豆乳の知られざるメリット

    豆乳の知られざるメリット

    私たちの体には、全長約10万kmにも及ぶ膨大な量の血管が張り巡らされていいます。このような全身の血管のうち、そのほとんどが毛細血管です。毛細血管は、直径はおよそ1/100mmと髪の毛の1/10程度の太さしかありません。このような細い毛細血管に酸素や栄養素が流れることで私たちの体の隅々の細胞が活動することができています。

    しかし、このような細い毛細血管が詰まってしまえば、その先に栄養とか酸素が生き渡らなくなり、さらに二酸化炭素などの老廃物を回収する働きもできなくなり、細胞が老化していきます。

    特に年を取れば取るほど血液がドロドロになり、血管の壁が傷ついて毛細血管が詰まりやすくなってしまいます。そのような毛細血管の詰まりを取る方法は、血管を広げること、血液をサラサラにすることしかありません。

    そして豆乳には、これら2つの両方の効果があり、詰まった毛細血管を再開通させて抹消の細胞を生き返らせてくれる力があります。

    豆乳の血管拡張効果

    豆乳の血管拡張効果の鍵となるのは豆乳が持っている以下の3つの栄養素です。

    • ポリフェノール(一酸化窒素産生)
    • アルギニン酸
    • 良質な大豆タンパク

    研究によると豆乳に含まれているポリフェノールの抗酸化作用によって、一酸化窒素NOという物質が作られ、この一酸化窒素が血管を広げる作用がある物質です。ポリフェノール自体には血管の錆を取ってくれる働きがあります。つまり豆乳を飲むことで縮まった血管を広げつつ、血管内部を綺麗に掃除することができます。

    またアミノ酸であるアルギニンにもまた同時にNOを作り出して血管を広げてくれる効果があります。こうして広がった血管に良質な大豆タンパク質が供給されることで血管の弾力性が高まり、老化した血管が再び元気に若返ってくれます。

    実際、人を対象とした実験によって豆乳を一定期間飲み続けることで血管の機能が改善したことが報告されています。

    老化した血液がサラサラになる

    豆乳によって血管が広がったとしても、そこに流れている血液がドロドロでは決して血流改善効果は見込めません。健康的な血液循環のためには血管を拡張するとともに、そこを流れる血液をサラサラに保つことが大切です。豆乳には血管拡張のみならず血液サラサラ効果もあります。

    血液中のコレステロール値が高い被験者に国産大豆の豆乳を1日1本飲んでもらった実験では、飲み始めてから4週間後に悪玉コレステロール値が下がることが確認されています。悪玉コレステロールは、私たちの血液をドロドロにしてしまう最も主要な原因の1つであり、豆乳によって悪玉コレステロールが下がれば、それだけ血液がサラサラになったということができます。

    このように豆乳によって血液がサラサラになるのは、大豆タンパク、サポニン、大豆イソフラボンという3 つの栄養素の効果のためであると考えられています。良質な大豆タンパクは筋肉やホルモンの材料となるばかりでなく、悪玉コレステロールを下げてくれる働きもあります。

    大豆タンパクは腸の中に存在する胆汁酸と結合し、それを便と共に排出してくれる働きがあります。胆汁は口から食べた脂肪分を吸収しやすくするための消化器の1つですが、大豆タンパクが胆汁酸を排泄することで、食べ物に含まれている余分な脂肪分を体外に排出してくれる上に、より多くの胆汁酸の合成を促してくれます。

    また、悪玉コレステロールは口から食べた余計な脂肪分が材料になっているため、脂肪吸収が抑えられれば、それだけ悪玉コレステロールも低下します。また胆汁酸はコレステロールの材料として肝臓で合成されるため、大豆タンパクによって胆汁酸の合成が促進されると、それだけコレステロールの消費もアップして血液中の悪玉コレステロールが低下していくことになります。

    一方で豆乳に含まれているサポニンという栄養素は、高麗人参などにも含まれている成分で古くから薬理作用があるなどして生薬などにも使われている栄養素です。サポニンは体内の余分なコレステロールを便として排泄する効果があることがわかっています。

    実験では、サポニンを投与することで便中のコレステロール濃度が2.5倍にアップすることが分かりました。便中のコレステロール濃度がアップしたということは、それだけ多くのコレステロールが便中に捨てられたということを意味し、その分血液がサラサラになるというわけです。さらにサポニンには血栓という血の塊が形成されてしまうのを防ぐ効果もあります。

    そして大豆イソフラボンによる血液サラサラ効果があります。イソフラボンには赤血球がつがって鎖のようになってしまう連銭形性を防ぐ効果があります。通常では赤血球は、磁石のN極同士のように互いに反発し合う性質があります。それが免疫の異常や肝臓の機能の低下によって何らかの異常をきたすことで、逆に赤血球同士が磁石のN極とS極のように互いにくっつき合ってしまいます。

    赤血球がくっつき合えば当然、血液は詰まりやすくなるため、イソフラボンはこのような連銭形性を防いで血液の流れを良くしてくれます。

    更年期障害の症状が和らぐ

    大豆イソフラボンには、血液サラサラ効果の他に女性ホルモンと似た働きがあります。最近では男性の更年期障害も増えてきており、男女ともに性ホルモンのバランスが大きく変化することで起こるものです。女性であれば女性ホルモンのエストロゲンが、男性であれば男性ホルモンのテストステロンが50代以降に下がることで、そのようなホルモンバランスの急激な変化に体がついていけずに様々な更年期症状が出てしまうことになります。

    代表的な更年期症状としては、頭痛や不眠、そしてイライラ感などがあります。また更年期症状がひどくなると吐き気や手のしびれ、発汗といった体の症状が出てくることもあります。

    豆乳に含まれているイソフラボンはエストロゲンの作用を補い、一方で男性の場合は、研究によってイソフラボンには、男性ホルモンのうち悪玉男性ホルモンと呼ばれるジヒドロテストステロンだけを抑制してくれることが分かっています。ジヒドロテストステロンは、脱毛、ニキビ、前立腺肥大といった男性特有の症状を引き起こすホルモンです。特に薄毛になってしまうホルモンとして有名です。

    豆乳に含まれる大豆イソフラボンは、このような悪玉男性ホルモンを抑えつつ、大切な善玉男性ホルモンである普通のテストステロンの効果を補完してくれることで男性更年期の辛い症状を緩和してくれる効果があります。

    一方で更年期を終えて60代にもなると、今度は性ホルモン不足による骨折や筋力低下といった問題が顕著になってきます。特に女性の場合であれば、エストロゲンが枯渇することで骨の密度が著しく減少するということが知られています。

    骨の密度が下がってしまうということは、骨がスカスカになってしまうと いうことを意味しており、当然骨折しやすくなってしまいます。実際、閉経後の女性が繰り返し骨折を起こすリスクは、閉経前の5.3倍にも跳ね上がってしまうことが分かっています。

    認知症のリスクが減少する

    加齢による様々な病気を予防してくれる豆乳ですが、豆乳の摂取と認知症の関連についての研究が進み、豆乳には驚くほど高い認知症予防効果があるということが明らかになってきました。

    平均年齢56.3歳の30万人余りを対象とした2023年の研究により、豆乳を飲むことで認知症の発症リスクが最大31%下がるということが分かりました。豆乳は、血液の流れをよくしてくれる効果があるため、脳血管性認知症というタイプの認知症を予防してくれる効果があるだろうと予想はされていました。

    しかし今回の研究で分かったことは、豆乳は脳血管性認知症だけではなく、アハイマー型認知症を始めとするあらゆる原因による認知症のリスクを下げてくれることが分かっています。

    脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などの脳の血管の病気を原因とした認知症のことです。多くは脳梗塞の後遺症として発症する認知症で、血液がドロドロになり、脳の血管が詰まってしまうことで起こります。脳の血管がつまれば当然脳の認知機能を司る部分が壊されてしまうため、認知症を発症するのは当然であると言えるでしょう。

    また豆乳を飲むことで血液がサラサラになれば脳の血管も詰まりにくくなり、脳血管性認知症の予防になるのは考えれば当然です。しかし日本人で最も多い認知症であるアルツハイマー型の認知症は脳内にアミロイドβというゴミが溜まることで発生すると考えられています。

    どのようなメカニズムかは未だ解明されておりませんが、実験では大豆食品の摂取によってアミロイドβの蓄積が抑制される結果も出ており、いずれにしても豆乳がアルツハイマー型認知症を予防してくれるのは科学的な事実であると言えるでしょう。

    尿路結石の予防

    あまり知られていない豆乳の健康効果の1つが尿路結石の予防です。尿路結石は、その名の通り尿の通り道に石ができてしまうことで、痛みとともに血尿が出ることで有名です。それだけではなく尿路結石は、尿を詰まらせて腎臓に負担をかけてしまうという問題もあります。

    尿は腎臓で作られて尿管を通って膀胱に運ばれますが、尿管に欠席が詰まってしまうと尿がそれより先に進めなくなってしまいます。それでも腎臓では尿が作られ続けるため、そのうち尿管の中に尿がいっぱいになってしまいます。こうして溢れてた尿が腎臓に戻ってきて腎臓がパンクしてしまいます。このようなことから尿血石によって腎不全になってしまう方もいるため注意が必要です。

    尿路結石は、男性の6人に1人、女性の14人に1人が一生に1度はなると言われています。特に日本では食生活の欧米化によって昨今、尿路結石が急増しています。尿路結石の予防は食事が重要になってきますが、豆乳が予防に効くというのはあまり知られていません。

    その効果は、豆乳が持つフィチン酸という栄養素にあります。フィチン酸は、玄米や米糠といった穀類に多く含まれる栄養素として有名ですが豆乳にも含まれています。

    臨床研究ではフィチン酸の摂取によって尿路結石の形成が抑えられたという ことが確認されており、医療現場でもフィチン酸は腎結石の治療に応用されて います。さらにフィチン酸が持つ抗癌効果も注目されており、以前からフィチン酸には強い抗酸化作用があることが知られていました。

    抗酸化作用というのは細胞の錆を取ってくれる効果のことで、細胞の錆は長期的にがんの発生に関係していることから、フィチン酸は間接的に癌の予防に効果的であると考えられていました。

    そして抗酸化作用に加えてフィチン酸にはコントロールが効かない細胞分裂をストップしてくれる作用があることも分かっています。フィチン酸は、DNA合成を調節することで細胞分裂のスピードを適切にコントロールしてくれます。

    ただしフィチン酸には、カルシウム吸収を抑制してしまうというデメリットがあります。そのためカルシウムたっぷりの小魚などと一緒に食べると健康効果が半減してしまうため、豆乳はカルシウムが含まれる食べ物とは一緒に飲まないようにしましょう。

    筋肉の合成をアップする

    慢性炎症は、癌や認知症を始めとする様々な病気の原因として注目されています。この慢性炎症の怖いところは熱や痛みといったはっきりとした自覚症状がないという点です。慢性炎症ではなんとなくだるいといった中途半端な不快症状がじわじわ続くため、体の異変に気づきにくいです。

    こうして気づかずに放置していた慢性炎症が癌や認知症など様々な病気の原因となってしまいます。このようなことから慢性炎症は、サイレントキラーと呼ばれることもあります。このサイレントキラーを沈めてくれるのが豆乳です。

    実験によるとイソフラボンの投与によって組織の炎症が抑えられるということが分かり、この研究からイソフラボンを含む豆乳には高い抗炎症効果があることが分かります。さらに豆乳には、炎症を抑えることで筋肉の合成をアップするという効果もあります。

    実は慢性炎症には、筋肉の合成を抑制してしまうというデメリットがあります。年を取るとテストステロンの低下などの理由によって筋肉が減っていきます。しかし豆乳を飲むことで筋肉の分解を抑制し、むしろ筋肉をたくさん合成できるようになります。

    研究によれば、大豆イソフラボンには筋肉の萎縮を抑える効果があることが分かっています。先ほどの研究と合わせると、これはイソフラボンが筋肉の炎症を沈めるためであると考えることができます。さらに豆乳には筋肉の材料となる大豆タンパクが豊富です。そのため豆乳を飲むと筋肉がつきやすい体になるというメリットがあります。

    腸内環境が改善する

    豆乳には甘み成分として大豆オリゴ糖が含まれています。大豆オリゴ糖は、腸内の善玉金の餌となって腸内環境を整えてくれる効果があります。

    さらに大豆オリゴ糖は食物繊維と同じで消化吸収されないため、甘みがあるにも関わらず血糖値を上げたり、中性脂肪を増やしたりすることがありません。また豆乳には少量ですが食物繊維も含まれています。

    鍼灸で更年期症状を軽減する

    研究では、鍼灸が更年期の不快な症状を軽減する可能性が示唆されました。更年期症状は、多くの女性にとって厄介な不調であり、ホットフラッシュや夜間の発汗、睡眠障害など生活に影響を与える症状が多くあります。そんな中、デンマークの研究では、更年期症状を抱える女性に対して5週間の鍼灸がホット フラッシュや夜間の発汗、睡眠障害、感情の問題を軽減したと報告されています。

    さらに本当に効果的なのか、それともプラシーボ効果なのか、デンマーク南部大学のヴァルドルフ教授は、今回の研究からは鍼灸が更年期症状に対して一定の効果がある可能性が示唆されているとコメントしています。ただし女性たちが治療法を選ぶ際には、現在のエビデンスとその限界を理解し自分で判断することが大切です。

    【本コラムの監修】

    HARRNY 院長/鍼灸師 菊地明子

    ・経歴
    大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

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