腸とメンタルの関係

健康とは、肉体的な健康と精神的な健康が保たれている状態です。自分らしく生きるためには、身体と心の健康を保つことが重要です。そして心の健康が肉体的な健康に及ぼす影響が大きく、その健康を保つ重要性が高まっています。

メンタルの健康の重要性

肉体的な健康に対して、メンタルの健康への意識は疎かになりがちです。メンタル的な健康は、肉体的な健康に対して、目に見えないし、症状も分かりにくく、気づきにくい特徴があります。また強いストレスやメンタルの状態が悪くなると食生活が乱れる傾向にあり、加工食品などで手っ取り早く食べることで食事を済ませることになります。

こういった食事は、中毒性が高く、脳内のドーパミンをお手軽に増やすことができます。特に甘いお菓子などは、脳内のセロトニンを一時的に増やすことができ幸せな気分になるという状態になりますが、その後さらに気分が凹むことになり、長期的に見れば肉体的な健康に悪影響を与えてしまいます。

アメリカ栄養士協会によると、人々は落ち込んだり、ストレスを感じたりすると食べ過ぎてしまう傾向があると分かっています。ストレスで暴飲暴食してしまうことは経験上理解できると思います。このようにメンタルが悪化すると食生活が乱れ、ますますメンタルが悪化するという悪循環を生じてしまいます。さらには眠れない、寝付けない、夜中途中で目が覚めるなどのように睡眠にトラブルを抱えている状態になりメンタルに悪影響を及ぼす負のサイクルが始まってしまいます。

脳と腸の繋がり「脳腸相関」

脳の状態が腸に影響を及ぼし、腸の状態が脳に影響を及ぼす「脳腸相関」という言葉があります。脳と腸は自律神経やホルモン、サイトカインなどの液性因子を介してお互いに密接に繋がりあっています。例えば強いストレスを受けたり、緊張するとお腹が痛くなるなどは脳と腸の繋がりから生じる症状です。このような「脳腸相関」によってメンタルは腸から強い影響を受けることが分かっています。

気分を前向きしたり、精神を安定させたりするセロトニンやドーパミンなどの脳神経伝達物質は腸内細菌によって大腸でつくられることが分かっています。さらに腸内細菌の状態が脳に影響し、私たちの感情や性格をも左右すると言われています。

過敏性腸症候群

朝の通勤電車の中でお腹が緩くなってしまう人は過敏性腸症候群もしくはSIBO(シーボ)であるかもしれません。過敏性腸症候群は、腸に炎症や潰瘍といった器質的な病変が認められないにも関わらず、便秘や水溶性の下痢を繰り返ししてしまう病気です。この過敏性腸症候群と診断された人の8割がSIBOであったという研究報告もあります。

SIBO(シーボ)は、小腸内で腸内細菌が異常に増える病気で、様々な腸の病気の温床になることが解明されています。細菌が生み出すガスによって腸内が気泡が溜まり、お腹の張り、便秘、腹痛、下痢などが起こります。そのガスが血中の悪玉コレステロールを増やし、狭心症や心筋梗塞を合併することも知られています。

SIBO(シーボ)の場合、オリゴ糖やヨーグルトなどはお腹の調子を悪くしてしまいます。本来小腸は、食べ物の消化、吸収がメインに行われていますが、腸内細菌が過剰に増えることで、消化物の残りカスが過剰に発酵して水素、メタンガス、短鎖脂肪酸が大量に発生してしまい、お腹の張りや下痢につながります。つまり過剰に増えた細菌にさらにオリゴ糖やヨーグルトは火に油を注ぐことに他ならないのです。

他にも「高FODMAP食」と言われる、小腸で吸収されやすく、腸管に残ることで細菌のエサになりやすい食品があります。

 高FODMAP食低FODMAP食
オリゴ糖納豆、絹ごし豆腐味噌、木綿豆腐、豆乳
穀類パン、うどん、ラーメン玄米
野菜玉ねぎ、にんにく、ナッツ類トマト、大根、なす、にんじん、ほうれんそう、もやし
二糖類牛乳からつくられる乳製品スキムミルク、豆乳、アーモンドミルク
単糖類ハチミツ、りんご、梨バナナ、ブルーベリー、キウイ、メープルシロップ
ポリオールキノコ類全般、りんご、梨、シュガーフリーガムに含まれる砂糖使用のアメやガム

メンタルに良い食べ物

メンタルは食べるものによって非常に大きな影響を受けます。特に腸内環境を整える上で、おすすめが以下の食べ物です。

  1. プレバイオティクスとプロバイオティクス
  2. 全粒穀物
  3. クルミ

プレバイオティクスとプロバイオティクス

プレバイオティクスは、ビフィズス菌などの有用菌の餌になり腸内環境を整えてくれる食品のことです。代表例はオリゴ糖(玉ねぎ、アスパラガス、バナナ、大豆)や水溶性の食物繊維(果物と野菜、きのこ、豆類など)です。

プロバイオティクスは、腸内フローラのバランスを改善することにより、人に有益な作用をもたらす生きた微生物を含む食品やサプリのことです。例えばヨーグルト、キムチ、みそ、納豆などの発酵食品で、乳酸菌、ビフィズス菌、酵母菌、麹菌など有用菌が含まれる食べ物です。定期的に食べるのが難しい場合は、ビオフェルミン、ラクトーンA、ラクトビフィプロバイオティクスといったサプリを活用しましょう。

まずプレバイオティクスで腸内菌に餌を与えて、腸に良い菌を増やしつつ、プロバイオティクスで生きた腸に良い菌を届けてあげることで腸内環境を整えましょう。

全粒穀物

全粒穀物の摂取量を比べた研究があり、適量な量を食べている女性は、少ない女性に比べて不安を感じる可能性が低いことが明らかになっています。一方で白米、パン、白麺、焼き菓子といった精製された穀物を摂取した女性は不安を抱える可能性が高くなることが分かっています。

全粒穀物は精白などの処理で、糖となる果皮、種皮、胚、胚乳表層部といった部位を除去していない穀物やその製品のことです。代表例は玄米、全粒粉パン、十割そば、全粒小麦、オーツ麦、オートミール、全粒ライ麦、キヌアなどです。

また全粒穀物はメンタルへの良い影響だけでなく、健康寿命を延ばす効果が分かっています。イギリス医師会雑誌に発表された論文によると、全粒穀物の生活習慣病に対する影響を調査した結果、心臓病やがんなどの発症率または感染症などの病気による死亡のリスクを減らすことが証明されています。この研究によると、1日90g以上の全粒穀物を食べることで、心臓血管系の病気は役20%減少し、全てのタイプのガンは約15%減少していることが分かりました。

これは全粒穀物に含まれる食物繊維、ビタミン、ミネラルによるものと考えられています。日本の玄米はおにぎり一個で約90gなので気軽に摂取できます。

クルミ

ナッツの中でも特に健康効果が高いのがクルミです。ナッツとクルミは不飽和脂肪酸が豊富に含まれており、この不飽和脂肪酸によって不安を感じる可能性が低いことが分かっています。

東洋医学で診る、不調の原因

東洋医学では、度を超すような強い感情も、体に不調をきたす原因の一つになると言われています。つまり「体に現れる不調」と「心」を密接につなげて考えます。

東洋医学では万物を5つの元素(木火土金水)に分けて考え、それに対応する情緒の部分を「五志(怒喜思悲恐)」と言います。

この「五志(怒喜思悲恐)」に「憂」と「驚」の2つをプラスしたものを「七情」といいます。これら感情と体の各臓が対応しており、五行との関係で各臓に影響を与えると考えます(肝心脾肺腎)。

五行
五臓
五志悲・憂恐・驚

これらの感情が長期間乱れることで、内臓に影響し、病気を引き起こします。その逆で、長期間の内臓の不調は感情にも影響します。このように「体に現れる不調」と「心」といった内側からの病因を「内傷(ないしょう)」と言い、特に七情が病因となることを「内傷七情」と言います。

感情と身体の関係

○怒り → 肝
怒りっぽい、いつもイライラする怒りのパワーは肝臓に影響します。肝臓は血流の調整を行なうので、肝臓の元気がなくなると 肩こり・頭痛・不眠・目の疲れなどが起こりやすくなります。

○喜び → 心(脳・心臓)
過剰な喜びは集中力を低下させ、動悸・不眠・不安を呼び起こします。

○思い → 脾(消化器系)
思い悩んでいる時には食事が喉を通らないものです。内臓の栄養不足にご注意ください。

○悲しみ・憂い → 肺
皮膚(肌)や喉、鼻といった呼吸器系への症状が出やすくなります。

○驚き・恐れ → 腎
生命エネルギーを蓄える腎臓に影響すると、無気力になったり疲れやすくなります。冷え・むくみ も腎との関係が深いです。

心と体には関係性があり、ハリニーでは身体からアプローチして心も整えていきます。
また、自分の心のクセを見直すことで、身体の状態は変わります。

【本コラムの監修】

HARRNY 院長/鍼灸師 菊地明子

恵比寿院長

・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

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