頭のこりと体のつながり

    頭のこりと体のつながり

    頭の皮膚には「帽状腱膜」を中心に「前頭筋」「側頭筋」「後頭筋」という筋肉が付着しています。

    頭のこりの筋肉

    「前頭筋」は、額から前頭部にかけて覆う筋肉で、眉や上まぶたを引き上げ驚きの表情を作る筋肉です。精神的なイライラ、心配や悩みごと、ストレス等でコリやすい所です。

    「側頭筋」は、頭の側面につく扇形の筋肉です。物を食べる時に使う咀嚼筋のひとつです。特に目の周りの血流に関係している筋肉であるため疲れ目、かすみ目の原因になることがあります。

    「後頭筋」は、頭の後ろを覆う筋肉で、額を平らに伸ばす働きをします。

    「帽状腱膜」は、薄くて丈夫な腱膜で、頭部の皮膚と前頭,後頭,側頭の3個所にある各1対の筋と結合しています。

    頭皮を緩めて体のこりを治す

    このように頭皮は顔だけでなく様々な筋肉に繋がっています。他にも首や僧帽筋、肩甲骨まわりにもつながっているため、頭皮のこりを緩めることで頭痛だけでなく、肩こりを改善させることができます。

    このような筋肉の繋がりは全身にあります。人の体は額(おでこ)から後頭部、首、肩、背中、腰、臀部、足、かかとまで筋膜で覆われています。筋膜は筋肉を包む膜のことで、筋膜には痛覚神経(痛みを伝える神経)が多くあり、その数は筋肉の約10倍あると言われています。そのため、筋膜に異常が発生すると痛みを感じるのです。

    筋肉の繋がり

    例えば、体のどこか一部分だけの筋膜が歪みたり、こり固まったりすると筋膜のつながりから、他の部位まで痛みやコリを生じやすくなると考えられています。

    体のこりと股関節の歪

    体のこりに大きく影響するのが股関節です。特に健康のためにウォーキングを心掛けている方は、股関節が歪んだままウォーキングを始めてしまうと関節を痛めてしまう恐れがあり、最近そのような人が急増しています。

    また、筋力が弱り始める40代以降からは上半身の重みが股関節の負担になります。また股関節は非常に大きく体のすべての関節や筋肉、人体に影響を及ぼすため、股関節を整えることによって体の他のすべての部位も一緒に整っていきます。

    股関節のチェック

    人によって右利きや左利きがあるのと同じように、体にはそれぞれ癖があります。例えば右肩が少しだけ下がっていたり、歩く時に足にかける重心が左右で違ったりします。このような癖が股関節の歪みやズレにつながってしまいます。

    股関節のズレを把握するために20歩チェックがあります。その方法は簡単で、目を閉じ、その場で20歩足踏みをします。終わったら目を開けて、最初の場所 からどれぐらい動いているかを確認しましょう。この立ち位置によって股関節のズレのタイプを診断することができます。

    スタート地点からほぼ前方に着地点がある場合は、股関節は前屈みタイプです。このタイプの人は、首が前に出ていて上半身が前屈みになっている猫背であると言えます。このような前屈みタイプの人は、骨盤が前方に倒れているため、腰と太ももを使って歩くのが特徴です。そのため太ももの筋肉が発達して足が太く見えてしまうという美容上のデメリットもあります。

    次にスタート地点よりも右斜め前に着地点がある場合は、左重心タイプです。左足に重心が強くかかるため、左足に力が入りやすく左側を強く踏み込みます。左重心タイプの人は左股関節が硬くなっていて、太ももや左足だけ太くなってしまうのが特徴です。

    スタート地点よりも左斜め前に着地点がある人は右中心タイプです。これは右足に重心が強くかかる先ほどの左重心タイプとは真逆のケースです。

    最後にスタート地点よりも後方に着地があるタイプは後ろ反りタイプです。後ろ反りタイプの人は、背骨のS字カーブの反り返りが酷く、骨盤が後方に傾いて顎が上がっています。このような後ろ反りタイプの人は膝裏の筋肉が弱く、膝が曲がりがちになってしまいます。

    このように股関節の歪みとズレのタイプを知ることは、股関節トレーニングの第一歩です。今後、どんな風にストレッチをして前後左右のバランスをどのように整えれば良いかを分かることが、股関節を正しい位置にアライメントする ために非常に重要なことです。

    体を歪ませないための習慣

    上半身を整える

    私たちの体は全て繋がっているため、股関節の歪みというのは上半身にも負担をかけてしまいます。逆に言えば上半身の負担もまた股関節の負担につながります。そのため股関節を歪ませないために、日々の習慣で上半身を真直ぐに整えてあげることが重要です。私たちは多くの時間を座って生活していますが、現代社会ではどうしても上半身が丸まってしまう環境にあります。

    そのため常に毎日の生活の中で意識して背筋を伸ばすようにしてください。これだけで股関節の歪みも自然と取れていきます。特にスマホやパソコンを操作している時の自分の姿勢に注意してみてください。腰が丸まっていると気付く度に背筋を伸ばすという習慣をつけましょう。その都度背筋を伸ばすということを意識して修正していく内に徐々に背筋が伸びてくるはずです。

    正しい座り方

    座り方というのは重要で、正しい座り方は坐骨を立て、椅子に浅く座ることから始まります。椅子に深く腰掛けてしまうとどうしても坐骨が立たず、体全体が歪んでしまいます。坐骨を立ててまっすぐ座ることができたら足の指にも注意を向け、小指がまっすぐ前を向くように調節しましょう。両膝はぴったり付けるのではなく拳1個分開けるのがちょうど良いでしょう。姿勢を整えることができたら、首を上に伸ばして足の底でしっかり床を押します。頭で天井を押して足で床を押す、部屋の上下を押し広げていくイメージです。ただしこの時 腰や太ももに力を入れてはいけません。あくまで自然にゆったりと座ってください。是非このような正しい座り方を習慣にしていきましょう。

    下半身マッサージ

    年を取るとどうしても体がむくみがちになってきます。体がむくむと血液が流れにくくなり、様々な弊害が生じます。重力によって体の中の液体は下の方向に溜まり、特に下半身の血流が滞ります。そのような下半身の血流を促進するために定期的に足マッサージをしましょう。足の付け根から足首まで満遍なくマッサージしてあげれば、柔軟体操にもなりため一石二鳥です。

    リンパを流す先端ほぐし

    手足の先端をストレッチし、ほぐしてあげることも非常に重要です。体を流れている血液やリンパは、体の末端まで到達して、そこで折り返して体内を循環します。その折り返し地点こそが足先であり、手先です。この折り返し地点の血流が滞ってしまうと全身の循環に渋滞が起きてしまいます。特に手足の甲は硬く、血液やリンパの流れが阻害されがちになるため、気づいた時にマッサージをしてほぐしてあげる習慣を身につけると良いでしょう。

    頭皮マッサージ

    股関節は上半身にも繋がっていますが、当然上半身の末端である頭の先にまで繋がっています。私たちの体は股関節を中心として、頭の先から足先に至るまで全て繋がっています。そのため疲れた時には、頭の筋肉のマッサージもして あげましょう。手のひらと指の先端部分で頭全体を覆い、親指には力を入れず他の4本の指で軽く圧をかけて頭皮マッサージをします。こうすることで顔の むくみやたるみにも効果があるので美容上のメリットも得ることができます。

    お顔のたるみは頭のコリ

    顔たるみは筋肉のたるみから生じています。顔の表情筋は、帽状腱膜にぶら下がるように付いており、さらに帽状腱膜は脊柱起立筋やハムストリング、そして、最終的には足の筋肉につながっています。特に猫背の人は、ハムストリング、脊柱起立筋もゆるんでおり、それとつながる額の筋肉もゆるみ、ぶら下がる表情筋も弛緩して顔がたるみます。

    また、リフトアップで顔が引き締まるのは、皮膚そのものがリフトアップするのではなく、頭蓋骨に皮膚がきちんと張り付いている状態になるからです。マッサージで直接無理に持ち上げようとしても、余った皮膚は何れ落ちて、たるみになってしまいます。肌そのものを上げるのではなく、頭の筋肉を意識する必要があります。

    頭と顔は筋肉や筋膜でつながっているので、頭がこると顔の筋肉を引き上げる力が弱くなり、たるみやシワなどを引き起こしてしまいます。

    そのため、当院ではこめかみ部分から鍼を刺し、頭皮と頭蓋骨の間に沿わせて鍼を進めていく施術をしていきます。また様々な表情筋を同時に刺激して表情筋全体を活性化します。

    【本コラムの監修】

    HARRNY 院長/鍼灸師 菊地明子

    ・経歴
    大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

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