基礎体温とトータルケア

    不妊になる理由は様々あり、女性の社会進出、晩婚化など夫婦を取り巻く環境的原因が挙げられます。一方でお体の状態の変化による排卵障害、子宮内膜症などの原因も挙げられます。

    不妊鍼灸治療のポイント

    理想的な基礎体温

    基礎体温を測ることが、まずは不妊治療を行う上で大切なことです。基礎体温から生理周期を把握したり、不妊の原因や対策を立てることができます。女性の身体は生理周期とともにホルモンも変化して基礎体温も変動します。ここから妊娠しやすいかどうかを目安としていきます。

    理想的な基礎体温
    女性の健康推進室ヘルスケアラボ

    一般的には、生理周期は25~38日くらいとなり、この周期の中で体温は低温期と高温期に分けられます。低温期には月経期(生理)と新しい粘膜層を再生させる卵胞期があります。そして排卵を終えた卵胞は、黄体へと変化し、この黄体からプロゲステロンが分泌して体温を急激に上昇させます。低温期から高温期へスムーズに移行し(3日以内)、温度の差が0.3~0.5°ある「二層性」であることが望ましく、高温期が16日を超えた場合は、妊娠の可能性があります。この高温期に体温が低い場合は、卵を育てにくい環境にあるため、体温をあげる治療が必要です。

    この基礎体温の推移から排卵の有無や排卵の時期を予測します。受精の確率が最も高い時は、排卵日前3日間と言われています。継続して基礎体温をマークすることで 排卵の時期を予測することが出来ます。また排卵期から黄体期にかけては基礎体温の推移をみることで、黄体機能の状態を推測することができます。

    低温期の卵胞の成長を促す

    低温期が長く続く場合には、卵胞の発育が十分なされていないと考えられます。卵胞の発育していなければ、卵胞が卵巣に留まり排卵が難しくなる可能性があります。質の良い卵を育てて、正常な排卵を起こすためには、卵胞の成長期である低温期に不妊鍼灸治療を行うことで成長を促すことができます。ただし卵胞の成長は最低でも半年を要し、成長期間中に妊娠しやすい身体づくりを行うため、当院では継続した不妊鍼灸治療をおすすめしております。

    着床後の高体温を維持

    不妊治療を行なっている方の中には、着床しても妊娠に至らない方や、不育症になる方も少なくありません。特に高温期に体温が低い場合は、卵を育てにくい環境にあるため、体温をあげる治療が必要です。

    当院では高温期におけるプロゲステロンの分泌を促し、子宮内膜の厚さ(後述)と高温を維持できるように鍼灸によって働きかけ、特に着床後の高体温を維持できるように働きかけます。生理周期を安定させて、低温期、排卵期、高温期それぞれの時期に合わせた不妊鍼灸治療によって温度差0.3℃以上、排卵後1日で高温期にスムーズ移行し、2層性の基礎体温を維持していきます。

    一方で、子宮内膜が薄い方は、着床しにくいことが分かっています。妊娠するために必要となる理想的な子宮内膜の厚さは8mm以上と言われています。そのため不妊鍼灸治療で、骨盤内の血流循環を改善させる治療と並行して、卵胞ホルモンのエストロゲンの分泌を整えることで、子宮内膜を厚くさせて着床しやすい状態に促していきます。

    トータルケアが大切

    不妊鍼灸治療では、月経が始まる低温期、排卵期、排卵後の高温期で、女性ホルモンの優先順位が変化するため治療方法も変化します。また基礎体温のグラフで、高温期が短い、もしくは体温が低い、排卵から高温期になるまで時間を要する、全体的にバラバラになっているなど理想的なグラフになっていない場合、つまりホルモンバランスが乱れている状態に合わせて不妊鍼灸治療を選定して、理想的な状態になる様にケアしていきます。

    また、病院での不妊治療、例えばホルモン剤の投与、カウフマン療法、排卵誘発治療により吐き気や胃痛、基礎体温の乱れといった副作用に悩まれている方にも症状緩和を目的とした鍼灸ケアも大切です。主治医の方針に基づいた治療を継続的に行なって頂き、当院の不妊鍼灸治療によって、より良い結果へと繋がるようにケアさせて頂きたいと思います。

    妊活に効果的なツボ

    三陰交:足の内くるぶしの中央から指4本分の所

    三陰交

    三陰交には、東洋医学において陰の経路である『肝・腎・脾』の3つが通っています。肝は気と血の流れを担うため、肝の機能が鈍ると子宮や卵巣へ必要なホルモンが運ばれにくくなります。腎は生殖機能と水の流れを担い、腎の機能が鈍ると、生殖に必要なエネルギーが足りなくなり、妊娠に影響します。脾は消化吸収や栄養を全身に巡らせます。特に脾は、妊娠に大変重要な血を作り出す機能があるため、脾の機能が鈍ると、気血が足りなくなり、妊娠するためのエネルギーも不足してしまいます。

    また、足首の冷えは卵巣や子宮の冷えにつながるため、三陰交を温めることが大切です。また妊娠中期からは安産のために三陰交を押すことがおすすめです。ただし妊娠初期には使わないように注意してください。

    【本コラムの監修】

    恵比寿院長

    HARRNY 院長/鍼灸師 菊地明子

    ・経歴
    大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

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