水の正しい飲み方

    水の正しい飲み方

    数ある栄養素の中でも水こそが最も重要であると言えます。人間の体の60%が水でできていることからも分かる通り、水は私たちが健康的に生きるために絶対になくてはならない物質の1つです。私たち人間は水さえ飲んでいれば完全に断食しても1ヶ月程度は生きると言われています。

    一方で水を飲まなければ人間は、わずか3日程度で死んでしまいます。このように生命の根源である水は、私たちの健康と若々しさを維持するためにも欠かせない栄養素となっています。

    例えば、私たちの肌のハリを作り出すコラーゲンやヒアルロン酸は、内部にたっぷりの水を溜めることでプルプルの皮膚を作り出しています。また全身を流れる液体である血液も、また他でもなく水を原料としていて水がなければ血行が滞り全身の細胞に酸素や栄養を届けることができなくなります。そうなれば 細胞が老化し見た目が吹けてしまうのは言うまでもないでしょう。

    ですが、私たちの体からは1日およそ2.5Lの水分が汗や尿として失われています。逆に言えば1日2.5L以上の水を摂取しなければ、私たちの体は水不足になって細胞や臓器が干からびてしまうと言えるでしょう。そのため食事とは別に1日1.5 Lの水を飲むことが大事です。

    私たちは一般に食事から1L程度の水を摂取していると言われているため、日々失われる 2.5Lのうち1Lは食事から自然と摂取できることになります。一方で残りの1.5 Lは意識しなければ摂取することができません。おすすめなのは、500mlのペットボトル3本に毎日ミネラルウォーターを入れて、それを1日で飲み切るように習慣付けるという方法です。

    ただし1.5Lを一気に飲んだり、飲み忘れて焦って夜に水を飲みすぎるのはNGです。なぜなら一気に飲んだ水は吸収されず尿や下痢として放出されてしまう上に、夜寝る前に水を飲みすぎてしまえば夜間にトイレに起きるはめになり、睡眠の質が損なわれてしまうからです。

    痩せるための水の飲み方

    水の飲み方1つで老化を予防できることを知っていますでしょうか。老化を防止する水の飲み方は食前30分前に500mlの水を飲むという方法です。さらに食前30分前に500mlの水を飲むだけで健康的に痩せられるということが分かっています。

    イギリスのバーミンガム大学の研究では、肥満や加重のため減量を希望している84人の被験者を対象に12週間、食事の30分前にミネラルウォーターを500ml飲み続けてもらったところ、体重が平均で4.3kgも低下したことが分かりました。

    この研究では水を飲むだけで体重が減る理由として、胃腸間に水が溜まって胃が膨れることで満腹感を得やすくなり、食べ過ぎが防止できるためだと結論付けられています。つまり水をたっぷりと飲んでおけば満腹感が出るから食べすぎないという誰にでも分かる理由ですが、このシンプルな方法が痩せるのに効果的なのです。また1日あたり1L以上の水を1年間飲んでもらった別の研究でも体重が減少しやすいということが報告されています。

    食事中と食後にもコップ1杯の水を飲む

    食事中にも水を飲んでおけば、痩せる効果を始めとする健康上の効能が得られます。昔から食事中に水を飲むと胃液が薄まって消化吸収が阻害されるため良くないという意見がありました。しかし現在ではこのような説を否定する様々な研究結果が報告されています。

    健康的な男性にコップ1杯200mlの水を飲んでもらい、胃酸のpHを検査した実験では確かに水を飲んだ1分後にはpH が上昇したということが報告されています。しかし研究では水を飲んでから僅か3分後には胃酸は元のpHに戻ることが分かっています。一般に食べ物が胃に滞留する時間は2から3時間と言われているため、僅か3分胃酸が薄まった程度では影響もないと考えられます。

    一方で食事中に水を飲むことには様々なメリットがあります。1つは体にたくさんの水分を供給できることです。水分補給をするのであれば食事中でなくても水を飲めば良いと思われるかもしれませんが、残念ながら私たちの体が1度に吸収できる水の量というのは決まっています。

    例えば、水を飲みすぎてすぐに下痢をしてしまったという経験はないでしょうか。このように水を飲んで下痢をしてしまうのは、吸収しきれなかった水分が全て便として排泄されてしまうためです。ですが同じく大量の水を食事中に飲んでも水分の過剰摂取が原因で下痢をすることは滅多にありません。これは食事中に飲んだ水分が固形の食べ物と一緒になって消化感に運ばれるため、水分が時間をかけて吸収されていくためであると考えられています。

    また、食事の後に水を飲むのもおすすめです。食後に1杯の水を飲むことで、口や食堂に付着した食べカスが洗い流され、口腔内を清潔に保つことができるからです。食後に1杯の水を飲むだけでも歯磨きと同じく、口の中を綺麗に洗い流してくれる効果を期待することができます。

    一方で、食事中に水を飲むことには様々なメリットがありますが、1つだけ注意して欲しいことがあります。それは食べ物を水で流し込まないようにするということです。ご飯などの固形物を汁物や水で噛まずに流し込むことには消化不良を始めとする様々なデメリットが存在しています。またこのような食べ方が癖になってしまうと長期的には顎の力である咀嚼力が低下します。

    また早食いを防止することで、早食いを原因とした肥満を予防するという点でも重要であることが分かっています。岡山大学の研究では、早食いの人はそうでない人に比べて肥満リスクが4.4倍も高いことが分かっています。早食いによって肥満が助長されてしまうのは、咀嚼をしないことによって満腹感が得られにくいことが原因ではないかと考えられています。

    また、1000人以上を対象とした広島大学の研究では、早食いが習慣化している人はそうでない人に比べ、メタボリックシンドロームを発症する割合が6.5も高いということが分かりました。メタボリックシンドロームは、肥満のみならず糖尿病や高血圧症など様々な生活習慣病のリスクを上げてしまうとても恐ろしい病気です。

    間違った水の飲み方

    海洋深層水を飲み過ぎる

    実は海洋深層水という水は、人によってはお腹を壊してむしろ健康や若々しさの維持には逆効果になってしまう恐れがあります。私たちが飲んでいる水には硬水と軟水の2 種類があり、硬水はカルシウムやマグネシウムといったミネラルが入っている水のことで、軟水はそれらが少ない水のことです。

    硬水はいわば飲むマルチミネラルで、確かに健康には良いものの胃腸が強く刺激されるため、私たち日本人には刺激が強すぎるというデメリットがあります。特に海洋深層水は、硬水の中でも海水由来のマグネシウムが含まれています。

    マグネシウムは一度に多く取りすぎると下痢になってしまい、飲めば飲むほど脱水が進んでしまうことにもなりかねません。健康のために海洋深層水のような硬水を取り入れてみるのは悪くない選択肢ですが、最初のうちは1日1杯から始めるなど様子を見ながら一度に多くを飲みすぎないように注意しましょう。

    夜寝る前に飲み過ぎる

    夜寝る前に水を飲むと当たり前ですが夜間頻尿の原因になります。臨床的には一晩で2回以上をトイレに起きることを夜間頻尿と定義されています。夜間頻尿に関する複数の研究を統合したメタアナリシスでは、夜間に2から3回トイレに起きる人は、死亡リスクが1.27倍になることが分かっています。このような夜間頻尿と死亡率の関係については昨今、複数の研究報告があり、中には夜4回以上トイレに行く人は1回以下の人に比べると死亡率が3.6倍も跳ね上がってしまう報告も存在しています。

    夜間頻尿の原因としては、加齢による骨盤底筋群の緩みや膀胱の過活動、自律神経の乱れなど様々な原因がありますが、その 1つに単純に寝る前に水を飲み過ぎているという理由が挙げられます。たくさんの水分を摂取すること自体は推奨したい習慣ですが、一方で夕方以降の水の飲み過ぎは、夜間頻尿によって脂肪リスクを上げてしまう危険性があります。

    そこでお勧めなのが日中の間に小まめに水分補給をし、夕方以降は日中に比べて飲水量を控える方法です。またこの方法を習慣化する際には、朝コップ1杯の水を飲むことも習慣化しましょう。夜寝ている間は汗によって大量の水分を失っています。朝1杯のコップの水を飲むことで脱水になった体を回復させてあげることができます。

    冷えた水を飲み過ぎる

    水を飲む際は、できる限りぬるま湯で飲むようにしましょう。なぜなら冷たい水や冷たい飲み物を飲むことの健康上のデメリットは、体が冷えてしまうことです。冷たい水を飲むと胃腸といった内臓から急速に温度が奪われます。私たちの内臓は、37度程度で最もよく働いてくれることが分かっているため、冷たい水を飲むことで温度が下がると内臓の活動が滞り、様々な不調を引き起こしてしまいます。

    10個の研究を比較検討したシステマティックレビューによると10度以下の水分を補給すると37°以上の水分を補給した時よりも深部体温が下がることが分かっています。また別の研究では冷たすぎる水分は、私たちの自発的な水分補給の回数を減らしてしまうことが分かっています。

    アメリカスポーツ医学会が発表した研究では、被験者が運動中に飲んだ水分量を比較したところ、0から10度の水よりも11から20度の水の方が多くの量を飲んでいたことが分かっています。

    そして、この研究では0から10度の水は11から 20度の水よりも体感的な満足度は低かったことも示されています。このことから、私たちの体は冷たい水を美味しいと感じるものの、本能的に体が求めているのはあくまで温い水の方であることが分かります。

    冷たい水を飲んで深部体温が下がってしまえば、胃腸の働きが悪くなるのみならず免疫力の低下や血流の悪化など老化の原因となる様々な現象を引き起こしてしまいます。一方でぬるま湯や白湯を飲むことで体温が上がり、血流がアップし代謝が上昇して脂肪燃焼が促されるなど、私たちの体の若さを保つために良い方向へと体がシフトしていくようになります。

    水制限すると体はどうなるのか

    腎臓がボロボロになる

    尿は腎臓において血液が濾過されることで作られています。日頃からたっぷりの水分補給をすれば尿が簡単に濾過されていきますですが、水をしっかりと飲まず脱水状態になっていると少ない血液から無理やり不純物を濾過しようとして腎臓が疲弊して腎機能が悪化してしまいます。さらに脱水が進むと腎前性腎不全という急性の腎不全に陥ってしまうケースもあるため注意が必要です。

    お肌が乾燥してカサカサ

    私たちのお肌に供給される水は2種類しかありません。外側からの水と内側からの水の2つです。このうち肌の潤いの基本となるのは内側からの水です。

    私たちの皮膚には油性の皮脂があり、外側からどれほど水を送り込んでも細胞内まで水分が染みあたることはありません。むしろ角質がふやけることで余計乾燥肌を助長してしまう結果になります。内側からの水を増やすためにはとにかく水分補給をするに限ります。

    研究では水を飲むことは乾燥肌の改善に対し役立つことが分かっており、また乾燥肌の改善には水分だけでなくそれをお肌の内部に保っておくセラミドというタンパク質が不可欠になります。そのため皮膚の乾燥に悩まされている方は、日頃から十分な水分摂取をするとともに食事からたっぷりのタンパク質を摂りましょう。

    むしろ太る

    私たち成人の体は60%が水でできていることから、水を失えば確かに簡単に体重を落とすことができます。このようなロジックから水分制限をすることによってダイエットする人がいますがそれは完全に間違った方法です。

    水不足になると血流が悪くなり老廃物の排出が滞ることで代謝が低下し、結果的に脂肪が燃えにくくなってしまうことが分かっています。さらに栄養制限によるリバウンドと全く同じで、水制限をすることによって体が水を溜め込みやすい体質になり、むくみを始め、見た目的にも太る原因となってしまいます。水をしっかり飲むということは、血糖コントロールの改善や食欲の制御によってむしろ長期的に痩せられる効果が期待できます。

    白湯はパーフェクトドリンク

    冷え性の改善

    白湯が飲まれている理由は、健康にも美容にもメリットがたくさんあるからです。そもそも白湯とは、1度沸騰させたお湯を50度ぐらいまで冷ました飲み物のことです。白湯の健康効果は3つあり、1つ目のメリットは血行促進効果です。

    体内での血液の巡りを良くすることで血行を促進し、体の冷えを解消する効果が期待できます。冷え症は、健康な人でも自律神経やホルモンバランスの乱れ、冷たい水の過剰摂取によって冷え症になっていることがあります。

    血行が促進されるとエネルギーが消費され、冷え症改善だけでなく脂肪燃焼効果もあります。白湯を飲むことで内臓が温まり体温が上がると基礎代謝が向上し脂肪を燃焼しやすくなります。

    デトックス効果

    白湯を飲むと体が温まり胃腸を洗浄し、体内に溜まった老廃物を排出する効果があります。これによりむくみの改善効果も期待できます。他にも新陳代謝が上がるため内側から肌を変化させることができ、またデトックス効果により体内の老廃物を排出し肌荒れやむくみなども改善されます。さらに白湯を飲むことで便秘の解消にもなります。白湯は内臓を温めるため腸の蠕動運動が促進され、消化力がアップします。

    免疫力をアップ

    日本人の平均体温は36.2度と言われていますが、実は50年前には36.9度あったそうです。体温が1度上昇すると免疫力は5倍もアップすると言われており、白湯を飲んで体を温めると免疫力がそれだけで上がります。ちなみに免疫力が上がると風邪になりにくくなり、花粉症の予防にもなります。

    一方で体内にある免疫細胞の中にはウイルスを攻撃するNK細胞というものがあり、NK細胞は体温が36.5度以上になると活性化すると言われています。

    ちなみに白湯は、アーユルベーダでいうところの最強のドリンクです。アーユルベーダとは古代インドで発祥した医学のことで、健康に長寿や若さを保つことを目的とした予防医学です。現代ではWHO世界保険機関にも認定されている医学です。白湯にはアーユルベーダでいう自然界の5つの要素、地水火風空が全て含まれており、白湯にはたくさんの力があると医学的に言われています。

    白湯の作り方

    白湯を水道水から作る場合は、夜間に水を入れて強火で沸騰し始めたら蓋を取り湯が上がるようにします。大きな泡が立つくらいの火にして10分以上沸かし続けます。水道水には残留塩素などの不純物が含まれているため、それを除去するためにも十分程度は沸しましょう。沸したら火を止めて自然に50度ぐらいに冷まして飲みましょう。また一度沸騰した白湯の沸かし直しもバランスが乱れてしまうからやめましょう。

    一方で直ぐに飲みたい時は、ミネラルウォーターや浄水器の水を使って作ることができます。ミネラルウォーターや浄水器の水には残留塩素などの不純物が含まれていないためポットやレンジを使って白湯を作ることができます。電子レンジなら500wで2分程度かけて50度前後の適温に温めれば完成、600Wなら1分30秒、700Wなら1分が目安です。また電気ケトルなどを使う時は1回沸かして50度程度まで冷まして飲みましょう。

    そして白湯を飲むのには効果的なタイミングがあります。白湯の効果を最大限に発揮するための飲み方のポイントは、朝起きたら飲むことです。これで夜に溜まった毒を洗い流し消化を促します。

    特に起床55分以内にゆっくり飲むのがおすすめです。次に昼は食事をしながら飲むと良いでしょう。白湯を食事中に飲むと食べ物の消化を促す効果があります。

    さらに食事中だけでなく日頃の水分補給を白湯に変えることもおすすめです。胃腸が温まり、副交感神経が優位となって緊張をほぐす効果があります。また体が温まることでリラックス効果も得られます。そして夜寝る30分前に飲むこともおすすめです。夜寝る前に白湯を飲むと副交感神経が優位になり、そうすることで心身のリラックス効果や血行促進、冷え症改善効果になり寝付きが良くなります。

    白湯を飲む量は、1回2コップ1杯で十分で、1日に飲む量は大体800mlくらいが理想です。これをゆっくりと時間をかけて飲む方が体に良く、健康に良いからと言って白湯の飲みすぎには注意が必要です。東洋医学では水分の摂りすぎは水毒と言われ、飲み過ぎた水分が体に溜まると良くないとされており、むくみや倦怠感、下痢などの症状を起こしやすくなると言われています。

    【本コラムの監修】

    恵比寿院長

    HARRNY 院長/鍼灸師 菊地明子

    ・経歴
    大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

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