
アトピー性皮膚炎の方が一度症状を落ち着かせても、また繰り返してしまう。そのぶり返しの引き金として、近年の研究で注目されているのが黄色ブドウ球菌という皮膚常在菌です。
これまでは「アトピーの炎症が起こるから黄色ブドウ球菌が増えるのか、それとも黄色ブドウ球菌が増えるから炎症が起こるのか」という鶏と卵の議論が続いていました。しかし最新の研究によって、炎症が起こる前の段階からすでに黄色ブドウ球菌の増加が見られることが明らかになってきました。
つまり黄色ブドウ球菌が先に増殖し、その菌が分泌する毒素や酵素が炎症のきっかけを作っているという構図が見えてきたのです。
ここで一つ注意してほしいのは、よくSNSなどで見かける「アトピーの滲出液は体から毒が出ている証拠」という説明は医学的には正確ではないという点です。アトピーに関わる「毒素」とは、黄色ブドウ球菌やマラセチア(別の皮膚常在菌)が分泌するものを指します。体から毒が出ているという解釈とは異なりますので、誤った情報に惑わされないようにしてください。
なぜアトピー肌に黄色ブドウ球菌が増えやすいのか
黄色ブドウ球菌はアルカリ性の環境を好みます。健康な肌は弱酸性(pH4.5〜5.5程度)に保たれているため、黄色ブドウ球菌は定着しにくい状態です。ところがアトピー肌の方は、健康肌の方と比べて肌のpHがやや高く(アルカリ性寄りに)なっており、それが黄色ブドウ球菌の定着を助けてしまっています。
「では抗生物質で菌を減らせばいいのでは?」と思われるかもしれません。確かに抗生物質の内服や外用によって一時的に菌の数を減らすことはできます。しかし使用をやめると皮膚常在菌のバランスが元に戻り、黄色ブドウ球菌も再び増えてしまいます。一般的な感染症と異なり、アトピー肌にもともと定着している菌のバランスを長期的に変えることは簡単ではないのです。
また「肌のpHを下げるために酸性のものを塗ればいいのでは?」という発想もありますが、pH2〜3といった強い酸性のものは皮膚への刺激が強く、かえって炎症を悪化させてしまいます。そもそも肌にはpHを一定に保とうとする緩衝機能(バッファー)が備わっており、酸性のものを塗っても短時間で元のpHに戻ってしまいます。
根本的な解決策は、なぜアトピー肌のpHが上がりやすいのかを理解し、黄色ブドウ球菌が増えにくい肌環境を作ることです。以下でその具体的な方法を5つ解説します。
黄色ブドウ球菌が増えにくい肌環境
対策① 洗いすぎをやめる
石鹸はアルカリ性です。アルカリ性の洗浄剤で体を洗うと、肌のpHが一時的にさらに上がり、黄色ブドウ球菌が定着しやすい環境になってしまいます。それだけでなく、アルカリ性の刺激によって炎症性サイトカインが増え、炎症が起こりやすくなるという悪循環にも陥ります。
健康な肌であれば、アルカリ性のものに触れても時間とともに弱酸性に戻す力(アルカリ中和能)が働きます。しかしアトピー肌の方はこの力が低下しているため、元に戻るまでの時間が長くかかります。その間に菌が増え、炎症が起こりやすくなってしまうのです。
おすすめの洗い方
- 石鹸の使用は基本的に避ける:アトピー肌の方には洗浄力が強すぎます
- 敏感肌向けのボディソープ・洗顔料を選ぶ:pH設計が中性〜弱酸性のものが多く、石鹸よりもpへの影響が少ない。セラミドなど肌の脂質を奪う力も弱い
- オイル洗顔を取り入れる:水を使わない洗い方のため、肌のpHにほとんど影響を与えない。炎症がない状態を維持したい方に特に適している
- 入浴・洗浄後はすぐ保湿する:洗浄によって一時的に上がったpHを早く弱酸性に戻すために、洗浄後の保湿は欠かさず行う
対策② NMF(天然保湿因子)をスキンケアでしっかり補給する
NMF(Natural Moisturizing Factor:天然保湿因子)は、アミノ酸を中心に構成される物質で、肌の水分量を保つ役割をよく知られていますが、実はそれだけでなく肌のpHを弱酸性に保つという重要な働きも担っています。
アトピー肌の方は、NMFの主要な構成アミノ酸を作り出す「フィラグリン」というタンパク質を生成する能力が低い傾向があります。これは遺伝的なものもありますし、アトピーの炎症が起きるとフィラグリンを作る力がさらに低下するという悪循環もあります。NMFが不足することでpHの維持が難しくなり、黄色ブドウ球菌が増えやすい肌になってしまうのです。
スキンケアで意識したいNMF系成分
- PCAナトリウム(アミノ酸が代謝された物質)
- セリン・プロリン・グリシンなどのアミノ酸
- 乳酸・クエン酸
ただし、尿素や乳酸は敏感肌・アトピー肌の方には刺激になりピリピリ感が出ることがあるため慎重に使用してください。重要なのは1〜2種類のアミノ酸だけを補うのではなく、多種多様なNMF系保湿成分がバランスよく配合されたアイテムを選ぶことです。人間の肌にはもともと多くの種類のアミノ酸・NMF成分が存在しているため、それに近い複合成分で補うことが肌の健康維持につながります。アトピー肌の方のスキンケアには、NMF系保湿成分を含むアイテムを必ず1つ加えることをおすすめします。
対策③ バリア機能をセラミドで守る
肌のバリア機能は、主に次の3つで構成されています。
- NMF(肌の水分保持・pH維持)
- セラミドを中心とした細胞間脂質(細胞と細胞の隙間を埋める脂質層)
- 皮脂膜(肌の表面を覆う保護膜)
この3つのどれか一つが欠けても、肌の水分量が低下し、pHを弱酸性に保つ酵素が働きにくくなります。結果として肌のpH維持が難しくなり、黄色ブドウ球菌が増えやすくなってしまいます。
セラミドの多彩な働き
セラミドは単に水分を保つだけでなく、次のような多くの役割を担っています。
- 外部からの異物の侵入を防ぐ物理的なバリアとして機能する
- 抗菌ペプチドの産生を助け、悪玉菌や病原菌の増殖を抑制する
- セラミドが分解されて生じる「スフィンゴシン」という物質が、黄色ブドウ球菌そのものを抑える抗菌作用を持つ
スキンケアで意識したいセラミドの選び方
セラミドにはさまざまな種類があります。特におすすめなのは、人の肌のバリア機能と親和性が高い**超長鎖アシルセラミド(セラミドEOP・EOSなど)**を含む、複数種のセラミドが配合されたアイテムです。
また、細胞間脂質はセラミドだけでなく「遊離脂肪酸」と「コレステロール(ステロール)」を含んでいます。これら3成分がそろってバリア機能を十分にサポートできるため、セラミドに合わせて遊離脂肪酸・コレステロールも含まれたアイテムを選ぶとより効果的です。
対策④ 汗と外部刺激から肌を守る
少量の汗は肌の水分量維持や皮脂膜形成を助け、肌のpHを弱酸性に保つ働きがあります。しかし気温が上がったり運動したりして大量に汗をかくと、汗のpHがどんどんアルカリ性に近づいていきます。アルカリ性の汗が肌に長時間触れていると炎症が起きやすくなり、黄色ブドウ球菌の増殖にもつながります。
夏場や運動後など大量に発汗したときには、次の2ステップを習慣にしてください。
- こまめに優しく汗を拭き取る(こするのではなく、押さえるように)
- 拭いた後はすぐ保湿する(pHを弱酸性に戻すためにも保湿は欠かせない)
外部刺激(花粉・ハウスダストなど)への対策
花粉・ハウスダスト・PM2.5などの外部刺激物質は、皮膚に触れると微細な炎症を引き起こしてバリア機能を低下させます。バリア機能が低下すればpHが上がり、黄色ブドウ球菌が定着しやすくなるという悪循環が始まります。
特に春先など花粉が多い季節は、オイルベースのクリームや日焼け止めで肌に薄い膜を作り、外部刺激が直接肌に触れないよう保護することが有効です。日焼け止めは紫外線を防ぐだけでなく、こうした外部刺激からのバリアとしても機能します。UV自体もアトピーのぶり返しを悪化させる要因の一つであるため、日常的な日焼け止めの使用は肌保護の観点からも非常に重要です。
対策⑤ 今ある炎症をしっかり鎮める
上記の4つの対策は非常に重要ですが、現在進行中の炎症が残っている状態では、どれだけケアを続けてもその効果は限定的です。炎症そのものがバリア機能の合成を妨げ、pHを上げて黄色ブドウ球菌が増えやすい環境を維持し続けるからです。
逆に言えば、炎症をしっかりと鎮めるだけでバリア機能が自然に回復し、皮膚常在菌のバランスが健康な肌に近づいていくという報告もあります。
炎症を鎮めるための治療
- ステロイド外用薬:炎症を速やかに抑える標準的な治療薬
- カルシニューリン阻害薬(タクロリムスなど):ステロイドを使いにくい部位に有効
- デュピルマブ(デュピクセント)などの生物学的製剤:重症例や従来治療が効きにくい場合の選択肢
また「プロアクティブ療法」、つまり炎症が鎮まってからも定期的に薬を継続して塗布し続けることで炎症を起こさない状態を維持する治療法も有効です。これによって外部刺激による黄色ブドウ球菌の増加も防ぎやすくなります。
皮膚科での治療は、あらゆるアトピーケアの「根本的な基盤」です。どんなスキンケアを取り入れるにしても、炎症を鎮める医療的治療と並行することが改善への最短ルートです。
セラミドだけじゃダメ
「セラミド系のアイテムをずっと使っているのに、肌の状態がなかなか安定しない」「セラミドを補っているはずなのに、あまり効果を感じられない」、このような状態に陥っている原因の一つが、セラミドだけに注目しすぎているスキンケアにあります。補い方を間違えると、肌状態が改善するどころか、逆に悪化してしまう可能性があるのです。
アトピー肌の中で起きていること
アトピー肌や乾燥性敏感肌では、角層に存在するセラミドの量が減少し、細胞間脂質が乱れることでバリア機能が低下しています。これはよく知られた事実です。
ところが興味深いことに、アトピー肌や敏感肌の内側では、低下したバリア機能を補おうとする修復の動きがちゃんと起きています。具体的には、バリア機能に関わる長鎖セラミド(超長鎖アシルセラミド)が減少する一方で、それを補うために「セラミドNS」という比較的短いセラミドが増加するという現象です。
しかし、ここに大きな落とし穴があります。短いセラミドが増えると「細胞間脂質の柔軟性」が失われるということです。細胞間脂質は、角層の細胞と細胞の隙間を埋めることで肌バリアとして機能する脂質の層です。長いセラミドが減り、短いセラミドで代替されると、この細胞間脂質全体のしなやかさ(柔軟性)が失われ、硬くなってしまいます。
「硬くなる=バリアが強くなる」と思いがちですが、実際は逆です。硬くなった細胞間脂質は崩れやすく、結果的にバリア機能がかえって低下してしまうのです。これが「セラミドを補いすぎること」の落とし穴に直結します。
研究が示す衝撃の事実
過去の研究において、スキンケアでセラミドだけを単独で補給した場合、肌のバリア機能の回復が遅れるか、むしろ悪化することが明らかになっています。つまり「セラミドが不足しているから補おう」と思って、セラミドだけを大量に与え続けると、細胞間脂質のバランスが崩れ、かえってバリア機能を損なう方向に作用してしまうことがあるのです。
肌バリアは3つの要素で成り立っている
肌バリアは「セラミドだけ」で構成されているわけではありません。主な構成要素は次の3つです。
- 細胞間脂質(セラミドを中心とした脂質の層)
- NMF(天然保湿因子)
- 皮脂膜
この3つが相互に支え合うことで、肌が乾燥や外部刺激から守られています。どれか一つだけに偏ったケアでは、全体のバランスが崩れてしまいます。
細胞間脂質(セラミド)は「複数種×正しい組み合わせ」が鉄則
セラミドは種類と組み合わせが重要
人の肌には1500種類以上のセラミドが存在しています。アトピー・敏感肌では、特に超長鎖アシルセラミド(セラミドEOP・EOSなど)が減少しています。スキンケアでセラミドを補う際は、こうした肌で実際に不足しているタイプのセラミドを選ぶことが第一のポイントです。
さらに1種類だけでなく、複数種類のセラミドが配合されているものを選ぶことが重要です。セラミドEOP・EOS(超長鎖アシルセラミド)を含みつつ、セラミドAP・NP・NPなどの人型セラミドや、グルコシルセラミド・スフィンゴミエリン・セレブロシドといった天然セラミドも含む製品を選ぶことで、細胞間脂質全体のバランスを崩さずにセラミドを補えます。目安は4〜5種類以上が配合されているものです。
セラミドに加えて「ステロール類」と「脂肪酸」を補う
細胞間脂質はセラミドだけでなく、コレステロール(ステロール類)と遊離脂肪酸によって構成されています。この3つが揃って初めて、細胞間脂質の柔軟性が保たれ、バリア機能が正常に機能します。スキンケアを選ぶ際は次の3点が含まれているものを選んでください。
- セラミドEOP・EOSを含む複数種のセラミド
- コレステロール・フィトステロールなどのステロール類
- ステアリン酸・リノール酸・オレイン酸などの遊離脂肪酸(マカデミアオイル・米ぬかオイル・オリーブオイルなどで代替も可)
NMF(天然保湿因子)は重要な縁の下の力持ち
NMFは角層の中に存在し、水分を保持する役割でよく知られています。しかしそれだけではなく、**肌のpHを弱酸性に保つことで代謝をスムーズにする(ターンオーバーを整える)**という重要な機能も持っています。
さらに最新の研究から、NMFが細胞間脂質のしなやかさ(流動性)にも関与していることが明らかになってきています。つまりNMFが不足すると、セラミドの補給をいくら頑張っても、細胞間脂質全体の柔軟性が得られにくくなるということです。
NMFの主な構成成分はアミノ酸とその代謝物です。PCAナトリウム・セリン・プロリン・グリシンなど、アミノ酸系の保湿成分が豊富に配合されたスキンケアを意識的に取り入れることで補えます。
「セラミドを補っているのに肌が安定しない」という方は、NMFのケアが不足している可能性があります。セラミドとNMFは相関関係にあり、どちらか一方が崩れるともう一方にも影響が出ます。両方を同時にケアすることが安定した肌バリアへの近道です。
皮脂膜(油分)は「蓋をする」だけじゃない
皮脂膜は「蓋をして水分の蒸発を防ぐ」役割と思われがちですが、実はそれだけではありません。皮脂と汗が混ざって形成される皮脂膜には次の働きがあります。
- 肌のpHを弱酸性に保ち、病原性の細菌が増えにくい環境を作る
- ビタミンEを含み、酸化ダメージから肌を守る
スキンケアで皮脂膜を補う成分としては、スクワラン・ホホバオイル・オレンジラフィー(ワックスエステル)・マカデミアオイル・米ぬかオイル・シアバターなどの油系成分が挙げられます。
皮脂が多めでべたつきが気になる方は油分を抑えたケアを、逆に乾燥が強い方はクリームや油分を加えることでpH維持とバリア強化の両面を補えます。
実践的なスキンケアの考え方
アトピー・敏感肌のバリアケアで意識すべき優先順位をまとめると次のようになります。
① まず細胞間脂質を整える:セラミドEOP・EOSを含む複数種のセラミド+ステロール類+遊離脂肪酸の3点セットが入ったアイテムを選ぶ。
② NMFを同時に補う:アミノ酸系保湿成分が豊富な化粧水や乳液を組み合わせる。化粧水でNMFを補い、乳液でセラミドを補うという使い分けも有効。
③ 皮脂膜は肌のべたつき具合で調整する:乾燥が強い方にはクリームで油分を補い、べたつきが気になる方は控えめにする。ただしpHを整える観点からある程度の油分は必要。
セラミドは確かにアトピー・敏感肌のケアにおいて重要な成分です。しかし「セラミドだけを補えば解決する」という考え方は正確ではありません。肌バリアを構成する細胞間脂質・NMF・皮脂膜はそれぞれが相関関係にあり、どれか一つに偏ったケアでは全体のバランスが崩れてしまいます。重要なのは各要素を複合的に補い、細胞間脂質の「柔軟性」を保つことです。
今使っているスキンケアにセラミドEOP・EOS・ステロール類・遊離脂肪酸・アミノ酸系保湿成分が揃って入っているかを、まずは成分表示で確認してみてください。それが、長年安定しなかった肌の状態を改善するための第一歩になるはずです。
東洋医学的に診る「アトピー性皮膚炎」
まず皮膚は、東洋医学の五行で言うと「金」にあたります。そして概念としては、悲しみや喪失感が挙げられます。一方で肌は、上から表皮、真皮、結合組織、筋肉となり、真皮は血液や脾臓と同じで概念で言うと「土」になります。「土」は、病気の感情としては甘いものにあたり、つまり悲しみ、そして甘いものという概念がアトピーに影響していると東洋医学的に考えられます。
これらに該当する食べ物が、お菓子などの甘いものになります。特に甘いパンやクッキーなど、小麦の中のグルテンで、アトピーが悪化している人が多くいます。そしてこれらを減らしたら少し軽くなった、あるいは場合によっては全く摂らないと治ったという人たちもいます。婦人科系の疾患も、グルテン、植物性油脂(パーム油)、砂糖を多く食べている人に良く見られます。また乳製品も同じように挙げられます。
例えば、高校生ぐらいになると学校の帰りにコンビニによって、友達でみんなでお菓子を食べてから帰宅する、この頃から婦人科系の疾患の前兆が出ます。生理痛が激しい、鎮痛剤飲まないと我慢できないなどが見られます。本来であれば月経痛は少ないはずですが、甘いお菓子とか食べている人に多く、子宮内膜症にも繋がってしまいます。
一方で、日本人に多いのがグルテン不耐症で、グルテンに対して正常免疫を出さない人が7から8割もいると言われています。当然、このような子宮内膜の状態で妊娠をして、そういう食べ物が直接血液を経由して入ってくれば、赤ちゃんにとんでもない量が入ってきます。
その結果、生まれてくる子供にもアトピーの影響が現れます。生まれつきアトピーの人を問診すると、そんなに甘いものを食べていませんと言われる方がいますが、平均的に大体1日1回ぐらいは食べています。
また、小麦だけではなく、パーム油(植物性油脂)の影響が多いと考えられます。パーム油は油市場の中で約1/3ぐらい占めていると言われ、これらは工業的に作られているもの、例えばファストフードなどに多く入っています。パーム油には、不飽和脂肪酸が入っており、これは非常に毒性が強く、多くの先進国では食用で禁止されています。
これらは安価なお菓子やファストフードに入っています。そして小麦、甘いもの(ブドウ糖果糖液糖)の糖類は炎症を強くします。これらがアトピー性皮膚を直接作ることはないかも知れませんが、必ず悪化はさせます。
このように経験則で、アトピーに悩まれている方の多くは、やっぱり食べているものに影響されていると考えられます。これは東洋医学的五行で言うと、甘いものを甘えで止められない傾向があります。また悲しくなるとお菓子を食べてしまう、特に悲しみは甘いもので一時的に解消できます。砂糖は快楽報酬系に入り、脳内でドーパミンが出ることによって悲しみが消せてしまいます。
以上から、日本のアトピーが増えている原因は、甘いものを摂るようになったこと、そして東洋医学的に診ると悲しみや甘えるという概念が多くなった結果と言えるでしょう。
一方でアトピーは、皮膚から毒を捨てている現象と考えることもできます。毒を捨てる方法は、おしっこで出す、うんちで出す、それでも出せない毒は毛髪から出しています。そして残りは皮膚から出すか、大腸から出すかです。特に皮膚と大腸は表裏一体の関係にあります。
例えばクローン病で大腸の中を見るとアトピーのようにただれている人は、皮膚が綺麗だったり、逆にアトピーになってる人は大腸が綺麗だったりします。つまり我々にとっていらないものを解毒することができなくて捨てる場所は、皮膚に優位に捨てている人なのか、大腸の方から捨てている人かに分かれます。
これは八網弁証で考えれば、皮膚の方がより実証に近く、大腸の方が虚証に近くなり、このように考えれば東洋医学的に、なぜアトピーになるのかは、患者さんのパターンが特定しやすくなっていきます。東洋医学では、アトピーを治すと言うよりも、未然に防ぐことにあり、その原因を除去することに重きを置くことになります。
アトピーに良いと言われている栄養素
世の中にはアトピーに良いと言われている栄養素、例えばビタミンD、亜鉛、マグネシウム、乳酸菌やビフィズスキンなどのプロバイオティクス、そしてその餌となるプレバイオティクス、またDHAやEPAなどのオメガ3系の脂肪酸など、どれが良いのか分からない、また色々試したけど効果が実感できない方もいらっしゃると思います。
その理由は、実は人に対して効果があるという報告がなされているものはごく一部だからです。それを飲んだグループ、飲んでないグループに分けて調べたところ、本当に良くなることが統計的に研究して分かっているものが少なく、またその分かっているものに関してもその仕組みを理解してなければ、その効果が実感できないでしょう。
アトピーに良い影響を示さない栄養素
実際に人に対して試験での効果が確認できていない栄養素が、ビタミンD、亜鉛、オメガ3系の脂肪酸、マグネシウム、塩(ナトリウム)です。これらに関しては、単純に人に対して試験されたものがなく、試験したけど良い結果が得られなかったものがほとんどです。
例えばビタミンDや亜鉛、そしてオメガ 3系の脂肪酸は、人に対して研究でアトピーに良い影響を与えるのではないかと試験されていますが、結果が良くありません。
確かに飲むと良くなった報告はありますが、その多くがプラセボ群であり、飲む飲まないの差がありませんでした。つまり飲んでも飲まなくてもアトピーの治療、アトピーの改善には基本的に影響を与えないと言われている栄養素です。もちろん食事で適度に摂ることは大事ですが、必要以上に摂ったとしてもアトピーの改善にはあまり効果がないことになります。
一時期、アトピーに良いと色々言われていたマグネシウムは、そもそも人に対して特に内服、サプリメントで摂るものに関してはアトピーに対してどういう効果があるかを調べているものがありません。またマグネシウムの血中の状態は、アトピーの症状と関係がないことは報告されているので、相関関係も因果関係も基本的には見られません。
次にナトリウム、簡単に言うと塩分ですが、最近の研究によって血中のナトリウムイオンの濃度が高ければ高いほど、むしろアトピーの悪化につながることが報告されています。 もちろん塩は、人間が生きていく上で必要な物質ですが、必要以上は基本的には健康に逆 効果で、高血圧やその他の疾患にも影響を与えます。
アトピーに良い影響を示すプロバイオティクスとビタミンE
プロバイオティクス、ビフィズス菌や乳酸菌ですが、人に対して一定の効果があった報告はありますが、アトピーの改善に関してはまだまだ良いとは言い切れません。アトピーに関して良い報告があったのはビフィズス菌が多いのですが、これも良い効果がある報告されてるのは基本的に、4歳から17歳までの対象に絞って行った研究です。
一方で大人の場合は、その効果が認められていません。これは子供の場合、大腸の中ではビフィズス菌が優勢で、プロバオティクスとしてビフィズス菌の中でも特定の菌を口から摂取すると、その菌が優勢になりアトピーに良い影響を与えることが示されています。しかし大人の場合は、全体の10%ぐらいまで減り優勢ではなくなってしまいます。
さらに特定の菌を摂る必要があり、ビフィズス菌や乳酸菌は一口に言っても種類がたくさんあります。つまりアトピーに対して何か影響を与えるようなプロバテクスを摂ろうとすると、その特定の菌を摂る必要がありますが、どの菌をどれぐらい飲めば良いのかが今のところ分かっていません。
もちろん、その特定の菌であったり、子供の場合にはビフィズス菌を摂ることによってアトピーが改善する報告があり、なぜ改善するかのメカニズムは分かっています。それはビフィズス菌が産生する酪酸や短鎖脂肪酸が肌のバリア機能に良い影響を与えたり、炎症を軽減する方向に免疫を向かせることが分かっているからです。
アトピーを改善しようとすると特定の菌や数などを調べないといけないのですが、一方でその餌に関して、オリゴ糖や水溶性食物繊維が一般的な乳酸菌やビフィズス菌の餌になることは分かっています。例えばオリゴ糖やイヌリンを摂っているグループ、取っていないグループ、プラセボ群と分けても、その有意差が出て効果を示すことが分かっています。
また食事であれば食物繊維の多いもの、例えばごぼう、キャベツ、その他にも人参、ナス、果物類に含まれているポリフェノールも腸内細菌そのものの餌にはなりませんが、腸内環境に影響を与えてビフィズス菌や乳酸菌を活発化させるっことが言われています。このような野菜類や果物類は、アトピーに対してエビデンスがあり、人に対して効果を示されています。
一方で、アトピーに対して効果があると人で報告されているものがビタミンEです。これは4ヶ月から8ヶ月長期で1日268mg、 国際単位で400IUを摂取すると、ビタミンEを飲んでないグループと比べて優位にその症状が改善することが報告されています。
なぜ、これが効果があるのかは諸説ありますが、ビタミンEは脂溶性であり油に溶けやすいビタミンで皮膚にも存在するため、お肌で抗酸化作用を発揮してくれる物質と考えられているからです。お肌は脂溶性のものの方が浸透しやすい特徴があり、ビタミンEは口から摂取することによってお肌の中で分布して貯めておかれる物質です。
このビタミンEが肌に存在して抗酸化作用を発揮することで、例えば紫外線や大気汚染物質など、お肌に対して酸化ダメージを与えるようなものから肌を守ってくれてということが言われており、炎症を予防するような役割を持つため、長期間の摂取が推奨されています。
またビタミンEに関しては、大人の場合1日の上限量が700から800mg、国際単位400が268mgのため、上限量を超える可能性は少なく、たくさん飲んでも過剰摂取リスクはありません。
知らずに食べるとアトピーを悪化させる意外な食べ物
夏になると食卓に並ぶことが多い食材や、積極的に摂りましょうと言われる栄養素の中には、実はアトピー性皮膚炎の症状に影響を与える可能性があるものがあります。「夏になると痒みや症状が強くなる」と感じている方は、日頃何気なく食べているものが関係しているかもしれません。
青魚(サバ・マグロ・アジ・イワシ・カツオなど)
サバやマグロ、アジ、イワシ、カツオといった青魚には、DHAやEPAなどのオメガ3系脂肪酸が豊富に含まれており、本来はアトピーにも良い影響を与えうる食材です。これらの魚にはヒスチジンという必須アミノ酸も多く含まれていますが、魚の中にはヒスチジンをヒスタミンに変換する酵素(ヒスタミン産生菌)が存在することがあります。
一度ヒスタミンに変換されると、加熱しても分解されずに魚の中に残るため、ヒスタミンを多く含んだ魚を食べるとアレルギー反応が促進され、アトピーの痒みや蕁麻疹のような症状につながる可能性があります。
このヒスタミン産生菌は常温で活発になるため、保存方法が重要です。回転寿司のように常温に近い環境で長時間置かれていたり、購入後に調理まで室温で放置してしまったりすると、ヒスタミンが増える可能性があります。青魚自体を避ける必要はなく、DHA・EPA・ヒスチジンはむしろ体に必要な栄養素です。冷蔵・冷凍でしっかり保存し、常温放置を避けることを意識すれば、通年を通して問題なく食べられます。
トマト・ナス・ほうれん草などの夏野菜
夏野菜のすべてがアトピーに悪影響というわけではありませんが、ナスやほうれん草にはヒスタミンが、トマトやキウイ、パイナップルにはセロトニンやアセチルコリンといった、痒みやアレルギー症状に関与しうる物質が他の食材よりやや多く含まれています。腸で作られたセロトニンは通常、血液脳関門でブロックされて脳には影響しませんが、体内を巡る過程で痒みなどの症状に関わる可能性があるとされています。
一方でトマトにはリコピン、これらの野菜にはβ-カロテンなど、肌に良いとされる抗酸化物質も豊富です。1日1個程度、トマトジュースならコップ1杯程度であれば、通常は症状に大きく影響しないと考えられます。問題になりやすいのは、旬だからと毎食のように偏って大量に食べ続けるケースです。すでにアトピーやアレルギー症状が出ている方は体内のヒスタミンが元々多い可能性もあるため、特定の食材に偏らず、バランスよく食べることが基本です。
スポーツドリンク・塩分補給食品
スポーツドリンクや塩分補給用のタブレットそのものが直接アトピーを悪化させるわけではありませんが、これらに含まれる塩分・糖分の過剰摂取が肌のバリア機能に影響を与える可能性が報告されています。夏場は発汗により塩分・糖分が失われるため、熱中症対策としてある程度の補給は必要です。
糖分は通常の摂取量であればアトピーへの影響は大きくないとされていますが、汗をかいた状態で糖分・塩分の濃度が高いものを摂りすぎると、バリア機能に悪影響を与える可能性が指摘されています。熱中症予防のために必要な分を摂ることは大切ですが、お菓子感覚で習慣的に食べ続けるのは避けたほうがよいでしょう。摂りすぎは、アトピー以外にも生活習慣病のリスクにつながる可能性があります。
カレーなどのスパイス料理
唐辛子やスパイス、お酢などに含まれる刺激成分は、痒みや温度感覚に関わる受容体(TRPチャネル)を活性化させることが知られています。このTRPチャネルは肌だけでなく口や喉にも存在し、熱いお風呂がバリア機能の低下や痒みにつながると言われるのも同じ仕組みによるものです。
カレーなどのスパイス料理を食べること自体を避ける必要はありませんが、赤みやほてりが気になる方は、辛いものや酸味の強いものの食べすぎに注意するとよいでしょう。
肌トラブルを改善する食事の選び方
アトピー性皮膚炎は、慢性的に皮膚が炎症を起こした状態ですが、皮膚のバリア機能が壊れて、外からの刺激が入りやすい状態になることによって、さらに免疫反応が起こって炎症を繰り返します。そしてかゆみを感じる神経細胞が足を伸ばし、皮膚の表面に露出している状況になって余計痒く、さらに掻くことによってバリアが壊れます。
子供の10%から20%がアトピー性皮膚炎の罹患の割合と言われており、大人になってもずっと引きずっていることが多くあります。実際人口の1割ぐらいの人がアトピー性皮膚炎を持っていると言われています。増悪させる因子が、例えば環境汚染物質、花粉、香水やデオドラント、ストレスなどが知られていますが、過去の報告では元々遺伝的素因がある人が特定の食品を摂ることによって湿疹が悪化することが歴史的にも知られています。
例えば小麦、卵、ナッツ類、乳製品などを食べるとアトピーが増悪することが報告されています。そのため、こういった食品を取り除くことによってアトピー性皮膚炎が良くなると考えられるのですが、現実的にはこのような指導が積極的に行われているわけではありません。
なぜなら、治療している先生たちも食事を変えることに対する限界、つまり有効性に疑問を感じている先生も多いからです。歴史的にアトピーが食事と関連あることはいくつも報告されていますが、食事を変えるだけではあまり効果がなく、薬に対する依存が強いのが現状です。
実際、食事介入しても全く変わらない人は一定数おり、また極端な食事介入に行うことによって栄養不足になって体調が悪くなってしまうことも起こるのを懸念し、食事をいじらず現実的な方法で行われています。
例えば牛乳を抜くとアトピーが改善する、牛乳をたくさん飲んでいる人がアトピーが多いなど報告があったり、また別の研究では牛乳はあまり関係ない、牛乳を飲んでいる、飲んでいないには関係ないが、ビタミンDの濃度がアトピーの増悪に関係しているなどの報告があるため、特定の食品が必ずしも悪い、特定の食品を飲むとなりやすいなど、結論としては得られていない状況です。
一方で、結論を得られていないことに対して、もう1回検討したという報告があり、10件の臨床試験の中の600人のデータをまとめ上げた研究があります。
実際、乳製品、卵、小麦などを除去した食事をすることによって良くなった人が約50%いました。逆に41%は薬だけで良くなったことが報告されています。ただし、薬だけでアトピーの状態が落ち着いているのは、基本薬を使い続けるのが前提であるため、食事を変えられる方はチャレンジした方が良いと思います。
また、医学的には血液検査、例えばIgE即時型のアレルギー検査で食べるべきでないものを判断することは可能ですが、検査で陰性であったとしても腸の中で炎症を起こしているケースが結構あります。この検査食べ物に対するIgE抗体がアレルギーの原因になるタンパク質ですが、それが体に作られているかどうか、小麦を食べたらその小麦に反応するタンパク質が体に作られているかどうかを測定するのが基本になっています。
しかし、IgEが高いからって言ってアレルギーがあるわけではなく、つまり高いかどうかでアレルギーがあるか判断するのは大きな誤りと言われています。なぜなら偽陽性が多くあり、小麦を食べてもアレルギー反応が出ないことになります。
特に全体のIgEが高い方は、検査結果が全て高く出やすい傾向があります。アレルギー体質の方は検査結果見ると、どれにも反応しており野菜、果物、肉、米、ごま、小麦、牛乳、卵などことごとく反応していることもあります。IgGだけではなく、問診して小麦で今数字が上がっているけど実際パンとか食べてみて具合悪くなったり、湿疹や蕁麻疹が出たりしますかと聞いて、大丈夫ですって言っているのであれば、食事制限しなくて良いねとなります。
そのため検査ベースでやるのではなく、1ヶ月単位で食事介入していくのがオススメな方法です。例えば、小麦、卵、乳製品のどれか一つ決めて、1か月間食べない、また小麦であれば調味料に含まれているものも避ける、そうして5ヶ月間は徹底的に抜いてみて、1ヶ月経った後にあえて食べてみる。それによってもし自分の体の調子が悪くなる、もしくは皮膚炎の症状が悪くなるということであれば、絶対に小麦は避けなければいけないことが分かります。
全員が食事を介入しても改善しないことは明らかですが、普段あまり食事に気をつけてない方は、一度チャレンジして、1か月単位でしっかりと食事をコントロールしてみることをやってみるとアトピー性皮膚炎が良くなる、もしくは薬 を減らせることが経験できるのではないかと思います。
また有名な論文に、ピーナッツを5歳ぐらいまで食べさせなかった子供と普通にピーナッツなども食べていたグループでどっちの方がアレルギー多かったかを調べたものがあります。もちろん食べていた方がアレルギー多そうなイメージがありますが、避けていたグループの方がピーナツアレルギーが多くなったという結論が出ています。
つまり食べていた方がアレルギーが起こりにくいことを示しており、つまり慣れるみたいな感じでアレルギーが抑制されていくことになります。ただし経皮感作と言って皮膚から入る群はアレルギーが起こりやすくなります。つまり食事制限よりお掃除の方が重要になります。
【本コラムの監修】

・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

















