美容鍼の即効性と最適な通院期間・ペース

    美容鍼の即効性と最適な通院期間・ペース

    美容鍼に通うにあたって、その即効性やどのくらいの頻度で通院するのがよいか迷われている方。また美容鍼の効果をできるだけ持続させたいと考える方が多いと思います。今回は美容鍼の即効性、通う適切な頻度や、適切な回数で効率よく効果を持続させるポイントをご紹介します。

    美容鍼の即効性

    美容鍼は、マッサージでは届かない皮膚の下にある真皮層を美容鍼で直接刺激することができます。その刺激の過程で真皮層の繊維芽細胞が活性化してコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸を産生して、肌質改善ができます。また血行が改善し、代謝が促進されて、すぐに美容効果が期待できます。

    また、顎の後ろから耳の下三叉神経(顔面神経)を刺激すると顔の側面の筋肉が収縮して皮膚が締まりリフトアップして小顔になります。さらに繰り返しや継続刺激で効果が固定することができます。

    一方でほうれい線は、頬の筋力低下とその脂肪ポケットに溜まる老廃物の重みによって皮膚がたるむことから生じます。その脂肪ポケットを刺激することで、血行改善し老廃物の排出を促すことができます。老廃物の排出を促せば、脂肪ポケットが軽くなり、たるみが緩和されシワを薄くすることが可能です。他にも、首や肩、頭皮、顔のこりを改善することで様々な効果を短時間で実感できます。

    部位と効果

    顔そのものを変えてしまう美容外科とは違い、本来の自分の良いところを引き出すのが美容鍼の特徴です。一回の施術で「明らかに変わった」と実感する人もいれば、「なんか変わったような気がする」といった感じで、一度の施術で劇的な変化を実感できない人もいるかもしれません。ただ、血行を改善して余分なものを流し、顔全体がすっきりすることで、施術後に家族や友人から、「お肌がきれいになった」「メイクを変えた?」「いつもより鼻筋が通ったように見える」「痩せた?」などと言わる方も多いようです。

    美容鍼灸の即効性(全身)

    鍼灸治療では基本的に、「冷え」が生じて弱っているツボにはお灸で熱を補い、硬くなって「張り」が生じているツボには鍼をして気の流れを促します。全身に361以上あるといわれているツボの中で、そのときどきの不調に応じた適切なツボにアプローチすることで即効性が期待できます。

    美容鍼灸の即効性(全身)

    これらは年齢やお悩み部位によって来院ペースは変わりますが、来院回数を重ねることに、変化は実感して頂けます。

    美容鍼灸に通う頻度・ペースは?

    初めて美容鍼を受けられる方や、肌の状態が悪いという場合は、1週間に一度を継続して3〜5回行い、お肌のコンディションを一気に上げて、お肌の調子が整ってきたら、担当鍼灸師と相談して通う頻度を調整いくと良いでしょう。

    基本は、2週間に1度くらいのペースで通い、メンテナンスとしてお越し頂くことをお薦めしております。施術を受けた直後は肌がキレイになったと実感しやすいですが、継続して通うことでさらにお肌の良好な状態が長持ちしやすくなります。

    美容鍼灸に通う頻度・ペースは?

    なぜ2週間に一度くらいのペース?

    美容鍼でのケアとケアの間を1カ月以上開けてしまうと、お肌の良好な状態をキープするのが難しくなります。なぜなら、肌は一定の周期で新しく生まれ変わっていますが(この肌代謝の仕組みを「ターンオーバー」と言う)、この肌のサイクルを無視すると、美容鍼の持続性が下がってしまうからです。

    一般的に、肌のターンオーバーは約28日のサイクルを繰り返すと言われています(20代)。肌の細胞が生まれてから、14日間かけて角質層へ押し上げられ、14日間かけて垢になって剥がれ落ちます。

    ターンオーバーのサイクル

    年齢や肌の状態によって、周期が遅くなったり早くなったりし、この繰り返しのサイクルが乱れると、吹き出物や乾燥しやすくなるなど、肌トラブルを引き起こす原因になります。一般的には加齢に伴って、肌のターンオーバー周期はだんだん遅くなり、40代以降でかなり顕著に現れます(50日前後)。

    お肌の細胞の一番奥にある真皮層を美容鍼によって刺激するとそれを修復するためにコラーゲンなどが肌に必要な成分を生成し、ターンオーバーのサイクルが整い、シワ、たるみ、くすみが改善されます。

    この真皮層への美容鍼の刺激持続期間は2週間ほどなので、2週間に一度の美容鍼をオススメしています。

    美容鍼に通う期間はどれくらい?

    つらい症状を急いで改善したいときなどは、強い刺激を与えたほうが早く効果を得られるのではと考える方もいるようですが、一概に「痛いほうが効く」「鍼をたくさん刺すほうが効く」「深く刺したほうが効く」とはいえません。

    強い刺激を与え続けると、身体は強い刺激がなければ反応できなくなってしまうため、弱く少ない刺激でいい状態をキープできる方が、自然治癒力が高い状態だと考えられます。小さな子供は鍼を刺入せず、皮膚表面への接触鍼だけで身体が反応し、状態が変化しますが(小児鍼といいます)、大人になり、刺激に対する反応が鈍くなればなるほど、強い刺激が必要となります。

    また、人間の身体は非常に順応性に富んでいるため、筋肉のコリがある状態がしばらく続くと、痛みを感じにくくなります。一人ひとり身体の使い方は異なりますが、コリや不調をかばうような身体の使い方になっていくため、1回の施術ですべての筋肉のこりを解消したいからと、短い間隔で強い施術を集中的に受けてしまうと、急激な変化に身体が追いつかず、揉み返しが起こったり、他の部分に痛みが発生したり、身体に対する負担は大きくなります。ある程度の間隔を空けて、変化を確認しながら施術を受け、少しずつ身体を慣らしていくほうが、結果的に負担も少なく、効果も維持しやすいと考えられます。

    また強い刺激を与え続けると、その刺激に身体が慣れてしまい、より強い刺激でなければ効果が出なくなることもあります。したがって、少ない刺激でその人が本来持っている力を活性化し、元の良い状態に戻すことが理想的だといえるでしょう。

    美容鍼に通う期間は、お客様が改善したいお悩みの内容、症状の程度、体質や体調にもよりますが、特にキレイな肌を維持するためには地道に通い続けることが大切です。以下にお悩み別に「活性期」「変革期」「定着期」で通う期間・ペースをまとめましたのでご参考に下さい。

     活性期変革期定着期
     自己回復力や自律神経のバランスを取り戻すためにスイッチを入れる期間理想に向けてプラスの状態に変化し、改善していく期間バランスの取れた状態を継続・維持するためのメンテナンス期間
    肌荒れ・乾燥肌・敏感肌・毛穴の目立ち3〜5日おきに7回7〜10日おきに10回月1回を継続
    ほうれい線・たるみ・シワ・シミ・くすみ3〜5日おきに5回5〜7日おきに10回2〜3週間に1回を継続
    自律神経3〜5日おきに7回5〜7日おきに10回3週間に1回を継続
    首肩凝り・眼精疲労・むくみ・疲労感1週間に一回を4回2週間に一回を4回月1回を継続
    ※生活リズム・環境・日常生活により変動します。

    特に年齢を重ねると、肌の老化はどうしても避けられません。美容鍼に通い続ける中で、お肌やお身体の悩みやケアの仕方も変わっていくため、キレイな肌の状態をキープするためには、やはり持続してケアしていくことが重要です。

    例えば、お肌やお身体の状態が安定してきたら、少し頻度を少なくしていくといった通い方もありますし、自宅での美肌ケアも必要となります。また保湿や紫外線対策をしっかりと行い、食事にも気を付けましょう。

    ハリニーでは、美肌を継続させるための「お家でセルフケア」のアドバイスも行っていますので、担当鍼灸師にお気兼ねなくご相談ください。

    美容鍼のリラックス効果

    美容鍼を受けると体が軽くなり、気分がスッキリするという経験をします。それはある種のリラクゼーション、癒し効果とも言えます。そうした効果について、調査した報告があります。

    その報告によれば、約8割の治療を受けた方が陽性感情(心地よい状態)に移行しており、鍼灸治療によって、痛み、心身の疲労、ストレス、不安の軽減、病気、睡眠の改善などの症状の軽減が確認されています。つまり鍼は主訴の軽減と共に、心地よさなどの主観的健康感を向上させる効果を有していると考えられています。

    美容鍼で心地良くなる理由

    鍼で心地よさが生じる研究として、脳波学的研究や脳内モノアミンに関する基礎的研究があります。

    これらの研究では、鍼刺激(鍼パルス刺激も含む)を行うと、大脳皮質全体から、深いリラックス状態にみられる脳波(広汎性アルファ)が確認されています。つまり鍼刺激により脳幹の一部の活動の抑制を介して大脳皮質の活動が鎮静化することにより、深いリラックス状態が生じたものと考えられます。

    一方で、幸せホルモンのセロトニンの分泌にも影響することが分かっています。セロトニンの増加は、ストレスの緩和や心を落ち着かせる採用があるとされ、逆に不足すると心が不安定になるとされています。

    鍼は脳のイメージを書き換える

    運動会でよくお父さんがリレー競争でこけているのを見たことがあるはずです。これは本人の若い頃の運動能力と今の運動能力が一致しておらず、早く走ろうと思っていても、体は早く走れないというギャップから生じています。

    同じように、慢性的な痛みやコリは、この逆パターンの状態であることがあります。つまり治っているはずの痛みやコリが、脳が治っていないと判断し、症状が継続してしまうことがあります。

    一方で、鍼で痛みやコリを緩和(正常化)すると、脳が錯覚を起こしていたとしても、実際には痛みやコリが改善されたと体は感じます。しかし脳は悪い状態と誤認して、その状態を維持しよう働くため、鍼を受けても数日で症状が戻ります。

    大切なのは、完全に脳の記憶を書き換えるために、完全に元に戻る前に再度鍼治療を行い、その繰り返しで脳が正常な状態を再認識させていく必要があることです。この記憶の書き換えは、症状の重さ(慢性化した期間)で、人によって異なります。特に病院で検査しても異常がない場合は、このような脳の錯覚(古い記憶)により症状が続くことがあります。

    鍼刺激が脳に与える影響

    基礎研究では、上述したセロトニン等の脳内物質に影響を与えることが明らかになっています。他にも大脳皮質や海馬などの脳血流量が増加すること、虚血性神経細胞壊死を抑制することなどが報告されています。

    さらに、頸部への鍼通電刺激により、認知機能の改善、あるいは認知症への予防的効果が期待できる理由として、記憶中枢である海馬の代謝が亢進するとの報告もあります。一方で局所脳血流量と酸素消費量が亢進すること、ブドウ糖代謝が亢進することも報告されています。

    まだまだ解明されていないことも多くありますが、このように鍼刺激、鍼治療は脳機能に良い影響を及ぼすことは確実であると言えます。

    お客様が改善したいお悩みの内容、症状の程度、体質や体調によっても最適なペースには個人差がございますので、お悩みについてカウンセリングを行い、お客様のご事情に極力あわせて施術をさせて頂きますので、担当鍼灸師にお気兼ねなくご相談ください。

    【本コラムの監修】

    HARRNY 院長/鍼灸師 菊地明子

    ・経歴
    大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

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