頭の鍼で認知症予防

    頭の鍼で認知症予防

    誰もが老化は避けて通ることはできません。当然のことながら年を取るにつれて体や肌と同じように脳も老化します。そして世界的な問題となっているのが、 認知症患者の数の増加です。WHOの報告によると世界の認知症患者数はおよそ3500万人、そして2030年までに2倍の6570万人、2050年までに3倍の 1億1540万人にまで増えると予測されています。もちろん日本も例外ではなく、2025年には5人に1人が認知症を発症する時代が来ると推測されています。さらに現在23歳の人が65歳になる頃には3人に1人は認知症になるとも言われています。

    私たちの体のバランスを保ってくれるホメオスタシスを司るのは、脳の視床下部という部位です。またホルモンを放出し、甲状腺や副甲状腺などの臓器の働きを維持しているのは、脳の下垂体という部分です。他にも脳はドーパミンやセロトニンなどの幸福ホルモンを分泌することによって、私たちの幸せにも非常に大きく関わっています。このような脳機能を守るため、脳細胞が老化してしまうような絶対に食べてはいけない食べ物があります。

    認知症とは

    例えば、物忘れがひどい、判断力や理解力が衰える、場所や時間がわからない、不安感が強い、意欲がなくなるなど、日常生活の中に認知症のサインは数多く存在し、このような小さなサインを見逃さずに認知症を予防していくということがとても大切です。なぜ予防が重要なのかというと、未だに認知症を治す薬はないことや、認知症は遺伝よりも生活習慣の影響が大きいということが分かっているからです。

    日本は認知症発症率が高い国で、世界の平均的な認知症発症率の約2倍です。超高齢化社会において、認知症患者数はさらに倍増するとも言われています。認知症は発症してからではどうすることもできない可能性があります。

    もちろん、認知症と加齢による老化は深く関わっていますが、体が若々しい人は脳も若々しいということが分かっているため、アンチエイジングを心がけることが認知症を予防することにつながります。そして中でも老化を進めるものとして、注目されているのが「慢性炎症」です。認知症も慢性炎症によって引き起こされると考えられるようになっています。さらに慢性炎症は高血圧や糖尿病、道中肥満、高コレステロール値といった認知症のリスクを高める病気の発症にも関わっているため、慢性炎症を抑えて老化を食い止めるということが、認知症にならないためにも重要です。

    また、慢性炎症に加えて老化を進めてしまうもう一つの大きな原因に「フレイル」があります。フレイルは、身体的機能や認知機能の低下が見られ、介護が必要な一歩手前の状態です。一旦フレイルになると老化が加速するため、例えば筋肉量を維持するとか、タンパク質をしっかり摂るといった対策が重要になります。

    一方で、加齢とともに脳に増えるタンパク質であるアミロイドβという物質は、通常は短時間で分解され体外に排泄されます。ところが何らかの原因で脳にアミロイドβが蓄積すると神経細胞を死滅させる作用が働きます。神経細胞の破壊と再生のバランスが崩れて再生よりも破壊されるスピードが早まると正常な神経細胞が減り認知機能が低下します。この状態がアルツハイマー病です。

    このアミロイドβは、脳がダメージを受けた時に脳を守ろうとして発生する物質であり、このアミロイドβが発生する何らかの原因を食い止めることができれば認知症を改善することができると考えられています。

    老人斑とは

    老人斑という言葉を聞いたことがあるでしょうか。老人斑とはアミロイドβが脳内に沈着したもので、シミのような見た目をしていてアルツハイマー型認知 症の患者の脳に特徴的に表れるものです。この老人斑をつくっているアミロイドβが認知症の主な原因だと言われています。

    アミロイドβは、認知症の症状が現れる20年以上前から脳内に徐々に蓄積し始めると言われています。このアミロイドβは脳細胞を死滅させる毒性の高いタンパク質の一種です。これが脳に蓄積されるとアミロイド線維という固い 糸くずのようなものになり、それが脳神経細胞の周りに付着して貯めこまれていくことで脳の働きが悪くなると考えられています。さらに大脳皮質にアミロイドβの悪影響が及んでしまうとナチュラルキラー細胞を始めとした免疫系の働きが抑制され、免疫力を低下させてしまうということが研究によって明らかになっています。また脳の老化にもアミロイドβは深く関係し、その排出する能力は年齢とともに低下します。

    一方でアミロイドβが蓄積し始めると、それらは互いにくっ付き合ってプラークを形成し、アミロイド斑と呼ばれるものになり、それが健康な細胞間の相互作用を阻害して体の衰えと不調を引き起こすことが分かっています。

    脳の老廃物を洗い流す

    日本人の認知症の中で最も多いアルツハイマー型認知症は、アミロイドβという 脳内のゴミが貯まることで発症すると考えられています。認知症を予防するためには、このようなゴミをなるべく脳に溜めないよう脳循環をアップさせることが重要です。脳循環は、全身の細胞が酸素や栄養を必要とするように、脳が必要とする物質の補給を司るのが脳循環です。

    脳は脳脊髄液の中にあり、脳脊髄液は脳の様々な細胞に栄養を運ぶと共に、老廃物を回収してくれます。つまり脳脊髄液は一般的な細胞における血液と同じような働きをしています。血液が心臓から出て肺に戻るという流れと同じように、脳脊髄液も頭蓋から脊髄の方へ一方向に流れています。この流れが脳循環です。しかし年を取ると循環率が低下し、脳循環が滞れば脳に栄養が行き渡らなくなり、かつ老廃物の回収が遅れてしまうため、脳細胞が劣化して認知症に至ります。

    このように加齢によって低下してしまった脳循環を改善するのが良質な睡眠です。正常な脳では、脳循環によってアミロイドβが洗い流されることで脳への蓄積が防がれていますが、年をとって脳循環が低下するとアミロイドβが蓄積します。

    アメリカのロチェスター大学の研究チームは、睡眠中の濃循環と脳の容積に関する研究を行いました。この研究によって睡眠中は脳細胞の間を占めているクリア細胞が脳細胞の間に隙間ができることが分かりました。睡眠中はこうしてできた脳細胞の隙間に脳脊髄液が流れ込むことによって、脳循環がアップしアミロイドβが洗い流されることが分かっています。良質な睡眠を取るための秘訣は「定刻起床」です。定刻起床は、寝る時間はバラバラでも起きる時間だけは一定にするテクニックです。

    認知症の3つの原因

    アルツハイマー病は大きく4つの種類に分類でき、炎症性の1型、糖毒性の1.5型、萎縮性の2型、毒物性の3型があります。そしてアルツハイマー病を引き起こす原因は炎症、栄養不足、毒物の摂取の3つに分類できます。つまり脳で炎症が起こると1型、栄養不足に陥ると2型、毒素が蓄積すると3型のアルツハイマー病を引き起こします。

    炎症は肥満や歯周病などの慢性炎症、食べ物に含まれているトランス脂肪酸やAGEsなどの悪性物質がもたらす炎症によって脳がダメージを受け、認知機能が低下してしまいます.

    栄養不足は、インスリンの分泌量が崩れてブドウ糖をうまく使えずに神経細胞が栄養不足に陥ったり、ビタミンやホルモンが不足して代謝がスムーズに行われていない状態です。

    毒素は食べ物や飲み物に含まれているヒ素や水銀、農薬が体内に蓄積したり、喫煙で有害物質を摂取することで脳にダメージを与えてしまいます。

    これらの3つの原因は、どれも食事の改善が認知症を予防する大きなポイントとなっています。ただしアルツハイマー病は何か特定の原因によってもたらされているわけではありません。また認知症の入り口は40代とも言われ、日本の潜在的な認知症患者数は公表されている人数よりもはるかに多くなっています。

    一方で、アルツハイマー病の糖毒性の1.5型と萎縮性の2型は、どちらもインスリンの異常が原因です。インスリンは炭水化物や糖分を摂取して、血液の血糖値が急上昇した時に血糖値を下げる働きを持つホルモンです。特に1.5型は糖毒性の名の通り高インスリンと高血糖が大きな原因となります。予防のためには炭水化物や糖類を控えた血糖値を上げない食事を心がけることです。

    また、認知症予防の鍵はケトン体にあります。通常体内のブドウ糖の量が減ると血糖値を維持するために肝臓に蓄えられているグリコーゲンがグルコースに分解されてエネルギーとして利用されます。しかし肝臓のグリコーゲンはだいたい1日弱で枯渇してしまいます。すると次に筋肉や脂肪細胞に蓄えられている脂肪酸がエネルギー源となります。

    このエネルギー源がケトン体で、脂肪酸から作られる物質です。このケトン体はブドウ糖と同じように生命活動のエネルギー源として利用され、さらにエネルギーが作られるときに老化や病気をもたらす悪性物質が生まれません。さらにケトン体そのものに強い抗酸化作用があり動脈硬化の予防や認知機能のアップなど健康長寿の強い味方となる物質です。

    現代人は炭水化物や糖類の過剰摂取により、多くの人が体内でケトン体をうまく合成できていません。認知症を予防するためには糖質の摂取量をできるだけ控えて、ケトン体の合成を促してくれる中鎖脂肪酸を意識的に摂取することが必要です。

    副腎疲労と認知症

    年を取るにつれて健康な人とそうでない人の差はだんだん大きくなっていきます。例えば、起床後から疲れる、常に倦怠感がある、訳もなく不安感に襲われる、肌にシミやシワが増えてきたような気がする、頭がぼーっとする、胃腸の状態が良くないといった症状を抱えている人は、すでに脳に毒が溜まり始めています。そして脳に毒がたまり続けるのを放置していると、やがて認知症を発症してしまいます。このような症状に悩まされているなら、早い段階で脳の毒をしっかりと取り除いていくことが必要です。

    特に長期的なストレスを受け続けると、ストレスに対抗するホルモンであるコルチゾールを分泌している副腎が酷使され続け、その結果「副腎疲労」を招いてしまいます。この「副腎疲労」によって体の老化が引き起こされたり、脳に毒が蓄積され、認知機能が低下したり、認知症の発症へと繋がってしまいます。そのため脳をしっかりと解毒して、認知症への進行を食い止めるために「副腎疲労」の原因となっているストレスを解消する必要があります。

    認知症の3分の1は予防できる

    2017年にとある権威のある専門誌に、認知症の3分の1は予防しうるという趣旨の研究論文が掲載されました。アルツハイマー病を含む認知症は、治療方法が確立されていません。そのため予防がとても重要になってきます。認知症の発症リスクをゼロにすることは難しいですが、認知症リスクを下げたり、進行を遅らせたり、場合としては症状が改善することも十分に可能とされています。

    例えば、風邪をイメージするとわかりやすいのですが、風邪を引くと体がだるくなって寝込んでしまうこともあります。もし普段から健康的な食生活や運動をしていて、免疫力がしっかりとついていれば、風邪をひいても寝込むまで症状が重くならないかもしれません。一方、いつも睡眠不足で栄養が偏った食生活をしている人は免疫力が低下しているため、軽い風邪がいつまでも治らなかったり、肺炎などを他の重い病気まで引き起こしてしまう可能性もあります。つまり同じ風邪でも、風邪がすぐ回復するのか、また寝込んでしまうのかといった症状の重さは、その人の体力や生活習慣に左右されるわけです。

    認知症の考え方も基本は同じと言えます。認知症は、脳がダメージを受けて通常の社会生活ができなくなる状態を示していますが、脳の基礎体力がしっかりしていたり、きちんとした生活習慣を続けている人は、脳のダメージに耐えやすくなります。つまり脳の基礎体力を普段から上げることを心がけていれば、認知症を十分に予防することが可能となります。

    この脳の基礎体力は、専門的には予備力と呼ばれています。脳はたくさんの神経細胞がネットワークを張り巡らせることで働いています。この神経細胞のネットワークがしっかりしている人を予備力が高いと表現します。近年の研究では、幼少期に教育をしっかりと受けた人は、教育を受けていない人と比べて認知症になりにくいことが明らかになってきています。なぜなら脳のネットワークが最も活発に作られるのは幼少期の頃だからです。ただ幼少期にあまり教育を受けられなかったからといって落ち込む必要はありません。私たちの脳は生涯にわたって学び続けることが可能であり、何歳になっても脳神経細胞のネットワークを形成して認知症を防ぐことができます。

    特に新しいことを学ぶ時や新しいことに挑戦するときは、前頭葉が活発に働くため、認知症予防に大きな効果を発揮します。逆に毎日同じような食事をして、同じような働き方をして、同じようなテレビ番組を見続けるといったルーティンな生活を続けていると、脳が学びを止めてしまうことでネットワークが衰えて認知症を発症してしまうかもしれません。

    また気をつけなければならないのは、高血圧や糖尿病、喫煙、肥満などの生活習慣病で脳にダメージを負うことです。特に糖尿病はアルツハイマー病の原因とも言われているタンパク質のアミロイドベータを蓄積しやすくなるため、認知症の進行を早める可能性が指摘されています。普段の食生活や運動習慣は、脳に直接的なダメージを与えるため、認知症の発症リスクを高めることにつながります。

    認知症を予防するウォーキング

    認知症を予防するために効果的なウォーキングが早く歩くのとゆっくり歩くのを交互に繰り返す歩き方です。早歩きは運動強度が高いので健康を促進してくれたり、病気の予防効果が高いのですが、ある程度きつい運動になり、あまり長く続けることができません。そこでゆっくり歩くこと組み合わせることで息が上がっても、ゆっくり歩くことで呼吸を整えることができます。運動不足の人でもあまり無理をせず長く歩き続けられるでしょう。

    アメリカの研究によると週に4回以上ウォーキングをしている人は、認知症のリスクが40%低いことが分かっています。また日本で行われた調査でも1日8000歩の早歩きなどの中強度の運動を20分している人は、様々な病気を予防し、認知症を予防する可能性が高まることが分かっています。

    脳トレより運動

    脳の研究が進んだことにより、脳は思いのほか柔軟であることが分かってきています。脳の中では絶えず新しい細胞が生まれ、互いに繋がったり離れたりします。特に体を動かすことが脳に大きな影響を与えており、運動すると気分が晴れやかになるだけでなく、記憶力、集中力、ストレス抵抗性、創造性が高まり、情報処理能力(思考の速度)が上がることが分かっています。

    一時期、パズルや脳トレのような学習能力を高めるメソッドが人気になりましたが、戦略的に運動する方が遥かに効果的であることが研究で明らかになっています。

    脳は運動することでドーパミンを分泌し、気分が爽快(多幸感)になります。その理由は、人は狩りし、猛獣から逃げ、住みやすい場所を探すことで生存の可能性を高めることが記憶に刻まれているからです。脳は1万年前から進化はしていないため、現代の私たちにもこのメカニズムが残っており、祖先と同じ行動をすることで脳は快楽を与えてくれる物質を分泌し、多幸感を与えてくれます。

    他にも、狩りをする時には集中力を高め、素早く行動する必要があります。また新しい住処や環境を探すのには記憶力も必要です。つまり運動することで集中力を高め、記憶力を必要として脳の働きを高めさせるのです。

    認知症を予防するスクワット

    筋トレによって認知機能が改善することが東北大学の研究によって分かっています。特におすすめなのが、ワイドスクワットです。そもそもスクワットという運動は下半身の大きな筋肉を鍛えるのに最適の運動であり、筋トレの王様とも言われているほど重要な運動です。

    スクワットをすることによってしっかりと筋肉を動かしてあげれば、筋肉が強化されるだけでなくマイオカインという物質が分泌されることが分かっています。このマイオカインは認知症のリスクを下げる働きをするということが分かっています。

    さらには血糖値や血圧を下げてくれる、がんや脳卒中、糖尿病、うつ病など様々な病気を予防する効果があることが近年の研究によって明らかになっています。

    ワイドスクワットのやり方はとても簡単で、まずまっすぐ立ち、足を肩幅より大きくハの字に開きましょう。手は胸の前で組んでください。そして次に体重を下半身に乗せるイメージでゆっくりとお尻を下ろします。太ももと床が平行になったら上に上がってください。これを1セット10回、1日3 セットやっていただくだけでしっかりと足腰の筋肉を維持することができます。そしてスクワットをする時は、背骨が曲がらないようにし、踵はしっかりと床を踏みしめることを意識しましょう。

    座り過ぎには注意

    私たちは昔に比べて圧倒的に座り過ぎています。この習慣は体に悪く、座っている時間が長いと死亡率が高くなり、その時間が11時間以上になると4時間未満の人と比べて死亡率が40%高くなることが分かっています。

    実は、私たち人類は1万2000 年前から体の構造は、ほとんど変わっていないということが判明しています。そして私たちの生活習慣と原始時代の人々の生活習慣には一つ根本的な違いがあり、それは原始時代の人々は遥かに良く動くという点です。人類の歴史においては、ほとんどの間、体を動かさなければ食料を手に入れることも、生き延びることさえできません。だから私たちの体は当然動くのに適した作りになっています。つまり動くのが当たり前という構造になっており、動かなければ不調を起こしてしまいます。

    当然、1日中座ってばかりいれば食べ物を得ることも出来ず、新しい住みかも見つけることはできません。現代人が心や体を病んでしまう理由は、脳と私たちの環境の矛盾にあります。体を動かせば生存の可能性が増え、私たちに報酬が与えられる。一方で座り過ぎていると生存の可能性が減るため調子が悪くなるということになります。

    こうして考えれば運動によって他の様々な機能を強化できるということも理解できます。例えば祖先が狩りをする時は集中力を保つことが必須でした。獲物を仕留めるには、精神を集中して忍び寄り、僅かな動きも見逃さず素早く行動する必要があったからです。つまり運動をすると集中力が高まるのはそのため です。また運動は記憶力も高めてくれます。それは祖先にとって動き回ることは新しい住みかや環境を探すことでもあったからです。

    座ってばかりいて動かないと脳は新しい体験をしていないと解釈し、記憶力を高める必要はないと考えます。それにスマホを座って画面を眺めていても、脳はそれを新しい経験だとは考えません。つまり覚える必要なしとみなすので記憶力は高まりません。

    だから活発に動くことに脳は何よりも敏感に反応します。脳にとっての最高のエクササイズが体を動かすことであり、運動をすれば集中力が増す、気持ちが晴れやかになる、不安やストレスが減る、記憶力が向上する、創造性が増す、知能が高まるといった多くのメリットが得られます。

    実は、どんな運動をするか、どこで運動するかは重要ではなく、とにかく体を動かすことが大事です。つまり好きな体を動かす活動をすれば良く、体を動かせばたちまち心と体が健康になり、脳の働きもよくなります。そして運動を習慣にして、長く続けるほどその効果の素晴らしさが実感できるでしょう。より高い効果が欲しいと思うのなら、まずは最低30分のウォーキングをしましょう。

    重要なポイントは心拍数を増やすことです。そして有酸素運動を中心に行うことが好ましいと言われています。

    そして運動は根気強く、決して諦めずとにかく続けることが重要です。脳が再構築されて構造が変化するまでにはある程度の時間がかかります。たまにでも 走ったり歩いたりすると、すぐに脳の血流が増えて脳がクリアになるのは確かですが、新しい細胞や血管が形成されたり、領域同士の結合が強化されたりするまでにはある程度の期間が必要です。

    人工食材(フランケンフード)

    オレストラ

    食べるだけで脳細胞が劣化し、脳が萎縮してしまう食べ物が、研究室で誕生した人工食材(フランケンフード)です。20世紀後半から科学の発展と食品業界の利益が結びつき、食品工学によって天然の脂肪素材が置き換えられて、様々な人工の低脂肪食品が現れ始めました。この中でも最も注意すべき油が、90年代後半に現れた「オレストラ」で、一般的にはポテトチップスに使われている油になります。

    このオレストラは体内で消化吸収されないという特徴がありますが、その代償として強い腹痛や膨満感、抑えることのできない突発的な便失禁を発生させてしまうということが分かっています。

    当然、私たちが食事から摂取する油の種類が脳にダイレクトに影響を与えてしまいます。脳の大部分は脂肪でできており、つまりオレストラを食べれば、オレストラ由来の脳になってしまいます。

    パーム油

    パーム油とはアブラヤシという植物から取れる植物性の油脂です。現在、パーム油は世界で最も多く消費されている植物油脂です。このパーム油こそが脳に炎症を起こしてメンタルにダメージを与える元凶であることが指摘されています。日本では、パーム油はスーパーに並ぶ食品の約半分に含まれているという説もあります。特にパンなどの加工食品に多く含まれており、最も多く含まれているのがジャンクフードです。

    最近ではパーム油を摂りすぎることで認知症の発症を早めてしまうという研究もあります。認知症は高齢者のうつ病の原因でもあるため、パーム油たっぷりの食材は、私たちのメンタルにとって大敵であると言えます。

    トランス脂肪酸

    トランス脂肪酸は不飽和脂肪酸であり、その多くが人工的に作られた不自然な脂肪酸です。マーガリン、ショートニング、ファットスプレッド、食用植物油、加工油脂など、様々な加工食品の材料になっています。九州大学の研究によるとトランス脂肪酸を摂り過ぎることで認知症のリスクが上昇する可能性がある ことが明らかになっています。

    また、動物性の飽和脂肪酸は摂り過ぎると脳の働きが悪くなることが分かっています。飽和脂肪酸が多く含まれている食品は牛肉や豚肉、バターなどがあります。ただし飽和脂肪酸は、それ自体が体に悪いわけではありません、人工的に作られたトランス脂肪酸とは異なり、天然由来の脂質である飽和脂肪酸は体にとってはマイナスなことばかりではありません。あくまで問題なのは摂り過ぎることです。飽和脂肪酸を必要以上に摂ると、コレステロールが増加し、脳梗塞を始めとする循環器疾患のリスクが高くなることが分かっています。

    脳を整える食材

    アルツハイマー病に関連する慢性炎症は、例えば血管の慢性炎症は動脈硬化になり、肥満による慢性炎症は糖尿病や高血圧を引き起こします。また歯周病も慢性炎症の一つで、長期間続けば当然脳にも体にも負担がかかります。慢性炎症は加齢とともに誰でも増えていきますが、その増え方のスピードは人によって違いがあります。

    青魚のオメガ3系脂肪酸

    炎症を抑える作用がある栄養素はオメガ3系脂肪酸です。DHA や EPAというオメガ3系脂肪酸を豊富に含むのがサバやイワシなどの青魚です。このDHAがアルツハイマー型認知症の進行を抑え、神経細胞の働きが低下するのを抑える働きがあるということも研究によって示されています。

    研究では、魚を週に2回食べている人は月1回しか食べない人と比べ、アルツハイマー型認知症の発症が41%も減少することも分かっています。さらに鮭、エビなどの赤い色素は「アスタキサンチン」という高い抗酸化力を持っています。その抗酸化力はビタミンCの6,000倍とも言われていおり、アスタキサンチンは、脳にダイレクトに到達する珍しい抗酸化物質であるため、脳を活性酸素によるダメージから守る効果が期待されています。

    また放牧して牧草を食べて育った牧草牛はオメガ3が豊富です。ただし国産牛肉はほとんどがトウモロコシや小麦などの穀物を食べて育ったグレインフェットビーフで、炎症を招くオメガ6が多いので控えましょう。

    ブロッコリーのビタミンB1や葉酸

    アルツハイマー病の予防として積極的に食べることをお勧めする食材がブロッコリーです。アルツハイマー病患者はホモシステインと呼ばれる毒性のある物質の数値が高くなっています。ビタミンB1や葉酸はホモシステインを無毒化する作用があり、ブロッコリーにはこのビタミンB1と葉酸の含有量が多く、アルツハイマー病の予防効果が期待できます。また芽の部分に含まれているスルフォラファンには強い抗炎症作用と解毒作用があり、有害物質の排泄や炎症の抑制に役立ちます。

    キャベツのイソチオシアネート

    そして、野菜の中でもキャベツに含まれているイソチオシアネートは、肝臓の解毒機能を高める作用があります。肝臓は体内の解毒を担っている臓器のため、肝機能を高めることでデトックスをサポートすることができます。デトックス効果が高まれば有害物質が脳にダメージを与えることも防ぐことができます。さらにキャベツは抗酸化作用が強いビタミンCが豊富に含まれています。また胃の粘膜を修復する成分も含まれているため、脳だけでなく体にも健康的な食材です。

    たまごのコリン

    そして気軽に毎日食べれるたまごには、タンパク質が豊富で認知機能の維持に良いコリンという栄養素が含まれています。コリンが不足してしまうと記憶力の低下や認知症を起こすということが分かっており、実際に研究では食事からコリンを多く取っている人は、少ないに比べ認知症のリスクが28%も低く、記憶力と言語能力を測定するテストでも優れていたということが報告されています。

    腸内環境を整える

    腸内環境の改善はすべての健康の鍵であり、その腸内環境の良し悪しはボケや認知症の発症にも関係しています。脳には情報伝達の役割を果たすドーパミンセロトニン、アセチルコリンなどの神経伝達物質が必要です。これらを作り出す物質が腸内細菌によって作られています。つまり腸内環境の悪化によって生じる神経伝達物質の不足が認知症の原因になってしまいます。

    また慢性炎症はアルツハイマー病の大きな原因となり、特にリーキーガットと呼ばれる腸の粘膜の炎症には注意が必要です。リーキーガットによって腸の粘膜のバリア機能が低下して、病原菌や水銀などの重金属、腸内の悪玉菌が作る毒素などの有害物質が血液に取り込まれやすい状態になります。高齢者は腸の炎症を起こしている人が多く、それが原因でアルツハイマー病のリスクが高くなっています。また加齢とともに腸に炎症が起こって栄養をうまく消化吸収できなくなります。

    腸を整えるためには、腸内の善玉菌を増やすこと、腸粘膜の回復が大切です。善玉菌を増やすには乳酸菌やオリゴ糖、食物繊維など善玉菌の餌となる成分を積極的に摂取しましょう。

    もずく酢

    もずく酢は水溶性食物繊維が豊富であり、善玉菌が育つ環境作りに欠かせない 栄養素です。またもずく酢に含まれるアミノ酸によって新陳代謝を高めて内臓の働きを活発にし、腸内に炭酸ガスを発生させ、腸壁を刺激する役割があります。そのためもずく酢は、腸内環境を整え、便秘解消にも最適な食材です。またもずく酢は非常に栄養価が高く、ビタミンB6 、マグネシウム、カルシウム、ビタミンD、コバラミン、ビタミンAなど多くの必須ビタミンやミネラルが豊富に含まれています。

    また、オクラ、モロヘイヤ、昆布、メカブ、納豆、なめこなどのネバネバの正体は水溶性食物繊維や糖タンパク質です。これらは糖の吸収を穏やかにして血糖値の急上昇を防ぐ働きがあります。血糖値が急上昇してしまうと体内で老化物質であるAGEが作られ、炎症を引き起こす原因になります。

    高野豆腐と粉豆腐

    高野豆腐と粉豆腐は健康長寿のためのスーパーフードです。注目するべきなのは「レジスタントタンパク」が桁違いに豊富に含まれているという点です。レジスタントタンパクは悪玉と呼ばれる血中のLDLコレステロールや中性脂肪を減らしてくれる作用、血糖値を下げる作用が知られています。また高野豆腐には含まれる成分の約50%をタンパク質が占め、そのタンパク質は生の豆腐の約7倍も含まれています。

    一方で高野豆腐や粉豆腐には「レシチン」という成分が含まれています。この成分は、脳内の情報ネットワークを活性化する作用があります。その他老化を予防するビタミンE、女性ホルモンと似た働きをする大豆イソフラボン、貧血を改善する鉄分、腸の免疫力を高めてくれる食物繊維も豊富に含まれています。

    頭の鍼でボケ予防

    上記で述べたように、実は認知症は早い人で40代から始まっているとも言われています。その認知障害(軽度認知障害)には、脳の海馬という記憶を司る部位が萎縮し始めることが挙げられます。この萎縮は年2%進むと言われており、仮に50代から萎縮が進むと、70代では40%も進むことになります。しかし海馬の萎縮は、有酸素運動によって海馬の減少を食い止めることができることも分かっています。

    一方で鍼灸では、鍼や灸によって海馬での神経再生が起こることが知られており、またアルツハイマー型認知症の脳に沈着するアミロイドβが減少することが確認されています(マウスなどの動物実験)。その他にも海外では脳への刺激でパーキンソン病などの治療が頻繁に行われています。

    また東洋医学では肝臓が「怒」と関係していると考えられており、認知症で見られる暴言や暴力、幻覚、妄想に対して肝臓へのアプローチが用いられます。

    究極のヘッドスパ鍼の施術では、神経伝達の活性化のみならず、ホルモンバランスを整え、自律神経のバランスを整えることで、体が本来持っている自然治癒力を促進します。具体的には、頭への刺鍼によりオキシトシン・ドーパミン・セロトニン等の神経伝達物質が脳から分泌されやすくなります。また慢性的な痛みに関しては、痛みのある部位への筋肉等に鍼やマッサージでアプローチしても痛みが取れないことがあります。なぜなら人の痛覚は脳からの信号で痛みとして体が覚え、それが表れます。そこで頭に鍼をすることで鎮痛作用を促すことができます。さらに頭に鍼をすると脳は治ったと再記憶(記憶の書き換え)するため、痛みの信号をストップさせ筋肉を緩ませることができます。

    【本コラムの監修】

    恵比寿院長

    HARRNY 院長/鍼灸師 菊地明子

    ・経歴
    大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

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