目をぱっちりする方法

    目を大きくする方法

    年々、目が小さくなるように感じている方がいます。目がぱっちりと大きいと目力が強く、目の印象が綺麗に見えます。加齢とともに目の開きが小さくなるのは、皮膚のたるみと同じく、目を開ける筋肉が衰えてくるからです。

    まぶたのたるみと目の大きさ

    目が小さくなる原因の1つ目に挙げられるのが、まぶたのたるみです。以前は、二重の幅が広かったのに最近は二重の幅が狭くなっている、アイラインを描く時にまぶたを引き上げないと描けないなど、これらは加齢によって皮膚がたるんでいることが原因です。また皮膚のたるみの原因には、紫外線やアイメイクを落とす時に擦るなども挙げられます。

    一方で、目が開く筋肉の関係もあります。まぶたを上げる時には、目の奥の筋肉を使っていますが、この開く筋肉が弱くなると、どうしてもおでこを上げる筋肉でシワを寄せながら眉毛を上げるようになります。例えば目を開けてくださいと言われた時に、眉毛の筋肉が動いておでこにシワが寄る人は、目の奥の筋肉の収縮が少し弱くなっていることを表しています。

    この目を開ける(まぶたを上げる)筋肉が挙筋(きょきん)です。この挙筋は、まぶたの先に行くに従って腱膜(けんまく)という腱となり、まぶたの先端で瞼板(けんばん)という軟骨にくっついています。

    特に日本人は、この目を開ける筋肉が弱いと言われており、老若男女問わず眼瞼下垂になる方もいらっしゃいます。年齢を重ねると目を開ける筋肉が弱まり、目を開けづらくなるのは、足腰が弱くなるのと同じように、まぶたも衰えていくからです。

    そしてお肌がたるむのと同じく、筋肉は柔らかくなり、腱は弱くなってきます。若い時は、腱膜と瞼板とがしっかりとつながっており、挙筋の引き上げる力が瞼板に伝わって、まぶたは簡単に上がります。しかし年齢を重ねると徐々に腱膜と瞼板の結合が緩み、また挙筋腱膜自体が弱くなるため、引き上げる力がうまく伝わらなくなります。

    目の周りの筋肉と目元のシワやたるみの関係

    眼輪筋は目の周りにある筋肉で、目を閉じたり開いたりする時に使われています。この筋肉は加齢によって衰えて目元のシワやまぶたのたるみの原因になります。さらに目の周りの筋肉が衰えると、代わりにおでこの筋肉でまぶたを動かそうとします。その結果、おでこに横シワがついてしまうことになります。

    特に前頭筋は、眉毛やまぶたを引き上げる役割があり、ここがコリ固まるとおでこのシワが増えたり、まぶたが下がってきます。特におでこのシワは深く刻まれるため注意が必要です。高周波でこの筋肉を動かすと血行が促進されるため、目元のむくみが改善してすっきりとした印象になります。むくみがひどい人の場合、ひと回り目が大きく見える場合もあります。

    また筋肉を刺激することで筋肉が収縮し、フェイスラインを引き締めると同時に、コラーゲンやエラスチンなどの膠原繊維の生成を促進させて皮膚にハリが出てキメの細かい艶やかさが蘇ります。また筋肉が活発に動くことで、たるんだ皮膚がピンと引き締まります。

    筋肉の炎症と目の大きさ

    そして筋肉の中には鍛えて大きくなる筋肉と鍛えてもあまり意味がない筋肉があります。自分の意思に関係なく運動している筋肉のことを付随運動する筋肉と言います。付随運動する筋肉は残念ながら鍛えようとしても鍛えられない筋肉です。

    一方で、この目を開ける筋肉が伸び切って引っ張りづらくなるのは、筋肉が痩せていくからです。加齢とともに筋肉も痩せ細り、筋繊維が細くなっていくのですが、開ける目を開く筋肉は大体25歳ぐらいから低下すると言われています。また筋肉を作るためには、タンパク質の合成と分解のバランスが大事です。しっかりバランスが取れていればタンパク質は減少しませんが、25歳ぐらいからこの合成と分解のバランスが崩れ、徐々に筋肉量が少なくなってくると言われています。

    この分解が促進される1番の理由が筋肉の炎症です。肌だけではなく筋肉も炎症が起き、筋肉の破壊が起こってそれが筋肉量を減少させていくことになります。そのためまぶたの皮膚のたるみもまぶたを上げる筋肉が衰えないようにすることが大事で、衰えなくするためには筋肉の炎症を抑えていくことが大切になってきます。

    おでこのシワと目の大きさ

    こうして、まぶたに力が伝わりにくくなるため、他の手段で目を開けるのを助けるようになります。それがおでこにある前頭筋(ぜんとうきん)です。この筋肉によって眉毛と一緒にまぶたの皮膚全体を上に持ち上げて視野を保とうとします。このような状態になると、おでこや頭、首などの筋肉の緊張が続き、頭痛や肩こりなどが起こることが知られています(随伴症状)。

    また、まぶたにある筋肉の中には、いくつかの神経受容体があり、腱膜が緩むことでこれらの神経受容体が刺激され、脳や中枢神経にそのシグナルが伝わることで周辺の神経が刺激されて、体の神経のバランスが崩れることがあります。代表的な症状としては、めまい、不眠症、眠りづらい、不安、自律神経失調症、眼瞼や表情筋の痙攣などが挙げられます。また加齢によるまぶたの変化は、まぶたの皮膚のたるみや凹みなどとしても現れます。

    さらに、まぶたが下がってくると眠そうな目となって、眉毛を無理に上げようとするので、おでこにシワが濃くなっていきます。眉毛を上げて見る癖がついてしまうと、おでこのシワもますます深くなってしまいます。一方で皮膚の弛緩によって目尻にも深いシワができ始め、加齢によって皮膚が余るとぱっちり二重だった人も、奥二重になったりします。

    家庭用EMS(低周波)美顔器は目元にはNG

    一般家庭向けにもEMS(低周波)美顔器が販売されていますが、目元に使用すると網膜剥離や白内障を引き起こす危険性があります。本来EMS(低周波)は普段動かさない筋肉を刺激して、引き締めるという効果があるため目元のたるみが気になったりすると、つい使ってしまうかもしれません。しかしEMS(低周波)を搭載している美顔器は、必ず注意書きで目元には使用しないように記載されています。

    EMS(低周波)は、肌の奥の筋肉に直接アプローチすることができ、表情筋を引き締めたり、リフトアップしたりする効果が期待できます。しかし目元にEMS(低周波)美顔器を使用すると、その電気刺激は筋肉だけではなく眼球にも伝わり(振動)、これが様々なトラブルの原因となります。

    一方でマイクロカレントは、EMS(低周波)美顔器と同様に、電気刺激によって筋肉にアプローチし、リフトアップを行いますが電流が非常に微弱という特徴があります。実は私たちの体には生体電流という微弱な電流が流れており、マイクロカレントの電流はこれとほぼ同じです。そのためマイクロカレントを目元に使用したとしても、危険性は一切ありません。

    家庭用EMS(低周波)美顔器は首付近にはNG

    頚部全面(首前横付近)への電気刺激による危険性が指摘されており、特に頚部は迷走神経(副交感神経)と交感神経が交わる場所であり、それらが電気的に刺激されることによって様々な自律神経の誤作動が生じる可能性があります。

    令和6年4月11日消費者安全調査委員会「家庭用EMS美顔器に係る事故に関する情報提供」より
    令和6年4月11日消費者安全調査委員会「家庭用EMS美顔器に係る事故に関する情報提供」より

    また、EMS(低周波)による強制的な筋収縮や頸動脈付近への外部からの強い圧迫があると頸動脈の内圧が上昇したと脳が誤認し、血管迷走神経反射が生じる可能性があります。これらの神経反射により血圧が低下し、その結果めまいは吐き気を生じることが指摘されています。

    さらにめまい時に転倒し、周辺に置かれている物などに頭部を打ち付け、怪我をすることもあるため注意が必要です。実際に医療現場では頚部前面からの物理的な圧迫や電気刺激に関しては極力避けることが推奨されています。

    【本コラムの監修】

    恵比寿院長

    HARRNY 院長/鍼灸師 菊地明子

    ・経歴
    大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

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