年齢を重ねていくと筋肉が衰えていくことにより骨や関節など他の運動器にも負担がかかってしまいます。すると骨や関節が痛みを感じるようになり、体全体の運動機能が落ちます。筋肉が衰える速さは本当に早く、例えばベッドや布団で横になったまま動かない生活をしていると無重力空間の宇宙にいるのと同じくらいのスピードで筋肉が衰えていくと言われています。NASAの研究によると6ヶ月間宇宙に滞在していた宇宙飛行士は、平均で1週間に 0.5%から1%もの筋肉量が失われていたと言います。
一方でサルコペニアをご存知でしょうか。加齢に伴って全身の筋肉量が自然と減少し、筋力や身体機能が低下する状態を言います。筋肉量は20代から30代をピークに徐々に減り、40代になると10年ごとに約8%から10% 減少します。70代になると10年で約15%も筋肉量が減少します。加齢と共に筋肉が減ってしまうのは運動量が減る、消化機能が衰えてタンパク質をうまく吸収できなくなる、成長ホルモンや性ホルモンが減少するといった原因が挙げられます。
体の不調と筋肉の衰え
筋肉の衰えが私たちにもたらす悪影響に冷えやむくみがあります。ふくらはぎは第二の心臓とも言われ、ふくらはぎの筋肉は下半身の血流を心臓に押し戻すポンプの役割を担っています。しかしふくらはぎの筋肉が衰えてくると血液を押し上げる力が弱まってしまい、下半身の血液の流れが滞ってしまいます。さらに重力によって下半身に血液が溜まると血液中の余分な水分が血管外へと漏れ出してしまい、むくみへとつながっていきます。
むくみの放置は非常に危険で、血液が滞ると体の冷えにつながりますし、さらに放置しておくと足の静脈に水分が溜まり、血管が拡張してこぶができる下肢静脈瘤や圧迫され続けた足がうっ血することで血栓ができる深部静脈血栓症といった病気の危険性が高まります。これらの病気は肌色の変化や湿疹、だるさ、痛みを引き起こす可能性があるため、できれば早めにむくみは改善しましょう。
筋肉の衰えは物理的な運動機能の衰えを引き起こすだけにとどまりません。実は筋肉の衰えは認知症を引き起こすとも言われています。最近の研究では、筋肉が分泌するマイオカインという物質が脳の認知機能を向上させることが分かってきています。マイオカインは記憶を司る脳の海馬の神経細胞を増やす可能性があるとも言われています。
そもそも疲れやすいだるいといった体の不調も筋肉の衰えから生じます。私たちの全身の細胞の中にはミトコンドリアがあります。ミトコンドリアは、呼吸から酸素を取り入れてエネルギーを作っています。人体のエネルギー工場とも 言うべきミトコンドリアは、特に筋肉の中に多く存在しており、筋肉量が減ってくれば当然ながらエネルギー不足に陥ってしまいます。
また、筋肉の機能である貯水性も忘れてはいけません。人体の中で最も水分を蓄えている部位が筋肉です。筋肉量を増やせば体の保水性がアップします。因みに筋肉の水分が不足することで筋肉が硬くなり、体の老廃物も排出されづらくなって腰痛につながるというケースがあります。こまめな水分補給と適度な筋トレで腰回りの筋肉量を増やせば、腰痛の改善が期待できます。
筋トレとメンタル
実際に、筋トレをすることによってメンタル疾患の代表であるうつ病が予防できるという研究があります。筋トレをすることによって抑うつ症状が大幅に軽減されたということも分かっています。また筋トレはうつ病以外にも不安の症状が軽減できることが分かっています。
合計992人の参加者を含む16の研究のメタアナリシスでは、筋トレは健康な参加者と身体的または精神的な病気の参加者の両方の不安症状を大幅に改善すると結論付けています。
その理由は、研究者によると神経伝達物質と神経栄養及び成長因子などが作用することによって、不安とうつ病の両方を改善する可能性があると言います。 筋力トレは、脳の会話領域に脳由来神経栄養因子BDNFと呼ばれるタンパク質の放出を促します。そして海馬は気分の調節に関与していてうつ病の人では、海馬は通常の体積の最大25%まで収縮します。BDNFは神経細胞の成長と結合を促してくれる肥料のようなもので、その放出は海馬の新しい脳細胞の成長を引き起こし、細胞間のコミュニケーションを改善してくれます。これによって運動後にとても気分が良くなると研究者は述べています。
また、筋トレをすることによってメンタルに良い影響を与えてくれる様々なホルモンや神経伝達物質が分泌されてメンタルが健康になります。例えば筋トレをすれば、男性ホルモンであるテストステロンが分泌されます。このテストステロンによって生き生きと活動できるようになったり、怒りや不安などネガティブな気分を落ち着かせたりと精神状態の安定に役立ってくれます。
さらに筋トレをするとテストステロン以外にも、幸福物質と呼ばれるドーパミン、精神の安定を司り気分を高揚させるセロトニンも分泌されます。セロトニンは心と体を安定させ幸せを感じやすくする働きを持ちます。しっかりと分泌されていれば、ポジティブな気持ちが湧き上がって活動的になる上に、アンチエイジングや直感力を高める効果まであります。さらに幸せな気分になるエンドルフィンが分泌されるため簡単に幸せになることができます。
筋トレで頭が良くなる
人生100年時代になり、健康的に長生きするためには脳を健康に保つということが極めて重要なテーマの一つです。特に認知機能を健康に保つことができれば、この長い人生を楽しみながら幸せに暮らしていくことができるでしょう。逆に脳が衰えてしまったり、認知機能が低下してしまうと満足な老後を送れなくなってしまいます。
筋トレによって脳の健康状態が改善されるということが研究によって明らかになっています。例えば高齢者を対象とした複数の研究において、筋力トレーニングに参加した後、参加しなかった人と比較して脳の情報を処理速度、記憶力、実行能力といった認知機能が有意に向上するということが示されています。
その効果の第1の理由が、血流が増加することにあります。筋トレをすることによって全身の血流が促進され、脳に流れ込む血液の量も増加し、脳がうまく働くようになります。さらに筋トレによって、炎症が抑えられるということも分かっています。
そして筋トレが脳に良い理由は、イリシンという物質が分泌されるからです。このイリシンは、脳に働いて海馬の機能を活性化してくれることが分かってき ました。海馬には脳由来神経栄養因子BDNFという物質があり、BDNFは脳にとって奇跡の肥料と呼ばれているほど脳に良い影響をもたらしてくれます。例えばこの物質は神経細胞の動きを活性化します。さらにBDNFは神経細胞が新しく作り出されることや神経細胞の成長、維持、再生などを促進してくれるということが分かっています。またBDNFが増えるとシナプスの形成が促され、記憶力や認知機能、学習能力などが向上することも分かっています。
さらにイリシンは、血中から直接海馬に入ることができることも分かっています。つまり筋トレは、筋肉から分泌されるイリシンを介して直接的に脳を活性化してくれます。
またイリシンは、認知症の予防に役立つのではないかということで注目を集めています。例えばアメリカの研究では、よく活動している高齢者では不活発な高齢者に比べて、アルツハイマー型認知症になるリスクが3 分の1になると言われています。おそらくイリシンが原因の一つではないかと推測されています。
筋トレで長生き
筋トレをすることによって長生きできることが 研究によって明らかになっています。大きな健康上の問題がない18歳以上の成人を対象に行われた日本の研究によると筋トレをすることで死亡リスクが低下することが明らかになっています。この研究では、筋トレの実施時間について、死亡、心血管疾患、がんでは、週に30分から60分間筋トレを行うことで最もリスクが低くなり、具体的にはリスクが約10%から20% 低下すると結論付けられています。
また別の研究では、逆に筋肉量が低下すると死亡リスクが高まるということが示されています。高齢者における筋肉量および筋力と全ての原因による死亡率との関連という論文により、筋肉量の低下は全ての原因による死亡リスクの上昇と独立して関連してということが分かっています。これらの研究から明らかなのが、年をとった時に健康でいられるかどうかの重要な指標が筋肉量です。
筋トレとテストステロン
見た目が急激に老け、何に対しても興味が持てずやる気が起きない、物忘れがひどくなった、イライラや不安感に襲われやすくなった、よく眠れない、疲れが取れずだるいなどの症状に思い当たるのであれば、そういった症状はホルモン不足によって引き起こされているかもしれません。
最新の研究によって、加齢と共に心身に生じる病気とは言えないまでの数々の不調が特定のホルモン不足によって起こることが分かってきています。そしてこうした不調をただの老化と考えて、適切な治療を行わずにいると健康状態が悪化してしまいます。
そして数あるホルモンの中でも、非常に重要なホルモンの一つがテストステロンです。テストステロンは、男性ホルモンですので女性の方は関係ないと思われている人いるかもしれませんが、女性の方であってもテストステロンはしっかり分泌されています。またテストステロンと言うと性欲を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、テストステロンは他にも意欲や集中力、記憶力、判断力を高める、骨や筋肉を丈夫にする、皮下脂肪や内臓脂肪をつきにくくする、血管の柔軟性を保つといった様々な大切な働きがあります。
このテストステロンは年齢を重ねれば重ねるほど分泌量が減っていってしまい 、10代後半から20代前半にピークを迎え、その後加齢とともに穏やかに減少します。そしてテストステロンの分泌量は、食生活や生活環境などにも左右されます。テストステロンが増えないような生活をしていると早ければ40代でテストステロンが激減してしまうこともあります。
テストステロンの分泌量が減ってしまえば心身に様々な悪影響が表れ、最初のうちはやる気が起こらない、イライラする、疲れやすい、見た目が老け込んでくる、よく眠れないといった病気とは言えないまでの不調であっても放置しておくとどんどん症状が悪化し 取り返しのつかないことになります。
テストステロンの分泌量を上げるためには、まずしっかりと食事で栄養をとるということが重要です。特にタンパク質や亜鉛などはテストステロンを作るために大きく関わっていると考えられています。また食事以外の要素で重要となるのは適度な運動や筋力トレーニングです。適度な運動や筋力トレーニングは テストステロンのレベルを自然に上げるのに役立ちます。さらに当然しっかり 眠るということも重要です。なぜならば睡眠不足によってテストステロンの分泌量が低下してしまうからです。
一方でストレスの管理も重要です。なぜなら長期的なストレスは、体のホルモンバランスを崩してしまう可能性があるからです。自分なりのストレス解消法を実行したり、瞑想やヨガといったストレス解消効果のある活動に取り組んで、しっかりとストレスの発散をしていくことでテストステロンに良い影響を与えることができます。
また外見に気を使うことも重要です。外見に気を使っているかどうか、若々しく見えるかどうかは体内のテストステロンの状態を推し量るバロメーターになります。つまり形から入るというのはとても重要なことです。髪を切る、好きな服を着る、スキンケアをする、おしゃれをする、メイクをするなど外見に気を使うようになると自然と心が高揚し、出かけたくなったり人に会いたくなったりします。それだけでテストステロンの分泌量が高まるはずです。
このようなテストステロン量を自然と高める方法を実行してもテストステロンの不足が解消されない場合は、薬によってテストステロンを補充するという方法もあります。中でも保険が適用され、効果が高い一方で副作用が少ないのが筋肉注射による補充です。加齢やストレスなどによって減りすぎてしまったものを、体が正常に機能するのに必要な分だけ補充することができます。興味のある方はこちらから試してみると良いでしょう。
運動が体に良い理由
運動が体に良い理由は、究極的には体を動かすことが生存の可能性を増やすからです。私たちの祖先は常に飢えとの戦いの中で生きていて、毎日食べ物や獲物を捕るために、とにかく動き回って生きるための食料を必死になって探していました。また必死に体を動かして、危険な猛獣から逃げたり、住みやすそうな場所を探したりすることも生存の可能性を増やす行為です。
その生存の可能性を増やすことに、体には快楽やメリットが伴います。食べ物を食べて美味しいという快楽が得られるのも、食べ物を食べることが生存することにつながるからです。そして運動も生存の可能性を増やしてくれるため、運動すればドーパミンやセロトニンが放出されて気分が良くなり、当然健康にもなれるということです。
そして脳は1万年前からほとんど進化していないため、現代の私たちにもこのメカニズムが残っています。そのため祖先の生存の可能性を増やした行為と同じことをすれば、脳はそれを繰り返させようと私たちに幸福を与えてくれるのです。
筋肉づくりには欠かせないアミノ酸
私たち人間が生きていく上で欠かせない三大栄養素はタンパク質、脂質、糖質です。三大栄養素の中でもタンパク質は皮膚や爪、髪の毛の他、筋肉、臓器、血管などのもとになる栄養素です。タンパク質によってできた組織の総重量は 体重の約30%から40%、筋肉に至っては水分を抜いた約80%がタンパク質によって作られています。
実は食事から摂取したタンパク質がそのまま筋肉にはなってくれません。そこでタンパク質の構造や吸収について説明します。タンパク質はアミノ酸という成分からできており、アミノ酸が50個以上鎖状に連結してできています。食事で体内に入った鎖状のタンパク質は、胃や十二指腸で消化されます。鎖の連結を細かく切断していくイメージです。
そしてタンパク質よりも短いアミノ酸の結合体であるペプチドや極小単位のアミノ酸に分解していきます。50個以上の鎖であるタンパク質が2個から49個の鎖に切断されたのがペプチド、 1個になったのがアミノ酸というイメージです。
ペプチドの一部は小腸でも分解されて、小腸の粘膜から吸収されます。吸収されたアミノ酸は肝臓へと運ばれ、肝臓に含まれている酵素によって体に必要なタンパク質に再構成されます。筋肉をつけるには、タンパク質が必要だというのが一般的な理解ですが、実はタンパク質というのはアミノ酸が連なったものであり、アミノ酸の中でも筋肉づくりには欠かせない特に重要なアミノ酸がBCAAです。
必須アミノ酸BCAA
BCAAは、必須アミノ酸であるバリン、ロイシン、イソロイシンの総称です。まずアミノ酸というのは全部で20種類あります。体内で作ることができず、食べ物から摂取しなければならない必須アミノ酸は9種類、残りの11種類は体内で糖質や脂質から作り出すことができる非必須アミノ酸と呼ばれています。
アミノ酸にはそれぞれ役割があり、全ての種類のアミノ酸をまんべんなく摂取することで強い筋肉を作ることができます。ただアミノ 酸の中でも筋肉づくりに特に大きな働きをするのが分岐鎖アミノ酸です。この分岐鎖アミノ酸の頭文字を取ってBCAAと呼ばれています。
バリンには窒素のバランスをコントロールして筋肉の成長をサポートする役割があります。またアルブミンという主に肝臓で作られるタンパク質を増やして、 肝機能をサポートする役割も果たします。
ロイシンはBCAAの司令塔のような存在です。タンパク質を使って筋肉を作ったり、タンパク質をアミノ酸に分解してエネルギーを作ったりと筋肉量を調整、維持する働きがあります。ロイシンの摂取と運動を組み合わせることで細胞内の遺伝子に筋肉を作るよう指示を伝えるmTOR(エムトール)という物質が活性化するため、ロイシンは筋肉づくりに必要不可欠なアミノ酸です。
イソロイシンは体の新陳代謝に関わる甲状腺ホルモンの分泌を促して筋肉を成長させる働きがあります。またスタミナを維持して、疲れにくい体を作るのにも効果的な役割を果たします。さらに血管を柔らかくして血管を広げ、血流を良くすることで筋肉を強くする効果もあります。
BCAAが多く含まれる食品
BCAAの多い食材は、鶏や牛などの肉、マグロ、カツオ、アジ、鮭などの魚、そして大豆や納豆、豆腐などの大豆製品です。効果的に筋肉をつけるにはバリン、ロイシン、イソロイシンを1対2対1のバランスで摂取するのがおすすめです。
このバランスに適した食材は、鶏肉、牛肉、マグロの赤みが代表的です。陸上の動物のタンパク源、つまり鶏肉、牛肉、豚肉、卵はアミノ酸のバランスが良い上に量も豊富に含まれています。植物性の食材に比べて動物性の食材の方が必須アミノ酸の摂取という観点からは、圧倒的に効率的です。ただし動物由来の食材は飽和脂肪酸が豊富に含まれているため、食べ過ぎると悪玉コレステロールを増加させ、動脈硬化、高血圧、心疾患といった生活習慣病を引き起こす可能性があります。そのため動物由来のアミノ酸を摂取する場合は、脂肪分が少なく消化もされやすい鶏胸肉やささみを摂取するのがおすすめです。
また、植物性のタンパク質も重要で、大豆製品にはBCAA 以外に必須アミノ酸や非必須アミノ酸も含まれています。さらに大豆製品は低カロリーのため、健康バランスを考えるのであれば動物性のタンパク質の鶏胸肉と植物性のタンパク質の大豆製品を1対1で摂取するのがおすすめです。
筋トレスープ
筋トレスープでオススメの具材が鶏胸肉、蒸し大豆、エリンギ、ニラ、海苔、味噌、酢の7つです。これら7つの食材を細かく切って電子レンジで加熱、味噌と酢で味付けするだけの簡単なスープが筋トレスープです。
筋肉の材料として特に重要なアミノ酸はBCAAと呼ばれるバリン、ロイシン、イソロイシンの3つです。鶏肉はバリン1、ロイシン2、イソロイシン1のバランスでアミノ酸が含まれており、筋肉づくりに効果的な食材の一つです。大豆にもBCAAや他のアミノ酸も豊富に含まれており、鶏肉と一緒に食べれば低脂質、低カロリーでありながら十分なタンパク源を摂取することできます。
他の具材のエリンギ、ニラ、海苔、味噌、酢も全て筋肉づくりに役立ちます。まずビタミンB1は、糖質の代謝を助ける働きがあり、筋トレや有酸素運動の際にすぐに利用できるエネルギーを作ります。糖質やビタミンB1が不足すると体は筋肉を合成しているタンパク質を分解してエネルギーに変えるようになるため、筋肉づくりにビタミンB1は欠かせません。ビタミンB2には体内の活性酸素を防ぐ働きがあります。運動をすることで活性酸素が過剰発生すると筋肉内の脂質が酸化して筋肉の組織が損傷しますが、ビタミンB2が筋肉の組織の損傷を防ぎます。ビタミンB6は最も意識して取りたい栄養素であり、アミノ酸の代謝に優れ、筋肉づくりを手助けしてくれる必須ビタミンです。ビタミンB12も ビタミンB6と同じくアミノ酸の代謝をサポートする役割があり、筋肉をスムーズに作る効果を期待できます。ビタミンDは、タンパク質と一緒に摂取することで筋肉を強化し、さらに骨の維持やカルシウムの吸収のサポートするため、運動器の健康維持には欠かせないビタミンです。
ニラに入っている栄養素アリシンは、ビタミンB1と結合することでビタミンB1の吸収率をアップする効果があります。ニンニクやネギにも含まれている栄養素のため、ニラが苦手な方は筋肉スープにニンニクを代わりに入れるといいでしょう。
酢酸とクエン酸は疲労物質とも言われる乳酸を分解してくれる働きがあります。 乳酸が筋肉に溜まると疲れを感じるようになってしまいますが酢酸とクエン酸を摂取することで疲労がたまりにくい体に作り変えてくれます。
筋肉づくりに理想的な栄養素を含んだ筋トレスープですが、優れているのは栄養素だけではありません。まず何よりスープという料理にしたことがとても重要です。ビタミンB群は水溶性ビタミンで水に溶けやすい性質を持っているため料理の途中で水に溶けて外に流れ出します。ですがスープであれば食材から 溶け出したビタミンB群を飲めるので栄養素を取り逃がすことがありません。また調理の際に電子レンジを使うのもポイントです。タンパク質は加熱しすぎると性質が変わり、アミノ酸が壊れたり、消化酵素が働きにくくなる可能性があります。ですが電子レンジならば調理時間をコントロールすることができ、高温長時間の調理を避けることができるというメリットもあります。
アルコールは筋合成を阻害する
アルコールがタンパク質の生合成を阻害し、アルコールによってミトコンドリアの機能が損なわれ、体内のエネルギー生産が阻害されることで筋肉の修復と成長が妨げられてしまうことが分かっています。さらにアルコールは、私たちの大切なホルモンバランスにも影響を及ぼして、筋肉の成長と修復に重要なホルモンであるテストステロンの生成を阻害し、筋肉分解を促進するコルチゾールの生成を増加させてしまうと指摘されています。
一方で、アルコールによって睡眠の質が大きく低下してしまいます。睡眠中にはホルモンの大部分が分泌され、筋肉の修復や再生が行われています。したがって睡眠の質が低下してしまうことは、こういったプロセスが阻害されることを意味しており、結果的に筋肉の成長が 妨げられてしまう可能性があります。例えば筋トレをした後にお酒を飲んでしまうと、筋肉の合成率が3割程度下がってしまうとする研究もあります。
筋トレのコツ
筋トレのコツがあります。それは下半身を鍛えることです。下半身には全身の筋肉量の60%から70%の筋肉が存在していると言われています。つまり下半身を鍛えてあげるのが筋肉をつける上で最もコスパが良いでしょう。特に太ももの筋肉を鍛えましょう。なぜなら太ももの筋肉は体の中で最も大きな筋肉だからです。筋肉量をつけて、基礎代謝を上げて、太りにくい体を手に入れたいと思っている人は下半身を鍛えるのはマストです。
下半身を鍛えるのに効率的な方法がスクワットでありますスクワットです。スクワットを1日10回3 セット行うだけでも下半身の筋肉はどんどん鍛えられていきます。自宅での筋トレに慣れて、もう少し負荷を上げたいと思ったら、お勧めなのが世界一効率の良い運動として超有名なHITがあります。
ヒットは、高強度の負荷が高い運動と休憩を短いスパンで交互に行う独特のトレーニング方法です。このヒットは僅か4 分で終了するにも関わらず、強度が高いため成長ホルモンをしっかりと分泌させることもでき、ダイエット効果や 筋トレ効果、持久力、血糖値や血圧の改善など様々な効果をもたらしてくれます。
ヒットは20秒の運動 +10秒の休憩、これを8セットの合計4分の運動です。そしてヒットの20 秒間で行う運動は、例えば高速スクワット、短距離ダッシュ、エアロバイクなど実に様々な種類があります。20秒で行う運動はちゃんと心拍数が上がれば基本的には何でも良いそうです。20秒の運動でしっかりと心拍数を上げて、そして10秒休む、これを8回繰り返すとてもシンプルな運動方法です。
【コラムの監修】
・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。