皮下脂肪が落ちない女性にはある共通の特徴があります。それは、そもそもお腹の皮下脂肪が落ちるメカニズムを知らないということです。お腹の皮下脂肪が落ちるまでには必ず次のステップがあります。
- ステップ1:摂取カロリーが消費カロリーを下回るアンダーカロリーの状態を作る
- ステップ2:脳が脂肪を分解するように体に命令を出すことで、初めてアドレナリンなどのホルモンが体内に分泌される
食事量を減らすとアンダーカロリーがつくれない
このホルモン分泌が皮下脂肪を分解するために必要な鍵で、アドレナリンなどのホルモンが皮下脂肪についている鍵穴と合って始めて皮下脂肪は分解され落ち始めます。
しかし残念ながらほとんどの人は、お腹周りにこの鍵穴が少なくなっています。実際あるアンケート調査で体脂肪が落ちにくいと感じる部位で二の腕やふくろはぎ 答える人は6%だったのに対し、お腹周りの体脂肪を落とすのが難しいと答えた人は約10倍の56%もいました。
二の腕やふくろはぎの体脂肪には鍵穴が多くあり、ダイエットし始めでも痩せやすいのに対し、お腹の皮下脂肪は鍵穴が少なく最後までしぶとく残るため、正しい知識がないと皮下脂肪は落ちません。お腹の皮下脂肪が落ちるペースは、落ちても1 日で50gから多くて100g程度です。この体脂肪が落ちるペースを知らないと、例えば1週間で-5kgや糖質制限1ヶ月で-1kgのような仮に体重は落ちても実はそのほとんどが水分や内臓に蓄えられているもので、体脂肪はほとんど落ちていないということもあります。
実際、アメリカ国立衛生研究所の研究によると6 日間の糖質制限により体重は1.8kg 落ちましたが体脂肪は200gしか減っていなかったことが分かっています。このペースなら仮に1ヶ月頑張っても1kg程度の体脂肪くらいしか落とせません。しかし仮に1ヶ月で1kgの体脂肪を落として、これを3ヶ月続けたら見た目にも嬉しい変化が現れます。
また、実は食事量をむやみに減らしたり、運動をがむしゃらに頑張ってもアンダーカロリーは作れません。確かに皮下脂肪を落とすためにはアンダーカロリーを作る必要がありますが、実は食事量を減らしすぎてしまうと代謝が低下してアンダーカロリーが作れなくなり、皮下脂肪が落ちないという状況に陥ります。そのため食事量の目安として摂取カロリーが体重×23以上にするのがベストです。例えば60kgの人の場合、60kg×23で1380kcalが1つの目安になります。
食事量を減らしすぎると代謝がなぜ低下するのか
これには2つ理由があり、1つ目は脳が飢餓状態になったと判断するからです。例えば消費カロリーが1820 kcalの女性が摂取カロリーを1100kcalも落とすと、大幅にエネルギー不足の状態になり、足りない分は体脂肪がエネルギーとして使われて補われるから良いと思われるかもしれませんが、そんなに簡単にはいきません。このような大幅なエネルギー不足の状態が続いてしまうと脳が飢餓が状態になったのではと察知して体脂肪を使う前に代謝を下げることでこの不足分を補おうとします。つまり省エネモードになるということです。
そして2つ目の理由は、体脂肪を落とす栄養素が不足するからです。具体的にはビタミン、ミネラルが不足し、実は代謝にはビタミンやミネラルの助けが必須だからです。ダイエットして食事量を減らしすぎている女性は必ずと言っていいほどビタミンやミネラルが不足しています。こうなると代謝は低下し、どれだけ食事量を減らしても皮下脂肪が落ちない体質になってしまいます。
例えば、糖質は代謝されることで初めて脳や体を動かすエネルギー源になりますが、実はビタミンB1やビタミンB2の助けがないと代謝が滞りエネルギーに変換されません。つまり食べたものに含まれる糖質は体内で代謝されずに余って皮下脂肪として蓄積されてしまうことになります。これが食事量を減らしても皮下脂肪が落ちなくなる原因です。
実際、ハワード財団の研究によると1日405kcalの超低摂取カロリーダイエットを4日間続けた実験では、減った体重の3から4kgが水分で体脂肪はごわずかしか消費されなかったことが判明しています。これは食事量を減らしすぎたことで代謝が低下して摂取カロリーと消費カロリーの差を作れなくなったからです。
まずは摂取 カロリーを下げすぎないように1日の摂取カロリーは体重×23以上を目安に摂りましょう。またビタミンやミネラルが不足しないように可能な限り食事に副菜やフルーツを加えましょう。具体的には日本人女性が最も不足しているビタミン Aや鉄分を豊富に含むほうれん草、小松菜、ひじき、鉄分の吸収率を高めるビタミンCを豊富に含むオレンジ、キウイ、イチゴなどのフルーツやパプリカ、ブロッコリーなどの野菜がおすすめです。
朝食は必ず食べる
ダイエットに励む女性の多くが朝食を抜いたり、適当に摂ったりしていますが、これは典型的に皮下脂肪が落ちない女性の特徴です。このような状態が続くと気づかないうちに代謝が低下し、さらに昼食や間食、夕食の食べすぎが増えてアンダーカロリーの状態が安定して作れなくなっています。朝食は皮下脂肪を 落とすために1日の中で最も重要な食事です。実際、厚生労働省の国民栄養調査によっても朝食を欠食することで皮下脂肪の厚みが厚くなる傾向にあることが明らかになっています。
朝食が非脂肪を落とすのに重要な理由は、朝食を食べないと代謝が著しく低下するからです。朝食を抜いたり、極端に低カロリーにしてしまうと私たちの脳は当然十分なエネルギーが入いらず、1日の始まりに必要な栄養素が不足していると判断します。この足りない分はどうなるのかというと脳は代謝を下げ、いわゆる省エネモードになります。こうなると仮に朝食を食べなくても消費カロリーが致命的に少なくなるため、アンダーカロリーの状態が作れなくなってしまい、つまり皮下脂肪を落としにくい体質になることになります。
そしてもう1つの理由は、朝食を食べないと食欲が安定しないことが挙げられます。朝食を適当にしたりするとお昼や間食、夕食の食欲が乱れて1日のトータルの摂取カロリーは増えてしまいます。そうなると当然皮下脂肪は減ることはなく、むしろ増えていきます。
また朝食を適当に取ってしまうと血糖値が急に上がり満腹を感じますが、その後は急激に下がり、逆に強い空腹感に襲われることになります。血糖値が急激に上がる典型的な朝食といえば菓パン、果汁100%のフルーツジュース、砂糖でコーティングされたコーンフレークなどが代表的です。
ダイエット時におすすめの手軽な朝食それはオールブランです。オールブランはコーンフレークと違い、砂糖でコーティングされていないため血糖値の上昇も非常に緩やかです。オールブラン、フルーツミックス、それに加えてアーモンドを10粒ほど摂れば朝食に必要なビタミン、ミネラルも全て適性量カバーできます。
二の腕が太くなる理由
年齢を重ねてくると二の腕が太くなりやすくなるのはなぜでしょうか。その理由は、主に生理的及び生活習慣の変化が挙げられます。
生理的変化
代謝の低下年齢を重ねるにつれて人の基礎代謝率は自然と低下します。これは筋肉量の減少によるものが大きく、特に40代以降はこの傾向が顕著になります。代謝が低下すると同じ量のカロリーを摂取しても以前より簡単に脂肪として蓄積されやすくなります。
一方で加齢による筋肉量の減少は、特に40代から加速度的に進むことが知られています。筋肉量が減ると脂肪が燃焼されにくい体質になり、結果として脂肪が蓄積しやすくなります。特に上腕三等筋の衰えは、たるみやすさに直結します。
そしてホルモンバランスの変化が大きく現れることも影響します。女性の場合、40代は更年期の始まりにあたりエストロゲンの分泌量が減少します。エストロゲンは脂肪の分布をコントロールする役割を持っており、そのバランスの変化 によって体脂肪が増加しやすくなり、特に上半身や腕に脂肪がつきやすくなることがあります。
一方でインスリンは血糖値を調節するホルモンで、インスリンのバランスが乱れると体がインスリンに反応しづらくなるインスリン抵抗性が高まります。これが原因で、体内の糖質がエネルギーとして使われにくくなり、代わりに脂肪として蓄積されやすくなります。その結果、全身や二の腕に脂肪がつきやすくなります。
さらにコルチゾールは、ストレスホルモンとして知られており長期間のストレスが原因で、コルチゾールの分泌が過剰になると食欲が増加し、特に糖質や脂質を多く含む食べ物を欲するようになります。これが原因で体脂肪が増え、二の腕が太くなることがあります。
また、甲状腺の分泌が 不足すると代謝が低下し体内の脂肪が燃焼しにくくなります。これにより体全体の脂肪が増え、二の腕を含む体の核部位が太くなることがあります。
生活習慣の変化
40代は仕事や家庭の責任が増える年代でもあり、忙しさの運動不足になりがちです。またストレスや睡眠不足も増えることが一般的で、これらは代謝の低下や不健康な食生活へとつながり、結果的に体脂肪の増加を促します。
また悪い姿勢、特に前鏡の姿勢や猫背は胸部や肩の前側の筋肉が縮んで固くなり、背中や肩の後ろ側の筋肉が伸びて弱くなる傾向があります。この結果、筋肉のバランスが崩れて二の腕が太く見える原因となります。さらに悪い姿勢は血流やリンパの流れを妨げ、特に腕を下に垂らした状態で長時間、前屈みでいるとニの腕の血流が悪化し、腕のむくみやすさが増します。これが二の腕が太く見える一因になります。
体の余分な水分
体内に余分な水分が溜まることは腕を含む体の各部位が太く見える原因の1つです。これは一般にむくみと呼ばれ、ニの腕が太く見える現象にも関係しています。長時間の同じ姿勢や運動不足により血液循環が悪くなると体の末端部分、特に腕や足などに水分が溜まりやすくなります。
血液の流れが悪いと細胞に栄養を届けたり、老廃物を回収する効率が悪くなり結果として水分が組織にたまりむくみが生じます。リンパ系の流れが悪いと体内の余分な水分や老廃物の排出がスムーズに行われなくなります。リンパの滞りもむくみの原因となり、荷の腕などの体の部位が一時的に太く見えることがあります。
一方で塩分を過剰に摂取すると体内で水分を保持しようとする性質があります。これにより体内に水分が溜まりむくみが生じやすくなります。このような理由で二の腕に水分が滞留すると非組織に水分が溜まり、腕が太く見える原因となります。
東洋医学で診る「二の腕が太くなる理由」
東洋医学では人体をエネルギーが流れる経絡や陰陽五行の理論などを用いて 理解し、体内のバランスの乱れが健康問題を引き起こすと考えます。二の腕が太くなる場合、特定の経絡において気の滞りが生じている可能性があります。特に腕には心経、小腸経、肺経、大腸経など複数の経絡が通っており、これらの経絡のバランスが崩れると二の腕に影響が出るとされます。
一方で東洋医学では血の流れも重要な要素で、血の不足や停滞は体内の栄養素や酸素の運搬に影響を及ぼし、結果として脂肪がつきやすい体質につながると考えられます。二の腕が太くなるのもこの血の流れがスムーズでないことによる部分 的な影響とされます。
また東洋医学では、脾は消化吸収を司り、体内の「湿」を制御する重要な役割を担っています。脾の機能が低下すると 体内に「湿」が溜まりやすくなり、これが脂肪として体に蓄積される原因となります。二の腕が太くなることもこの水分と脂肪の蓄積と関連付けられることがあります。全身の気の流れを良くするには、失眠、足三里、関元、中院、合谷のツボが挙げられます。
【本コラムの監修】
・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。