東洋医学と鍼灸

東洋医学の根本は、自然哲学の思想です。古人は人体を「小宇宙」とし、「大宇宙」の自然現象によって支配されるものと考えました。すなわち、自然の摂埋を第一義的に考え、自然に抗することは無駄であり、むしろこれに順応することこそ賢策であるとしました。

病気になれば医師は投薬をし、注射をし、手術をします。しかし薬や注射や手術が病気を治してくれるのではなく、我々の身体に授けられた「自然治癒力」で病気が治るのであり、薬や手術は自然治癒力を引き出すよう手助けしているにすぎないと考えます。

さらに病気を診るのではなく、病気になった患者を診る、つまり「病を診る」だけでなく「人を診る」両方を診る医療という姿勢が東洋医学にはあります。また、東洋医学の大きな特徴として、精神と肉体を一体としてとらえることにあります。

これらの特徴を西洋医学と比較してみます。

心身一如(心と体は一つであると考えること)

西洋医学の精神・身体二元論に対して、心と体は相互に密接に関連しているものとして捉えて、「体」だけでなく「心」も一緒に治していくことが東洋医学の特徴です。

病気の起こりは外因性のものばかりではなく、内因性(精神的)のものがたくさんあります。例えば、心の不安、動揺がストレスとなり、ストレスが身体の変調を来たし、そして器質的疾患を引き起こすようなことはよく知られています。このように病気の原因に心の問題が大きく関与しており、感情のバランスが崩れると各臓器の働きに悪影響を及ぼすと考えられています。

心を治すことによって体がよくなり、体を良くすることによって心もよくなる。このような心身全体の調和・向上こそが治療の目標になります。つまり、東洋医学は「身体」の調整ばかりでなく、「心」の調整を図ることを重要視します。

このような「心身一如(しんしんいちにょ)」という考え方が軸となっているのが東洋医学です。

自覚症状を重視すること

西洋医学は細胞や、細菌など、科学的な根拠の上でどの病気か断定して手術や薬を投与し、身体の中の悪いものを消す医療です。そのため、データや成績を重視するあまりに、患者さんの訴えをあまり重視しない傾向があります。また、「なんとなく身体がだるい」「イライラして何もやる気が起きない」「手足の冷え」などのなんとなくの症状、断定できない病気の対応を苦手としています。

東洋医学では、病気の一歩手前の状態を「未病(みびょう)」と呼び、未病の状態を改善することにより、病気を予防することを古来より重視してきました。この未病の状態の多くは「なんとなく調子が悪い」状態を自覚しています。この自覚症状を重視し、患者さんの訴えをよく聞いたうえで、その症状合った治療を施すのです。

個体差の重視

世の中には病名の付けられない病気や、診断はついても、治療法はありませんというような疾患がいくつもあります。たとえそのような疾患であっても、個々の患者を診るという視点に立つ東洋医学では何らかの治療法を模索することができます。

また、西洋医学では、病名が決まれば治療薬も決まることが多いですが、東洋医学の鍼灸治療では病名が決まっても治療法を一つに決めることはありません。東洋医学では全身の不調和を整えるための治療法の判定に重きをおき、患者さんの個人差を重視して治療を行います。

東洋医学では主な治療法は鍼・灸・食事療法、湯液を用いた薬物療法(漢方)などあります。患者さんの体質の改善と免疫力を向上の治療を重視しています。

五行学(五行と身体の関係)

中国医学の有名な概念として、「五行」(ごぎょう)があります。これは大自然の成り立ちから内臓の機能までを、5つに区分けしたものです。中心となるのは、「肝・心・脾・肺・腎」の「五臓」です。

中医学・鍼灸・漢方、すべてこれに基づいて診断・治療方針が決定されます。特に鍼灸では、ツボを結ぶ経絡に五臓の名がつき、押すと痛いところ・触れて気持ちいい治療点の属する経絡から、病気の原因を探ります。

五行の考え方がわかると、人のからだを相互に関連づけ、全体でひとつのものと捉える東洋医学を理解する大きな助けとなります。

健康を維持する3つの要素

東洋医学では、人体を構成する主要な物質を「気・血・水」とし、これらが体内を循環し、バランスが保たれている状態が「健康な状態」と考えます。どれか一つでも量や働きが乱れると体調悪化に繋がると考えられています。

  • 「気」は、五臓六腑を働かせて体を温め、気力を呼び覚まし、血や水をめぐらし、余分な流出を防ぎます。
  • 「血」は、各器官に栄養を届ける働きをしており、「気」の作用により、「血」の働きが守られています。
  • 「水」は、臓腑や器官をめぐり、関節をなめらかに動かし、皮膚にうるおいを与えます。また、「水」が欠けていると「血」も作られません。

このように、お互いにバランスをとりながら、健康を維持しているため、3つがどれか1つでも乱れると、全体のバランスが崩れて肌トラブルや冷え、むくみ、さらには頭痛や生理不順など様々な不調を引き起こすようになります。

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