東洋医学で診る「むくみ・たるみ」

    東洋医学で診る「むくみ・たるみ」

    ゆるブルドッグ顔というのは、目の下や上瞼を始め、口元がたるみ、ほうれい線やマリオネットラインが深く入っている状態のことです。顔のたるみの原因は、表情筋が弱ったり、脂肪が原因になるだけでなく、肌の状態もその1つです。つまりお肌のハリや弾力のために欠かせないコラーゲンやエラスチンの状態が影響します。また加齢による骨の減少や水分や老廃物によるむくみも顔のたるみの原因になります。

    表情筋と皮下脂肪について

    顔にも表情筋と言われる筋肉があり、それが年齢と共に衰えます。実は表情筋は、日常の生活では3割程度しか使われていません。そのため放っておくとどんどん衰えてしまいます。

    また、たるみが気になって脂肪を減らそうと無理なダイエットをすると急激な体重の減少により、皮膚が短期間で縮むことでたるみが悪化することがあります。さらに筋肉量の低下も伴って皮膚の支えが失われてたるみが生じやすくなります。そして加齢で弾力がなくなった皮膚の下の脂肪の層が増えすぎると、今度は筋肉が脂肪を支えきれなくなり、顔がどんどん下に崩れ落ちるようにたるみます。そのため適度に表情筋を鍛えることは最低限必要ですが、肌は非常に繊細なため強く擦りすぎたりして筋組織が壊れてしまうことがあります。

    一方で、筋肉や脂肪の状態が仮に良くても皮膚のハリや弾力が足りなければ、当然お肌がたるみます。このハリの源となるコラーゲンを膠原繊維、エラスチンは弾力繊維と言い、どちらもタンパク質の一種です。これらが真皮の層で 網目を作っており、この編目の中がヒアルロン酸で満たされて初めて弾力が生まれます。

    光老化と骨密度

    肌のハリや弾力がなくなる原因が光老化です。光老化は紫外線のuvaが皮膚の奥の真皮に侵入し、コラーゲンやエラスチンなどの繊維を破壊されることで皮膚の弾力やハリが失われたるみが引き起こされてしまいます。しかし確かにコラーゲンとエラスチンを守るためには紫外線対策は必要ですが、実はたるみの原因の1つに骨痩せがあります。顔の皮膚や筋肉、脂肪といった組織との間に隙間ができると、骨と組織のくっつく力が弱くなって緩み、重力の影響で垂れて下がっていきます。

    特に頭蓋骨の中でもブルドッグ顔を作る原因になる骨は、顎と頬の骨です。顎が痩せて後退すると口回りの皮膚が垂れたり、口角が下がったりしやすくなります。そして頬骨が縮小すると頬が下がるのはもちろん、顔全体の締まりがなくなります。

    骨痩せは、骨密度が下がることで起きますが、特に女性ホルモンのエストロゲンが減少することが大きな要因です。エストロゲンは、コラーゲンとエラスチンを作る上で大切なホルモンであり、特に女性の場合40代に訪れる更年期で激減し、閉経後さらにエストロゲンの分泌量は減ってしまいます。そのため40代になってブルドッグ顔で悩む人が増えてきます。

    一方で骨密度が低下する理由に、必要な栄養の不足が挙げられます。骨に必要な栄養といえばカルシウムですが、血中のカルシウム濃度が足りないと新しい骨の生成が止まるだけではなく、今ある骨のカルシウムが奪われることになります。

    その他にもたるみ予防のために骨密度を上げる方法としてはウォーキングや ジョギングなどの有酸素運動、ウェイトマシンを使った筋力トレーニングが効果的です。また水泳のように過重負荷の少ない運動は骨密度の向上には不向きです。

    また成人女性が1日に必要とするカルシウムの摂取目安量は、600mgから650mmで、牛乳だけで換算するとコップ3杯分程度で十分可能です。ただし栄養バランスを考えるとそれだけだと不十分で、骨ごと食べられる小魚や大豆製品も組み合わせて食べるようにした方が良いでしょう。

    しかし、カルシウムは単体ではあまり吸収されにくいためビタミンDを同時に摂ることが必要です。ビタミンDは、血中のカルシウム濃度を高めて骨の生成をサポートしてくれる成分です。さらに骨を作る細胞と分解する細胞の調整役にもなってくれます。つまり骨の再生と修復に役立ち、骨密度を上げるのに必要不可欠な栄養素になります。

    一方でビタミンDは食べ物からはあまり摂取できないため、日光浴によってビタミンDをつくる必要があります。ビタミンDは、主に皮膚に紫外線が照射されることによって合成される特徴を持つ成分です。ビタミンDを体に取り込むという点では日本人の平均的な肌タイプの場合、国立環境研究所の推奨では 10分程度の日光浴で十分とされています。ある研究によると紫外線を浴びて皮膚がメージを受け始めるまでの時間は、ビタミンDの1日に必要な分が作られるまでの時間の4倍から6倍ぐらいと言うことが分かっています。そのため10分程度、顔以外の箇所に当てると良いでしょう。

    東洋医学で診る「たるみやほうれい線」

    たるみやほうれい線に対して顔のリンパマッサージや筋膜リリースをしても なかなか効果が出ないと感じることはありませんか。それは顔の表情筋やリンパの流れだけではなく、体の内側からのケアが必要だからです。

    たるみやほうれい線の原因の 1つにこめかみや顎の周りの凝りや老廃物の蓄積、首肩こりがあります。これらは血液や気(エネルギー)の流れを防ぎ、顔の表情筋にも影響を与えます。またこれらは東洋医学でいう「寒飲停留証」の症状です。

    寒飲停留証とは、冷たい飲食物や冷気などによって胃腸の働きが低下し、水分や食べ物が消化されずに停滞する状態のことです。多くは肺や脾が冷えることによって水湿が停滞するためです。寒飲停留証があると顔にも水分や老廃物が溜まりやすくなり、たるみやほうれい線ができやすくなります。

    さらに寒飲停留証は、全身の気血の巡りを悪くし、冷えやむくみ、疲労感、消化不良、便秘などの不調を引き起こします。このように寒飲停留証は顔の老化だけでなく健康にも大きな影響を与えます。具体的に寒飲停留証になる生活スタイルは次のようなものが挙げられます。

    • 冷たい飲み物やアイスクリームなどを好んで食べる
    • 冷房や扇風機などで体を冷やす食事の量が多いか少ないか不規則である
    • 運動不足や睡眠不足であるストレスが多く、気持ちが落ち込みやすい

    寒飲停留証を改善するには、まずは生活習慣の見直しと体を温めることが大切です。また寒飲停留証に有効なツボを刺激することもおすすめです。寒飲停留証に効くツボは次の3つです。

    三陰交:下半身の冷えやむくみ、生理不順などに効果

    三陰交

    足三里:胃腸の働きを整え、冷えや疲労感を改善

    足三里

    腎兪は:腎の働きを補い、冷えやむくみ不眠などに効果

    腎兪(じんゆ)

    また、美容鍼もおすすめです。寒飲停留証を改善することでたるみ、ほうれい線の解消につながります。寒飲停留証を改善した後は顔のケアを行って顔のリンパの流れをよくしましょう。

    東洋医学で診る「たるみ老け」

    目の下や頬、瞼などのたるみは顔の印象を老けさせてしまいます。お顔のケアをしても、なかなか改善しないのは、実は目の周りの凝りや老廃物の蓄積だけでなく、首肩の凝りや血行不良もたるみを引き起こす要因の1つだからです。

    それは東洋医学でいう「痰湿証」が関係している場合があります。痰湿証とは、水分や脂肪などの余分なものが体内にたまり、気血の流れを妨げる状態のことです。この状態では代謝が悪くなり、体が重だるく、むくみやすく、肥満や高血圧などの生活習慣病にかかりやすくなります。また痰や鼻水が多くなり、ニキビや吹出物ができやすくなります。さらに舌はむくんで厚く、白か黄色のコケがベトベトとつきます。

    なぜこれらがあるとたるみができやすくなるのは、余分な水分や汚れが目の周りの筋肉に溜まり、重力に負けて下に垂れてしまうからです。さらに首方の凝りや血行不良によって目の周りに十分な栄養や酸素が届かず、肌の弾力やハリが失われてしまいます。たるみは顔の印象だけでなく、全身の健康にも影響を与えます。

    痰湿証になる生活スタイルは、水分や甘いもの、脂っぽいもの、冷たい飲食の摂り過ぎやお酒の飲み過ぎ、運動不足、夜遅く食事を多く取るなどの生活習慣は痰湿証を悪化させます。これらは胃腸の働きを弱め、余分な水分や汚れを排出できなくなります。

    痰湿証に有効なツボは水分、大腸兪、足三里です。これらのツボは水分代謝を促したり、胃腸の働きを改善したり、むくみを緩和したりする効果があります。

    水分(すいぶん):へその下にある

    大腸兪(だいちょうゆ):背骨と左右の骨盤のラインが交わるところ

    足三里(あしさんり):ひざのお皿のすぐ下

    水分(すいぶん)大腸兪(だいちょうゆ)足三里(あしさんり)

    痰湿証が改善されると目の周りの筋肉がほぐれ、老廃物が流れやすくなります。また首方の凝りや血行不良も解消され、目の周りに十分な栄養や酸素が届きます。これによって肌の弾力やハリが回復し、たるみが改善されます。

    東洋医学で診る「お顔のむくみ」

    顔のむくみは体内の水分が過剰に溜まって血管の外に異常に染み出した状態で、見た目には顔がふっくらして腫れて見えたり、瞼が腫れぼったくなったりする状態です。顔のむくみは食生活や生活習慣の乱れ、病気などによって引き起こります。顔のむくみを解消するには水分や塩分の取りすぎを控えたり、ストレッチやマッサージをしたりすることが効果的です。

    また、むくみは肌を構成する筋肉やコラーゲン、それに脂肪などの組織の機能低下を招き、組織の結びつきを緩めてたるみを助長させる大きな原因の1つになります。またストレスは、むくみの原因になり、ストレスを感じると人の体内には ストレスホルモンが分泌され、そのストレスホルモンは炎症反応を引き起こします。この炎症が続くと体の中に体液が溜まりやすくなり、そうなると血管が広がってしまい周りの組織に体液が漏れ出すことになり、それがむくみになります。

    実はストレスは自律神経を乱してしまいます。つまりストレスが自律神経を乱し、自立神経が乱れると体内の水分調整や循環がうまくいかず、むくみやすくなり、その結果たるみに繋がってしまいます。

    また顔のむくみには、東洋医学的な視点からも考えることができます。東洋医学では顔のむくみは、「腎虚水泛証」という症候の1つとされています。腎虚水泛証とは、人の機能が低下して水分の代謝がうまくいかないために水分が体内に停滞したり、体の各部に溢れ出したりする状態です。腎虚水泛証になると顔のむくみだけでなく、腰痛や排尿障害、全身のむくみや動悸などの症状が現れます。

    腎虚水泛証を改善するには、腎の機能を高める鍼灸や食事療法が有効です。おすすめの壺は太谿、復溜、関元です。

    太谿(たいけい):内くるぶしからアキレス腱の間

    太谿(たいけい)

    復溜(ふくりゅう):内くるぶしの中心から指幅2本分上に位置

    復溜(ふくりゅう)

    関元(かんげん):おへそから下に指幅4本分のところ

    関元(かんげん)

    食事療法では、腎に良いとされる黒豆や黒糖、海藻類や魚介類などを積極的に摂ることがおすすめです。また水分や塩分の摂り過ぎは避けるようにしましょう。

    また顔のむくみの原因の1つとして食事面での注意点があります。特に塩分というのはむくみの原因になるので適正量にすることが大切です。日本人の1日の平均塩分摂取量は約10gですが、厚生労働省の推奨量は男性で8g以下、女性で7g以下です。塩分の取次は高血圧や心臓病などの生活習慣病のリスクを高めるだけでなく、顔のむくみや肌荒れなどの美容面にも悪影響を及ぼします。

    塩分の摂り過ぎを防ぐには、加工食品や外食を控える、味噌汁や醤油などの調味料を減らす、塩分の多い食品には水分を多く摂るなどの工夫が必要です。

    また、米、パン、麺などの炭水化物は食べて吸収される時に水分を集めて吸収すると言われています。具体的には、炭水化物を1g取ると水を4gぐらい一緒に体内に吸収すると言われています。そのため炭水化物を摂り過ぎるとむくんでしまうため注意しましょう。さらに炭水化物はエネルギー源として重要な役割を果たしていますが、摂り過ぎると余分なエネルギーは脂肪として蓄積されます。

    炭水化物は血糖値を上げるため、インスリンというホルモンが分泌されます。インスリンは血糖値を下げる働きがありますが、同時に水分の排出を抑える働きもあるため、炭水化物を摂り過ぎると水分が体内に溜まりやすくなります。炭水化物の摂り過ぎを防ぐには、主食の量を減らす、玄米や雑穀米などの食物繊維の多いものを選ぶ、野菜やタンパク質をバランスよく摂るなどの工夫が必要です。

    一方で、タンパク質をしっかり摂り、体の中にしっかりとタンパク質があると アルブミンの数値が高まり、むくみにくくなります。逆にむくんでしまう方は、そのタンパク質の指標になるアルブミンの数値が低かったりするため、タンパク質はしっかり摂るようにしましょう。

    タンパク質は筋肉や骨、皮膚などの体の組織を作るのに必要な栄養素で、アルブミンというタンパク質は血液中に存在し、水分のバランスを調整する働きがあります。アルブミンが不足すると水分が血管の外に漏れ出しやすくなり、むくみの原因になります。タンパク質をしっかり摂るには肉や魚、たまご、大豆製品などの動物性と植物性のタンパク質をバランスよく摂ることが大切です。

    一方で顔のむくみは食生活や生活習慣の改善だけでなく東洋医学的な視点からもアプローチすることでより効果的に解消できます。

    皮下脂肪に効く飲み物

    皮下脂肪に効く飲み物は、小豆茶、黒豆茶、トウモロコシのひげ茶です。むくみ自体がそのまま脂肪になることはありませんが、むくみやすい人は脂肪がつきやすいと考えられています。

    小豆茶と黒豆茶はむくみの改善効果に優れています。むくみを予防するには体内の水分バランスを正常に保つ必要があり、そこで力を発揮するのが小豆に含まれるカリウムやサポニンといった栄養素です。カリウムは、血液中のナトリウムのバランスを摂って塩分をコントロールする効果があります。サポニンには体内の水分バランスを調節する働きがあり、むくみ予防に効果的です。またサポニンが中性脂肪の値を下げ、利尿作用を促し、余分な水分を排出してくれ、さらに小豆にはダイエット時に不足しがちな糖質、鉄分も豊富に摂取できます。

    黒豆茶には、血液を増やしてくれる鉄分や血流をアップさせてくれるアントシアニンが含まれ、貧血が改善されて血流がアップすれば冷え症も改善しやすくなります。冷えは肌荒れや便秘、むくみなどの不調を引き起こしてしまうため、黒豆茶を飲む習慣をつければ体の隅々まで血液が行き渡るようになります。

    トウモロコシのひげ茶は南蛮毛と呼ばれ、利尿作用により体内の余分な水分や塩分を排出し、高血圧やむくみを予防する効果が期待できます。また利尿作用により体内の老廃物や毒素を排出できるためデトックス効果も期待できます。

    【本コラムの監修】

    恵比寿院長

    HARRNY 院長/鍼灸師 菊地明子

    ・経歴
    大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

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