美肌と睡眠の関係

    美肌と睡眠の関係

    寝不足や不眠による肌荒れや疲労感で悩まれていませんか?美しさと健康のベースは睡眠の質です。美肌を保つために欠かせない「成長ホルモン」や「女性ホルモン」の分泌には、睡眠がとても重要な役割を担います。

    「成長ホルモン」は健康的な体を維持するだけでなく、傷ついてた細胞の修復や疲労回復などさまざまな働きがあります。肌は定期的にターンオーバーを繰り返しており、常に新しい細胞が生まれ変わります。このターンオーバーを整える「成長ホルモン」の分泌を促進するためには「睡眠」が必要になります。

    「女性ホルモン」には美肌効果の働きを持つ「エストロゲン」と呼ばれるホルモンがあります。このエストロゲンには、コラーゲンやヒアルロン酸の産生を促す作用があるため、肌のハリ・ツヤを保つことができます。つまり女性ホルモンに「睡眠」が欠かせません。

    質の良い睡眠のために鍵となるのが、睡眠と深い関係にある「メラトニン」と「成長ホルモン」です。

    美肌とメラトニン

    寝不足が続くと、肌にハリがなく、疲れているなと感じる経験は誰もがあると思います。これはメラトニンの減少によって、体の抗酸化力が弱まるからです。

    抗酸化力が弱まれば、体内の細胞組織が活性酸素からのダメージを受けやすくなってしまいます。そのダメージが肌荒れや、強いては老化につながると考えられています。

    またメラトニンの働きによって、心身をリラックスモードにすることができ、自然な眠りにつくことができます。しかし寝る前にyoutubeなどの動画を見ると、画面から発せられるブルーライトの光によってメラトニンが減少し、入眠の妨げになります。

    メラトニンは、加齢とともに分泌量が減ります。年を取ると朝早く目覚める、夜中に何度も目が覚める、若い頃より睡眠時間が減るなどは、メラトニンが減少することで、体内時計の調節機能が弱まっているためと考えられています。

    美肌と成長ホルモン

    睡眠中に分泌する、もう1つの大事なホルモンが「成長ホルモン」です。成長ホルモンの役割は、健康維持だけでなく、老化した細胞を回復する、代謝を調整する、疲労を回復(別名疲労回復ホルモンと呼ばれる)するなどがあります。また肌の美しさにも成長ホルモンが関係しています。

    紫外線などからダメージを受けた細胞の修復、再生、肌のターンオーバーの正常化を促し、美しい肌づくりを担ってくれます。この成長ホルモンにまつわる話として、「お肌のために22時には寝ないとダメ」ということを聞いたことありませんか?しかし近年では、22時〜深夜2時に多く分泌される「ゴールデンタイム」という考え方は科学的に間違っていたことが分かっています。

    成長ホルモンは「最初に訪れた深い眠りの時」、つまり寝入ってから約30〜90分後の、深いノンレム睡眠時に、最も多く成長ホルモンが分泌されます。また良質な睡眠は成長ホルモンや女性ホルモンの分泌に大きく関わっており、これらホルモンは、眠りについてから2~3時間の間に分泌されるという傾向があります。そして成長ホルモンはメラトニンによって分泌が促されるため、メラトニンの分泌量が多くなる深夜1から3時には、深い眠りに入っている状態になっておきましょう。体は熟睡するまでに2時間かかると言われているので、11時〜12時には寝ましょう。

    注意しなければならないのが、寝る前に食事を摂ることです。就寝前の食事は、成長ホルモンの分泌を阻害すると言われており、その理由に成長ホルモンの働きの一つで血糖値を上げる作用があるからです。体には空腹時に低血糖状態にならないように血糖値を上げる働きがあります。しかし満腹で血糖値が高い状態で寝てしまえば、血糖値を上げる必要がないため成長ホルモンの分泌が抑制されます。

    同じ理由で日常生活の中で糖分をほどほどにすることも大切です。なぜなら糖分を摂るとインスリンが分泌され、インスリン量が増えると成長ホルモンが減少することが分かっています。別の研究でも健康な人は糖尿病の人より3から4倍高い成長ホルモンの分泌レベルを持っていることが分かっています。この研究からもインスリンレベルが高いことが成長ホルモンの分泌に悪影響を及ぼすことが推測されます。

    この成長ホルモンの量は年をとるにつれてだんだん少なくなり、次第に疲労からの回復が遅くなり、筋肉量や骨量の低下、肌の衰えなどが目立つようになります。成長ホルモンの分泌量が低いと、生活の質が低下、病気のリスク向上、脂肪増加、肌艶の減少から見た目が老けたりします。

    睡眠不足≒寝不足!?

    慢性炎症、ストレス、運動不足、低血糖、睡眠不足この5つがすべての病気の根本原因だと考えられています。この5つについてしっかりと理解できている人はまだまだ少ないのが現状です。例えば睡眠不足の原因を聞かれて、あなたは答えることができますでしょうか。

    睡眠不足だから夜更かしとか昼夜逆転とか、と思われるかもしれませんですが、それは正確ではありません。確かに夜更かしや寝不足によって睡眠不足が引き起こされるのは確かです。ですが現代人の中にはしっかりと睡眠時間は確保できているのに睡眠不足状態に陥ってしまっている人が少なくありません。この睡眠不足の原因としては、ホルモン(コルチゾールやプロゲステロン)の乱れ、腸内環境の乱れ、鍛造デトックス機能の低下が挙げられます。

    睡眠不足を単なる寝不足と勘違いしている人がいますが、どれだけ長時間寝ていようと睡眠不足の人は存在します。その原因は睡眠の質にあります。質が悪い睡眠もどれだけ長く取ろうと睡眠不足は解消されません。その睡眠の質を決めるのがメラトニンという睡眠ホルモンです。

    メラトニンには、ストレスによる免疫力の低下を抑え、感染症に対する抵抗力を高める、癌細胞を排除する、免疫力を高め、抗がん剤やストレスによる免疫力の低下を軽減する、ビタミンEの6倍から10倍の抗酸化作用があるなどの効果があります。

    このような睡眠に重要な要素であるメラトニンの原料はセロトニンという神経 伝達物質で、日中に太陽の光を浴びることで合成されます。さらにこのセロトニンの原料というのがトリプトファンというアミノ酸で、食事から摂る必要があります。

    さらにメラトニンと同じく重要なホルモンに成長ホルモンがあります。成長ホルモンは子供の頃だけでなく大人になっても代謝調節や免疫機能を高め、脂肪代謝や認知機能にも作用することが知られています。この成長ホルモンが最も分泌されるのは深い睡眠に入った時、具体的には入眠後90分から2時間後に最も多く成長ホルモンが分泌されます。

    睡眠不足だと、これらの優秀なホルモンから十分な恩恵を受けることができず、慢性炎症を引き起こしたり、糖尿病のリスクが高まったり、血圧の上昇を引き起こしたり、食欲が過剰になったりします。

    睡眠不足の原因

    どれだけ寝ていても睡眠の質が悪ければ睡眠不足は解消されません。この睡眠不足になる原因が以下の3つです。

    1. ホルモンの乱れ
    2. 腸内環境の乱れ
    3. 肝臓デトックス機能の低下

    ホルモンの乱れ

    ここで大きな影響を受けるのがコルチゾールです。夜間から早朝にかけて血糖を維持するホルモンは、成長ホルモンとコルチゾールです。副腎疲労でコルチゾールの分泌が減少すると低血糖を補おうとし、血糖を上げるためホルモンであるアドレナリンの分泌が誘発されます。すると交感神経が刺激され、興奮状態になり眠れなくなってしまいます。

    腸内環境の乱れ

    腸内環境が乱れていると睡眠の質が低下します。これは腸内環境の乱れによって栄養素の吸収が阻害され、睡眠の質を決定づけるメラトニンが十分に分泌されにくくなるからです。材料となるトリプトファンはもちろんのこと、メラトニンがしっかり分泌されるためには、その他のビタミンミネラルの働きが欠かせません。腸内環境が乱れていてこれらの栄養素を十分に吸収できないと睡眠が低下してしまうのは当然のことです。

    肝臓のデトックス機能の低下

    東洋医学の考えでは、夜中の1時から3時は肝臓が解毒処理を行うピークの時間帯とされています。この時にデトックスがうまくいっていない人は、夜中に肝臓が忙しく働きすぎて睡眠に悪影響を与えてしまう可能性があります。

    これら3つの睡眠不足の原因ですが、どれも睡眠不足によって引き起こされる 症状でもあり、どこかでバランスが崩れ、睡眠不足に陥ってしまうとホルモンは乱れ、腸内環境も乱れ、肝臓のデトックス機能が低下し、さらなる睡眠不足になるという悪循環に陥ってしまいます。

    この3つに共通して言えることとして、腸内環境が乱れていたら抗炎症食品を摂ろうと、ビタミンB6を摂取しても意味がないことです。それは栄養素というのは摂取だけではなく、吸収、消費もセットで考えることが大切だからです。

    この中でも吸収においては、当然ながら腸内環境が正常に機能することが大前提となります。もちろん腸活食品を摂ることも大事ですが、それよりも重要必要なのは腸内環境を乱し、リーキーガット症候群を引き起こしてしまうような食品や物質を避けるということです。

    腸内環境を乱して毒素が腸内から体内に漏れてしまうリーキーガット症候群を引き起こす食品として 有名なものは精製された小麦、牛乳、トランス脂肪酸、白砂糖、遺伝子組み換え食品です。

    まず何より食事で大事なのは個体差の見極めです。人間の体の特徴や症状には個体差があります。どの栄養が足りていて、どれが足りていないのかというのは住んでいる場所、民族そして個人によっても違います。いつも通りの食生活に少し本なりで得た知識を試してみて、体調変化を観察することが大事です。

    老化と睡眠の関係

    睡眠の役割で大切なのが、脳を休めることです。睡眠不足が蓄積すると脳の老化が早まってしまうことが分かっています。脳は体の他の器官とは異なる成長、老化過程を辿ります。脳の神経細胞は3歳になると分裂することがなくなり、その状態のまま使い続けることになります。この神経細胞を若々しく保つためには、睡眠が大切です。

    睡眠の中でも特にノンレム睡眠が脳の老化防止の役割を担ってくれます。睡眠時には、「レム睡眠(脳は活動して体が眠っている状態)」と「ノンレム睡眠(脳も体も眠っている状態)」のセットを約90分程度で繰り返しています。ノンレム睡眠は入眠後1時間程度で訪れ、その後90分の周期で繰り返します。このノンレム睡眠時に成長ホルモンをはじめとするホルモン分泌が行われ、同時に脳の神経細胞の電気活動も見られなくなります。

    つまり人の身体の1日の活動の中で、唯一活動しなくなる時間があるのが脳細胞なのです。現在では、睡眠による脳細胞の電気活動の停止こそが脳の老化を防ぐために重要だと考えられています。

    さらに電気活動がなくなると、神経細胞は収縮して、その収縮したことによる隙間を通って老廃物を細胞の外に押し出します。脳の中には脳脊髄液が流れていて、それが老廃物を押し流し、これ自体が脳の老化を抑えてくれます。

    なぜなら、この老廃物の中にアルツハイマーの原因といわれるアミロイドβ様などの物質が含まれているからです。つまり私たちは眠ることでアルツハイマーの発症を防ぐことができるのです。ワシントン大学の調査では睡眠時間を確保できていない人ほど、アミロイドβの蓄積が高いことが分かっています。

    良質な睡眠は、就寝90分前の入浴、就寝前のブルーライトの排除、入眠時間を固定することです。毎日、同じ時間にお風呂に入り、同じ時間に寝ることを繰り返すことによって、脳に習慣ができるようになります。

    また、夕食を抜くことで、オレキシンと呼ばれる覚醒促進のホルモンが分泌されてしまうため、軽くでも夕食は食べた方が良いということもあります。ただし、消化吸収のために就寝2時間前までに食べるようにしてください。

    睡眠不足によるターンオーバーの乱れ

    お肌のためには、食事、運動、睡眠が基本になるということはご存知だと思います。しかし最新の研究ではこの中で最も美肌のために重要なのは睡眠であることが分かってきています。特に睡眠不足と体内炎症には密接な関係があり、睡眠不足が続くと慢性炎症が体内で引き起こされ、疲労感や倦怠感の原因になるだけでなく、ターンオーバーの乱れに繋がることが明らかになっています。

    研究(2015)では、睡眠時間が5時間以下のグループと、7から9時間のグループに分けて肌の老化を評価したところ、後者では明らかに老化スコアが低く、水分量、皮膚バリアの回復がいずれも良好であったと報告されています

    この理由として睡眠を司る時計遺伝子は、コラーゲンやエラスチンなどを産生する繊維芽細胞やケラチノサイト(角化細胞)などにもあり、睡眠中にターンオーバーが活発になるからです。そのため睡眠不足によって肌の正常な代謝サイクルが乱されてしまうと肌老化を引き起こす原因になってしまいます。

    夜眠れない方は、朝日を浴びる健康習慣!

    「夜眠れない、朝起きても、気分が晴れない」など、このような方には、朝日を浴びることがとても健康に良いことが医学的にも解明されています。朝になると、自然に目が覚め、夜のなると眠くなるのは、1日の体内リズムがあるからです。この体内リズムは、セロトニンとメラトニンの2つのホルモンによって調整されています。

    幸せホルモンの「セロトニン」は、感情や気分のコントロールに深く関わり、朝日を浴びることで分泌が始まり、日中にかけて分泌量が増えていきます。そして最も重要な役割が体内時計を調節してくれることです。

    「メラトニン」は眠りを誘う睡眠ホルモンです。メラトニンの分泌を上手くコントールするだけで、良質な睡眠、倦怠感脱出、やる気が出るなど、様々な効果があります。メラトニンは、朝起床してから14時間後に分泌が始まり、2時間で分泌のピークに達します。つまり朝7時に起きれば、夜9時ごろにメラトニンの分泌が始まり徐々に睡眠に入っていく。。。というリズムがベストです。

    ところが、この「体内リズム」は地球が自転する24時間周期とズレがあります。最新の報告では1日あたり10分のズレが生じます。つまり1週間で70分、1カ月だと5時間のズレが生じ、つまり「時差ぼけ」が起こります。これをリセットするため太陽の光を浴びることが必要なのです。
    また、健康な状態では、眠る時間になると「副交感神経」が自然にオンになり、リラックス状態になって眠くなります。自立神経が乱れていると、「交感神経」が刺激され続けてしまい、眠る時間になっても「副交感神経」がオンになりません。

    ぐっすり眠るためのコツ

    睡眠を奪うものは、

    • ブルーライトを含む電気の光
    • アルコール
    • 目覚し時計
    • 睡眠薬
    • ストレス
    • 暑すぎる寝室

    そして睡眠の専門家がぐっすり眠るために勧める方法は、

    • いつも同じ時間に寝て、同じ時間に起きる
    • 夜寝る前に運動してはいけない
    • カフェインとニコチンを摂取しない(カフェインは午後2時まで)
    • 夜寝る前にアルコールを摂取しない
    • 夜遅い時間に大量の飲食をしない
    • 午後3時を過ぎたら昼寝をしない
    • 寝る前にリラックスをする
    • 寝る1〜2時間前にお風呂につかる
    • 寝室を暗く、涼しくし、寝室にデジラル機器を持ち込まない
    • 日中に太陽の光を浴びる
    • 寝室をしっかり換気する
    • 寝る前にルーディンを行う

    少しつづ取り入れることで、睡眠の質が変わってきます。

    眠れない時のテクニック

    体の一部を冷やす

    体を冷やすとむしろ睡眠の質が下がる気がしますが、もちろん冷え症の人や体温が低い人は調整しないといけません。ただ普通の人の場合、室温を低くし、体の一部を冷やすことで入眠時間も短縮し、睡眠の質も上がることが分かっています。

    ピッツバーグ大学の研究では、不眠症の人に冷たい帽子を被せて体温を意図的に下げたところ、不眠症ではない健康的な人よりも寝つきが良くなり睡眠の質も改善される結果になりました。この研究では、頭を冷やしましたが他の部位を冷やすことでも同じ効果があります。例えば布団からつま先だけを出して寝るなどです。

    重い布団を使う

    布団は軽い方が良いと思って軽い羽毛布団を選ぶと睡眠の質を上げる点ではおすすめできません。実際にカロリンスカ大学が発表した研究によると6kgから8kgの加重毛布を使うことで睡眠の質が向上するという結果になっています。この研究対象者は、すでに不眠症と診断され、うつ病や不安障害を併発している120名の男女で、一般的な1.5kgの毛布をかけるグループと、8kgか6kgの毛布をかけるグループに分け、4週間過ごしてもらいました。その結果、軽い毛布を使っていたグループは、5.4%不眠症が改善しました。一方で加重毛布を使っていたグループは、60%も睡眠の質が改善し、さらに42.2%もの人は不眠症が治ってしまったという結果になりました。

    この実験には続きがあり、他の被験者も重い掛け布団を使わせて1年間観察したところ、92%も睡眠の質が改善され、78%もの人は不眠症が治ってしまいました。さらに手首にアンチグラフと呼ばれる運動活動を測定するセンサーをつけて運動レベルを測定すると、昼間の活動レベルもより高くなり、疲労やうつ病、不安神経症の症状が軽減したことも分かっています。

    この研究の指揮を取ったマッツアドラー博士によると、加重毛布が体の様々な部位に重みを加えることで、指圧やマッサージに似た効果をもたらし、筋肉や関節の感覚を刺激することで副交換神経を活性化させると同時に、交感神経覚醒を減少させ、心を落ち着かせ睡眠を促進する効果があったのではないかと考えられています。

    刺激制限療法

    アリゾナ大学が数ある快眠法を調査したところ、他の快眠法を抑えて一位に輝いた方法が「刺激制限療法」です。この方法は特別なものではなく、単に寝る場所は寝るためだけに使うというシンプルな方法です。具体的には、本当に眠くなった時だけベッドに横になる、ベッドは睡眠以外の目的で使わないです。つまりベッドでスマホを使わないのはもちろん、本を読むのもNGです。とにかく寝る時しかベッドを使わないようにする方法です。

    刺激制限療法は、単純に布団の中は眠るものと脳に強く認識させることで、例えばベッドの上でスマホを見たり、本を読んでしまうとベッドの上は、そういう活動をする場所と脳が勝手に思い込み、どんどん眠れなくなってしまいます。さらに眠れないのにベッドの上で寝ようと頑張ってしまうと、脳がベッドの上では眠れないと判断してしまい、眠れなくなるだけではなく、睡眠の質も下がってしまいます。つまり脳に正しいベッドの使い方をインプットさせることで、脳に余計なことを考えさせずに寝ることだけに集中させてあげることが大事です。

    ベッドに入ってもどうしても眠れない時は、布団から出て別の部屋へ行く、または別室がない場合はベッドから出るだけでOKです。そして再び眠気が襲ってくるまで待機し、眠くなったら寝室へ戻ります。この時に眠れないと思ったら、またすぐに部屋を出ます。特に眠りにつけないまま15分以上ベッドにいるのはNG で、本当に眠くなるまで布団の中に入らないことが大事です。そして眠れなかった場合は、このプロセスを寝れるまで繰り返し、無理に布団の中で寝ようとしないこと、それでも眠れない場合は寝られるまでこれを繰り返します。

    認知シャッフル睡眠法

    連続して様々なイメージを想像することで眠りを促す方法が「認知シャッフル睡眠法」です。認知科学者のリュック・ボードワン博士によって考案された睡眠テクニックで、眠りを妨げる思考から意識をそらすことができます。睡眠の研究から頭の中で様々なイメージを次々に思い浮かべることで、眠りにつく直前の脳の状態になることが分かっています。

    具体的には、まず5文字以上の言葉を一つ考えます。次に言葉の最初の文字を使って、できるだけ多くのイメージを思い浮かべます。例えば最初に「車」を思い浮かべたとしたら、次はその「ク」を取って、クルミ、臭いなどどんどん新しい言葉をイメージします。その時それぞれの言葉を具体的にイメージするのがポイントです。このようにランダムに次々と頭の中で言葉をイメージしていくことで、脳が寝る直前のぼんやりとした状態になります。

    100から数える瞑想法

    瞑想をする人は、瞑想をしない人よりも睡眠の質が高いことが分かっています。ハーバード大学の研究チームの調査によると、1日に平均27分の瞑想を行うプログラムに8週間参加した人の脳のMRI画像を撮影したところ、プログラム参加後には不安やストレスに関連する脳の領域の活動が低下したことが分かっています。また就寝前に瞑想することでメラトニンの分泌が大幅に増えることも分かっています。

    瞑想というとハードルが高そうに思えますが、100から数える瞑想というとても簡単なテクニックがあります。やり方は、まず自分が丘の頂上にいるところを想像し、青空の下あったかい昼下がりで周りには花が咲いていて、蝶々や蜂が飛んでいるような穏やかな光景をイメージしてみてください。そこから100、99、98とカウントダウンしながら頭の中で丘を下って、一歩ごとに息を吐き出します。心地いいと感じる呼吸のペースと呼吸の深さを保つのがポイントです。これだけで睡眠に効果のある瞑想ができます。

    胎児のポーズとバタフライハグ

    リラックス効果を高めるのにお勧めなのが、ヨガのポーズ中でも簡単で体の緊張がほぐれるのが胎児のポーズです。布団の上で横になり、両膝を胸の方に折り曲げて両腕で両膝を体の方に引き寄せる、いわゆる体育座りのポーズです。自分のことを抱きしめるだけでも、愛情ホルモンと呼ばれるオキシトシンが分泌されます。オキシトシンはストレスや不安を軽減してくれ、また体を丸める姿勢には心が落ち着いて穏やかになる効果もあります。両膝を抱えながら深い呼吸をして、ゆっくりと体を左右に揺り動かすと腰や背中がマッサージされるため、さらにリラックス効果が高まります。

    アメリカの研究によると揺れる動きには、睡眠を促す作用があることが示唆されています。赤ちゃんをあやす時に、赤ちゃんを抱いて優しく体を揺らしてあげると眠ってくれます。この揺れる動きは、お母さんのお腹の中にいた時の感覚を思い出すため、私たちは本能的に安

    同じく自分で自分を抱きしめるバタフライハグにも、愛情ホルモンであるオキシトシンの分泌作用と、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌抑制効果が期待できます。バタフライハグは、両腕を胸の前で交差して両手で軽く肩を抱くポーズです。このバタフライハグは強大なハリケーンに被災したメキシコの子供たちをケアするセラピストによって考案された実績のある方法です。不安やストレスといった負の感情から解放される効果が期待できます。

    東洋医学で診る、不眠

    およそ5人に1人が不眠に悩んでいるといわれています。不眠には、寝つきが悪い、夜中に目覚める、ぐっすり眠れない、朝早く目覚めてしまうなどの4つタイプがあります。不眠の原因には、様々な要因がありますが、特にストレスの存在が大きく、仕事や家庭での精神的ストレスで不眠症に陥っているという方が多くなっています。

    また、睡眠時間が少ないほど食欲を増すことが分かっており、食べすきた体は、カロリーを効率よく管理できません。そのため血液中の糖分が増え、代謝が低下します。食欲増加と代謝の低下によってますます太り、心血管疾患、脳変性、アルツハイマー病、生活習慣病などの病気のリスクが増加します。さらに内臓脂肪が炎症を引き起こし、様々な病気のリスクを上げるだけでなく、脳への悪影響も指摘されています。

    東洋医学的な観点からみると、不眠は「陰陽」のサイクルが崩れている状態です。つまり夜になってもリラックスが完全にできていない状態であり、深く眠るためには気(エネルギー)、陰の気が必要と考えます。もちろん不眠症を克服するためには、その原因であるストレスを取り除くのが最も有効ですが、いきなりストレスを無くすといっても難しい話です。そこで不眠症の改善の1つの選択肢として、美容鍼が有効です。

    東洋医学において不眠は、五臓六腑の「心」に関係があり、「心」は心臓の機能だけでなく思考などの脳機能とも深く関わります。「心は神を主る」と言われ、「心」の機能が低下することで、自律神経のバランスが乱れて不眠の原因になると考えます。また「血脈を主る」とも言われ、血流の悪化によって脳内神経伝達物質(セロトニンなど)の分泌が抑制されるため、「心」が乱れる原因にもなります。

    さらに、東洋医学では「心」と「腎」には助け合う関係があると考え、心火と腎水が相互に影響し合いながら活動している状態を「心腎相交」、できていない状態を「心腎不交」と言います。後者の状態で不眠が酷くなると考えます。

    「美容鍼」とは、東洋医学の言葉で言えば、「陰陽のバランスを整え、気血の巡りや働きが良くすることで、自然治癒力が高める」ことです。つまり、心身のバランスを整え、体内の気血のめぐりや働きを整えることが不眠症への改善へと繋がるのです。具体的には、頭のツボや鍼の打ち方などを使い分けることによって、「交感神経」と「副交感神経」を興奮させたり抑制させたりして、自律神経の働きを“ほど良い”状態にします。

    このように東洋医学の理論に基づき、「交感神経」と「副交感神経」のバランスを適正にすることで、全身の血流も良くなるため、症状が改善し、体が回復しやすい状態になります。ただし一度乱れた自律神経のバランスを適正範囲に収まるようにするためには、適正なバランスを身体に慣れさせていく必要があります。治療を重ねていくと、「交感神経」と「副交感神経」のバランスが適正な範囲におさまる時間も増え、症状が現れにくくなります。

    不眠症に効く美容鍼

    アメリカ国立衛生研究所(NIH)は、鍼灸治療は不眠に対しても有効であると発表しています。その仕組みは、人はストレスに晒されると、ストレスホルモンであるコルチゾールを過剰に分泌し、その覚醒作用によって、不眠が誘発されてしまいます。またコルチゾールの過剰分泌によって、体内活動の異常や自律神経の乱れにつながり、筋肉が緊張して凝りが生じます。

    そこで美容鍼や灸によるツボへの刺鍼により、その刺激による信号が、脊髄を通り脳に伝達されます。 この刺激信号が体内の働きを正常に戻す役割を担い、覚醒作用のあるコルチゾールを抑制することにつながるため、結果的に正常な睡眠リズムを取り戻せます。さらに鍼灸治療によって筋肉の凝りをほぐすことで自律神経のバランスが整い、体内活動の乱れも改善されて不眠の解消に役立ちます。

    また、美しい肌には、睡眠は欠かせないものです。美容鍼によって脳内の血流量を改善することで、メラトニンの分泌を促したり、自律神経を整えることで、リラックス状態になり質の高い睡眠が得られるようになります。

    自律神経を整える美容鍼灸

    不眠の原因のひとつとして自律神経の乱れがあります。自律神経の乱れとは、交感神経と副交感神経の緊張のバランスが乱れている状態のことです。例えば交感神経が興奮しすぎて眠れなかったり、副交感神経の活動が弱くなってリラックスできなくなったりすることで、様々な不調の原因になります。さらに不調によってストレスを感じ、寝付けなかったり、体を休ませることができずに自律神経が乱れる原因になります。

    鍼灸治療では、自律神経に直接働きかけることで症状を抑えつつ、体の持つ自己治癒力によってバランスを取り戻すよう整えることができます。具体的には、ツボや鍼の打ち方によって、皮膚や筋肉への刺激(自律神経反射)を使いながら、交感神経と副交感神経のバランスを整えていきます。

    東洋医学の理論に基づいて治療をすることで、交感神経と副交感神経のバランスが整い、不眠症などの症状も緩和されます。

    また、鍼灸治療を重ねていくと、交感神経と副交感神経のバランスが整い、自然な眠りにつく時間も増え、症状が現れにくくなります。ただし自律神経の乱れは、鍼灸治療だけで治るというわけではありません。なるべく日常生活の中でストレスがかからないようなに工夫したり、意識的に休息、リラックスする時間をとるようにしたり、規則正しい生活リズムを心がけることが大切です。

    不眠症とツボ

    美しい肌には、睡眠は欠かせないものです。美容鍼によって脳内の血流量を改善することで、メラトニンの分泌を促したり、自律神経を整えることで、リラックス状態になり質の高い睡眠が得られるようになります。まず東洋医学的体質診断で、脈診や舌診などで「心」の状態を診ます。また「腎」の状態も診て「心」「腎」に効果のあるツボを選定します。さらに五臓六腑の調子を整える「背部兪穴(はいぶゆけつ)」と言われるツボを用います。

    東洋医学では「病のもとは五臓の乱れである」といわれ、この五臓の機能がしっかり働くことで健康になれます。また不眠となる原因を「感情の起伏が五臓の機能を乱す為に起こる」と考えます。つまりストレス、心配する、興奮する、落ち込む、といった感情の起伏によって、臓器が影響を受けて不眠に陥る、という考え方です。この働きを正常化するために、不眠のツボ押しをオススメします。

    具体的には、東洋医学的体質診断で、脈診や舌診などで「心」の状態を診ます。また「腎」の状態も診て「心」「腎」に効果のあるツボを選定します。さらに五臓六腑の調子を整える「背部兪穴(はいぶゆけつ)」と言われるツボを用います。一方で不眠は自律神経の乱れが原因のひとつであるため、不眠に効果のあるツボを選びます。例えば、「百会(ひゃくえ)」や「失眠(しつみん)」などです。

    百会(ひゃくえ):両耳の一番高い所と鼻から後頭部中央を結んだ線の交わる所

    失眠(しつみん):足裏のかかと中央の少し凹んだところ

    「失眠」は中国語で不眠を意味する言葉で、不眠に効果のあるツボです。むくみにも効果があります。かかと中央を垂直に押します。

    安眠(あんみん):耳の後ろにある尖った骨から指の幅1本分下のところ

    安眠(あんみん)

    安眠という名のごとく、押すだけでリラックスし、自然と眠りにつきやすくなるツボです。両手の親指を左右両側のツボにあて、グリグリと押します。これを5回繰り返します。

    このような鍼灸治療の不眠症(睡眠障害)に対する効果はWHO(世界保健機構)でも認定されていて、当院の治療経験からも大変有効であると実感しています。お身体の不調、美容のお悩みをお客様と一緒に解決してまいります。どうぞご相談くださいませ。

    【本コラムの監修】

    恵比寿院長

    HARRNY 院長/鍼灸師 菊地明子

    ・経歴
    大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

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