
スキンケアの基本には3つあります。それが洗顔、保湿、そしてUVケアです。それぞれクレンジングや洗顔量、それから化粧水や乳液、クリームなどの保湿アイテム、そして日焼け止めがスキンケアにおいては重要です。それ以外にも、例えばシミやシワが気になるなど、それぞれのお悩みに応じて有効なスキンケア成分を取り入れていくのが、スキンケアアイテムの選び方です。
洗顔の基本
洗顔に関しては、どの洗顔料を使っていくかということも大事ですが、それ以上にどう使うかが大きく影響してきます。まずクレンジングには、洗浄力の比較的高いオイルからマイルドなミルクまで様々なタイプがありますが、基本的には皮脂の汚れやメイクの強さなどに応じて使うアイテムを選ぶことが大事です。例えば皮脂自体はそれほど多くなくても、日焼け止めをしっかり塗っている方であれば、基本的にはオイルを使ってクレンジングするなどです。
また、洗顔料はしっかりと泡立てて行うことが重要です。泡立てるメリットは、摩擦を減らして肌への負担を軽減できることです。それから泡立てた方が、実は皮脂などの汚れが吸着しやすくなることも分かっています。
ただし、せっかく泡立てたとしても使う洗顔料の量が少ないとどうしても摩擦は増えてしまいます。これはクレンジングも同じですが、洗顔のアイテムを使う際は多めに使うことが使い方においては重要です。そういった意味で高級な洗顔のアイテムを少しずつ使うのではなく、プチプラのような手に届きやすいアイテムを少し多めに使う方が良いでしょう。
また、洗顔量に関しては、特にニキビや敏感肌の方には、弱酸性のものをお勧めしています。なぜんら私たちの肌は元々弱酸性で構成されており、同じ弱酸性の洗顔料を用いた方が肌の負担は低く、肌トラブルの悪化を予防できます。
保湿の基本
保湿に関しては、ご自身の肌にあったものを選びましょう。もしそのアイテムがプチプラのものであればそれで十分です。ただし肌が敏感な方、肌トラブルを起こしやすい方は、敏感肌用のスキンケア商品を使いましょう。例えばキュレル、ミノン、ドゥーエ、ノブなどは皮膚科医と共同で開発していることが多く、安全性の試験を行っているものが多いです。
また、ニキビができやすかったり、毛穴が気になる方は、ノンコメドジェニックと書かれているものから選ぶことをおすすめです。ノンコメドジェニックは、ニキビになりにくいことをテストによって証明されています。基本的に油分がある程度抑えられているようなアイテムが中心になっており、所謂オイリー肌の方にとって使いやすいものであることが多いです。
ちなみに保湿は、必ずしも化粧水、乳液、クリームと色々なアイテムを重ねる必要はないと思います。肌質によっては化粧水だけでも保湿が完結する人もおり、例えば混合肌、Tゾーンは皮脂が多く、頬は乾燥しやすい方は全部のアイテムを顔全体に塗るとTゾーンは油分が過剰になってしまう傾向にあります。
そういった方は、化粧水を顔全体に塗り、それから乾燥が気になるところをのみやクリームを重ねる使い方がおすすめです。また保湿も何を使うかという視点も重要ですが、どう使うかも大事です。
日焼け止めの基本
日焼け止めの機能だけを考えれば、一定量きちんと塗れば、その表示にあるSPF及びPA値は発揮できます。そのためプチプラのものでも十分な量しっかり塗れば、機能的には問題ありません。そもそも日焼け止めを選ぶ大前提に、日焼け止めは季節問わず毎日塗ることが重要です。そのため値段で選ぶのではなく、毎日塗ってもストレスではないものを選びましょう。
また、日焼け止めが多機能になっている傾向があり、UV成分だけでなく美容成分も一緒に配合されているようなものも多くなっています。しかし日焼け止めこそ使い方が重要であり、使う量が少ないと表示されているSPFやPA値を発揮することはできません。
具体的にどれぐらいの量を塗ったら良いかは、2フィンガーズルールがあり、人差し指と中指に出した量が顔に塗る量の目安となります。この量を1種類の日焼け止めで塗るか、あるいは2種類の日焼け止めで重ね塗りするかというように塗り方にもいくつかのパターンがあります。価格を抑えたい方は、プチプラで一気に十分な量を塗ってしまうのも良く、また違う種類の日焼け止めを重ねて塗るのも有効です。
また日焼け止めといえばSPFの高さを重視する方が多いですが、特に肝斑がある方や肌のくすみが気になる方は、可視光線もカットしてくれるかどうかに注目してください。紫外線よりも波長の長い可視光線も色素沈着を引き起こすことがわかっており、この反応は肝斑をはじめ、アジア人や肌の色が濃い方に起きやすいとされています。
可視光線をカットするためのポイントは「色付き」であること。酸化鉄を含む色付きの日焼け止めやBBクリームは、可視光線まで遮ってくれる可能性が高く、色素沈着を起きにくくする効果も報告されています。
美白の基本
美白ケアの前提として、スキンケアの基本が正しくできているかどうかを確認することが大切です。基本のスキンケアとは、洗顔・保湿・UVケアの3つです。たとえば、メイクをする方がクレンジングと洗顔料を両方使う際、汚れが十分に落ちずにゴシゴシとこすってしまうと、その摩擦が肝斑の悪化を招くことがあります。
また、保湿が不十分で肌の水分量が低下すると、肌の質感が落ちて光がうまく反射されず、くすみとして見えてしまうことも。そして紫外線はメラニンの過剰生成の引き金となるため、365日毎日日焼け止めを塗ることが欠かせません。いくら美白化粧品や美容医療を取り入れても、この基本ができていなければ効果を実感しにくいのです。
美白ケアの中心となるのが美白化粧品です。成分によって働きかける部分が異なりますが、特に効果が高いとされているのは、メラニンの生成を直接ブロックする成分です。代表的なものとして、ハイドロキノン、ビタミンC、コウジ酸、アゼライン酸、アルブチン、システアミンなどが挙げられます。
最近の美白化粧品は、こうしたメラニン抑制成分に加えて、さまざまなサポート成分を組み合わせた多機能なアイテムが増えています。その美白成分の中で最も強力とされるのがハイドロキノンです。ただし、長期使用による色抜けや逆に色が濃くなるなどの副作用が生じる可能性があるため、3〜6ヶ月を目安に一度休薬することが推奨されています。一方、それ以外の成分については、長期間の継続使用でも問題ありません。
また美白化粧品は、日焼けした時だけ使うという方もいますが、実は私たちの肌には「隠れジミ(潜在性のシミ)」が多数存在しています。美白化粧品はそうした隠れジミが表に出てくるのを抑える効果もあります。シミは30代以降に気になり始める方が多いですが、気になり始めたら早めに取り入れることをおすすめします。
美肌に導く欠かせない成分
レチノール
レチノールは、簡単に言うとビタミンAの1つで、肌の細胞の受容体に作用し、細胞の代謝を促し、肌の新陳代謝(ターンオーバー)を促す効果があります。それによってコラーゲンを増やしてシワを改善し、肌の肌理やハリを整えてくれる効果があります。このレチノールは、エビデンスも高い最強のアンチジング成分と言われています。
レチノールを選ぶ際は、個人的にある程度値段のするものから選ぶことをおすすめです。なぜならレチノールは、その効果を実感するために、その濃度や容器が実は重要になってくるからです。
レチノールは化学構造的には、非常に不安定な成分です。具体的には光や熱などによって簡単に分解されてしまう成分です。実際、レチノール製品を集めてその安定性と濃度を啓示的に追っていったところ、開封後、半年を超えてくるとほとんどの製品でその安定性が低下し、濃度が低下していた報告があります。
特に、光によってレチノールは大きく影響を受けることも分かっており、レチノール製品には容器の遮光性が重要になります。そのためエアレス容器が使われているレチノール化粧品も多くあり、遮光性のある容器はその分値段も高く、そもそもレチノール自体も値段が高くなります。
ビタミンC
ビタミンCは抗酸化成分の1つで、紫外線などの肌ダメージから肌を守ってくれる作用があります。ビタミンCと一言で言ってもたくさんの種類の原料があり、原料の中には比較的高額なものもあります。例えば脂溶性のビタミンC誘導体であるアスコルピン酸テトラヘキシルデシルやAPPSと呼ばれるようなビタミンC誘導体は、比較的高額であることが多いです。ただしビタミンCは、それ以外の美容成分も配合されている美容液も多く、その成分や処方などによってもその値段は大きく変わります。
また、ビタミンC誘導体の中にはプチプラのものも多く、例えばメラノCCの薬用シミ集中対策プレミアム美容液は、ビタミンC誘導体とアスコルビン酸が一緒に配合されているアイテムで、プチプラ価格なのが魅力的です。
ペプチド
ペプチド一言で言っても色々なアイテムがあり、ペプチドは比較的原料費が高いことが多く、値段も高額になる傾向にあります。ペプチドの場合は、その処方設計が重要になってきます。
ペプチドには、シグナルペプチドと言ってコラーゲンを増やしたりする働きを促すようなペプチド、あるいは神経伝達に関与するようなペプチドがあります。これらをうまく引き出すためには、その処法技術と他の成分との相性も重要です。そのためペプチドをスキンケアで取り入れたい場合は、ある程度値段のするようなものから選ぶと良いでしょう。
ナイアシンアミド
シワやハリを改善させる効果だけではなく、ボトックスの効果を長引かせる効果もあることも分かっています。ナイアシンアミドは、ビタミンB3でバリア機能を整えたり、コラーゲンを作ったり、皮脂を抑えたりとマルチに働く成分ですが、その原料費としてはそこまで高いものではありません。かつ水溶性の成分なので比較的配合しやすい特徴もあります。
スキンケアを成分によって選ぶ方は、海外のサイトのiHerb、LOOKFANTASTICなどのサイトがおすすめです。こういったところで取り扱っているスキンアイテムは、世界的にも非常に人気のあるスキンケアブランドが多く、そのロッド数も非常に多くなるため、その分値段が抑えられていることが多いです。例えばThe Ordinary、THE INKEY LISTなどがプチプラのスキンケアブランドとして有名です。
セラミドを「補う」vs「生み出す」
敏感肌の方のお肌は、セラミドが不足しているといわれています。スキンケアでセラミドを「直接補う」アプローチと、ライスパワーNo.11に代表されるセラミドを「自ら生み出す力を引き出す」アプローチ——この2つは何が違い、自分にはどちらが向いているのか考えてみましょう。
セラミドとは?
肌の一番外側には、厚さ約0.02mm(ラップ1枚ほど)の「角層(かくそう)」があります。この角層の細胞と細胞の隙間を埋めている脂質(細胞間脂質)の主要な構成要素がセラミドです。細胞間脂質の約50%を占めるとされており、外部からの異物の侵入を防いだり、肌の水分が蒸発するのを抑えたりする役割を担っています。
実は、人の角層内には「セラミド」と一口にいっても15〜18の分子種が存在し、それぞれパズルのピースのように並ぶことでバリア機能を発揮しています。アトピーや敏感肌では、このセラミドの量が不足しているだけでなく、分子種のバランス自体が乱れているため、バリア機能が低下し、乾燥・炎症が起きやすくなるといわれています。
近年の研究では、このセラミドの不足・欠乏がアトピー発症の一因になるとする報告も出ており、敏感肌・アトピー肌のスキンケアにおいてセラミドに注目することの重要性が改めて注目されています。
セラミドを「補う」ケア
スキンケアで直接セラミドを補給し、角層のバランスを整える方法です。配合成分にはいくつかの種類があります。ヒト型セラミドは、もともと角層内にあるセラミドを化学合成したもので、肌との親和性が高いとされています。擬似セラミドはセラミドに近い構造を持つ化合物で、花王のキュレルに配合されるラウロイル乳酸Na(ヘキシルデカノイルPG-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド)が代表例です。
そのほか、グルコシルセラミドやセレブロシド(天然セラミド)、フィトスフィンゴシンやカプロイルスフィンゴシンといったセラミド類似体も、スキンケアでよく使われる成分です。最新の研究では、化粧品で特定のセラミドを複数種補うことで角層内のセラミドバランスが改善し、健康的な肌に近づいてくることが報告されています。
セラミドを「生み出す」ケア
肌が自らセラミドを産生する力を高めるアプローチです。医薬部外品の有効成分として厚生労働省に承認を受け、公に「セラミドを増やす」と謳えるのは現在、ライスパワーNo.11とライスパワーNo.11+のみです。
これらはお米を発酵させて作られた美容成分で、角層の1つ下にある「基底層」に働きかけることで肌のターンオーバーを改善し、健康な角層・バリア機能を育てる効果があります。また、ライスパワーNo.11+はセラミドを増やす効果に加え、しわ改善やNMF(天然保湿因子)増加の効果も認められており、バリア機能のサポート以上のメリットが期待できます。低刺激であることも、敏感肌・アトピー肌の方にとって嬉しいポイントです。
なお、ナイアシンアミドについても、表皮のターンオーバー過程でセラミドを合成する酵素を活性化することが報告されています。ただし医薬部外品の有効成分としての承認はしわ改善・美白に対するものであり、「セラミドを生み出す」という観点では補足的な成分として位置づけられます。
「補う」vs「生み出す」どちらを選ぶべきか
花粉・大気汚染・乾燥・寒暖差など、一時的な環境の変化でセラミドが減少している場合は、どちらのアプローチも有効です。セラミドを直接補うことでバランスを整えても良いですし、ライスパワーNo.11でセラミドを生み出す力を高めても良いでしょう。毎年特定の時期に肌荒れするという方は、その時期に合わせてあらかじめライスパワーNo.11を使い始めることで、予防的なケアとして活用できます。
一方で、生まれつきセラミドを生み出しにくい体質を持つ方、あるいは幼い子どもの場合は、セラミドを「補う」ケアの方が向いていると考えられます。
理由の1つは、フィラグリンというタンパク質です。フィラグリンが遺伝的に不足している体質の方(日本人の約10%、アトピー患者の約30%)では、角層のバリア成分であるNMF(天然保湿因子)も生み出しにくく、いくらセラミドを生み出す力を高めようとしても効果が限られてしまいます。そのような方は、直接セラミドやアミノ酸を補給する方が効率的です。
また、0〜5歳の子どもは角層が成人の半分程度の厚さしかなく、バリア機能が未熟です。こうした場合も、生み出す力を高めるアプローチには限界があるため、直接セラミドを補うケアがアトピー予防の観点からも適しています。
一方で、生まれた時からずっと肌荒れが続いているという方や、アトピーの方も含め、体質的に肌バリアが乱れやすい方には、一般的にセラミドを補うケアの方がしっくりくる場合が多いといえます。
エイジングケアや多機能なケアも同時に望むのであれば、ライスパワーNo.11+(しわ改善・NMF増加・セラミド生成の3効果が報告済み)を取り入れることも選択肢になります。
「補う」vs「生み出す」それぞれのデメリット
セラミドを「補う」ケアのデメリットは、アイテム選びの難しさです。セラミド配合と一口にいっても多くの製品があり、角層にしっかり届くかどうかはアイテムによって異なります。選ぶ際は以下の3点を目安にしてください。
セラミド(特に超長鎖セラミド:セラミドEOP・EOSなど「EO〜」と表記されるもの)が複数種配合されていること、コレステロールなどのステロール類が含まれていること、ステアリン酸・リノール酸・オレイン酸などの有用脂肪酸が含まれていること、この3成分が揃ったアイテムが、角層の細胞間脂質全体にアプローチできる理想的な構成です。キュレルのように擬似セラミドを単独で高濃度配合した製品も効果的です。
一方で、セラミドを「生み出す」ケアのデメリットは、選べるアイテムの少なさです。ライスパワーNo.11の原料は特定のメーカーが製造しており、かつ医薬部外品である必要があるため、該当するアイテムは限られています。テクスチャーや使用部位など、好みに合った製品を選べる幅が狭い点はデメリットといえます。
なお、どちらのアプローチにも共通するデメリットとして、十分な効果を求めるとなると価格が高くなりがちな点が挙げられます。目安として3,000円以上のものから選ぶと、成分の配合量や品質が確保されている場合が多いといえます。
意外と見落とされがちな「糖化対策」
最後に見落とされがちな重要なポイントが糖化対策です。糖化とは、体内で余った糖がタンパク質と結びついて老化物質(AGEs)を作り出す現象です。
皮膚においてはコラーゲンが糖化のターゲットとなりやすく、コラーゲンが糖化すると弾力が低下してたるみの原因になるほか、メラニンが生成されやすい状態になることもわかっています。つまり、肌のシミやくすみと糖化は深く関係しているのです。
食事の工夫
糖化対策には、血糖値の急上昇を抑えることが重要です。スイーツやジャンクフードを控え、食事はゆっくり食べ、食物繊維を豊富に含むものを先に摂り、炭水化物は後に食べるようにすると血糖値の上昇が緩やかになります。食後にハーブティーや緑茶を飲むのも効果的です。
食後の軽い運動
食後にソファでゴロゴロしてしまうのはNG。糖化対策として、食後に体を少し動かすことが推奨されています。たとえば家事を食後のタイミングに合わせるだけでも、無理なく体を動かすことができます。
手荒れの4つの進行段階
手あれがどのように進行するかを知る必要があります。花王の考え方によれば、手あれはおおむね4つの段階に分けられます。第1段階は肌が白っぽくかさつく軽い乾燥状態で、まだ痛みはほとんどありません。第2段階になると肌の表面がガサガサとした、いわゆる鮫肌のような手触りに変わります。
さらに進んだ第3段階では赤みやひりつきが現れ、すでに軽い炎症が起きている状態といえます。そして最も重い第4段階では、ひび割れや、時には出血を伴う「あかぎれ」にまで至ります。この段階が進むにつれて、単なる保湿だけでは対応できなくなり、炎症を鎮めて修復を助ける成分が必要になってきます。
ニベアは「蓋をする」役割、アトリックスは「治す」役割
ドラッグストアの棚には、青い缶でおなじみのニベアクリームと、ハンドクリームの定番であるアトリックスが並んでいます。実はこの二つ、どちらも花王が展開する商品であり、単に似た保湿クリームを二重に売っているわけではありません。手あれの進行度によって必要な成分がまったく異なるため、選び方を間違えると保湿のつもりが逆に肌の状態を悪化させてしまうこともあります。
ニベアとアトリックスの決定的な違いは、その働き方にあります。ニベアは油の膜で肌の表面を覆い、水分の蒸発を物理的に防ぐという仕組みを持っています。これはラップで包むように肌の外側に保護膜を作るイメージで、専門的には閉塞効果、いわゆるオクルーシブ効果と呼ばれています。この仕組みのおかげで刺激が少なく、家族全員で気軽に使えるという強みがあります。
一方のアトリックスは、薬用成分によって皮膚の内部の働きに直接アプローチする商品です。炎症を引き起こす物質の働きを抑えたり、血の巡りを良くして必要な栄養を届けたりすることで、傷んだ肌の修復を後押しします。つまりニベアが外側から守る商品であるのに対し、アトリックスは内側から治すための商品だという、根本的な違いがあるのです。
そのため、すでに赤みや痛みが出ている手にニベアを塗り続けても、炎症を鎮める成分が入っていないために根本的な解決にはならず、場合によっては悪化してしまうこともあります。見た目や使用感が似ていても、担っている役割はまったく異なるということを知っておく必要があります。
成分の組み合わせにも表れる違い
この役割の違いは、配合されている成分にもはっきりと表れています。ニベアにはミネラルオイルやワセリン、スクワランといった保護に優れた油分が多く使われています。これらは化学的に安定していて酸化しにくく、肌の表面にとどまって刺激から守ることに特化した成分です。そのため肌の奥深くまで浸透するタイプの油ではありません。
これに対してアトリックスには、グリセリンや親水性のポリマー、そして薬用成分が配合されています。特にアトリックスハンドクリームは、塗った際に水分がまず先に広がるタイプの処方になっており、肌の表面だけでなく角質層の内部まで成分が届きやすいよう設計されています。処方の構造そのものにも違いがあり、ニベアは水を油で包み込むタイプの乳化構造であるのに対し、アトリックスは逆に油を水で包み込む構造になっています。
この違いによって、ニベアは塗った直後こそべたつきを感じるものの肌にしっかりと膜を作り、アトリックスはさらっとした使用感で浸透しやすいという特徴が生まれています。
症状に合わせた使い分けの目安
ここまでの違いを踏まえると、症状の段階に応じてどちらを選ぶべきかが見えてきます。肌が白っぽくかさつく程度の軽い乾燥であれば、外側からしっかりと膜を作ってくれるニベアクリームが適しています。表面がガサガサするだけの段階であれば、どちらを使っても対応は可能なので、べたつきが気にならないならニベア、作業をしながら使いたいならさらっとしたアトリックスというように、生活スタイルに合わせて選ぶとよいでしょう。
一方、赤みやひりつきといった炎症のサインが出ている場合には、修復を促す薬用成分を含むアトリックスハンドクリームが適しています。アトリックスには炎症を鎮めるジフェンヒドラミン塩酸塩などの成分や、血行を促進して修復を後押しするビタミンE誘導体が配合されており、これらが組み合わさることでひび割れやあかぎれといった重い症状にも対応できます。ひび割れやあかぎれの段階まで進んでしまった場合は、蓋をするだけのニベアではなく、治す力を持つアトリックス一択と考えてよいでしょう。
肌に食品を混ぜて使うのは非常に危険
最後に、SNSなどで見かける美容法についても触れておきます。クリームに食品由来の成分を混ぜて使うという方法が話題になることがありますが、これは医学的に見て非常に危険な組み合わせです。ニベアのように水分の蒸発を防ぐ力が強いクリームに食品のタンパク質を混ぜてしまうと、肌のバリア機能を壊した状態でその成分を長時間肌に密着させ、体内に浸透させてしまうことになります。
本来口から摂取するはずのものが肌から侵入すると、体はそれを異物として認識し、通常の食事の際に大量の異物が入ってきたと誤認して、命に関わるアナフィラキシーショックを引き起こす可能性があります。過去に化粧品に混入した成分が原因で深刻なアレルギー症状を引き起こした事例が実際に起きているように、食品由来の成分を肌に塗ることは軽い気持ちで試してよいものではありません。
ちなみに花粉症に対する舌下免疫療法のように、少量ずつ口から摂取することで体に異物ではないと学習させる治療法もありますが、これはあくまで医療機関の管理のもとで行われるものであり、自己判断で食品を肌に塗る行為とはまったく別のものです。美容のために試すつもりが重大な健康被害につながりかねないため、食品はあくまで食べるものとして扱い、クリームや化粧品に混ぜることは避けるべきです。
東洋医学とスキンケアの基本
肌の乾燥は、東洋医学の「気・血・水(き・けつ・すい」の中では、血(けつ)との関わりが大きいと言われています。東洋医学での血は、体を構成する物質の一つと考えられており、血が不足することによって肌へ栄養が届かなくなることで、肌の機能が悪くなると考えます。
そのため東洋医学的に考えればスキンケアの基本は、体の血が不足を補う必要があります。またこのような不足を「血虚(けっきょ)」と言い、血虚になるとターンオーバが乱れ、皮脂の分泌も低下して肌の保水力が保てなくなり、乾燥すると考えます。
そのため、美容鍼灸では血を補うツボへ刺鍼し、その代表的なツボが血海(けっかい)や三陰交(さんいんこう)などです。これらのツボへ刺激によって血虚の状態が改善しますが、ツボ刺激だけではなく、十分な睡眠や食生活に気をつけることが大事です。
血海(けっかい):膝のお皿から指3本分上、やや内側にあるツボ
血を生み出す働きがあり、「血の海」と書くほどの、「血虚」を改善する重要なツボです。

三陰交(さんいんこう):内くるぶしから指4本分あがった、すねの骨の内側にあるツボ
月経の血量や痛みも抑えてくれる婦人科の特効穴と言われるほどのツボです。

日本の最新の美容成分研究
資生堂の研究
資生堂は、シミができる前の遺伝子レベルのスイッチを見つけ、それを押さないようにすればシミができなくなるのではないかという研究があります。資生堂の研究では、シミが肌の表面に現れるまでにはDNAの変化ではなく、肌の内部の遺伝子がどのような変化が起こっているかを約2万個の遺伝子を検索しました。
そしてシミがある肌ではmTORタンパクが多いことを発見しています。このmTORが活性化してしまうと、表皮の細胞が異常に増殖してしまい、それがシミの原因になることが分かっています。つまりmTORが増えているのが、シミができる最初の段階に起こっていることになるため、mTORの活性を最初から抑えておけば、シミができる前から抑えられることになります。
そして、その成分が4Mアルゲという資生堂の独自の成分です。これがmTORの活性を抑え、メラニンの蓄積を防止する成分です。これは新しくなったセラムエクラSⅡの美白美容液に、mTORを抑制する4Mアルゲが配合されています。美白の有効成分をメインにして4MSKが高濃度配合されており、それこに資生堂の最先端の遺伝子研究で見つけた4Mアルゲが入っています。
また、シミがある部分には微弱な炎症があり、それがメラニンを作り続けさせていること、さらに異常な毛細血管が増えていることも分かっています。 最新の研究では、シミの部分の細胞ではミトコンドリア(細胞のエネルギーを作る器官)に変異が起きており、エネルギーを作れず老化した細胞が周囲の細胞にも老化の指令を送ってしまう、いわば「シミがシミを呼ぶ」状態になっていることも見つかっています。
先端のシミ予防研究を全搭載したHAKUには、独自成分の4MSKに加え、炎症を抑える成分(トラネキサム酸、グリチルリチン酸、シカ由来成分など)が組み合わされ、炎症と細胞老化の両方に働きかける処方になっています。
ロート製薬の研究
ロート製薬と言えば、ビタミンCとアゼライン酸が挙げられます。ニキビや黒ずみに悩んでいる人は、これは皮脂が悪さをしてることはご存知だと思います。皮脂が悪さをするメカニズムを、ロート製薬が研究しており、皮脂に含まれる特定の遊離脂肪酸が、この毛穴やニキビの初期段階のものに悪さをしていることが研究で分かっています。
特に悪さをしてるのが、ステアリン酸のような遊離脂肪酸です。表皮の細胞に ステアリン酸が増えていくと、IL-8という炎症性の物質を増やすことになります。このIL-8が増えて炎症が起こると、肌の免疫細胞が入り、肌の赤み、肌荒れのトラブルを起こしやすことが分かっています。
ロート製薬の研究では、ピュアビタミン C(アスコルビン酸)、アゼライン酸をロート製薬の独自の比率で入れたところ、ステアリン酸からIL-8が出るのを抑え、肌の炎症を鎮めたデータがあります。それを配合しているのが、新しくなったメラノCCのシートマスクに、そのバランスがしっかりと配合されたものが入っています。
KOSEの研究
麹酸で有名な化粧品は、メラノショットPです。KOSEは、麹研究を長年続けており、まずメラニンを表皮の細胞に届かないようにする研究していました。次の研究がメラノサイトから表皮の細胞に受け渡す時には、「樹状突起」という手を長く伸ばしますが、この手を長く伸ばさなければ表皮の細胞に届かなくなるため、これを伸ばさないようにする研究です。
次の研究が、メラノサイトから炎症の司令があると遠くの細胞同士も炎症で繋がってしまいシミが大きくなるため、その炎症物質を止める研究でした。このような研究の流れの中で、麹酸の働きでメラニンを抑えるだけでなく、いかにシミが広がっていくことを止める、またこれ以上大きくしない技術が化粧品に入っていました。
その最新の研究成果が、肌の3D解析からシミではない部分もメラノサイトが活性化してることが分かっています。それは樹状突起が伸びてる状態であり、さらに表皮の細胞自体も固く結びつくためのメラニンを受け取る指令が出ます。その結果、まだシミになってないところにも樹状突起からメラニンを受け渡すことが分かっています。
これを放置する結果、シミの周りのところにもメラニンが受け渡され、シミが大きくなってしまうことが分かっています。今あるシミも抑えたい、また広がるのも抑える成分がチンピエキスです。
花王の研究
角栓に対してアプローチする化粧品は様々ありますが、中々改善されないと思われている方が多いと思います。皮脂の中でもバターみたいなベタベタした固体の油、剥がれ落ちた角層や汚れみたいなタンパクが絡まり合って固まったものが角栓です。
一般的な洗顔に入ってる海面活性剤では、液体の油は落としやすいですが、ガチガチに固まった固体の油は落としにくいものです。このような固まった皮脂には中々アプローチできなかったのですが、2017年花王が発見したトロメタミンを使った画期的な技術があり、それが角栓崩壊技術です。
トロメタミン自体は元々pH調整剤として化粧品の中でも使われてきた成分ですが、なぜかトロメタミン水用液を角栓にかけたところ、固まった油が溶けていくことが分かりました。花王グループの中でも、LUNASOLやestなどに入っており、代表的なものがビオレの洗顔です。
ただし、技術にも弱点があります。角栓は毛穴の中にいっぱい入ってるものであり、角栓崩壊で壊れるのは表面だけでした。そのため従来の角栓崩壊洗浄技術は、表面の方は綺麗になっても、肌の奥の汚れまではアプローチできなかったのが今までの弱点でした。
この角栓の奥まで取るにはどうしたら良いかと思考錯誤し、誕生したのが親水性のミクロパウダー入りの角栓崩壊ブースト技術です。配合されているのはカオリン、コーンスターチ、セルロースのようなパウダーです。トロメタミンの水用液を角栓につけると油が溶け出す化学反応は、トロメタミン水用液が固まった油とくっつくことによって油が水に溶けるような成分に変化します。
その変化をした成分が、脂肪酸トロメタミン塩です。これは界面活性剤のような性質を持っており、油ですが水と混ざりやすい成分に変わるため、油が水に溶け出して、角栓が崩壊します。界面活性剤は、水と油を混ぜるだけではなく、水に馴染みながら何かに吸着する役割を持っています。
角栓がトロメタミン水溶液と混じりあうことで、脂肪酸トロメタミン塩というドロドロした液体上の界面活性剤のようなもの変化します。それが角栓の周辺にはまって崩壊し、奥のものはドロドロしただけでしたが、吸着する親水性のミクロパウダーを一緒に入れることによって、脂肪酸トロメタミン塩が吸着されます。
また親水性のパウダーは、パウダー同士がくっつかなく、ドロドロした角栓がちゃんと吸着できます。そしてパウダー同士がくっついてしまうと表面積が小さくなりますが、表面積が大きければ大きいほど角栓が吸着できるので排出されやすくなることになります。
つまり出入り口のドロドロした角栓が、パウダーにくっついて取り除かれると、ドロドロとしたもので蓋をされていたものが毛穴の奥へ新しいトロメタミン水溶液が進む道ができます。トロメタミンでほぐされた角栓をパウダーで吸着して、できた通り道にまた再浸透するサイクルがきます。このように今まで届かなかった毛穴の奥の隠れ角栓にしっかりとアプローチして、その奥の方まで自己崩壊させることが可能になっています。
そして、気になるのが肌への負担です。角栓を溶かすトロメタミンは肌にも悪いんじゃないかという意見があります。当然、高濃度で入れるとpHがアルカリに傾き、肌に負担になりますが、化粧品に入れて良いパーセンテージは決まっています。そのため、そこまでアルカリに傾くほど入れることができません。ただし、角層にも 浸透し、バリア機能を壊してしまうことが考えらるため、花王でも研究しており、通常の洗浄剤に比べて角栓崩壊ブースト技術で使っているぐらいの洗浄剤であれば、そこまで浸透しないデータも出しています。ただ乾燥肌や敏感肌の人は、気をつけていただくことを前提に、ニキビが気になる、皮脂が気になる、角栓が気になる人は毎日、または週に1、2回でも良いし、黒ずみ毛穴が気になる鼻の周り、顎などの部分的に使っても良いでしょう。
再春館製薬所の研究
細胞のエネルギーの工場であるミトコンドリアは、ATPというエネルギーを作り、それをしっかりと供給できれば細部は元気でいられます。しかしミトコンドリア自体が、加齢とともにATPの産生が落ちてしまうことが分かってます。さらに肌の老化を進める活性酸素も多く作られてしまうことも分かっています。
再春館製薬所の研究では、この劣化したミトコンドリアを分解し、新しく元気なミトコンドリアを自分たちで作らせるサイクルが元々人間にあり、そのサイクルをしっかりしていくことにフォーカスをしています。
約530種類の植物のサンプルから見つけたのが、山椒の種のエキスです。この山椒の種のエキスを加水分解してミトコンドリアに添加することで、ミトコンドリアの新生を誘発するTFAMという重要なタンパク質が劇的に増加することが分かっています。
新しいサイクルが回ることによって、元気なミトコンドリアが常に産生される状態になります。その結果、ミトコンドリアが元気になればATPの産生も高まり、肌の老化の原因になる活性酸素も抑えることになります。
実際、人の細胞でも実験されており、例えば繊維芽細胞のミトコンドリアの活性が増えていくと、たるみ・シワの改善に繋がっていく研究もされています。再春館製薬所と言えば、ドモホルリンクルですが、今回リニューアルした、そのミトコンドリア研究で見出された成分が入っています。
ポーラオルビスグループの研究
ポーラオルビスグループの研究では、紫外線を味方につけて肌のバリアを強くする驚きの研究があります。紫外線はお肌にとって敵ですが、それを味方につけるポイントが、ホホバ由来の脂肪酸カリウムというものです。
この成分は、通常水に溶けやすい成分ですが、弱酸性の環境になると水を弾く性質を持っている成分になっています。紫外線が当たると空気中の汚れ、例えばアセトアルデヒドを分解して酢酸が発生し、肌の表面が弱酸性に変わります。
それを利用して、ホホバ由来の脂肪酸カリウムが紫外線が当たることで肌が弱酸性になり、膜が強くなる日焼け止めを販売しています。つまり紫外線が当たれば当たるほど膜が厚くなり、紫外線を防ぐ技術になっています。これがオルビスの日焼け止め(オルビスリンクルブライトUVプロテクターN)で、そのキャッチコピーが「紫外線最強時代のシワ改善・美白UV」です。
一方で、POLAの美白有効成分ルシノールは、表皮のメラニン生成を抑える働きを持っています。それに加えてPOLAが独自に研究しているのが、メラニンが表皮だけでなく真皮にまで落ち込んでいるケースがあるという点です。
この真皮に落ちたメラニンを分解するのが、体に備わる「マクロファージ」という掃除役の細胞です。しかし加齢とともにマクロファージの働きが弱まり、メラニンを取り込んでも消化しきれず、黒いメラニンを抱えたまま留まってしまうことがあるとされています。
そこでPOLAは、マクロファージのメラニン分解力を高める独自成分(せんぶりエキスと生姜根エキスの複合体)を開発。さらに、有効成分を真皮まで届けるカプセルに、マクロファージが見つけやすいよう目印をつける工夫までしているのが特徴です。テクスチャーは水のようにさらっとしており、ベタつきを避けたい人や他の美容液と併用したい人に向いています。
【本コラムの監修】

・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。


















