ストレートネックの改善

    ストレートネックの改善

    ご来院される方の多くが、「肩こりで首や腕が回らない」、「腰が痛くて治らない」などの症状を抱えています。また首や肩だけでなく、明らかに働きすぎで全身がお疲れになっている方もいらっしゃいます。

    そういった症状がストレートネックによって引き起こされている可能性があります。ストレートネックは、スマホの使い過ぎと言われ、肩・首こりだけでなく、頭痛、眼精疲労なども引き起こします。また首の筋肉の影響で、筋膜で繋がっている頭皮やおでこにも影響があり、額のシワにまで発展すると言われています。

    ストレートネック(スマホネック)とは

    スマホを見る時、自然と頭は肩よりも前に突き出ます。本来頭を支える首の骨(頸椎)は、横から見ると少し後ろに反るような形でカーブしています。

    トレートネック

    頭が前に突き出ることで、そのカーブが損なわれてストレートになり、頭の重さがダイレクトに首肩へ伝わるため負荷がかかります。また正常な首の骨の位置がズレすることで、気血の流れも悪くなり、首肩こり、冷えなどの様々な不調に繋がります。

    また頭と骨盤は繋がっており、頭が前に突き出れば脊柱(24個の骨)がその流れを伝えるため骨盤は後ろに傾き、猫背姿勢となります。逆にこの猫背姿勢を整えることで、頭の傾きも矯正することができます。

    このストレートネックのことを「スマホネック」とも言います。「スマホネック」は病名ではなく、首の状態が頚椎の生理的前湾角度30度以下になることで、慢性的な頭痛・首肩こりの原因になる角度です。酷くなると首が動かない、頚椎症・椎間板症や、上を向くのが辛い、手のしびれ、胸焼け、吐き気、自律神経失調症まで幅広い症状が確認されており、これらの症状を、PCスマホ症候群(上部交差症候群)と言われたりします。

    もちろんスマホネックでも、必ずしも症状が出るわけではありませんが、首の椎間板や骨の退行性変性から起こるものが多く、大人だけでなく子供にもみられる症状になっています。さらにスマホネックの方の多くは、腰のカーブも減少していることが多く、それが原因で腰痛になっていることがあります。この場合は、腰の治療だけしても根本的な改善になっておらず、一時的な痛みは緩和されたとしても再発してしまいます。

    以下のチェック項目の4つ以上当てはまる方は、当院にご相談ください。

    • 1日8時間以上のデスクワーク
    • 首を後ろに反らすと痛い
    • 肩首こりがひどい
    • 疲れると頭痛がする
    • 猫背気味かつ腰痛持ち

    スマホ病(寒暖差)で体調不良

    天候が悪くなったり、気圧が下がり出すと何らかの不調が出てくる方は「スマホ病」「パソコン病」に罹っているのではないかと考えられており、その新しい症状が注目されています。

    例えば、天候の悪化で不調が出る人の多くは、首の骨に異常が見つかります。通常であれば首の骨は湾曲することで頭の重さを分散し支えていますが、体調不良が出る人は、首の骨が真っ直ぐのストレートネックになっている方が多く、さらに首下部においては逆に向いてしまっている方もいます。結果として首のクッションが働かず、首の筋肉により負担がかかる状態になっており、首に痛みが生じ、首の筋肉の異常で体中の体調不良が引き起こることになります。

    生命の活動をコントロールする自律神経は首の後ろに集中しています。首の筋肉が固くなることで、その働きが妨げられて全身の不調へとつながると考えられています。この首の筋肉の異常が、スマホ等の長時間使用のうつむく姿勢が原因であると考えられています。例えばうつむく姿勢が30度であれば、首への負荷は約3倍になり、45度では4倍にもなります。

    スマホ病と言う新しい病気によって、それが原因で天候に非常に敏感になり、気圧が下がるだけで症状が出てきて体調不良になるとされています。スマホ病の対策は15分に1回ストレッチをしましょう。そのストレッチの方法は①頭を後ろの手で支えて、②天井を仰ぐようにして30秒首を休めることです。

    慢性腰痛の誤解

    慢性腰痛に関する最新研究では、姿勢の悪さと体の痛みは無関係であることが分かっています。南デンマーク大学の研究では、姿勢が悪いから腰や肩が痛くなる、猫背になって腰が痛くなる、肩甲骨が硬くなるから肩が痛くなるなど、それらの体が痛む原因である姿勢を直しましょうというのは実は否定されています。もちろん姿勢が良いのは、メンタル的にも健康的にも良いことです。しかし姿勢が悪いと体が痛くなる、猫背だから腰や肩が痛くなるではありません。

    2008年のメタ分析では、腰痛に悩む人を対象にした44の様々な研究をまとめて分析したところ、姿勢の悪さと体の痛み、例えば肩こりや腰痛には関係は認められませんでした。つまり猫背、反り腰、背骨の歪み、捻じれ、骨盤の歪み、両足の筋肉のバランスが違う、肩の高さが違うなど、全ては痛みとは関係なく、それらが腰痛などを引き起こしている証拠はありませんでした。

    実は、過去の研究で何度も姿勢の悪さが肉体の痛みを引き起こすと言う考え方は否定されています。複数の研究から科学的に悪い姿勢は、存在しないと言われています。要するに事故やケガで腰、肩、首などを痛めた場合以外は、ちょっと姿勢が悪い程度で慢性的な痛みが発生することはないと言われています。そもそも人間の体は、いろんな姿勢ができるようになっており、姿勢が悪いだけで慢性的な痛みが生じるようにはできていません。

    ストレスが痛みを作り出すメカニズム

    悪い姿勢が痛みを引き起こすのは自己成就的予言だという研究があります。これはモナーシュ大学の研究ですが、自己成就的予言は、例えば占い師が今あなたには良くない霊が取り付いてると、そのせいで事故に遭うとか、おそらく足を怪我すると言われたとします。そしたら皆さんは信じないかも知れませんが、しかし変に意識することによって、それが起きてしまうと言う考え方です。

    例えば、多くの有名な人が姿勢が悪いと肩こりや腰痛の原因になります、寝る時の枕によって首が痛くなる原因になりますと言っています。そうすると自分は猫背だから腰痛になるんじゃないか、言われてみれば背中が痛い、肩が疲れてる気がすると思うようになります。だんだん痛みに注目し、その痛みが姿勢が原因だという風になり、それによって痛みが増していきます。

    実際に2014年43のメタ分析研究によると腰や肩に痛みを感じた人は、3つの 行動をとることが分かっています。

    1つ目の行動は、自分の痛みは姿勢が悪いせいと思い込み、思い込んだことによって椅子から立ったり、重いものを持ったりする時に、変に肩を動かしたり、姿勢を変えたりして、変なところに負荷がかかり、実際にバランスを崩して、転んだりすることが起きます。つまり小さな痛みを気にして、普段と違う動きをするせいで怪我すると言う行動です。

    2つ目の行動が、痛みに対する不安から、よりもっと姿勢が悪くなります。さらに姿勢が悪くなると、もっと痛くなっちゃうんじゃないかと考え、より痛くなってくるわけです。

    3つ目の行動は、痛みを気にして動かなくなることです。自分は姿勢が悪くて腰痛が悪化するかもしれないから、ちょっと運動はやめよう、無理な動きはやめようってなります。運動を控えたことによってメンタル的なストレスが増します。

    人は体を動かすことによってストレスを発散するようにできており、実際に筋トレなどをすると、筋肉の中にストレスの分解するタンパク質が生まれ、ストレスに対処ができるようなります。しかし姿勢が悪くなったら痛みが生まれるんじゃないかと思い込み、その不安のせいで運動量が減って、そのことによってストレスが増え、そのストレスが痛みを作り出すというメカニズムが現れます。

    美しさは姿勢から

    猿の歩き方は、顔が前に突き出て首が傾斜し、また巻き型で猫背で背中に力が入っていません。さらに足の付け根が曲がっていて腰が後方に抜けており、膝が曲がっています。このような姿勢を猿姿勢と言いますが、現代人はこのような姿勢にどんどん近づいています。

    この姿勢は人にとって健康に大きな悪影響を及ぼします。そこに体の血流を悪くして老化促進する以下の3大原因が潜んでいます。特に肩こりや腰痛に悩まされている場合は、これらの原因で血流が悪くなっている可能性があります。

    • 胃腸が本来の位置から下がっている
    • 知らないうちに呼吸が浅くなっている
    • ふくろはぎの筋力が低下している

    姿勢が悪いと血流も悪い

    胃腸が本来の位置から下がっている

    長時間にわたって直立の姿勢を続けると、重力によって内臓は本来あるべき位置から下がっていきます。このような状態を内臓下垂と言い、本来正しい位置でもっとも正常に機能する内臓ですが、内臓下垂になると様々な不調が現れます。

    私たちの消化機能が正常に機能するためには血液が不可欠です。食事の後に眠たくなるのは、血糖値の変化と血液が胃に集中し脳へ行く血液が低下するからと考えられています。つまり消化にとって潤沢な血流が非常に大事なのです。しかし内臓下垂になって胃腸が下がってしまうと、腸がねじれたホースのように折り重なり、血流が滞り、それによって消化機能が低下して胃腸が弱くなってしまいます。また胃腸の機能が低下すると熱産生が低下し、お腹が冷えてしまいます。体温を生み出すのは8割ぐらいが内臓と言われており、冷えからさらに血流が低下してしまいます。姿勢が悪いだけで実はこんな悪循環があるのです。

    症状としては、胃の機能が低下し、食べたものを消化できなくなると胃酸が逆流する逆流性食道炎になります。また腸が下がることによって蠕動運動がしっかりできず、うんちを出す力が弱まり便秘になります。便秘が続くと、うんちの毒素が腸管から体に吸収されて、血液が影響を受けて冷え性になりやすくなります。特に女性の場合は、子宮が下がるとそれを受け止める骨盤が歪み、お腹が出る、お尻が下がるなどの影響が出ます。

    知らないうちに呼吸が浅くなっている

    呼吸の大切な機能に、全身の血流を肺に戻すという役割があります。つまり呼吸が深くできているかどうかで血の巡りが変わってきます。現代人は様々な場面で呼吸が浅くなっています。例えば集中してパソコンのキーボードを打っている時、スマホで見ている時、何かストレスがかかっている時などに息が止まっていることが多くあります。

    呼吸は吸うよりも吐くことが大事と言われていますが、これは「呼吸が浅い」という状態の場合のほとんどは、吐くことができていないからです。私たちの肺は陰圧に保たれており、放っておいても空気を吸い込むようにできています。一方で吐く場合には、筋肉の一つである横隔膜を意識して使わないと吐くことせずに、どんどん呼吸が浅くなってしまいます。つまり意識して呼吸を深く吐くことで、自然に深く吸えるようになります。また深く吸うことで呼吸の回数も少なくなり、副交感神経が優位になってリラックスできます。

    ふくろはぎの筋力が低下している

    心臓は血液を送り出し、体中の血液を吸い上げる役割がありますが、なかなか足先の血液までを吸い上げることが難しいです。運動をして筋肉が収縮するときに近くの血管を揉んで、血管内に滞っていた血液を押し出します。このためふくろはぎは第二の心臓とも言われ、血液を上方に押し上げて滞っていた血流を改善する役割があります。しかし筋肉が弱っていたり、弾力性が失われていると、このポンプ機能がうまく働きません。そのため歩かない人や運動しない人は足が冷えたり、むくんだりします。

    また最近では、ふくろはぎは第二の膀胱とも言われたりします。足の血流が滞ると血管内に血液がうっ滞納して、ふくろはぎにどんどん水が溜まっていきます。この状態で横になると、重力でふくろはぎに溜まっていた水が上半身に流れ、おしっことして夜間頻尿の原因になってしまいます。

    猫背の原因

    年齢共に骨や筋肉が減少し、意識しなければどんどん姿勢は悪くなります。また猫背によって、実年齢よりも老けて見られるだけでなく、肩こり、腰痛の原因になったり、内蔵や血流に悪影響を与えてしまいます。

    猫背の姿勢をつくってしまう原因には、スマホやパソコンなどで姿勢が前傾になって、首や肩に負担がかかり、肩の筋肉が硬くなり、前かがみの姿勢を引き起こします。また首の付け根もこり固まることで猫背の原因となります。さらに乱れた座り方で骨盤が後傾して猫背を引き起こします。このような状態が続けば筋肉などが癖付いてしまい、元に戻すことが難しくなります。

    猫背の原因となる、主な筋肉としては、後頭部から両肩、背中の中央にかけて広がる「僧帽筋」、肩甲骨を動かすのに必要な「肩甲挙筋」などの首や背骨を支える筋肉のこりです。

    また、猫背の姿勢が習慣化してしまうと、背骨や骨盤を正常な位置に保つための筋肉が使われなくなるため次第に衰えていきます。例えば背骨を支える「脊柱起立筋」、内蔵や骨盤を支える「腹直筋」、お尻の筋肉である「大殿筋」、太ももの「ハムストリングス」など、これらの筋肉が衰えて姿勢を保つことがますます困難になっていきます。

    このように、猫背になってしまう主な原因は、胸・首・肩周辺の筋肉が凝り固まることや、前頸(くび)と背部の筋肉などが衰えることが挙げられます。

    そのため猫背の改善には、背筋を鍛えるのが良いということをご存知かもしれません。ただし背筋を鍛えるだけでは十分ではなく、猫背によって硬くなった筋肉をほぐすことも必要になります。また肩や胸の筋肉をほぐして柔軟性を取り戻すことは、正しい姿勢を維持するためには必要です。

    東洋医学でストレートネック対策

    ストレートネック対策には、まずは日常の姿勢を正しくすることが大切です。また治療する場合、首ばかりにアプローチするのではなく、肩甲骨や背中全体から引きつりをほぐし、腕や腕のつけ根ケアすることも大切です。特に猫背は、前側のデコルテや鎖骨、鼠径リンパあたりを緩めることも大切になります。

    ただし、首肩のこりや痛みを引き起こす原因は人によって千差万別です。また同じ原因でも、首が痛くなる人、眼精疲労になる人、疲労感が出る人など症状の出方は人それぞれ違います。

    そこで症状の引き起こしている原因を特定するため、それに対しての方法を探る東洋医学的体質診断的アプローチをします。東洋医学は一人ひとりの症状を総合的に捉えて、痛みの生じている部位だけを診るのではなく、体全体と心を一体として考えていきます。そしてツボや経絡を用いながら、身体の内側に働きかけて本来体が持つ自然治癒力を引き出し、体質改善へと導く施術が基本となっています。

    例えば首の不調は、特に体内を循環する「血」が不足しているとし、その「血」がつくられる過程に関わる五臓の内「腎」「脾」「肺」にアプローチすることを考えます。

    首肩のこりが、額のシワへ

    ストレートネックで首肩がこると、首肩周りの筋肉とつながっている頭皮や額の筋肉も影響を受けます。その理由は筋肉同士が筋膜という薄い膜で繋がっているからです。首肩こりが酷く硬くなると、血流が滞り、その影響は筋膜を通じて頭皮や額の血流を悪くして硬くなります。その結果、重くなった瞼を開けようと、硬くなった筋肉を無理やり動かしてシワに繋がることがあります。

    筋膜

    インディバで姿勢を整える

    インディバでこり固まった筋肉をほぐし、正しい姿勢を手に入れるための条件を整えます。筋肉や骨格の状態は一人ひとり異なるので、その人の体に合った施術を行うことが大切です。ボキボキするような矯正とは違い、強い刺激や痛みはなく、安心して施術を受けて頂けます。

    ハリニーでは、ご来院して頂いたお客様の姿勢の癖を診ていきます。姿勢を診ることで身体のどこの筋肉がこり固まっているのか、歪んだ骨格を確認します。それらの筋肉をインディバで念入りほぐし、骨格を矯正しやすいようにゆるめていきます。

    そして、筋肉のこりを十分にほぐしてから、骨格を正しい位置に戻すための複合矯正を行ないます。複合矯正はストレッチするような感覚で受けられる矯正で、歪んだ骨格(関節の位置)を整える施術です。最後に筋肉をほぐして、骨格を整えても姿勢の癖などによって元に戻らないように正しい姿勢を維持するためにどうすれば良いかをお話させて頂きます。姿勢を改善するためには、整えた骨格を維持するために筋肉を衰えさせないことも大切だからです。

    【本コラムの監修】

    恵比寿院長

    HARRNY 院長/鍼灸師 菊地明子

    ・経歴
    大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

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