土金水」の中で土の概念を律する(相克)のが木です。木の概念は、忍耐、我慢にあたり、我慢ができないという状況では、木が弱く、土が多くなると甘いものを欲するようになります。この概念にあたる臓器が胃と脾臓で、甘いものを食べすぎると脾臓が壊れることになり、免疫力が下がります。実際にも甘いもの食べていると免疫は落ち、特に血管内皮細胞に影響を与え、血管の弱くなるので出血しやすくなります。その結果、甘いものの食べすぎで起こってくるのが脳出血や大動脈解離などの病気です。

    また、甘いものを食べるとインスリンというホルモンが分泌されます。インスリンは膵臓から出るホルモンで、血糖値が高くなった時にそれを落とすホルモンです。そして血糖値が高くなった時に落とすホルモンは、実はインスリン1つしかありません。

    例えばアドレナリンは怒りのホルモンで、喧嘩した時でも血糖値上がります。実際に血糖値が低い時にアドレナリンを注射すると脈拍が上がり、血圧上がって肝臓にあるグリコーゲンを分解して血糖値が上がります。一方でノルアドレナリンも似たようなホルモンで、機嫌が悪くなったりした時に出るストレスのホルモンです。また成長ホルモンは、子供の体が大きくなるホルモンで、これも体の燃料であるぶどう糖がたくさん無ければ体を作ることができません。そのため成長ホルモンでも血糖値は上がります。さらにメラトニンという睡眠ホルモンでも分泌されると血糖値は上がり眠くなります。このようにほとんどのホルモンは血糖値を上げるホルモンです。

    このような体の仕組みは、自然界において血糖値が低いことが当たり前だからです。しかし食べ過ぎで血糖値が高くなっているのが現代人です。お菓子やジュースを食べて血糖値が上がって、その後に下げるような大量のインスリンが出る、しかしインスリンで血糖値を下げると必ず下がり過ぎるため上げ直す必要があります。この時に副腎にあるコルチゾールやグルカゴンというホルモンを使って穏やかに血糖を上げていこうとします。このグルカゴンやコルチゾールは、糖新生と言う体の筋肉や脂肪、内臓を壊してそこからぶどう糖を出す緊急事態のホルモンです。

    例えば、グルカゴンが出るとまず肝臓の中に蓄えてあるグリコーゲンを使うのを禁止させ ます。肝臓の中のグリコーゲンは貯金と同じで、そこから糖新生と言うぶどう糖を作る回路が入ります。そうすると筋肉の中のタンパク質には窒素が入っているためアンモニアができてしまいます。また脂肪を分解するとケトンができてしまい、この2つは発がん性物質になります。甘いものを食べている人で血糖が乱高下している人、高血糖値スパイクになっており、これを長く続けている人は糖尿病とか関係なく、がんになりやすい傾向があります。

    また、甘いものは、脳の快楽報酬系に入るため依存症が高く、甘いものを食べると大脳の前頭前野にドーパミンが分泌されて多幸感が出ます。しかしインスリンが15から20分ぐらいで分泌されると血糖値が下がり始めます。するとグルカゴンが分泌され、グルカゴンが出るとイライラしたり、不安になったり、不機嫌になります。これを消したいがためにまた甘いものを食べてしまい、そして一箱食べてしまうことが起こります。つまり甘いものを食べないようにするには、甘やかしてはいけない、自分も甘やかさない、「土」はいけない「木」で律するなど、東洋医学的にも甘いもの食べすぎるのがいけないことが分かると思います。

    疲れやだるさが消える食べ方

    食事をした後に眠たくなる、だるくなる、集中力が途切れる、イライラする、首の後ろが重くなるといった症状は、糖質疲労に陥っている可能性があります。実はアジア人は、インスリン分泌が欧米人よりも少なく、さらに遅いということが糖質疲労に陥って大きく関係しています。特に日本人は、タンパク質不足、そして糖質過剰な食生活を送っており、このことが日本人に糖質疲労が激増している原因の1つです。

    日本人の成人は、平均的に1食あたり 90から100g、1日あたり270から300gもの糖質を摂っており、これだけたくさんの糖質を摂取していれば、体がおかしくなって当たり前です。米国の糖尿病学会は糖尿病にならないために1日 130g以下の糖質量にするように提唱しています。

    糖質疲労を理解する鍵は、食後の高血糖と血糖値スパイクです。食後の高血糖は、食べ物に含まれていた糖質が腸から吸収され、血液中に流れ込むため、ある程度は食後に血糖値上がります。それが正常な範囲での上昇なら問題ないですが、その上がり幅が大きいのが食後の高血糖です。そして食後に血糖値が大きく上がると膵臓からインスリンが分泌され、今度は逆に血糖値が急激に下がります。このように血糖値が急激に上がって、その後急激に低下する現象を血糖値スパイクと呼びます。

    糖質疲労は、食後高血糖と血糖値スパイクの影響で生まれています。この糖質疲労の段階では病気とは言えず、今すぐに何かしらの治療をするわけではありません。しかし糖質疲労を放置しておくと糖尿病、肥満、高血圧、脂質異常症、がん、心臓病といったより深刻な病気に発展していくことも考えられます。

    ロカボな食べ方

    ロカボとは低糖質を意味するローカーボハイドレートという言葉からの造語で、ロカボな食べ方は緩やかな糖質制限をする食事方法です。緩やかな糖質制限であるロカボな食べ方は、長期的に続けていくことが可能な実践的な食事法と言われています。

    ロカボのルールは、タンパク質と脂質であればカロリーもバランスも気にしない、1日に摂る糖質の量は70から130g以内、早食いをせずカーボラストで摂る、です。

    タンパク質と脂質は気にしない

    太らないため、そして生活習慣病を予防するために脂質を食べないようにしている人がたくさんいますが、医学的には間違いであることが分かっています。脂質を制限することは健康上有害であることも研究によって分かってきました。

    脂質を制限することによって糖尿病だった人の血糖値がさらに上昇してしまったという研究もあるため、脂質を制限することで糖質疲労の疲労感を助長し、病気に進展させることが示唆されています。また2013年には動物性脂質を控えることで死亡率を上昇させてしまうという論文が発表されています。

    一方でコレステロールに関しても大きな誤解があり、例えばたまごはコステロールが高いから1日1個までにしましょうと1度くらい聞いたことあると思います。しかし現在の食事摂取基準では、食品中のコレステロール量の上限の設定はなくなっています。結局、食べるコレステロールを控えるとそれを補うように肝臓がコレステロールを合成して血中に放出し、食べるコレステロール量が増えると肝臓がコレステロールの合成を休むということが分かっているため、コレステロールを制限する必要はありません。

    また、タンパク質や脂質は空腹感をもたらすホルモンのグレリンの分泌を抑制してくれ、逆に糖質はグレリンを抑える作用が弱く、お腹いっぱい食べたとしても小腹が空き易くなります。つまりお米などの糖質や炭水化物は腹持ちが悪い上に満腹感が得られないため、ついつい食べ過ぎてしまうことになります。糖質や炭水化物を食べすぎてしまえば当然、血糖値は急上昇し、その後急降下することになるため糖質疲労の原因になります。

    そのため糖質や炭水化物の食べすぎを防止するためにも、まずはタンパク質と脂質を食べることが大事です。ダイエットするため脂質をカットするのではなく、ダイエットしたいのであれば脂質をむしろしっかりと食べた方が食欲は止まります。また食後の高血糖を抑えて糖質疲労を予防するという点からも脂質を摂取することは重要です。

    またタンパク質は摂るだけでも、筋肉の合成のスイッチを入ります。筋肉は筋トレをしなければ1年あたり1%ずつ減少するため、タンパク質をしっかりと摂って筋肉の合成を促しましょう。

    そして世の中には、良質な脂質と良くない脂質、そして良質なタンパク質と健康に良くないタンパク質が存在します。良質な脂質は、オメガ3 脂肪酸やオリーブオイルに含まれている一価不飽和脂肪酸があり、逆に炎症を引き起こすのが加工食品に入っているオメガ6脂肪酸などです。またタンパク質源として肉や魚、卵などを摂取する際も、できればグラスフェッドビーフや青魚、平飼いたまごが良いでしょう。

    1日に取る糖質の量は70から130g以内

    糖質疲労を防いで体調を改善していくには、当然糖質の摂取量を減らす必要があります。1日あたり130gを上限とし、この量であればインスリンが大量に分泌されることが無くなります。つまり食後の高血糖や血糖値スパイクという糖質疲労の原因を防ぐことができます。

    1日3食なら、摂取する糖質の量を40g以内に抑えて分散して摂るようにしましょう。ちなみに糖質40gのイメージは、大体おにぎり1個です。また人の体には1日の糖質摂取量が 50g以下なると皮下脂肪を分解し、それを材料として肝臓でケトン体を作って、特に脳でエネルギーとして使う仕組みが備わっています。

    このケトン体は、ほぼ全ての細胞が利用できる優秀なエネルギー源となっています。このケトン体が体内で作られている状態をケトーシスと言い、このケトーシス状態では脳のパフォーマンスが高まることが複数の研究によっても示唆されています。

    早食いをせずカーボラストで摂る

    早食いを避けてカーボラストで食事を摂れば食後の高血糖を予防でき、血糖値 スパイクを予防することができます。これは単純に食事の速度を落とし、食べる順番を変えるだけのため簡単に実行できるはずです。実は早食いをすると食べ物が急速に胃から小腸に送り込まれ、その結果血糖値が急激に上昇し、そして急激な血糖値の上昇はインスリンの急激な分泌を引き起こし、その後血糖値の急激な低下を招いて血糖値スパイクを生じさせ糖質疲労につながります。また早食いをすると満腹を感じる前に大量に食事をしてしまい、過食に繋がりやすくなるという大問題もあります。

    一方でカーボラストとは、炭水化物を食事の最後に摂取するということを指し ています。食事の順番を工夫することで血糖値の上昇を抑える効果が期待でき、具体的には食事の最初に野菜やタンパク質、脂質を摂ることで胃の内容物がゆっくり小腸に送られます。これによって炭水化物の消化吸収が緩やかになり、血糖値の急上昇を防げます。また野菜には食物繊維が含まれており、これも血糖値の上昇を抑える役割を果たしてくれます。さらに食事の最後に炭水化物を摂取することでインスリンの分泌が穏やかになり、血糖値の急激な上昇を防ぐことができます。

    【本コラムの監修】

    恵比寿院長

    HARRNY 院長/鍼灸師 菊地明子

    ・経歴
    大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

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