東洋医学で診る、舌の位置で美しい横顔を作る

    東洋医学で診る、舌の位置で美しい横顔を作る

    美しい横顔は、すごくシンプルですが、「口呼吸から鼻呼吸に変える事」だけです。口呼吸で常に口を開けていると顔の筋肉が緩み、顔がたるみます。口を閉じていれば自然に顔の筋肉が締まっていることが確認できるでしょう。

    鼻呼吸に変えるだけで口元が引き閉まると同時に、頬や口元のたるも解消し、鼻の引き下がりも改善していきます。また口の開けっ放しによる舌の落ち込みも防げるので、あご下、フェイスラインも上がり二重あごの改善にもつながります。

    鼻呼吸は表情筋のエクササイズをしている事と同じで、特に目鼻まわりの筋肉を一気に使うので引き締め効果で頬の厚みがとれ、相対的に鼻が高く見えることに繋がります。

    しかし、日本人の8割が口呼吸と言われています。これはスマホやPCなどによって下を向くことが多くなり、鼻呼吸のための気道確保ができず、楽に呼吸できる口呼吸になってしまっています。また口呼吸が肩こり、疲労感、風邪など体への影響を気にする人はあまりいません

    口呼吸ではなく、鼻呼吸が良い理由

    空気にはアレルギー源やウィルスなどの沢山の異物が浮遊しており、鼻呼吸では鼻の粘膜にある繊毛によって入ってきた異物を絡み取り、それ以上体内に入らないようにします。しかし口から空気を取り込むと、それらは直接私たちの気管内に取り込むことになります。もちろんその途中で見つかったものは咳として体外へ排出されます。しかし、いくつかはすり抜けて肺や消化器官などに入り、血液とともに身体中を巡ります。

    そうなれば常に入ってくる異物に体が反応し、常に体は戦闘態勢でへとへとになります。そのため当然、風邪を引きやすくなったりするので、口呼吸は体全体の免疫力が低下する原因となります。

    また、口呼吸で口の中が乾くと、口臭のみならず虫歯や歯周病の原因になる危険性もあります。さらに喉の調子の悪さはその周辺の筋肉へと伝わります。その結果、肩や頚が常に緊張した状態となり、血流が悪くなり凝りがひどくなります。

    口呼吸は鼻呼吸に比べて呼吸が浅く、また呼吸回数も多くなります。呼吸が浅いと十分な空気が取り入れることができないため、より多くの空気を吸い込もうと呼吸回数が多くなります。空気を取り入れようとすればするほど、私たちの交感神経が刺激されるため、イライラやストレスが溜まり、集中力も低下します。そして知らず知らずのうちに睡眠の質が低下し、疲労感を感じるようになります。また、口を開けたままだと、口を閉じる筋力が低下し、だらしない顔になりがちです。本来の美しさも半減します。

    東洋医学で治す鼻と喉の不調

    鼻と喉の不調に悩まれている方が増えています。例えば喉が痛い、痰が絡みやすい、鼻詰まり、全身のだるさ、不安などの不調がある方は慢性上咽頭炎の可能性があります。慢性上咽頭炎の原因になっているのが首のこりです。

    上咽頭炎とは、鼻と喉の境目に炎症が起きてしまう病気ですが、多くの患者様がいるにも関わらず、一般的にはあまり知られていません。上咽頭炎になるとまず現れる代表的な症状は、後鼻漏です。鼻水が喉に流れてしまう不快な症状や、上咽頭の部分に何かへばりついた違和感や痛み、痰が絡みやすい・切れにくいなどの症状などが挙げられます。また上咽頭は自律神経が集まる場所でもあるため、そこに炎症が起きると自律神経失調症のような症状が見られます。具体的には寒気、怠さ、発熱、鬱々な気分になりやすいと言われています。

    上咽頭炎は抗生物質などの薬があまり効かないと言われているため、Bスポット治療(EAT)が用いる病院が少ないですがいくつかあります。この治療は痛みが伴うため、炎症が酷い方向けの治療です。

    上咽頭炎の原因として挙げられるのが首のこりです。誰もが風邪を引けば鼻から喉まで広範囲に粘膜に炎症が起きます。それが上咽頭炎に繋がっていくケースがあり、その背景に首のこりがあるかどうかが上咽頭炎になるかどうかの分かれ道になります。そのため首のこりを根本から解決することによってしつこい慢性上咽頭炎は改善していきます。

    首を温めることが大事

    上咽頭は所謂のどちんこ後ろ上方にあり、鼻から吸い込んだ埃やウイルスなどの異物と体の免疫システムとの最初の接触地点です。つまり上咽頭は、異物から体を守る強力な免疫装置とも言えます。風邪のウイルスに感染(急性上咽頭炎)したり、ストレス(疲れ、花粉、ほこり、黄砂、タバコ)が継続していると、炎症が慢性化(慢性上咽頭炎)して様々な体調トラブルを招きます。上咽頭の慢性炎症が悪化すると、免疫システムや自律神経システムに狂いが生じるため、普段から鼻呼吸をする必要があります。

    自律神経には交感神経と副交感神経があり、副交感神経の約80%を占めるのが迷走神経です。上咽頭は、神経線維が豊富にある場所で、副交感神経主体となる迷走神経の感覚神経が分布しています。迷走神経は12対ある脳神経のひとつであり、脳の延髄から発し、頭部から頸部、胸部、腹部などすべての内臓に分布する神経で、内臓の筋肉の運動や分泌機能をコントロールしています。つまり、迷走神経の働きに狂いが生じると全身に様々な異常を引き起こすことになります。

    上咽頭に慢性的な炎症が起こると、この迷走神経の感覚神経を介して延髄まで刺激が伝わります。そして、その刺激が脳の大脳辺縁系に伝わります。つまり上咽頭の炎症が迷走神経だけでなく脳の働きまで影響を与えることになります。

    特に首が冷えて鬱血すると、上咽頭の炎症を招きます。そのため普段から首を冷やさないように心がけることが大事です。首の後ろを温めると、上咽頭周辺の血行が良くなり、慢性上咽頭炎特有の鬱血状態が改善します。また首の周りの筋肉の緊張もほぐれて、首こり、肩こりも和らぎます。

    鼻呼吸するための舌の位置

    鼻は空気浄化装置の役割を持ち、浄化、保温、保湿を行い、鼻呼吸ができていると上咽頭にとってキレイな空気を取り入れることができます。一方で口呼吸は、口の中が乾燥し唾液が出にくくなり、直接汚れた空気の一部が上咽頭に流れ込み、それが刺激になり炎症を引き起こしてしまいます。

    鼻呼吸している人は、舌の先が舌の前歯の裏ではなく、上アゴのセンターにある浅い凹みについています。口呼吸の習慣のある人は、舌がどこにも触れていないか、舌の前歯の裏についていて、舌の位置が本来の正しい位置よりも下がっています。うつや慢性疲労症候群の方、感情の起伏が激しい方は、口角が下がっているだけでなく、舌の位置が後方に引っ込み、下方へ下がっていることが多くみられます。つまり口呼吸の習慣のある人のほとんどに重度の慢性上咽頭炎がみられることです。さらに舌の位置や動きが脳の機能と密接な関係があることが、以前より指摘されています。また日中は意識的に鼻呼吸ができていても、睡眠時に口呼吸になっている人は少なくないため、口テープなども活用しましょう。

    鼻呼吸するためには、口を閉じて、鼻で空気を吸って鼻で吐く。たったそれだけです。しかし、鼻呼吸を意識せず継続することが非常に難しく、気がつけば口呼吸に戻っていることがあります。意識的には、舌の位置を気にすることが良いです。舌を意識することで、口を閉じることが習慣づけされていきます。舌の位置が正しいと鼻呼吸になります。

    【正し位置】

    舌の位置
    出典:日本舌機能学会/舌のホームポジション
    • 舌が上顎に触れている 
    • 舌先が上の前歯の少し後ろに触れている
    • 舌先が前歯に触れていない

    口呼吸から正しい鼻呼吸へとあらためた患者さんから、
    ・ほうれい線や二重アゴが消えた!
    ・口角がキュッと上がった!
    ・肌のくすみが消え、 血色がよくなった!
    ・顔が引き締まり、 フェイスラインがすっきりした!
    という声もお聞きしますので、今日から意識してみてください。

    睡眠の質を上げる鼻呼吸

    口呼吸では、舌が喉に落ちて気道を狭めます。そのため十分な量の酸素を取り込めなくなるため睡眠時無呼吸になる可能性が高まります。それは寝ている間に呼吸が止まったり、浅くなったりして、体が低酸素状態になり、これが最も睡眠の質を低下させる原因になります。睡眠時無呼吸は、成長ホルモンの分泌を妨げたり、糖代謝の悪化を招きます。昼間に眠くなったり、血糖値が上がったりします。

    睡眠時無呼吸を防ぐためには、市販の口閉じテープやマスクをするなどがあるので興味のある人は試してみてください。

    鼻づまりのツボ

    鼻呼吸できない理由として、アレルギーなど鼻炎で鼻づまりがある方が多くいらっしゃいます。市販薬や鼻うがいなどでの改善方法もありますが、ツボ押しによっても改善が期待できます。

    迎香(げいこう):小鼻の横

    鼻づまりや鼻水など鼻の不調を改善するツボです。

    鼻づまりや鼻水など鼻の不調を改善するツボ

    当院では、このツボ以外にも、鼻周辺の筋肉にもアプローチしていきます。

    【本コラムの監修】

    恵比寿院長

    HARRNY 院長/鍼灸師 菊地明子

    ・経歴
    大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

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